
印刷業界のM&A動向
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印刷業界は「出版印刷」と「商業印刷」に大別される。
「出版印刷」は、出版社や新聞社が発行する商業出版物、コミックや単行本といった書籍や雑誌、また地図・教科書・学習参考書などの印刷物のことである。出版社から発注を受け、印刷・加工・製本して取次店・書店・インターネットを介して読者に届く。
一方、一般企業の事業のために使われる印刷物が「商業印刷」である。商業印刷は、チラシやパンフレットのような販売促進用の宣伝用印刷と、カタログ・証憑類など社内業務に使われる業務用印刷に分けられ、事業会社と印刷会社との直接の取引となる。

印刷は歴史の長い業界のひとつで、かつては「凸版印刷」という手法で版に凹凸を掘ってその凹凸にインクをつけて印刷するというハンコと同じ原理が主流であった。
その後、版に凹凸がほとんどない「平版印刷」という技術が登場。平版印刷は技術向上にはなったものの手作業が多い技術であったので、長くアナログが主流の業界であった。
最近になってようやくDTP(デスク・トップ・パブリッシング)という、パソコンの画面上でレイアウトしてそのまま印刷する技術が開発され、ようやく少しずつデジタル化が進んできた業界である。
印刷会社の仕事は、印刷に関連する豊富な知識がなければ顧客に提案することができない「営業・企画」、デザインやDTPオペレーション業務を行う「制作」、色やデザインの校正をして印刷機にかける版を作成する「製版」、版を使って印刷をするに最も技術を必要とする「印刷」、型抜きや、おり・製本をする「製本・加工」というそれぞれの工程に沿って制作され、まだまだ人的作業が多く残されており、専門のスキルを必要とするのが特色である。
会社の規模によって事業内容と業務内容がかなり異なり、従業員300人以下の中小企業の事業所数が業界の99%を占めており、大手2社の実質寡占業界であるのも他業界にない特色である。
株式会社矢野経済研究所によると、一般印刷の市場規模は3兆4,922億円で前年度比1.1%減と、ここ数年横ばい状態が続いている。

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1974
従事する労働人口は28万人。事業所数は22,000社となっている。デジタル印刷・パッケージ印刷などを含める全体市場規模は5兆2,300億円となる。
売上高の上位1500社の税引後利益を見るとほとんどの企業で増益となっている。しかし利益率は1%台と極めて低い数値となっており、業界全体として収益性の改善施策が必須となっている。
企業別売上高については、凸版印刷が1兆4,647億円、大日本印刷が1兆4015億円で大手2社を構成しており、この2社で市場占有率は約80%に達する。この2社は総合印刷業で、デジタル・パッケージを含めた全体の市場規模に対しても同様の高いシェアを確保している。
準大手として、トッパン・フォームズ2,258億円、NISSHA2,074億円があげられ、中堅企業が、共同印刷977億円、図書印刷524億円、日本創発グループ511億円、共立印刷461億円、朝日印刷393億円、竹田印刷361億円と続いている。
広告費の売上を見ると、紙媒体(新聞・雑誌・折込・DM・フリーペーパーなど)が、2006年の3兆2,000億円から2015年は2兆円と大幅減少している。インターネット媒体が、2006年の4,800億円から2015年は1兆2,000億円と大幅増加となっている。
従業員300人以下の中小企業の事業所数が業界の99%を占めている業界としては、次の4つの企業体質が課題としてあげられる。
まず売上の大半を大手企業など少数社に依存している企業が多数見受けられる。よって相手先のデジタルシフト推進など方針転換や、競合の出現で急激に売上が減少というリスクをはらんでいる。事実、契約書類・事務伝票・有価証券などはデジタル化が進んでおり、今後もこの動きは加速すると想定される。
また、デジタル広告との価格差や少数者からの受注に偏っているということで、ただでさえ利益率が低い業界状況にも関わらず、コスト交渉など不利になりやすい関係となっていることがうかがえる。
印刷業界ではM&Aが活発化している。大手2社である凸版印刷と大日本印刷が印刷業だけにとどまらず、海外企業をM&Aして幅広い事業展開をしようとしている。既存事業では、今後の収益向上を期待できないことは各社共通の認識で、それがM&Aを活発化させる理由となっている。
2019年凸版印刷株式会社は、ドイツInterprintGmbH(建装材化粧シートの製造・販売)の株式を取得しM&A。アメリカで自社の建装材印刷工場を建設し、ヨーロッパではこの製造拠点をM&Aして海外での製造販売体制を構築した。
2019年株式会社日本創発グループは、株式会社スマイル(のぼり・幕・旗・タペストリーなど繊維製品への印刷物企画製造)の株式を取得しM&A。一般印刷のほか、特殊素材・立体物への印刷・ノベルティ・フィギュア・3Dプリンター造形・デジタルコンテンツなどのソリューションを提供しており、このM&Aにより商材ラインナップが充実、ワンストップサービスが可能になるとしている。
2018年株式会社日本創発グループは、タカオカプラセス株式会社(ポリエチレンを軸にした製品の設計・製造・販売)の株式を取得しM&A。汎用的な印刷にとどまらず「カタチあるモノ」の提供を行っており、新たに工場向け機械カバーを主体にイベント向け企画製品・ショップ向け製品などを取り扱うことで商品ラインナップの充実でシナジー効果を期待する。
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詳細業種 海外進出支援 所在地 非公開 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 半導体・自動車部品工場向け大型設備卸 所在地 中部・北陸 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 BPO・スキャニングサービス 所在地 関西 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 皮革製品製造・販売 所在地 関東 概算売上 2.5億円~5億円 -
詳細業種 衣料品開発・販売 所在地 関東 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 タクシー・ハイヤー業 所在地 関東 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 結婚式場 所在地 関東 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 試験機メーカー(自動車) 所在地 非公開 概算売上 2.5億円~5億円 -
詳細業種 商業ビル管理 所在地 中部・北陸 概算売上 1億円未満
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