スーイサイド・ピルとは? 概要と留意点を詳しく解説

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日本の企業間におけるM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)の動きは、近年増加しています。M&Aは企業の成長戦略の一環として行われる一方、敵対的な買収を受ける場合もあります。企業が敵対的な買収から身を守るための手段のひとつとして認識されているのがスーイサイド・ピル(Suicide Pill)です。今回は、スーイサイド・ピルの概要、具体例、ポイズン・ピル(Poison Pill)およびバックエンド・ピル(Backend Pill)との違いについて、詳しく説明します。

スーイサイド・ピル(Suicide Pill)とは

スーイサイド・ピルとは、敵対的買収防衛策のひとつで、敵対的な立場をとる買収者が株式(議決権)の一定割合を取得した時点で、被買収側の企業が自社の財務状態を著しく悪化させる契約等を執行することにより、買収者側の意欲をそぎ、M&Aを阻止することをいいます。

ただし、敵対的買収を阻止できる可能性が高まる代わりに、企業価値が大幅に減少します。 それだけでなく、財務状況の悪化により、経営の継続が困難になる可能性もあります。こうした極端な対策が企業に大きなリスクを伴うため、自殺薬(スーイサイド・ピル)という名称で呼ばれています。スーイサイド・ピルの導入は、他の買収防衛策と比較してもハイリスクであるため、株主からの反対を受ける可能性がとても高いと考えられます。

スーイサイド・ピルの具体例

スーイサイド・ピルの具体例としては、買収者が一定数以上の株式を取得したときには、既存株主は“持株”を“現行市場価格を大幅に上回る額面の社債”と変換する権利を得るといったものがあります。仮に既存株主が“持株”を“現行市場価格を大幅に上回る額面の社債”に変換する場合、債務負担が大幅に増加することで財政状態が悪化するので買収者側の意欲を削ぐことが想定されます。

ポイズン・ピル(Poison Pill)との違い

ここでスーイサイド・ピルと似た用語でポイズン・ピルがあります。ポイズン・ピルは、敵対的な買収から企業を守るための戦略的な手段のひとつであり、毒薬条項とも呼ばれています。この語源は、株の買い増しを進める敵対的買収者にとって、議決権比率の低下につながる新株予約権の発動が、毒を飲まされるようなイメージがあるためです。

具体的には、特定の投資家が会社の株式の一定比率以上を取得した際に新株予約権を発動し、既存の株主に新しい株式を割安価格で購入する権利が与えられます。これにより、敵対的な買収者が標的となる相手企業の株式の大部分を保有することが難しくなります。

このため、ポイズン・ピルの一形態であるスーイサイド・ピルは、極端な買収防衛策と認識されています。

バックエンド・ピル(Backend Pill)との違い

次にスーイサイド・ピルと似た用語でバックエンド・ピルがあります。バックエンド・ピルもポイズン・ピルの一種であり、特定の株主への株式発行を制限することで、敵対的な買収者が標的となる相手企業の所有権を過半数取得するのを防ぎます。これにより、敵対的な買収者は、標的となる相手企業の買収を成功させるためには、既存の株主からさらに多くの株式を高い価格で購入する必要があります。そのため、敵対的な買収の費用が増加し、買収することが難しくなります。

まとめ

今回は、シャーク・リペラントについて詳しく説明しました。

敵対的買収の阻止は企業の継続的な経営や文化を保つ上で重要な要素となる場合もありますが、その手段によって企業価値を自ら損なう行動は、長期的な視点での経営の健全性や株主の利益をどう捉えるかという観点からも慎重な判断が求められると考えられます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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