スケールメリットとは? ビジネスにおける考え方や効果・注意点をわかりやすく解説

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スケールメリットとは、事業や経済活動の規模(スケール)の拡大によって、優位性や有利性などのメリットを得ることです。買収・合併などによって企業規模や事業規模が拡大すれば、コスト削減や経営の効率化が図れ、知名度や市場におけるシェアの向上が期待できます。
この記事では、スケールメリットの概要や効果・メリットと共に、注意点や業界別の具体例を解説します。M&Aにおいてスケールメリットが持つ意味についても解説しているので、併せてご覧ください。

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1. スケールメリットとは

スケールメリット

スケールメリットとは、事業や経済活動の規模(スケール)が大きくなることで、単体で行うよりも大きな成果を生み出し、有利性や優位性、円滑性などのメリットを生じることを意味します。
そもそもスケールメリットは、英語では「Advantages of scale」のように表現される和製英語です(日本国内ではスケールメリットとの表現が浸透しているため、本記事でも同義で用います)。
スケールメリットの具体例としては、小さなロット数で商品を製造するよりも、大きなロット数で商品をまとめて製造するほうがコストを削減でき、利益率改善によるトータルの成果が大きくなる例が挙げられます。生産に限らず、経営や事業、販売といった部門規模が拡大する結果、経済効果を生み出し、生産性や効率、知名度、市場シェアの向上が期待できるようになります。

2. スケールメリットによる効果・メリット

スケールメリットによって生じる効果やメリットには以下の4点が挙げられます。それぞれについて具体的に解説します。

  • コストダウン
  • 経営の効率化
  • 競争優位性の獲得
  • 生産量の増加

2-1.  コストダウン

先述した例のように、同一製品を少量ではなく大量に製造・販売することで、コストダウンが期待できます。コストは変動費と固定費とに分けられ、特に固定費はスケールメリットの恩恵を比較的受けやすいといえるでしょう。
通常、商品や在庫が増加した分、これらを販売・管理するための人件費や事務所の家賃、倉庫の保管料等も増加すると考えられます。しかし、人員の再配置や部門・拠点の統廃合といった施策を推し進めることができれば、トータルの固定費カットにつながるのです。

2-2.  経営の効率化

同種の事業を行う複数のグループ会社がある場合には経営の効率化が図れる点もスケールメリットの効果です。経営統合によって同様の業務を一つの場所で行ったり、販路を拡大させたりすることで、より効率的な経営が実現できるからです。
同様に、フランチャイズでもスケールメリットは生じます。大手企業の事業をフランチャイズ化すれば、そのブランド力を引き継ぐことができ、知名度の向上や新規顧客の開拓が可能となるからです。
地域密着型の企業においても同業種の会社の関連事業を共同化させることで、経営の効率化が図れるでしょう。

2-3.  競争優位性の獲得

事業規模が拡大すると、商品・サービスや知名度、ブランド力が向上します。その結果、市場における競争優位性を生み出します。
コストダウンや経営効率化などその他のメリットが相互に作用するため、利益率を保ちながら価格を下げることも可能です。競合他社に対する価格上の優位性は市場シェアの拡大など、より大きなスケールメリットをもたらすでしょう。

2-4.  生産量の増加

生産量を増加できることもスケールメリットの利点です。たとえ効率的に製造できる環境を整えたとしても、販売数が限定されていれば生産量を制限する必要があります。スケールメリットによってグループ会社の販路を利用し、すべての商品を販売できる仕組みができれば大量生産が可能になります。
大量生産による製造工程を繰り返せば、作業の品質やスピードの向上が期待できるなど、副次的なメリットも生じるでしょう。

3. スケールメリットの注意点・デメリット

スケールメリットを正しく活用するためには、注意点やデメリットを把握しておくことが肝要です。ここでは、以下の4つの注意点・デメリットについて解説します。

  • 需要・供給のリスク
  • 販売の仕組み化
  • 事業特性に対する適正
  • コミュニケーションコスト

3-1.  需要・供給のリスク

スケールメリットによって大量生産が可能になる一方で、需要を見誤ってしまうと過剰在庫を抱えるリスクが生じます。その結果、製品の廃棄が必要となったり、変動費が高騰したりと思わぬコストが発生しかねません。
一方で、販路拡大に注力しすぎても供給が不足して需要を満たせなくなるため注意が必要です。需要と供給のバランスを意識して事業拡大を目指すのが肝要です。

3-2.  販売の仕組み化

販路の拡大は事業成長に欠かせませんが、やみくもに販路を拡大しても販売の仕組み化ができていなければ売上は伸び悩んでしまいます。スケールメリットを活用するには、どのように販売を仕組み化できれば売上を最大限伸ばせるのかを検討し、計画的に実施・改善していくことが大切です。

3-3.  事業特性に対する適正

スケールメリットは、あらゆるビジネスで活用できるわけではなく、業種によっては規模拡大によるスケールメリットが生じにくい場合もあることに注意が必要です。
例えば、医療や介護では事業が拡大すれば同様に人材コストも増加します。また、もともと固定費がかからないビジネスにおいては規模の拡大がコスト削減につながらず、十分なメリットを享受し得ない可能性が生じます。

3-4.  コミュニケーションコスト

事業拡大に伴って、関係者が増えるとコミュニケーションコストも増加します。会議や各種連絡で意思を疎通できないと、業務が停滞してしまうでしょう。
相手に対して情報を正しく伝え、また、正しく受け取れる仕組み作りが必要です。円滑に事業を拡大させるためにも効率的にコミュニケーションをとれる方法を構築していきましょう。

4. 【業界別】スケールメリットの具体例

ここからは、以下の業種におけるスケールメリットの具体例を解説します。

  • 飲食・小売業
  • 製造業
  • 運送業
  • 人材業
  • 教育業

4-1.  飲食・小売業

飲食業や小売業で多店舗を展開しているケースでは、知名度や認知度の向上の他、コスト削減などのスケールメリットが期待できます。
例えば、食材や材料を一括仕入することで好条件での仕入が可能となるでしょう。また、店舗間で共通のポイントカードやクーポンを利用できるようにしておけば、顧客の店舗活用頻度が上がり、売上向上に寄与するメリットが得られます。

4-2.  製造業

製造業はその他の業種に比べてスケールメリットの効果を得やすい業種です。多くの場合、設備が増強され生産能力が向上するため多くの製品を生産・販売できるようになります。
また、産業ロボットなどを用いて製造工程を自動化させて大量生産に移行すれば、変動的に生じる人件費を抑えられるだけでなく、大量仕入による好条件での仕入も可能となり、コスト削減が図れるでしょう。

4-3.  運送業

運送業においては、車両関係費の他、ドライバーなどの人件費やガソリン代などが生じます。この点、貨物輸送業であれば、営業基盤が強化されることで営業力が向上し、安定的に荷主を獲得できます。その結果、一度の輸送に対する荷量が増加し売上アップとコストダウンが図れるでしょう。
また、物流拠点が増えるため、最適な輸送ルートを再構築し拠点間輸送の効率化が図れるといったメリットが挙げられます。

4-4.  人材業

人材業は、企業規模がネームバリューやブランドのイメージに直結し営業収益にもつながる、特殊な業種です。
人件費や広告宣伝費など固定的なコストがかかるものの、これらを拡大すれば登録者数や報酬額が増加するスケールメリットが見込めます。人材業においては、両者のバランスを見極めながら規模拡大を進めることが、スケールメリットを享受するうえで重要です。

4-5.  教育業

塾や習い事など教育業において信頼性を高めるためには、その認知度や実績が肝要です。教室数を増やすと生徒数も増え、認知度や知名度、信頼度も向上します。
また、規模が大きくなるにつれ講師の経験が増えるため、実績が伸び、より良い学習プログラムを構築できるようになります。より一層、信頼度が向上して更なるスケールメリットを期待できるでしょう。

5. M&Aにおいてスケールメリットが持つ意味

M&Aによって事業拡大を実施できれば、さまざまなスケールメリットが生まれます。買い手企業がスケールメリットを享受するには、以下のような企業とのM&Aをおすすめします。

  • 生産力やリソースが強みの企業
  • 多くの販路を有する企業
  • 同業他社で補完関係を構築できる企業

M&Aの相手方の検討に際しては、スケールメリットを得られるかどうかも重要な要素の一つです。
ただし、M&Aを成功させるには専門知識や経験が求められます。M&Aの専門家へ相談するという選択肢も活用しましょう。
多数のM&A仲介実績を誇るM&Aキャピタルパートナーズでは、着手金無料でお客様のM&Aを支援いたします。スケールメリットを踏まえたM&Aをご検討中のオーナー様はぜひご相談ください。

6. まとめ

スケールメリットとは、事業や経済活動の規模(スケール)の拡大によって、優位性や有利性などのメリットを得ることです。具体的にはコストダウンや経営統合による経営の効率化、大量生産など事業成長につながるメリットが得られます。
ただし、やみくもに事業拡大を図っては需要と供給のリスクを生じる他、事業によってはスケールメリットを生み出しません。M&Aを成功させるためには、スケールメリットを見据えた企業選びが求められます。

7. よくあるご質問

ここからは、スケールメリットに関してお客様から多く寄せられる質問と回答を紹介します。
  • シナジー効果との違いは?
  • スケールメリットとシナジー効果との違いは、その対象や効果にあります。スケールメリットは、同一の事業や経済活動の規模を拡大して生まれる効果です。シナジー効果は異なる事業や活動を同時に行い得られる相乗効果を指します。

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  • 規模の経済との違いは?
  • スケールメリットと規模の経済とは同様の意味を持ち、規模のメリットと呼ばれることもあります。つまり、規模を大きくすることによって生じる効果やメリットを意味します。

  • スケールメリットを得られないのはどのようなケース?
  • スケールメリットを得られないケースは、固定費が発生しない、もしくは事業拡大に応じてコストが大きく変動するビジネスが該当します。例えば、インターネットサービスは開発規模を安易に拡大させるとエンジニア等の人件費が多くかかってしまいます。開発力だけでなく営業力をも高めるM&Aが実現できれば、受注・受託能力が向上し売上増につながるといったスケールメリットを享受できるでしょう。

  • スケールメリットが活かせる場面とは?
  • スケールメリットが活かせる場面で代表的なのが製造業です。大量仕入や大量生産によってコストを削減でき、産業ロボットなどの導入によって稼働時間を増やしながら人件費を抑えられます。ただし、需要と供給を見極めて事業拡大を進める必要があります。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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