三角合併とは? 活用される場面やメリット・デメリット、事例を解説

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三角合併について

三角合併とは、吸収合併の対価として、存続会社の株式ではなくその親会社の株式を消滅会社の株主に交付する組織再編手法です。消滅会社、存続会社、親会社の3者が関与する点に特徴があり、外国企業による日本企業の買収や、親会社による子会社支配を維持したまま行う再編などで活用されます。通常の合併や逆三角合併とは仕組みが異なるため、目的と制約を分けて理解することが重要です。

三角合併は、通常の吸収合併とは対価の設計や関係会社の位置づけが異なるため、活用場面や実務上の制約を整理して理解することが重要です。特に、親会社株式を対価に用いる点や、株主・債権者への対応、税務上の取扱いには注意が必要です。

本記事では、三角合併の仕組みや逆三角合併との違い、活用される場面、メリット・デメリット、注意点、税務上のポイント、事例について解説します。

また、M&Aの意味と基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


三角合併とは

三角合併とは

三角合併とは、合併に際して消滅する会社の株主に対して、合併の対価として存続会社の株式ではなく、存続会社の親会社の株式を交付する組織再編の手法のことです。消滅会社・存続会社・親会社の3者が関与するため、「三角合併」と呼ばれています

一般的な合併では、消滅会社の株主には存続会社の株式や現金などが交付されます。これに対し、三角合併では親会社株式を対価に用いる点が特徴です。国内企業同士のM&Aに加え、外国企業が日本企業を合併する場合や、逆に日本企業が外国企業を合併するクロスボーダーM&Aを中心に活用されています。

三角合併で用いられる手法

三角合併を行う際は、「吸収合併」というM&Aスキームが用いられます。

吸収合併とは、合併により吸収される消滅会社が持っていたすべての権利義務を、存続会社包括的に承継する合併手法です。吸収合併時には消滅会社が発行した株式も消滅するため、消滅会社の権利義務を引き継ぐ存続会社は、原則として消滅会社の株主に対して合併の対価を支払います。

このとき、吸収合併で存続会社が支払う対価の種類は、会社法上、特に制限がありません。そこで、存続会社が自社の株式や現金ではなく、親会社株式を対価として交付する点が、三角合併の特徴です。

三角合併を活用することにより、親会社は子会社を存続会社として、他の会社を吸収合併するM&Aが可能となります。

逆三角合併との違い

三角合併と逆三角合併では、どの会社が存続会社となるかが異なります

逆三角合併は、買い手企業が買収用の子会社(SPC)を設立し、その子会社と買収対象会社の吸収合併を行うことで合併させる手法です。実行後は、設立した合併用の子会社が消滅会社となり、対象会社が存続会社となります。対象会社のもともとの株主には親会社株式などが対価として支払われ、存続会社は親会社の完全子会社となる形式です。

三角合併 逆三角合併
存続会社になる側 (親会社が設立した)子会社 合併の対象会社
消滅会社になる側 合併の対象会社 親会社が設立した子会社

逆三角合併は、合併したい対象会社を残しつつ吸収合併を行えるため、対象会社が取得している許認可を失いたくないときや、対象会社に高いブランド力があるときに用いられます。

三角合併が解禁された背景

三角合併は、経済のグローバル化やクロスボーダーM&Aの拡大を背景として導入された手法です。

旧商法では、合併の対価として消滅会社の株主に交付できるのは存続会社の株式のみに限定されていました。しかし、この規制が外国企業による日本企業の買収を困難なものにしており、国際的なM&A市場における日本の競争力低下が懸念されていました。

こうした経済のグローバル化に対応していくため、2006年5月施行の会社法において合併等対価の柔軟化が図られています。その結果、対価として親会社株式や現金等を用いることが可能になりました。

一方、この柔軟化によって生じたのが、外国企業等による敵対的買収が容易になるという強い懸念です。そのため、日本企業側が買収防衛策を整備するための準備期間として1年間の猶予が設けられ、実際には会社法施行から1年遅れの2007年5月1日に三角合併が正式に解禁されました。

三角合併が行われる場面

三角合併が行われる場面は、主に下記の2パターンです。

以下ではそれぞれの場面について、どのような流れで三角合併が行われるかを解説します。

外国企業が日本国内の企業を完全子会社化しようとする場面

三角合併は、外国企業が日本国内の対象会社を完全子会社化する場面でよく用いられます

外国企業が日本企業を完全子会社化する場合、対象会社の株主から個別に株式を買い取ることで、株式保有比率を100%にする方法があります。しかし、対象会社に複数の株主がいる場合には、株式の個別買取によってすべての株式を取得することは容易ではありません。

また、株式交換によって完全子会社化する方法もありますが、会社法上では外国企業が株式交換の当事者となれるかが明確ではなく、外国企業が株式交換を行えない可能性もあります。そこで、外国企業は日本国内に設立した子会社を介して対象会社と吸収合併を行うことで、対象会社を完全子会社とすることができます。

上場企業と非上場企業が合併する場面

上場企業と非上場企業が合併し、非上場企業を存続会社としたい場合にも三角合併が行われます。

同様のケースを一般的な吸収合併で実施すると、消滅会社となる上場企業の株主は、存続会社となる非上場企業の株式を対価として受け取ることになります。ただし、非上場企業の株式は、上場企業の株式とは異なり市場が形成されておらず流動性が低いため現金化などが難しい側面があります。

そこで、存続会社としたい非上場企業に、上場企業の親会社が存在する場合であれば、下記の関係性で三角合併を利用することが可能です。

吸収合併の当事者である上場企業(A) 消滅会社となる
吸収合併の当事者である非上場企業(B) 存続会社となる
Bの親会社である上場企業(C) 対価の株式をAの株主に交付する

三角合併を行うことで、消滅会社となる上場企業の株主は、存続会社の親会社である、上場企業の株式を受け取ることができます。その結果、非上場企業の株式を対価として得る場合に比べて、流動性の高い株式を得ることができます。

非上場企業にとっても、会社の存続を図りながら事業拡大ができる点が魅力です。

三角合併のメリット

三角合併には、親会社・存続会社・消滅会社それぞれの立場にメリットがあります。ここでは、三角合併を活用することで得られる主な3つのメリットを解説します。

外国企業が国内企業を買収する場合に現金支出を抑えやすい

三角合併を利用すれば、外国企業が日本企業を買収する際に現金を用いず、自社グループの株式を対価としてM&Aを行うことができます

国内企業同士のM&Aであれば、通常の合併や株式交換を利用することで、現金を使用しない株式対価のM&Aを行うことが可能です。一方、外国企業の場合は会社法上、日本企業との直接合併が認められていないため、通常の手法では株式対価のM&Aを行うことが難しく、現金による買収が一般的となります。

そこで、外国企業が日本国内に設立した子会社を通じて合併を行い、その対価として親会社株式を交付する三角合併の手法を執れば、外国企業でも現金を用いずに日本企業を買収することが可能になります。

存続会社の支配権を維持しながら消滅会社を吸収できる

三角合併では、存続会社の親会社は、存続会社を完全子会社として維持しながら、消滅会社をグループに取り込むことが可能です。

通常の吸収合併では、消滅会社の株主への対価として存続会社の株式を交付します。この場合、存続会社の株式が新たに発行されることで株主が増え、親会社の持株比率が低下し、支配権を維持できなくなる可能性があります。

一方、三角合併では対価として親会社株式を交付するため、存続会社の株式構成には変化が生じません。そのため、親会社は存続会社への支配を維持したまま、消滅会社をグループに取り込むことができます。

消滅会社側の株主はキャピタルゲインを得られる可能性がある

吸収合併は存続会社を所有する側だけではなく、消滅会社側の株主にとってもメリットがあるM&Aスキームです。

三角合併を行うと、消滅会社の株主は吸収合併の対価として、存続会社の親会社株式を取得します。親会社の株価に左右されるものの、消滅会社の株主は譲渡された株式の売却によって大きな利益が得られる可能性があるでしょう。

通常の吸収合併のように対価が現金で支払われる場合、現金の額は基本的に消滅会社の企業価値で決まります。現金は支払われた後で増減しないため、安定した利益にはなるものの、大きな利益にはつながりません。

一方で、株式は売却するタイミングを自分で決められる点が特徴です。親会社の株価が大きく上昇したタイミングで株式を売却(イグジット)すれば、対価を現金で得た場合よりも大きな利益を見込めます。

三角合併のデメリット

三角合併はさまざまなメリットがあるものの、デメリットも存在します。三角合併でのM&Aを考えている方はデメリットも把握しましょう。三角合併のデメリットを3つ紹介します。

手続きが煩雑でコストがかかる

三角合併のデメリットの一つ目は、通常の合併に比べて手続きが煩雑で、コストがかかりやすい点です。

三角合併は通常の合併と異なり、親会社・子会社・対象会社の3社が当事者として関与することになります。子会社による親会社株式の取得が事前に必要であったり、合併契約の締結や株主総会の実施、親会社株式の交付等、実施までに時間とコストを要することとなります。また、それらをサポートする弁護士や公認会計士への報酬等も高額になりやすい点にも理解が必要です。

債権者や株主とのトラブルが起こるケースがある

経営者が三角合併を実行したいと考えていても、債権者や株主が反対するケースがあります。特に、債権者や株主に対して三角合併の内容を十分に説明できていない場合、三角合併の実行後に訴訟などのトラブルが起こることがあります。

三角合併を実行するには、通常の合併と同様に株主総会の特別決議によって株主の承認を得なければなりません。株主の理解が得られない場合は、三角合併そのものを実行できなくなります。

また、合併では債権者保護手続きが必要になるため、債権者から異議が申し立てられることもあります。このような理由から、三角合併を進める際には株主や債権者への十分な説明と合意形成が重要です。

子会社による親会社株式の取得には課題が伴う

会社法では原則として、子会社による親会社の株式取得は認められていません。しかし、三角合併では消滅会社の株主に対価として親会社株式を交付する関係により、子会社による親会社の株式取得が例外的に認められています。

◆会社法 第800条
(消滅会社等の株主等に対して交付する金銭等が存続株式会社等の親会社株式である場合の特則)
1 第百三十五条第一項の規定にかかわらず、吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社(以下この項において「消滅会社等の株主等」という。)に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の親会社株式(同条第一項に規定する親会社株式をいう。以下この条において同じ。)である場合には、当該存続株式会社等は、吸収合併等に際して消滅会社等の株主等に対して交付する当該親会社株式の総数を超えない範囲において当該親会社株式を取得することができる。
2 第百三十五条第三項の規定にかかわらず、前項の存続株式会社等は、効力発生日までの間は、存続株式会社等の親会社株式を保有することができる。ただし、吸収合併等を中止したときは、この限りでない。

※出典:e-Gov法令検索「会社法」

ただ、子会社が親会社の株式を取得する手続きについては現実的に困難な問題が少なくありません。

市場に大きな影響を与える可能性がある

三角合併では、消滅会社の株主に交付する親会社株式を確保するため、存続会社である子会社が親会社株式を取得しなくてはなりません。その際、株式の取得方法や取得量によっては、市場価格や投資家の評価に影響を与える可能性があります。

例えば、子会社が市場で大量に親会社株式を取得する場合、株価の変動を招くおそれがあります。株価が急激に変動すると株主に不利益が生じる可能性があり、企業の信頼性やブランドイメージに影響が及ぶ可能性もあるため、取得方法には注意が必要です。

「見せ金」や「有利発行」とみなされるリスクがある

子会社から親会社への増資によって親会社株式を取得する方法もあるものの、原資が親会社から貸付されたものである場合は「見せ金」とみなされる可能性もあります。

見せ金とは、会社の発起人が第三者から一時的にお金を借りて払込に充てることで、意図的に資本金額を実際より多く見せる行為です。見せ金と見なされると会社法違反のリスクがあり、三角合併のスムーズな実行が難しくなります。

他にも、子会社が親会社株式を安価に取得する場合は、新たな株主のために通常より有利な条件で株式を発行する「有利発行」と見なされる場合があります。有利発行は、既存の株主にとって保有する株式の価値が希薄化する行為であり、実行するには株主総会の特別決議が必要です。

三角合併の注意点

三角合併は、通常の合併や買収とは仕組みが異なり、同じようには使えない場面があります。三角合併を行う場合はいくつかの注意点を考慮しましょう。以下では、三角合併の主な注意点を2つ解説します。

基本的に敵対的買収には使えない

三角合併は友好的な提携のためのM&A手法であり、基本的に敵対的買収には使えません。対象会社の経営者が反対しているなど、対象会社の同意を得ていない状態では実行できない点に注意しましょう。

三角合併を進めるには、事前に経営者自らが合併契約を締結したうえで、合併契約について株主総会の特別決議による承認を得る必要があります。特別決議による承認は、議決権の過半数を有する株主が出席したうえで、出席した株主の議決権の2/3以上による賛成が要件です。

三角合併を行いたい経営者の方は、対象会社に合併を無理強いしようとはせず、話し合いを通じて合併への合意を図ることが大切です。

株式の端数処理が複雑になる

三角合併では、対価として支払う親会社株式の端数処理が複雑になります。

合併を行う場合、消滅会社の株主に支払う株式に端数が出ることがあります。通常の合併であれば、存続会社が買取をしたり競売をしたりすることによって端数を現金化し、株主へと交付することが可能です。

しかし、合併対価が親会社株式である三角合併では、通常の合併とは異なり、株式の端数処理手続きが取れません。三角合併の合併対価で株式の端数が出た場合は、親会社株式と端数部分相当の現金を組み合わせて支払います。

買取や競売を行わずに株式の端数部分相当の金額を算出する必要があるため、処理が複雑になって時間や労力がかかる点に注意しましょう。

三角合併の税務上のポイント

三角合併は、一定の要件を満たすことで「適格合併」として扱われ、税務上の優遇措置を受けられる可能性があります。

適格合併に該当する場合、合併により移転する資産は簿価で引き継がれ、含み益などに対する課税を将来に繰り延べることが可能です。これにより、合併の時点で多額の税負担が発生することを避けられる場合があります。

また、2019年(令和元年)の税制改正により、三角合併において交付される親会社株式についても、一定の要件を満たす場合に被合併法人の旧株主における譲渡損益の繰延べが認められるようになりました。

ただし、三角合併で適格合併の要件を充足することは実務上ハードルが高く、税務上のメリットを享受できる場面は限られます。以下に詳しく解説します。

適格合併の要件充足は実務上ハードルが高い

税務上の優遇措置(簿価引継ぎ・課税の繰延べ)を受けるためには、合併が「適格合併」として認定される必要があります。適格合併の要件は大きく「企業グループ内型」と「共同事業型」の2類型に分かれており、いずれも従業員引継ぎ要件(概ね80%以上)・事業継続要件・対価要件などを満たすことが必要です。

三角合併の場合、対価として交付されるのが合併法人の完全親法人の株式であるため、これらの要件に加えて、完全支配関係の継続見込みという条件も課されます。国内M&Aにおいて三角合併が選ばれる主な場面は、上場親会社の株式を対価に現金支出を避けたい場合や、クロスボーダーM&Aで外国親会社の株式を対価とする場合が中心であり、適格要件をすべて充足できる案件は実務上かなり限られます。

税務面のハードル・リスクを踏まえ、選択肢から除外されるケースも

三角合併で適格要件を満たせなかった場合は、三角合併は非適格合併として扱われます。非適格合併では、被合併法人の資産・負債が時価で譲渡されたものとして取り扱われ、含み益がすべて最終事業年度の益金に算入されるため、想定外の税負担が生じやすい点に注意が必要です。

また、実際の組織再編の検討では、繰越欠損金の引継ぎなども踏まえながら、どのスキームが使えるかという観点から比較されることが多いため、三角合併が選択肢として残る場面自体が限定的になる傾向があります。適格要件の充足が難しいと判断される場合には、株式譲渡や通常の合併など、他のスキームが選択されるケースも少なくありません。

三角合併の事例

三角合併が実際に活用された事例を2つ紹介します。解禁第一号となった事例を含め、それぞれの背景と目的を解説します。

株式会社日興コーディアルグループとシティグループ・ジャパン・ホールディングス合同会社の事例

アメリカの大手金融グループ「シティグループインク」(以下、シティグループ)が、シティグループ・ジャパン・ホールディングス合同会社を通じて、「株式会社日興コーディアルグループ」(以下、日興コーディアル)と三角合併した事例です。2007年10月に発表された2社の三角合併は、2007年5月1日に解禁された三角合併の事例第一号となりました。

本事例における3社の関係を表にすると、下記のとおりです。

消滅会社 株式会社日興コーディアルグループ
存続会社 シティグループ・ジャパン・ホールディングス合同会社
存続会社の親会社 シティグループインク

シティグループは日興コーディアルグループを取り込み、事業統合の推進・強化を図りました。一方の日興コーディアルグループは、不正会計問題を原因とする経営難への対策として、三角合併による提携強化を目指した形です。

ジェット証券株式会社とオリックス証券株式会社の事例

オリックス証券株式会社(以下、オリックス証券)が、ジェット証券株式会社(以下、ジェット証券)と三角合併を行った事例です。2009年1月に合併契約が締結され、同年3月29日にオリックス証券を存続会社とする合併が実施されました。

オリックス証券の事例における3社の関係を表にすると、下記のとおりです。

消滅会社 ジェット証券株式会社
存続会社 オリックス証券株式会社
存続会社の親会社 オリックス株式会社

この合併により、オリックス証券はジェット証券の事業や顧客基盤を取り込み、営業基盤の強化やサービス拡充を図りました

まとめ

三角合併は、吸収合併の対価として存続会社の親会社株式を消滅会社の株主に交付する組織再編手法です。消滅会社・存続会社・親会社の3者が関与する点に特徴があり、外国企業による日本企業の完全子会社化や、上場企業と非上場企業の合併で非上場企業を存続会社にしたい場合などに活用されます。

三角合併には、現金支出を抑えやすいことや、親会社が存続会社の支配を維持しながら対象会社を取り込めることなどのメリットがあります。一方で、手続きの煩雑さ、株主・債権者との調整、親会社株式の取得や端数処理、適格要件の充足、非適格時の課税リスクなど、実務上の注意点も多くあります。検討する際は、通常の合併や逆三角合併、株式譲渡など他の手法とも比較し、必要に応じて専門家に相談しながら進めることが重要です。



よくある質問

  • 三角合併とは何ですか?
  • 三角合併とは、合併により消滅する会社の株主に対し、存続会社の親会社にあたる会社の株式を対価として交付して行われる合併のことです。合併の当事者である存続会社・消滅会社に加え、存続会社の親会社も関与する三者の関係になっているため「三角」合併と呼ばれます。
  • 三角合併ではどのような手法が使われますか?
  • 三角合併では、M&Aの基本スキームである吸収合併が用いられます。吸収合併では、消滅会社の権利義務を存続会社が包括承継し、消滅会社の株主には合併の対価が支払われます。会社法上、合併対価の種類に制限はないため、存続会社は自社株式や現金ではなく、親会社の株式を対価として交付することができ、この構造を利用したものが三角合併です。
  • 三角合併と逆三角合併は何が違うのですか?
  • 三角合併と逆三角合併はいずれも親会社・子会社・対象会社の三者が関与するスキームですが、存続会社と消滅会社の位置づけが異なります。三角合併では、親会社が設立した子会社が存続会社となり、その子会社に対象会社を吸収する形をとります。一方、逆三角合併では、親会社が設立した子会社を対象会社に吸収させ、設立子会社が消滅し、対象会社が存続会社になります。対象会社の商号・許認可・ブランドなどを残したい場合には、逆三角合併が選択されることがあります。
  • 三角合併が日本で解禁された背景を教えてください。
  • 三角合併は、会社法施行(2006年)から1年後の2007年5月1日に解禁された、比較的新しいM&A手法です。背景には、経済のグローバル化やクロスボーダーM&Aの加速があり、従来の旧商法では合併対価を存続会社株式に限定していたため柔軟なスキーム構成が難しいという課題がありました。会社法では合併対価の柔軟化が図られ、現金なども認められるようになり、その流れのなかで親会社株式を用いる三角合併も導入されました。ただし、外国企業による敵対的買収への利用懸念があったため、防衛策整備の準備期間を経て段階的に解禁された経緯があります。
  • 三角合併はどのような場面で利用されますか?
  • 三角合併が使われる典型的な場面は主に2つあります。1つ目は、外国企業が日本企業を完全子会社化しようとする場面で、外国企業が設立子会社を存続会社とし、その子会社を通じて対象会社を吸収合併します。親会社株式を対価に用いることで、現金を用いずに完全子会社化を図ることができます。2つ目は、上場企業と非上場企業が合併し、非上場企業を存続会社にしたいケースです。この場合、存続する非上場企業の親会社が上場していれば、消滅会社となる上場企業の株主に対して親会社の上場株式を交付できるため、株主の株式流動性を確保しつつ、非上場企業側は存続会社として事業拡大を図ることができます。
  • 三角合併の主なメリットは何ですか?
  • 三角合併には、親会社・存続会社側のメリットがいくつかあります。第一に、合併対価として親会社株式を用いるため、存続会社の株主構成が変わらず、存続会社を100%子会社としてコントロールし続けられます。これにより、経営方針や事業戦略をグループ側で一元的に決めやすくなります。第二に、外国企業が日本企業を買収する場合でも、自社グループの株式を対価として用いることで、現金支出なしに買収を実行できる点がメリットです。
  • 三角合併は消滅会社側の株主にとってどのようなメリットがありますか?
  • 三角合併では、消滅会社の株主は存続会社の親会社株式を対価として受け取ります。親会社株式の価格動向次第にはなりますが、受け取った株式を売却するタイミングを選べるため、対価を現金で一括受け取る場合よりも大きなキャピタルゲインを得られる可能性があります。特に親会社が時価総額の大きい上場企業であれば、消滅会社の株主にとっても魅力的な投資対象となりうる点がメリットです。
  • 三角合併のデメリットは何ですか?
  • 三角合併の主なデメリットは、手続きが煩雑でコストがかかること、株主や債権者との調整が必要になることと、市場への影響が大きくなりやすいことです。特に外国企業が親会社となる場合は、外国株式の割当コストや株主側の運用上の問題が生じることもあります。
  • 三角合併の注意点にはどのようなものがありますか?
  • 三角合併の主な注意点は、敵対的買収に使えないこと、親会社株式の端数処理が複雑なこと、見せ金や有利発行のリスクがあること、適格要件の充足が難しいこと、非適格時に含み益課税のリスクがあることです。
  • 三角合併の税務上の取扱いはどうなりますか?
  • 一定の要件を満たす「適格合併」として認定された場合、被合併法人の資産を簿価で引継げるため、含み益への課税を将来に繰り延べることができます。ただし、適格要件の充足は実務上ハードルが高く、非適格となった場合は含み益がすべて課税対象となるリスクがあります。三角合併の税務処理は複雑なため、税理士などの専門家への確認が不可欠です。

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