更新日
株式譲渡にかかる税金について
株式譲渡にかかる税金とは、株式を譲渡して得た利益に対して課される税金のことです。個人が譲渡する場合は、譲渡益に対して所得税・住民税・復興特別所得税が分離課税され、法人が譲渡する場合は、他の所得と合算して法人税等が課されます。税額を把握するには、まず譲渡価額から取得費や手数料を差し引いた譲渡益を確認する必要があります。
本記事は「株式譲渡とは?」で紹介されている基本的な株式譲渡の仕組みを前提とし、譲渡時に発生する税金やその計算方法に特化して解説しています。
「株式譲渡にはどのような税金がかかるの?」「税金の計算方法は?」株式譲渡を行う際、税金に関して上記のような疑問を抱く方もいるでしょう。
本記事では、株式譲渡における税金の仕組みや、譲渡益にかかる税金の種類や計算方法、注意点などを紹介していきます。
株式譲渡にかかる税金の仕組み
株式譲渡によって利益を得た場合、各種税金が課せられます。この税金は譲渡価額ではなく、譲渡益にかかります。譲渡益とは、譲渡価額から取得費用や手数料などを差し引いた金額のことです。
相続によって得た株式を譲渡した際も同様で、被相続人が株式を取得した際の金額を譲渡価額から差し引いた譲渡益に対して、税金が課せられます。
株式譲渡益にかかる税金の種類と税率【個人・法人】
株式譲渡にかかる税金は、以下のとおりです。
所得税【個人】
所得税は、個人の所得に対して課せられる税金です。所得税の課税方法には、他の所得と合算して税額を計算する総合課税と、他の所得と区分して計算する分離課税があります。株式等の譲渡による譲渡所得等は、原則として申告分離課税の対象です。
株式等の譲渡所得等に適用される所得税率は15%です。復興特別所得税を含めた所得税等の税率は15.315%となります。非上場株式の譲渡によって利益を得た場合は、原則として所得税および復興特別所得税の確定申告が必要です。
住民税【個人】
株式譲渡で発生した譲渡益に対しては、住民税も課されます。所得税と同じく分離課税の対象となり、税率は一律で5%です。所得税・復興特別所得税とは別途の納税が必要です。
復興特別所得税【個人】
復興特別所得税は2013年に導入されました。2026年分までは基準所得税額の2.1%ですが、2027年分以後は1.1%となり、課税期間は2047年まで延長されます。また、2027年分以後は防衛特別所得税1%が課されます。
法人税等【法人】
法人が株式譲渡によって利益を得た場合、譲渡益を株式譲渡以外の利益と合算したうえで、法人税等(法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税など)が課されます。個人で株式譲渡をする場合とは異なり、分離課税にはなりません。実効税率は法人の規模や所得額、所在地などによって異なります。標準税率を前提とした実効税率はおおむね30%前後ですが、実際の税負担は個別に確認する必要があります。
相続税・贈与税【該当者のみ】
個人間で株式を時価より著しく低い価額で譲渡した場合(低廉譲渡)や、無償で譲渡した場合は、時価と譲渡価額との差額などについて、譲り受けた側に贈与税が課されることがあります。また、株式を相続した場合は、株式を含む正味の遺産額が基礎控除額を超えると、相続税が課されます。課税の有無や税額は、株式の評価額だけでなく、ほかの贈与財産・相続財産や控除額などによって異なります。
株式譲渡にかかる税金の計算方法
株式譲渡における税金を計算する際には、まず譲渡価額から取得費や手数料などを差し引いて譲渡益を導き出します。次に、譲渡益に各種税金の税率をかけていきます。個人の場合、所得税と復興特別所得税を合わせた15.315%に、住民税の5%を足した、20.315%が、株式譲渡にかかる税金の合計額になります。計算の手順は、以下のとおりです。
- 譲渡益を計算する譲渡価額-(取得価格+手数料など)=譲渡益
- 譲渡益に税率をかけて税額を計算する譲渡益×20.315%=合計の税額
株式譲渡の税金に関する特例制度
株式譲渡の税金には、以下のような特例制度があります。
- 事業承継税制
- 取得費加算の特例
事業承継税制とは、一定の要件を満たす後継者が非上場株式等を贈与または相続等により取得した場合に、その株式等にかかる贈与税・相続税の納税を猶予する制度です。一定の事由に該当した場合には、猶予されていた税額が免除されることもあります。
取得費加算の特例とは、相続または遺贈により取得した株式などを一定期間内に譲渡した場合に、納付した相続税額のうち一定額を譲渡資産の取得費に加算できる制度です。一般には相続開始から3年10か月以内が目安となりますが、適用を受けるには、相続税が課されていることなどの要件を満たす必要があります。生前贈与によって取得した株式は、原則として対象になりません。
株式譲渡の税金に関する注意点
株式譲渡の税金に関する注意点として、次の2点を確認していきましょう。
非上場株式の譲渡損失は原則として繰り越せない
個人が非上場株式を譲渡して損失が生じた場合、その損失は、同じ年に生じたほかの一般株式等の譲渡益から控除できます。ただし、控除しきれなかった損失は、原則として翌年以後に繰り越すことができません。
上場株式等の一定の譲渡損失については、確定申告により翌年以後3年間の繰越控除を受けられる場合がありますが、M&Aで行われる一般的な非上場株式の譲渡とは取り扱いが異なります。
海外株主の課税関係は居住地や租税条約などによって異なる
海外に居住する株主が株式を譲渡した場合の課税関係は、国籍ではなく、所得税法上の居住者・非居住者の区分などによって異なります。非居住者は、原則として日本の国内源泉所得のみが日本での課税対象となりますが、日本法人の株式を譲渡した場合でも、一定の要件を満たすと日本で課税されることがあります。
また、租税条約によって課税関係が調整される場合もありますが、適用の有無や内容は、居住地国や株式の保有状況、取引条件などによって異なります。
まとめ
株式譲渡にかかる税金は、譲渡価額そのものではなく、取得費や手数料などを差し引いた譲渡益を基準に計算されます。個人では所得税・住民税等、法人では法人税等が課されます。
また、相続・贈与によって取得した株式や、譲渡損失が生じた場合、海外に居住する株主が譲渡する場合などは、株式の取得経緯や当事者の状況、取引条件によって課税関係が異なります。事業承継税制や取得費加算の特例が関係する場合もあるため、株式譲渡をM&Aや事業承継の一環として進める際は、税務の専門家に確認することが大切です。
基本合意まで無料
事業承継・譲渡売却はお気軽にご相談ください。
よくある質問
- 株式譲渡の税金は何に対してかかりますか?
- 株式譲渡の税金は、譲渡価額そのものではなく、譲渡価額から取得費や手数料などを差し引いた譲渡益に対してかかります。
- 個人が株式譲渡をした場合の税率は何%ですか?
- 個人が株式譲渡によって譲渡益を得た場合、原則として合計20.315%が課税されます。2026年分までは、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%で構成されます。2027年分以後は税目の内訳が変わりますが、合計税率は20.315%です。
- 法人が株式譲渡をした場合の税金はどのように扱われますか?
- 法人が株式譲渡によって利益を得た場合は、譲渡益をほかの利益や損失と合算したうえで、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税などが課されます。実際の税負担は、法人の規模や所得額、所在地などによって異なります。
- 株式譲渡の税額はどのように計算しますか?
- まず、譲渡価額から取得費や手数料などを差し引いて譲渡益を計算し、その譲渡益に税率を掛けて税額を算出します。個人の場合は、原則として譲渡益に20.315%を掛けて合計税額を求めます。
- 安い価額や無償で株式を譲渡すると税金はどうなりますか?
- 個人間で、株式を時価より著しく低い価額で譲渡した場合や無償で譲渡した場合は、時価と譲渡価額との差額などについて、譲り受けた側に贈与税が課されることがあります。当事者に法人が含まれる場合などは、課税関係が異なります。
- 株式譲渡で損失が出た場合はどう扱われますか?
- 個人が非上場株式を譲渡して損失が生じた場合、その損失は、同じ年に生じたほかの一般株式等の譲渡益から控除できます。ただし、控除しきれなかった損失は、原則として翌年以後に繰り越すことができません。一方、上場株式等の一定の譲渡損失については、確定申告により翌年以後3年間の繰越控除を受けられる場合があります。
- 海外に住む株主が株式を売却した場合はどこで課税されますか?
- 海外に住む株主の課税関係は、国籍ではなく、所得税法上の居住者・非居住者の区分や、株式を発行した法人、保有割合、租税条約などによって異なります。非居住者は、原則として日本の国内源泉所得のみが日本での課税対象となりますが、日本法人の株式を譲渡した場合でも、一定の要件を満たすと日本で課税されることがあります。
M&Aを流れから学ぶ
(解説記事&用語集)
M&A関連記事
M&A基礎
目的別M&A
- 事業承継とは
- 事業承継とM&Aの違い
- 事業承継M&A
- 「事業承継」と「事業継承」の違い
- 事業承継問題
- 後継者不足の実態
- 事業承継における課題
- 事業承継対策の必要性
- 事業承継を実施するタイミング
- 事業承継の流れ
- 事業承継計画
- 事業承継計画書の記載項目
- 事業承継のチェックリスト
- 事業承継における後継者選定
- 事業承継における後継者育成
- 親族内承継
- 親族外承継
- 従業員への事業承継
- 第三者承継
- 親族内承継と第三者承継の比較
- 後継者のいない会社を買う
- 事業承継の主要スキーム比較
- 持株会社を活用した事業承継
- 事業承継信託
- 事業承継ファンド
- 医療法人の事業承継
- 事業承継に向けた資金調達方法
- 事業承継補助金
- 事業承継で活用できる融資
- 事業承継における生命保険
- 事業承継税制
- 事業承継の税務対策
- 事業承継と資産移転
- 事業承継時の消費税の取扱い
- 承継時の債権・債務の取扱い
- 地位承継
- 包括承継
- 許認可の承継
- 株式相続
- 株式の贈与
- 自社株贈与
- 事業承継士
- 事業承継の専門家
- 事業承継コンサルティング
- 事業承継特別保証制度
- 事業承継に潜むリスクと対策
- 事業承継に伴う労務管理リスク
- 会社売却と事業承継の違い
M&Aスキーム
M&Aプロセス
企業価値評価
M&Aリスク
デューデリジェンス
M&Aファイナンス
M&A税務
M&A法務
用語・その他
- バスケット条項
- 当期純利益
- 資産除去債務
- XBRL
- 特別決議
- 譲渡承認取締役会
- 大量保有報告
- 適時開示
- 法務のポイント
- インサイダー取引
- チャイニーズ・ウォール
- 匿名組合
- キラー・ビー
- クラウン・ジュエル
- グリーン・メール
- ゴールデンパラシュート
- ジューイッシュ・デンティスト
- スタッガード・ボード
- スケールメリット
- ストラクチャー
- 利益相反
- 源泉徴収
- プロキシー・ファイト
- パールハーバー・ファイル
- Qレシオ
- MSCB
- IFRS
- 現物出資
- コントロールプレミアム
- ゴーイング・プライベート(Going Private)
- バックエンド・ピル
- パックマン・ディフェンス
- EV(事業価値)
- 売渡請求
- 株主価値
- レバレッジ効果
- 減損価格
- アーンアウト
- シャーク・リペラント
- スーイサイド・ピル
- ティン・パラシュート
- 低廉譲渡
- 監査法人
- 相対取引
- 範囲の経済
- アナジー効果
- 債券
- 純有利子負債(ネット デット)
- ホールディングス
- COC条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)
- ディスクロージャー
- 会社法
- ROA(総資産利益率)
- 国際租税条約
- 役員報酬
- SWOT分析
- アンゾフの成長マトリクス
- サクセッションプラン
- ドラッグアロング
- 累進課税
- 総合課税と分離課税の違い
- キャピタルゲイン
- インカムゲイン
- 資本と負債の区分
- 益金不算入
- タックスシールド
- 繰越欠損金
- スタンドアローン・イシュー
- ロックド・ボックス方式
- 特定承継
- プットオプション
- 埋没費用(サンクコスト)
- マイノリティ出資
- 株式等保有特定会社
M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由
創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。
-
明瞭かつ納得の手数料体系
創業以来変わらない着手金無料などの報酬体系で、お相手企業と基本合意に至るまで無料で支援致します。
- 関連ページ -
-
豊富なM&A成約実績
創業以来、国内No.1の調剤薬局業界のM&A成約実績の他、多種多様な業界・業種において多くの実績がございます。
- 関連ページ -
基本合意まで無料
事業承継・譲渡売却はお気軽にご相談ください。

