株式譲渡にかかる税金とは? 株式譲渡益の税率や計算方法について解説

株式譲渡にかかる税金とは?株式譲渡益の税率や計算方法について解説のメインビジュアルイメージ

更新日


株式譲渡にかかる税金について

株式譲渡にかかる税金とは、株式を譲渡して得た利益に対して課される税金のことです。個人が譲渡する場合は、譲渡益に対して所得税・住民税・復興特別所得税が分離課税され、法人が譲渡する場合は、他の所得と合算して法人税等が課されます。税額を把握するには、まず譲渡価額から取得費や手数料を差し引いた譲渡益を確認する必要があります。

株式譲渡を行う際は、譲渡益に対してどの税金がかかるのか、個人と法人でどのように扱いが変わるのかを整理しておく必要があります。譲渡価額だけでなく、取得費や手数料、特例制度、損失が出た場合の扱いを確認することで、税額の見通しを立てやすくなります。

本記事では、株式譲渡にかかる税金の種類、税率、計算方法、注意点について解説します。
なお、株式譲渡の基本概要について詳しく知りたい方は、「株式譲渡とは?」の記事もあわせてご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


株式譲渡にかかる税金の仕組み

株式譲渡によって利益を得た場合、各種税金が課せられます。この税金は譲渡価額ではなく、譲渡益にかかります。譲渡益とは、譲渡価額から取得費用や手数料などを差し引いた金額のことです。

相続によって得た株式を譲渡した際も同様で、被相続人が株式を取得した際の金額を譲渡価額から差し引いた譲渡益に対して、税金が課せられます。

株式譲渡益にかかる税金の種類と税率【個人・法人】

株式譲渡にかかる税金は、以下のとおりです。

所得税【個人】

所得税は、個人の所得に対して課せられる税金です。納税方法には、対象となる所得を合算して計算する総合所得と、総合所得の対象とならない所得を分離して計算する分離所得の2種類があります。

所得には10種類あり、株式譲渡によって得た所得は譲渡所得に分類されます。分離所得は総合所得の対象ではないため、分離所得として計算しなければなりません。
株式譲渡によって得た所得を分離課税する際、その税率は15%です。後述する復興特別所得税と合わせると15.315%になります。いずれも、確定申告によって納税します。

住民税【個人】

株式譲渡で発生した譲渡益に対しては、住民税も課されます。所得税と同じく分離課税の対象となり、税率は一律で5%です。所得税・復興特別所得税とは別途の納税が必要です。

復興特別所得税【個人】

復興特別所得税は、2011年に発生した東日本大震災の復興財源に充てるために創設された税金です。2013年から2037年まで課税されます。課税額は、所得税の2.1%です。株式譲渡の場合、所得税率は一律15%になるため、そこに2.1%を上乗せし、合計で15.315%を納税することになります。

法人税等【法人】

法人が株式譲渡によって利益を得た場合、譲渡益を株式譲渡以外の利益と合算したうえで、法人税等(法人税・法人事業税・法人地方税)が課されます。個人で株式譲渡をする場合とは異なり、分離課税にはなりません。税率は30~35%程度で、個人よりも高めに設定されています。

相続税・贈与税【該当者のみ】

株式譲渡を、本来の株価よりも低い価格で行った場合や、無償で行った場合は、贈与された側に贈与税が課せられることがあります。また、株式を相続した場合には、同様に相続税が課せられます。なお、相続税や贈与税は、高額な株式ほど税率が大きくなる点には留意しておきましょう。(著しく高額で株式を譲渡した場合は、贈与した側に贈与税がかかることがあります)

株式譲渡にかかる税金の計算方法

株式譲渡における税金を計算する際には、まず譲渡価額から取得費や手数料などを差し引いて譲渡益を導き出します。次に、譲渡益に各種税金の税率をかけていきます。個人の場合、所得税と復興特別所得税を合わせた15.315%に、住民税の5%を足した、20.315%が、株式譲渡にかかる税金の合計額になります。計算の手順は、以下のとおりです。

  1. 譲渡益を計算する譲渡価額-(取得価格+手数料など)=譲渡益
  2. 譲渡益に税率をかけて税額を計算する譲渡益×20.315%=合計の税額

株式譲渡の税金に関する特例制度

株式譲渡の税金には、以下のような特例制度があります。

  • 事業承継税制
  • 取得費加算の特例

事業承継税制とは、事業承継にあたって自社の株式を後継者に譲渡した場合、贈与税や相続税の納税に猶予が与えられる制度です。贈与税・相続税を理由に、事業承継が難しくなる事態を避けるために制定されました。

取得費加算の特例とは、相続した財産を3年10ヶ月以内に売却して譲渡所得を得た場合、納税した相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算できる制度です。あくまで相続した財産が対象の制度なので、生前贈与された株式などを売却した際には適用されません

株式譲渡の税金に関する注意点

株式譲渡の税金に関する注意点として、次の2点を確認していきましょう。

譲渡損失の繰越控除

譲渡損失があった場合、つまり株式の譲渡価格が取得価格を下回って損失が出た場合があります。
上場株式等に係る譲渡損失については、一定の要件を満たす場合、翌年以後3年間にわたり繰越控除できることがあります。一方、非上場株式など一般株式等の譲渡損失については、上場株式等と同じように繰越控除できるわけではないため、対象となる株式の区分を確認する必要があります。
例えば、上場株式等で1年目の譲渡損失が300万円あり、2年目から4年目までは毎年100万円ずつ譲渡益を出した場合、2年目から4年目までの譲渡益は初年度の譲渡損失と相殺されて0円になるため、税金がかからなくなります。
ただし、繰越控除を受けるためには、毎年確定申告を行う必要があります。

海外株主(海外定住者など)

海外に定住している株主が株式を売却した場合は、居住地国の税制に加え、日本で課税対象となる国内源泉所得に該当するかを確認する必要があります。株式の種類や保有割合、取引内容によっては日本で申告・課税の対象となる場合があります。また、租税条約によって課税関係が調整されることもあるため、居住地国・株式の発行会社・保有状況に応じて確認することが重要です。

まとめ

株式譲渡にかかる税金は、譲渡価額ではなく譲渡益を基準に計算します。個人の場合は分離課税として所得税・住民税・復興特別所得税が課され、法人の場合は他の所得と合算して法人税等が課されます。取得費や手数料、特例制度、譲渡損失の扱い、海外株主の課税関係によって税額や手続きが変わるため、株式譲渡をM&Aや事業承継で行う際は、事前に税務上の影響を整理し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。



よくある質問

  • 株式譲渡の税金は何に対してかかりますか?
  • 株式譲渡の税金は、譲渡価額そのものではなく、譲渡価額から取得費や手数料などを差し引いた譲渡益に対してかかります。
  • 個人が株式譲渡をした場合の税率は何%ですか?
  • 個人が株式譲渡をして譲渡益を得た場合は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を合わせて、合計20.315%が課税されます。
  • 法人が株式譲渡をした場合の税金はどのように扱われますか?
  • 法人が株式譲渡によって利益を得た場合は、譲渡益を他の所得と合算したうえで、法人税・法人事業税・法人地方税などの法人税等が課されます。
  • 株式譲渡の税額はどのように計算しますか?
  • まず譲渡価額から取得費と手数料などを差し引いて譲渡益を計算し、その譲渡益に税率を掛けて税額を算出します。個人の場合は、譲渡益に20.315%を掛けて合計税額を求めます。
  • 安い価額や無償で株式を譲渡すると税金はどうなりますか?
  • 本来の株価よりも低い価額で譲渡した場合や無償で譲渡した場合は、譲り受けた側に贈与税が課されることがあります。また、著しく高額で譲渡した場合には、譲渡した側に贈与税がかかることがあります。
  • 株式譲渡で損失が出た場合はどう扱われますか?
  • 上場株式等に係る譲渡損失は、一定の要件を満たす場合、翌年以後3年間にわたり繰越控除できることがあります。一方、非上場株式など一般株式等の譲渡損失は同じ扱いにならない場合があるため、株式の区分を確認する必要があります。
  • 海外に住む株主が株式を売却した場合はどこで課税されますか?
  • 海外に定住している株主が株式を売却した場合は、居住地国の税制に加え、日本で課税対象となる国内源泉所得に該当するか、租税条約で課税関係が調整されるかを確認する必要があります。

ご納得いただくまで費用はいただきません。
まずはお気軽にご相談ください。


M&Aを流れから学ぶ
(解説記事&用語集)

M&A関連記事

M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。