更新日
資本参加について
資本参加とは、友好関係にある企業に対して、株式の引受などを通じて資本を拠出し、関係を強化する手法です。一般的な買収のように経営権の取得を主目的とするのではなく、出資を受ける企業の独立性を一定程度保ちながら資本面で関与する点に特徴があります。
企業同士の連携を強める方法にはさまざまありますが、その中でも資本のやり取りを伴いながら、相手企業の独立性を一定程度保ちやすい手法が資本参加です。資本提携や業務提携、事業譲渡などと近い場面で検討されやすい一方で、目的や資本移動のあり方、関係の深まり方は同じではありません。また、資金調達や協力関係の強化といった利点がある反面、経営への発言権や株式の取扱いといった論点も生じます。
本記事では、資本参加の基本的な意味から、他の出資・提携方法との違い、メリット・注意点までをわかりやすく解説していきます。
また、M&Aの意味や基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
資本参加とは?
資本参加とは、友好な関係にある企業に対して、株式を引受するなどの方法で資本の拠出を行い、関係を強めることを指します。出資を受ける企業よりも、出資する企業のほうが規模が大きいことがほとんどです。
資本参加は、広義のM&Aのひとつではありますが、通常のM&Aとの違いとして、経営権の獲得を目的にしない点が挙げられます。そのため、取得する株式の比率は3分の1未満、つまり拒否権を行使できない範囲内に抑えられることが一般的です。
ただし、当初は経営権の獲得を目指していなかった場合でも、出資によって両社の関係が変化することで、将来的には経営統合に発展していくケースもあります。
資本参加とその他の出資・提携手法との違い
資本参加と混同しやすいM&A手法や提携手法として、下表に挙げる5つを紹介します。
| 出資・提携手法 | 資本参加との違い |
|---|---|
| 資本提携 | 資本提携は、2つの企業がお互いの株式を取得し合うことで、関係を強める提携の手法です。資本参加は、一方の企業がもう一方の企業に対して、株式の引受などを通して資金の援助をします。 |
| 業務提携 | 業務提携では、技術、販売、生産など、業務におけるリソースのみを、お互いに提供し合う提携手法です。株式をはじめとした資本の移動が行われない点で、資本参加とは大きく異なります。 |
| 事業譲渡(買収) | 事業譲渡とは、会社の事業を、株式の取得などによる資金提供と引き換えに、他社に譲渡することです。資本参加では、事業の権利についてやり取りすることはありません。 |
| 株式取得(買収) | 株式取得とは、企業が発行する株式を購入することです。資本参加をはじめとする資金提供の手段や支配権の獲得手段としても用いられます。 |
| 合併 | 合併とは、複数の会社を1つに統合することです。経営権に影響しない範囲での資金援助のみを行う資本参加とは大きく異なります。 |
各手法に関する詳細は、以下のページでそれぞれご確認ください。
資本参加のメリット
続いて、資本参加のメリットについて、出資を受ける会社と、出資する会社、それぞれの立場から見ていきましょう。
出資を受ける企業のメリット
資本参加で出資を受ける側のメリットは、比較的低いリスクで出資を受けられる点にあります。株式の比率を3分の1未満に抑えるため、出資する側に拒否権のような強い権限を与えず、独立性を維持したうえで事業の拡大のための資金を獲得することが可能です。
また、資本参加によって関係性が深まり、両社の持つノウハウや技術が掛け合わされ、さらなるビジネスチャンスを生むシナジー効果も期待できるでしょう。
出資をする企業のメリット
資本参加で出資する側のメリットとしては、出資を受ける側との協力関係をより強いものにできることが挙げられます。また、資本参加は前述のとおり経営権の獲得を目的とするものではありませんが、それでもまとまった株式を保有することになれば、出資を受けた側の経営に対して一定程度の発言権を持つことになるでしょう。
さらに、出資を受ける側と同様、両社の持つノウハウや技術が掛け合わされることによるシナジー効果にも期待できます。
資本参加の注意点
出資を受ける企業に独立性を残しつつ、関係を強められる資本参加ですが、実施にあたっては注意したい点もあります。
自社の裁量のみで経営がしにくくなる可能性がある
持ち株比率を抑えることで、出資する側の企業に拒否権のような強い権限を与えないことが資本参加の特徴のひとつです。しかし、それでも一方的に出資するという形になる以上、両社の間に力関係が生まれることは否定できません。出資される企業は、出資する企業に、経営についてのある程度の発言権を与えることを理解しておく必要があります。
株式の買戻しリスクがある
資本参加を受ける際は、それが必ずしも永続的な関係ではないことを理解しておきましょう。
契約による取り決めが無いまま資本参加を実施した場合、出資する企業は、いつでも株式の買い戻しや売却などにより出資を取りやめることができます。また、契約を結んで資本参加をしたとしても、契約満了時に更新しなければ、株式の買い戻しや売却などによって出資が打ち切られることとなります。
また、出資が打ち切られた際のルールも明確にしておいたほうが良いでしょう。特に取り決めが無いまま打ち切られた場合、資本参加を受けていた企業は、その分の株式を買い戻さなければなりません。買い戻しが難しい場合、その分の株式は第三者への転売となる可能性もあります。
想定していたシナジー効果を得られない可能性がある
資本参加を実施しても、期待どおりのシナジー効果を得られるとは限りません。資金提供をする側も、受ける側も、相手企業の強みや弱み、自社が貢献できるポイントなどを、事前にしっかりと把握しておかなければ、期待どおりの結果を得ることは難しいでしょう。
資本参加をより効果的なものにするためには、相手企業を選ぶ際に専門家のサポートを受けるという手段もあります。資本参加を検討している方は、ぜひM&Aキャピタルパートナーズにご相談ください。
まとめ
資本参加は、経営権の取得を主目的とせず、相手企業の独立性を一定程度維持しながら資本を拠出して関係を強める手法です。資本提携や業務提携、事業譲渡、株式取得、合併とは目的や資本移動の形が異なるため、それぞれの違いを整理したうえで活用する必要があります。
また、資本参加には資金調達や協力関係の強化といったメリットがある一方で、経営への発言権、買戻しリスク、期待したシナジーが得られない可能性にも注意が必要です。実行にあたっては、相手企業の選定や契約内容を含めて慎重に検討することが重要です。
基本合意まで無料
事業承継・譲渡売却はお気軽にご相談ください。
よくある質問
- 資本参加とは何ですか?
- 資本参加とは、友好関係にある企業に対して、株式の引受などを通じて資本を拠出し、関係を強める手法です。経営権の取得を主目的とせず、出資を受ける企業の独立性を一定程度保ちながら行われる点に特徴があります。
- 資本参加と資本提携の違いは何ですか?
- 資本提携は、2つの企業がお互いの株式を取得し合うことで関係を強化する手法です。一方、資本参加は、一方の企業がもう一方の企業に対して株式の引受などを通じて資金を拠出する点が異なります。
- 資本参加と業務提携の違いは何ですか?
- 業務提携は、技術、販売、生産などの業務上のリソースを相互に提供し合う提携手法であり、資本の移動を伴いません。これに対して資本参加は、株式を通じて資本が移動する点が異なります。
- 資本参加と事業譲渡の違いは何ですか?
- 事業譲渡は、会社の事業を他社に譲渡する手法であり、事業そのものの権利をやり取りします。これに対して資本参加は、株式の引受などを通じて資本を拠出するものであり、事業の権利を移転するものではありません。
- 資本参加を受ける企業のメリットは何ですか?
- 比較的低いリスクで出資を受けられることが主なメリットです。株式比率を3分の1未満に抑えることで、独立性を維持しながら事業拡大のための資金を確保しやすくなります。
- 資本参加をする企業のメリットは何ですか?
- 出資先との協力関係をより強固にできることが主なメリットです。また、一定程度の株式を保有することで、出資先の経営に対して一定の発言権を持つことにもつながります。
- 資本参加の注意点は何ですか?
- 注意点としては、出資を受ける企業が自社だけの裁量で経営しにくくなる可能性があること、株式の買戻しや売却によって関係が変化する可能性があること、想定したシナジー効果が得られない可能性があることが挙げられます。
M&Aを流れから学ぶ
(解説記事&用語集)
M&A関連記事
M&A基礎
目的別M&A
- 事業承継とは
- 事業承継とM&Aの違い
- 事業承継M&A
- 「事業承継」と「事業継承」の違い
- 事業承継問題
- 後継者不足の実態
- 事業承継における課題
- 事業承継対策の必要性
- 事業承継を実施するタイミング
- 事業承継の流れ
- 事業承継計画
- 事業承継計画書の記載項目
- 事業承継のチェックリスト
- 事業承継における後継者選定
- 事業承継における後継者育成
- 親族内承継
- 親族外承継
- 従業員への事業承継
- 第三者承継
- 親族内承継と第三者承継の比較
- 後継者のいない会社を買う
- 事業承継の主要スキーム比較
- 持株会社を活用した事業承継
- 事業承継信託
- 事業承継ファンド
- 医療法人の事業承継
- 事業承継に向けた資金調達方法
- 事業承継補助金
- 事業承継で活用できる融資
- 事業承継における生命保険
- 事業承継税制
- 事業承継の税務対策
- 事業承継と資産移転
- 事業承継時の消費税の取扱い
- 承継時の債権・債務の取扱い
- 地位承継
- 包括承継
- 許認可の承継
- 株式相続
- 株式の贈与
- 自社株贈与
- 事業承継士
- 事業承継の専門家
- 事業承継コンサルティング
- 事業承継特別保証制度
- 事業承継に潜むリスクと対策
- 事業承継に伴う労務管理リスク
- 会社売却と事業承継の違い
M&Aスキーム
M&Aプロセス
企業価値評価
M&Aリスク
デューデリジェンス
M&Aファイナンス
M&A税務
M&A法務
用語・その他
- バスケット条項
- 当期純利益
- 資産除去債務
- XBRL
- 特別決議
- 譲渡承認取締役会
- 大量保有報告
- 適時開示
- 法務のポイント
- インサイダー取引
- チャイニーズ・ウォール
- 匿名組合
- キラー・ビー
- クラウン・ジュエル
- グリーン・メール
- ゴールデンパラシュート
- ジューイッシュ・デンティスト
- スタッガード・ボード
- スケールメリット
- ストラクチャー
- 利益相反
- 源泉徴収
- プロキシー・ファイト
- パールハーバー・ファイル
- Qレシオ
- MSCB
- IFRS
- 現物出資
- コントロールプレミアム
- ゴーイング・プライベート(Going Private)
- バックエンド・ピル
- パックマン・ディフェンス
- EV(事業価値)
- 売渡請求
- 株主価値
- レバレッジ効果
- 減損価格
- アーンアウト
- シャーク・リペラント
- スーイサイド・ピル
- ティン・パラシュート
- 低廉譲渡
- 監査法人
- 相対取引
- 範囲の経済
- アナジー効果
- 債券
- 純有利子負債(ネット デット)
- ホールディングス
- COC条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)
- ディスクロージャー
- 会社法
- ROA(総資産利益率)
- 国際租税条約
- 役員報酬
- SWOT分析
- アンゾフの成長マトリクス
- サクセッションプラン
- ドラッグアロング
- 累進課税
- 総合課税と分離課税の違い
- キャピタルゲイン
- インカムゲイン
- 資本と負債の区分
- 益金不算入
- タックスシールド
- 繰越欠損金
- スタンドアローン・イシュー
- ロックド・ボックス方式
- 特定承継
- プットオプション
- 埋没費用(サンクコスト)
M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由
創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。
-
明瞭かつ納得の手数料体系
創業以来変わらない着手金無料などの報酬体系で、お相手企業と基本合意に至るまで無料で支援致します。
- 関連ページ -
-
豊富なM&A成約実績
創業以来、国内No.1の調剤薬局業界のM&A成約実績の他、多種多様な業界・業種において多くの実績がございます。
- 関連ページ -
基本合意まで無料
事業承継・譲渡売却はお気軽にご相談ください。
