更新日
資本参加とは、広義におけるM&A手法の一つです。株式の引受による出資を経営権を得ない範囲内に収めることで、資金提供を受ける企業の独立性を保ちつつ、関係を強めることができます。
本記事では資本参加について、概要や他の出資・提携手法との違い、メリットや注意点などを解説します。
目次
1. 資本参加とは?
資本参加とは、友好な関係にある企業に対して、株式を引受するなどの方法で資本の拠出を行い、関係を強めることを指します。出資を受ける企業よりも、出資する企業のほうが規模が大きいことがほとんどです。
資本参加は、広義のM&Aのひとつではありますが、通常のM&Aとの違いとして、経営権の獲得を目的にしない点が挙げられます。そのため、取得する株式の比率は3分の1未満、つまり拒否権を行使できない範囲内に抑えられることが一般的です。
ただし、当初は経営権の獲得を目指していなかった場合でも、出資によって両社の関係が変化することで、将来的には経営統合に発展していくケースもあります。
2. 資本参加とその他の出資・提携手法との違い
資本参加と混同しやすいM&A手法や提携手法として、下表に挙げる5つを紹介します。
出資・提携手法 | 資本参加との違い |
---|---|
資本提携 | 資本提携は、2つの企業がお互いの株式を取得し合うことで、関係を強める提携の手法です。資本参加は、一方の企業がもう一方の企業に対して、株式の引受などを通して資金の援助をします。 |
業務提携 | 業務提携では、技術、販売、生産など、業務におけるリソースのみを、お互いに提供し合う提携手法です。株式をはじめとした資本の移動が行われない点で、資本参加とは大きく異なります。 |
事業譲渡(買収) | 事業譲渡とは、会社の事業を、株式の取得などによる資金提供と引き換えに、他社に譲渡することです。資本参加では、事業の権利についてやり取りすることはありません。 |
株式取得(買収) | 株式取得とは、企業が発行する株式を購入することです。資本参加をはじめとする資金提供の手段や支配権の獲得手段としても用いられます。 |
合併 | 合併とは、複数の会社を1つに統合することです。経営権に影響しない範囲での資金援助のみを行う資本参加とは大きく異なります。 |
各手法に関する詳細は、以下のページでそれぞれご確認ください。
3. 資本参加のメリット
続いて、資本参加のメリットについて、出資を受ける会社と、出資する会社、それぞれの立場から見ていきましょう。
出資を受ける企業のメリット
資本参加で出資を受ける側のメリットは、比較的低いリスクで出資を受けられる点にあります。株式の比率を3分の1未満に抑えるため、出資する側に拒否権のような強い権限を与えず、独立性を維持したうえで事業の拡大のための資金を獲得することが可能です。
また、資本参加によって関係性が深まり、両社の持つノウハウや技術が掛け合わされ、さらなるビジネスチャンスを生むシナジー効果も期待できるでしょう。
出資をする企業のメリット
資本参加で出資する側のメリットとしては、出資を受ける側との協力関係をより強いものにできることが挙げられます。また、資本参加は前述のとおり経営権の獲得を目的とするものではありませんが、それでもまとまった株式を保有することになれば、出資を受けた側の経営に対して一定程度の発言権を持つことになるでしょう。
さらに、出資を受ける側と同様、両社の持つノウハウや技術が掛け合わされることによるシナジー効果にも期待できます。
4. 資本参加の注意点
出資を受ける企業に独立性を残しつつ、関係を強められる資本参加ですが、実施にあたっては注意したい点もあります。
自社の裁量のみで経営がしにくくなる可能性がある
持ち株比率を抑えることで、出資する側の企業に拒否権のような強い権限を与えないことが資本参加の特徴のひとつです。しかし、それでも一方的に出資するという形になる以上、両社の間に力関係が生まれることは否定できません。出資される企業は、出資する企業に、経営についてのある程度の発言権を与えることを理解しておく必要があります。
株式の買戻しリスクがある
資本参加を受ける際は、それが必ずしも永続的な関係ではないことを理解しておきましょう。
契約による取り決めが無いまま資本参加を実施した場合、出資する企業は、いつでも株式の買い戻しや売却などにより出資を取りやめることができます。また、契約を結んで資本参加をしたとしても、契約満了時に更新しなければ、株式の買い戻しや売却などによって出資が打ち切られることとなります。
また、出資が打ち切られた際のルールも明確にしておいたほうが良いでしょう。特に取り決めが無いまま打ち切られた場合、資本参加を受けていた企業は、その分の株式を買い戻さなければなりません。買い戻しが難しい場合、その分の株式は第三者への転売となる可能性もあります。
想定していたシナジー効果を得られない可能性がある
資本参加を実施しても、期待どおりのシナジー効果を得られるとは限りません。資金提供をする側も、受ける側も、相手企業の強みや弱み、自社が貢献できるポイントなどを、事前にしっかりと把握しておかなければ、期待どおりの結果を得ることは難しいでしょう。
資本参加をより効果的なものにするためには、相手企業を選ぶ際に専門家のサポートを受けるという手段もあります。資本参加を検討している方は、ぜひM&Aキャピタルパートナーズにご相談ください。
まとめ
資本参加とは、友好な関係にある企業に対して、株式を引受するなどの方法で資金提供し、関係を強めることを指します。
取得する株式の比率を抑えることで、出資を受ける企業の独立性を保ちつつ、資本のやり取りをすることが可能ですが、それでも出資する側がある程度の発言権を持つことについては留意しておきましょう。
資本参加を成功させるためには、専門家のサポートのもと、相手企業の選定や契約内容の取り決めを行うのも一手です。
- M&Aによる譲渡
- アーリーリタイア
- ハッピーリタイア
- 中小企業のM&Aの現状
- 中小企業のM&A実績
- 事業承継
- 会社売却
- 廃業
- 後継者のいない会社を買う
- 後継者不足の実態
- 従業員への事業承継
- 株式上場
- 株式譲渡にかかる税金
- 親族外承継
- 非上場株式の譲渡
- M&Aとは?
- M&Aとシナジー効果
- M&Aのスキーム(手法)
- M&Aのメリット
- M&Aの手数料
- スモールM&A
- 事業売却
- 事業譲渡
- 企業価値評価
- 休眠会社
- 会社の解散
- 売手側、買手側の課題
- 敵対的買収
- 株式譲渡
- 経営戦略とM&A
- 買収防衛策
- M&Aと税金
- M&Aにおける企業価値算定費用
- M&Aのリテイナーフィー
- M&Aの中間報酬
- M&Aの企業価値算定費用
- M&Aの相談先
- M&Aの着手金
- M&Aアドバイザリー
- M&A仲介とFAの違い
- マッチングを成功させる方法
- レーマン方式
- 事業承継補助金
- 会社買収
- 個人M&A
- 選択と集中
- EBO(エンプロイーバイアウト)
- LBO(レバレッジド・バイアウト)
- MBI(マネジメント・バイ・イン)
- MBO(マネジメント・バイアウト)
- TOB(株式公開買付)
- エスクロー
- バイアウト
- マルチプル法
- 企業の合併
- 会社分割
- 吸収合併
- 提携仲介契約
- 新設合併
- 株式交付
- 株式交換
- 株式取得
- 株式持ち合い
- 株式移転
- 業務提携
- 第三者割当増資
- 組織再編
- 経営統合
- 買収
- 資本参加
- 資本業務提携
- IM(企業概要書)
- M&Aとノンネームシート
- M&Aと契約書
- M&Aのクロージング
- M&Aの基本合意契約書
- M&Aの手続きの流れ
- M&Aの表明保証
- M&Aの資金調達
- PMIの概要解説
- デューデリジェンス
- マネジメントインタビュー
- ロングリスト
- 合弁会社
- 最終契約
- 株式譲渡M&Aの手続き
- 法務のポイント
- DCF法
- DDS
- DIPファイナンス
- EBITDA
- EPS(一株当たり純利益)
- EVA(Economic Value Added)
- IRR
- MOU(基本合意書)
- NDA(機密保持契約)
- NPV
- SPA(株式譲渡契約書)
- SPC(特別目的会社)
- TSA
- XBRL
- のれん
- アライアンス
- インカムアプローチ
- インカムゲイン
- インサイダー取引
- オーガニックグロース
- オーバーアロットメント
- キャピタルゲイン
- コストアプローチ
- コングロマリット
- シニアローン
- スクイーズアウト
- スコーチドアースディフェンス
- スタンドスティル条項
- ストックオプション
- スーパー・マジョリティ条項
- テンダー・オファー
- ノンリコースローン
- ビジネスデューデリジェンス
- フィナンシャルバイヤー
- フリーキャッシュフロー
- ブリッジローン
- プライベートエクイティ(未公開株式)
- プロラタ方式
- ペーパーカンパニー
- ホワイトナイト
- ポイズン・ピル
- マーケットアプローチ
- リストラクチャリング
- 事業再生ADR
- 偶発債務
- 債務超過
- 割引現在価値
- 包括利益
- 匿名組合
- 持株会
- 新株予約権
- 時価純資産法
- 期待収益率
- 株主間契約
- 正常収益
- 法務デューデリジェンス
- 特別決議
- 環境デューデリジェンス
- 負ののれん
- 買戻条項
- 超過収益力
- 退職所得
- 適格合併
- 零細企業
- 黄金株
- 黒字倒産
- その他の用語はこちら
M&Aキャピタル
パートナーズが
選ばれる理由
私たちには、オーナー経営者様の
決心にこたえられる理由があります