ノンネームシートとは? M&A交渉での役割やIMとの違いを解説

ノンネームシートとは?M&A交渉での役割やIMとの違いを解説のメインビジュアルイメージ

更新日


ノンネームシートについて

M&A交渉の初期段階で必ず登場するのが「ノンネームシート」です。譲渡企業の匿名性を保ちながら概要を伝えるこの書類は、譲受候補企業の関心を引きつける重要な役割を担います。一方で、情報の開示範囲を誤ると、企業が特定されてしまうリスクもあります。

本記事では、「M&AM&Aとは?|詳細記事へ」の基本的な理解を踏まえたうえで、ノンネームシートの役割や記載内容、作成時の注意点、IM(企業概要書)との違いを、M&A実務の流れに沿ってわかりやすく解説します。


ノンネームシートの概要

ノンネームシートとは、機密保持契約や譲受候補企業に詳細情報を提供する前の段階で、譲渡企業が特定されるような具体的な情報が記載されておらず、譲渡企業の匿名性が保護された企業概要がわかる書類のことをいいます。
A4サイズ1枚に必要最小限の情報を記載するのが一般的です。

ノンネームシートとは イメージ画像

※ノンネームシートに記載する項目例

業種(業界) 例:運送業、建設業、小売業等
地域 例:関東、大阪府、四国等
従業員数 例:約30名等
売上高 例:1.5~3億円等
営業利益 例:1000~3000万円等
譲渡理由 例:後継者不在のため、戦略的提携等
譲渡スキーム 例:株式譲渡、事業譲渡等
譲渡希望時期 例:半年以内、一年後等

ノンネームシートが必要になるフェーズ

M&Aの取引には、常に機密情報が多く存在しますが、M&A初期段階で譲渡企業がM&Aを予定していることが明らかになった場合、外部への情報漏洩が問題となります。そのため、譲渡企業の情報を保護する目的でノンネームシートが必要になります。

ノンネームシートが必要になるフェーズ イメージ画像

ノンネームシートは、M&Aの最も初期段階において、M&Aの交渉先を探したり、譲受候補企業の初期的な関心度合いを確認するために用いられます。譲渡企業が企業運営を行う中で会社を譲渡するという情報は、信用不安情報になる可能性があります。そのため、一般的に従業員や取引先には非公開であるのはもちろんのこと、親族や家族にも知らされていないケースがほとんどです。
また、機密保持契約を締結した後に譲渡企業の企業名を明かすことを「ネームクリア」といいます。

ノンネームシートに記載する内容

ノンネームシートに決まった形式はありませんが、一般的に載せる情報を紹介します。企業概要、売却希望条件、財務状況の3つに大別できます。

企業概要で載せる情報は、主に事業内容や営業拠点、従業員数といった情報です。企業の強みや特徴、売却の理由を大まかに載せます。主要取引先を載せる場合がありますが、情報漏洩した場合のリスクが高くなるため気を付けなければなりません。
売却希望条件で載せる情報は、主に譲渡の区分(株式譲渡、事業譲渡など)と売却希望価格、譲渡時期といった情報です。合わせて、譲渡した後の従業員や経営者の処遇の希望を載せることもあります。
財務状況で載せる情報は、直近3〜5年分の売上高と営業利益や経常利益といった損益計算書の情報です。必要に応じて債務の情報を載せることもあります。

ノンネームシート作成時の注意点

ノンネームシート作成時に最も注意すべき点は、譲渡企業が特定されない程度の情報に留めることです。必要以上の情報や企業の特徴を記載すると、譲渡候補企業が特定されてしまうリスクがあります。一方で、情報漏洩を恐れるあまり、不明確で理解しにくい内容になると、譲渡検討企業の魅力や特徴が伝わらず、譲受企業が適切に検討できません。ノンネームシートに記載する企業情報は、魅力や特徴が伝わる範囲で、最低限の情報に留めるようにしましょう。

また、個人情報や顧客情報の漏洩にも注意が必要です。企業は従業員情報や顧客情報など、多くの個人情報を持っています。これらの情報が漏洩すると、訴訟や賠償問題に発展する可能性があります。ノンネームシートでは、個人情報や顧客情報の開示を避け、企業情報に焦点を当てるようにしましょう。

IM(Information Memorandum:企業概要書)との違い

ノンネームシートとIMとの違い イメージ画像

M&Aにおける企業情報の提供には、ノンネームシートとIM(Information Memorandum:企業概要書)がありますが、その違いについて解説します。
ノンネームシートとIMの大きな違いは、秘密保持契約前に提供される情報がノンネームシートである一方、IMは秘密保持契約後に提供される情報である点です。

言うまでもなく、ノンネームシートよりもIMはより詳細な企業情報を含みます。ノンネームシートはA4サイズ1枚にまとめられていますが、IMは数十ページにわたる情報が提供されます。ネームクリアにより企業名が明らかになっているため、譲受候補企業はより具体的な検討が可能になります。
IMの開示にあたっては、秘密保持契約の締結後が前提ですが、譲渡企業オーナーへの開示許可が必須となります。この段階では、第三者に情報が漏洩した場合、機密保持契約に違反することとなり訴訟問題に発展する可能性もあるため、情報の取り扱いには十分な注意が必要です。

まとめ

ノンネームシートは、M&Aの初期段階で譲渡企業と譲受候補企業をつなぐ大切な情報ツールです。匿名性を守りつつ企業の魅力を十分に伝えるためには、情報の取捨選択が重要です。また、IMとの使い分けや秘密保持契約との関係を正しく理解しておくことで、安全かつ効果的に交渉を進められます。作成の際は、経験豊富なM&A仲介会社やアドバイザーと相談しながら進めることをおすすめします。

M&Aキャピタルパートナーズは、豊富な経験と実績を持つM&Aアドバイザーとして、中小M&Aガイドラインを遵守し、お客様の期待する解決・利益の実現のために日々取り組んでおります。
着手金・月額報酬がすべて無料、簡易の企業価値算定(レポート)も無料で作成。秘密厳守にてご対応しております。
以下より、お気軽にお問い合わせください。

弊社の「中小M&Aガイドラインへの取り組み」に関してはこちらをご確認ください



よくある質問

  • ノンネームシートとは何ですか?
  • M&A初期段階で譲渡企業の匿名性を保ちながら概要を譲受候補企業に伝えるための書類で、A4サイズ1枚程度に必要最小限の情報を記載します。
  • ノンネームシートとIMの違いは何ですか?
  • ノンネームシートは秘密保持契約前に提供される簡易情報で、IM(企業概要書)は秘密保持契約後に提供される詳細情報です。
  • ノンネームシートにはどのような内容を記載しますか?
  • 業種、地域、従業員数、売上高、営業利益、譲渡理由、譲渡スキーム、希望時期などを簡潔にまとめます。
  • ノンネームシート作成時に注意すべき点は何ですか?
  • 譲渡企業が特定されない範囲で情報を記載し、匿名性を確保しつつ企業の魅力を伝えることが重要です。

ご納得いただくまで費用はいただきません。
まずはお気軽にご相談ください。


M&Aを流れから学ぶ
(解説記事&用語集)

ライオン社長マガジン

ライオン社長マガジンのイメージ

M&Aキャピタルパートナーズの取り組みや人の想い、業界の動きをお届けするMACP公式マガジン。

業種別M&A動向

業種別M&A動向のイメージ

日本国内におけるM&Aの件数は近年増加傾向にあります。その背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。

M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。