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インサイダー取引について
インサイダー取引とは、上場会社の役員・従業員や取引先などが、未公表の重要事実を知った状態で、公表前に株式等を売買する行為です。重要事実には、M&Aや決算情報、TOBの実施・中止など、投資判断に大きな影響を与える情報が含まれます。
インサイダー取引は、意図的に不正な利益を得る場合だけでなく、業務上知った情報の扱いを誤ったり、周囲に不用意に伝えたりすることで問題になる可能性があります。誰が規制対象になるのか、公表前の重要事実とは何か、どのような行為が禁止されるのかを整理しておくことで、意図しない違反を防ぎやすくなります。
本記事では、インサイダー取引の規制対象や罰則、発覚の仕組み、防止策について解説します。
※本記事に記載されている内容は2026年時点の現行制度上のものであり、今後法改正等で変更される可能性があることにご留意ください。
※最新情報については日本取引所自主規制法人の公式サイトや法律の専門家等にご確認ください。
インサイダー取引とは
インサイダー取引とは、上場会社の役員や従業員、取引先などが職務上知り得た未公表の重要事実を利用して、株式等を売買する行為です。ここでいう重要事実とは、M&A(Mergers and Acquisitions:合併・買収)や決算予想・実績の大幅な修正、TOB(Takeover Bid:公開買付け)の実施・中止など、投資判断に大きな影響を与える情報を指します。
こうした取引は金融商品取引法によって明確に禁止されており、違反した場合は課徴金や刑事罰の対象となります。
インサイダー取引における「公表」の意味
金融商品取引法では、公表とは次のいずれかの措置が取られた場合を指します。
- 会社が適時開示を行い、取引所ホームページ等で一般に公開された場合
- 重要事実が2つ以上の報道機関に公開され、12時間経過した場合
- 有価証券報告書や臨時報告書などに記載され、公衆縦覧が可能となった場合
例えば、「自社ホームページに先に情報を掲載したから公表済み」と誤解するのは危険です。取引所への適時開示など正式な手続きを経ない限り、公表とは認められません。
インサイダー取引の例
インサイダー取引の典型例として、次のようなケースが挙げられます。
【例】
経営企画部の社員が「来月、大型のM&Aを発表する」という情報を職務上知り、公表前に自ら自社株を買い込む
この場合、その社員は一般投資家が知り得ない情報を使って利益を得ようとしており、明らかな法律違反にあたります。
【例】
経理部の社員が赤字決算の見込みを事前に把握し、株価が下落する前に自らが保有する自社株を売却する
利益を得ていなくても「損失の回避」として法律違反となります。「儲けていないから大丈夫」という認識は誤りであり、注意が必要です。
ほかにも、利益を得る意図がなかった場合や少額の取引であった場合でも、未公表情報を知った状態で取引すれば規制対象となり得ます。
インサイダー取引が禁じられている理由
インサイダー取引が禁止されるのは、証券市場の公正性や信頼性を損なうおそれがあるためです。未公表の重要事実を知っている人が、その情報を知らない一般投資家よりも有利な立場で株式などを売買できると、投資家の間に不公平が生じます。
証券市場は、多くの投資家が公平な条件で参加できることによって成り立っています。情報の格差を利用した取引が横行すれば、市場全体への信頼が失われ、健全な投資活動が妨げられかねません。そのため金融商品取引法では、会社関係者などが未公表の重要事実を利用して取引することを明確に禁止し、市場の公正性と投資家保護を図っています。
インサイダー取引の規制対象
インサイダー取引の規制は、特定の人物や行為だけを対象にしているわけではありません。誰が・どのような情報を・どういった形で利用したかという3つの観点から幅広く規制されており、思わぬ立場の人が対象となるケースもあります。
規制対象者
インサイダー取引の規制対象となる者について説明します。インサイダー取引規制は「経営陣や一部の役員だけに関わる話」だと思われがちですが、実際には非常に広い範囲に及んでいます。思わぬ立場の人まで含まれるため、「自分は関係ない」と考えていると落とし穴にはまることも少なくありません。ここでは、主な対象者を紹介します。
上場会社の役員・従業員(退任・退職後1年以内の者を含む)
最もわかりやすい対象は、上場会社に直接所属する役員や従業員です。取締役、監査役、執行役員といった経営層はもちろん、正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど、日常業務に従事する従業員も含まれます。たとえ短期間の雇用や補助的な立場であっても、社内で重要な情報に触れる可能性があれば規制の対象です。
また、退任・退職した場合でも、その後1年以内であれば依然としてインサイダー取引規制が及ぶ点も重要です。退職直前・直後に知った情報をもとに取引を行うことは許されません。
親会社・子会社の役職員
インサイダー取引規制は、情報共有が頻繁に行われる企業グループにも及びます。親会社や子会社の役職員も、職務に関して上場会社や子会社の重要事実を知った場合には、インサイダー取引規制の対象となります。例えば、子会社の工場で大規模な事故が発生した場合、その情報を職務上把握した親会社の役職員は、公表前に当該会社の株式等を取引できません。
帳簿閲覧権を有する株主
総株主の議決権または発行済株式数の3%以上を有する株主等は、会社法に基づき帳簿閲覧請求権を持つため、インサイダー取引規制上の会社関係者に含まれる場合があります。
例えば、帳簿閲覧を通じて未公表の重要事実を知り、その公表前に当該会社の株式を売買した場合、インサイダー取引に該当する可能性があります。
外部の関係者
意外に見落とされがちなのが、外部の契約関係者です。弁護士、監査法人や公認会計士、税理士、金融機関や証券会社などは、業務上の契約を通じて未公表の重要情報を知る立場にあります。さらに、共同研究やライセンス契約の相手方、M&Aの交渉相手も同様に規制対象です。
また、会社の許認可を扱う立場にある公務員などの行政担当者も例外ではありません。「社外だから大丈夫」という認識は誤りであり、情報を受け取る立場にある以上、インサイダー取引規制の対象となります。
第一次情報受領者(家族・友人など)
さらに注意が必要なのは、会社関係者本人だけでなく、その周囲の人々にも規制が及ぶ点です。会社関係者から未公表情報を伝えられた家族や友人などは「第一次情報受領者」と呼ばれ、やはり取引が禁止されます。
会社に所属していなくても、重要事実を知ったうえで公表前に株式等を売買すれば問題となる可能性があるため「自分には直接関係ない」という認識は危険です。
インサイダー取引規制の対象となる重要事実
インサイダー取引規制の対象となる「重要事実」は、上場会社の重要事実に関する情報です。重要事実に関する情報としては、決定事実、発生事実、決算情報、その他投資者の投資判断に著しい影響を与えるものがあります。また、株式公開買付け(TOB)の実施や中止に関する事実が重要事実に該当することになります。それぞれ順番に説明していきます。
上場会社の決定事実
決定事実とは、会社の業務執行を決定する機関が、一定の重要事項を行うことについて決定した事実をいいます。最終的な実行決定や公表前の検討段階であっても、内容によっては重要事実に該当する可能性があります。例えば、新株発行や資本金の減少、自己株式の取得、合併や会社分割といった組織再編、事業譲渡や業務提携の決定などが該当します。
これらは投資家の判断に大きな影響を与えるため、未公表の段階での売買は禁止です。また、子会社でこうした決定がなされた場合も親会社に影響が及ぶため、親会社の関係者も取引できません。
なかでもM&Aにおいては、インサイダー取引を含む金融商品取引法以外にもさまざまな法務的観点が求められます。M&Aに関する法務について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
上場会社の発生事実
発生事実とは、会社にとって重大な出来事が実際に起きたことをいいます。例えば、災害による損害や重大な事故、主要株主の異動、訴訟の判決や和解、親会社の異動、主要取引先との取引停止などが該当します。これらはいずれも企業活動や株価に直接的な影響を及ぼすため、公表前に取引することは認められません。また、子会社で発生した場合も同様に重要事実として扱われます。
上場会社の決算情報
決算情報も重要事実に含まれます。ここでいう決算情報とは、上場会社の売上高、経常利益、純利益等に関して、直近で公表されている予想値と最新の予想値または決算に一定程度以上の差異が生じたという情報を指します。具体的には、売上や利益、純利益といった数値が公表済みの予想と大きく異なる場合です。
例えば、売上高が予想から10%以上変動したり、経常利益や純利益が30%以上変動したり、配当予想が20%以上修正されたりといった代表的な目安が挙げられます。また、子会社の決算情報に大きな差異が生じた場合も、会社グループ全体に影響するため取引は制限されます。
その他投資者の投資判断に著しい影響を与えるもの
いわゆる「バスケット条項」と呼ばれるもので、上記に明確に列挙されていない事柄であっても、投資家の判断に大きな影響を与える場合は重要事実に該当します。具体的な内容は個別に判断されますが、「株価に大きな影響を及ぼす可能性が高い事象はすべて対象」と考えるべきです。
株式公開買付け等の実施・中止に関する事実
株式公開買付け(TOB)の実施や中止に関する情報も重要事実の一つです。株式公開買付け(TOB)は株価に直結するため、その情報を事前に利用した取引は厳しく禁止されています。
インサイダー取引規制の対象となる行為
インサイダー取引で禁止される行為は大きく以下の2つに分けられます。なお、インサイダー取引規制では、「直接取引したかどうか」よりも「未公表情報を利用したかどうか」が重視されます。
それぞれ順に説明します。
株式の売買等
最もわかりやすいのは、未公表の重要事実を知ったうえで株式等を売買する行為です。ここでいう売買には、株式の買付けや売付けのほか、有償での譲渡・譲受けなども含まれます。
重要なのは、利益を得るための買付けだけでなく、損失を避けるための売却も規制対象となる点です。例えば、決算の大幅な悪化を公表前に知り、株価が下がる前に株式を売却した場合、利益を得ていなくても問題となる可能性があります。「得をしていないから大丈夫」とは限らないため、注意が必要です。
未公表の重要事実の伝達や推奨
もう一つは、会社関係者などが未公表の重要事実を他人に伝えたり、株式等の取引をすすめたりする行為です。情報を伝えた本人が取引していなくても、相手が公表前に株式等を売買した場合、情報伝達や取引推奨として問題となる可能性があります。
例えば、家族や友人に「今のうちに株を買っておいたほうが良い」「早めに売ったほうが良い」などと助言する場合も注意が必要です。重要事実の内容を詳しく話していなくても、未公表情報をもとに取引をすすめたと判断されるおそれがあります。
インサイダー取引に該当した場合の罰則
インサイダー取引に違反すると、行政上の制裁だけでなく、刑事罰が科される可能性があります。ここでは主な2つの処分について説明します。
課徴金納付命令
会社関係者や情報を受け取った者が未公表情報を利用して株式を売買した場合、課徴金の納付を命じられます。課徴金は、実際の取引で得た利益や回避した損失を基準に算定され、金額が多額に及ぶ場合があります。たとえ利益を目的とせず損失を避けただけでも対象となるため、非常に厳しい処分です。
刑事罰
インサイダー取引は刑事事件として扱われることもあり、最大で「5年以下の拘禁刑」または「500万円以下の罰金」に処され、場合によっては両方が科されることもあります。さらに、未公表情報を他人に伝え、その相手が実際に株を売買した場合には、情報を漏らした本人も同様に刑事罰の対象となります。
単なる雑談のつもりでも、相手に取引させる目的があったと判断され、実際に相手が取引した場合には、処罰対象となる可能性があります。また、法人の役員や従業員が業務に関連してインサイダー取引を行った場合は、行為者本人だけでなく法人自体にも最大5億円の罰金が科されます。これは「両罰規定」と呼ばれ、会社全体に重い責任を課す仕組みです。
参考:金融商品取引法|e-Gov 法令検索
インサイダー取引はどのように発覚するのか
インサイダー取引は、当事者が「発覚することはない」と考えていても、高い確率で発覚する仕組みが整っています。その中心的な役割を担うのが、日本取引所自主規制法人による売買審査です。同法人は、重要事実が公表された銘柄について、株価や売買高の推移、売買した顧客情報、売買シェアの偏向性などを日々詳細に分析しています。
売買審査では「あまりにもタイミングが良すぎる取引がないか」「会社関係者やその家族・友人が関わっていないか」といった点が厳しくチェックされ、疑わしい取引として絞り込まれるのは時間の問題です。
また、疑わしいと判断された取引は証券取引等監視委員会へ報告され、常時証券の売買履歴を監視している同委員会によってインサイダー取引として認定されます。証券取引等監視委員会は市場における不正が疑われる情報を幅広く受け付けるための「情報提供窓口」を設置しており、内部告発や周囲からの情報提供がきっかけで発覚するケースもあります。
取引について「少額だから問題にならない」「自分名義でなければわからない」と考えるのは危険です。取引の金額や名義に関わらず、未公表の重要事実に触れた場合は安易に取引しないことが重要といえます。
インサイダー取引で注意したい落とし穴
インサイダー取引は、明らかに不正な目的で株式を売買した場合だけが問題になるわけではありません。「自分は大丈夫」と思っていても、意図せず違反に該当するケースがあります。ここでは、特に注意したい落とし穴を4つ紹介します。
少額の取引なら問題ないと思い込む
インサイダー取引は、取引金額の大きさだけで判断されるものではありません。未公表の重要事実を知った状態で公表前に株式等を売買した場合、たとえ少額であっても問題となる可能性があります。「大きく儲けるつもりはなかった」「試しに少しだけ買った」という場合でも、重要事実を知っていたかどうか、情報の公表前だったかどうかが厳しく確認されるのです。
家族や知人名義なら問題ないと考える
本人名義ではなく、家族や知人の口座を使った取引であっても、安全とはいえません。未公表の重要事実を知った人が周囲に情報を伝え、その相手が公表前に取引した場合、情報伝達行為として問題になる可能性があります。取引の時期や資金の流れ、関係者とのつながりなどは調査の対象となり得るため、「自分の口座でなければわからない」と考えるのは非常に危険です。
具体的な情報を伝えなければ良いと考える
重要事実の内容を直接伝えていなくても、その情報をもとに取引をすすめる行為は問題になる可能性があります。例えば、理由を伏せて「今のうちに買ったほうが良い」「早めに売ったほうが良い」と伝え、相手が公表前に取引した場合がこれにあたります。具体的な情報を話していなくても、未公表情報をもとにした取引推奨とみなされるおそれがある点に注意が必要です。
業務上知った情報を軽い雑談として話してしまう
M&AやTOB、業績修正などの重要情報は、業務上知ったものであっても取扱いには細心の注意が求められます。家族や友人との雑談で「近いうちに大きな発表があるかも」と何気なく話した結果、相手が公表前に株式等を取引すれば問題になりかねません。自分では取引していなくても、相手に利益を得させる目的や損失を避けさせる目的があったと判断される場合もあります。そのため、職務上知った情報は雑談の場でも口にしないことが重要です。
インサイダー取引を防ぐための対策
インサイダー取引は、悪意のある行為だけでなく、不注意や認識不足から生じることも少なくありません。組織として未然に防ぐために、以下の対策を実施しておきましょう。
社内規程や確認フローを整備する
インサイダー取引を防ぐには、役員や従業員の個人判断に任せるのではなく、社内規程や確認フローを整備することが重要です。例えば、決算発表前やM&A・TOB案件の検討中など、重要事実に触れる可能性がある期間は株式売買を制限する、事前申請制にするといった方法が挙げられます。
重要事実にアクセスできる関係者や共有範囲を必要最小限に絞り、誰がどの情報に触れられるのかを管理することも大切です。外部の専門家や取引先と情報を共有する場合は、守秘義務契約や共有範囲を明確にし、情報管理を徹底しましょう。取引を個人の判断だけに任せず、社内で確認できる仕組みを設けることで、意図しない違反を防ぎやすくなります。
情報伝達や取引推奨に関する教育を行う
インサイダー取引は、自分で株式等を売買した場合だけでなく、家族や知人に未公表情報を伝えたり、取引をすすめたりした場合にも問題となる可能性があります。そのため、役員や従業員に対して、どのような情報が重要事実にあたるのか、どのような行為が情報伝達・取引推奨に該当し得るのかを定期的に教育することが重要です。
特にM&Aや決算情報を扱う部署では、飲み会や雑談で不用意に話す、理由を伏せて株式売買をすすめるといった具体例を交えた研修を行うと、理解が深まりやすくなります。迷った場合に備え、法務部門や管理部門へ相談できる体制を周知しておくことも、意図しない違反の防止につながるでしょう。
近年のインサイダー取引の事例
インサイダー取引の規制は、理論だけでなく実際の事件として現実に起きています。近年の具体的な事例を通じて、規制の射程がいかに広いかを確認しましょう。
株式会社出前館の事例
2025年1月、証券取引等監視委員会は、株式会社出前館の第三者割当増資に関する未公表情報の伝達を受けた、海外居住者によるインサイダー取引について、課徴金納付命令の勧告を行いました。対象者は、株式会社出前館と株式引受契約等の締結交渉をしていたLINE株式会社(現LINEヤフー株式会社)の従業員であった者から重要事実の伝達を受け、公表前に親族名義で出前館株式を買い付けたとされています。
海外からの発注や本人以外の名義であっても、取引の経緯や関係性から調査対象となり得ることを示す事例です。
株式会社小僧寿しの事例
証券取引等監視委員会は、株式会社小僧寿し(以下、小僧寿し)の子会社社員によるインサイダー取引について、課徴金納付命令の勧告を行いました。対象者は、小僧寿しの社員から、アニスピの非子会社化を伴う株式譲渡に関する重要事実の伝達を受け、その公表前に小僧寿し株式を売り付けたとされています。
親会社や発行会社の役員・社員だけでなく、子会社の従業員であっても、職務上または関係者からの伝達により未公表情報を知ったうえで取引すれば、問題となり得ることを示す事例といえます。
株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドの事例
証券取引等監視委員会は、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド(以下、ミンカブ)の役員から未公表情報の伝達を受けた知人によるインサイダー取引について、課徴金納付命令の勧告を行いました。
対象者は、株式会社LINEの完全子会社である株式会社ライブドアの株式を、ミンカブが譲り受ける方針であることを公表前に知り、ミンカブ株式を買い付けたとされています。
会社の役職員本人だけでなく、役員や社員から重要事実を聞いた知人も、第一次情報受領者として規制対象となり得ることを示す事例です。
まとめ
インサイダー取引とは、未公表の重要事実を利用し、株式等を売買することを禁じる規制であり、対象となる人や行為の範囲は想像以上に広くなっています。取引金額の大小や利益の有無を問わず、また自分で取引していなくても情報を伝えるだけで問題になるケースがある点は、特に注意が必要です。「知らなかった」「少しだけだった」という事情は免責の理由にならず、違反すれば課徴金や刑事罰といった重大な制裁が待っています。
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よくある質問
- インサイダー取引とは何ですか?
- インサイダー取引とは、上場会社の関係者などが未公表の重要事実を利用して株式等を売買し、利益の獲得や損失回避を図る行為で、金融商品取引法で禁止されています。
- どのような人がインサイダー取引規制の対象になりますか?
- 上場会社の役員や従業員に加え、親会社・子会社の役職員、大株主、外部の契約関係者、家族や友人などの第一次情報受領者も規制の対象となります。
- インサイダー取引でいう重要事実には何が含まれますか?
- 重要事実には、合併や会社分割、事業譲渡などの決定事実、重大事故や訴訟などの発生事実、売上高や利益の大幅な変動を含む決算情報などがあります。TOBの実施・中止や、投資判断に著しい影響を与える事実も対象となる可能性があります。
- 未公表情報を知っていても、少額の取引なら問題ありませんか?
- 少額の取引であっても、未公表の重要事実を知った状態で公表前に株式等を売買すれば、インサイダー取引に該当する可能性があります。取引金額の大小や利益の有無だけで判断されるものではないため、慎重に確認することが重要です。
- 自分で取引しなければインサイダー取引にはなりませんか?
- 自分で取引していなくても、未公表の重要事実を家族や知人に伝えたり、取引をすすめたりした場合は問題となる可能性があります。相手がその情報をもとに公表前に株式等を売買すると、情報を伝えた本人も処罰対象となるおそれがあります。
- インサイダー取引に違反するとどのような罰則がありますか?
- インサイダー取引に違反すると、課徴金納付命令に加え、刑事事件として最大5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科されることがあります。法人には最大5億円の罰金が科される場合もあります。
- インサイダー取引はどのように発覚しますか?
- インサイダー取引は、重要事実が公表された銘柄の株価や売買高、取引した顧客情報などの分析を通じて発覚することがあります。不自然なタイミングの取引や関係者とのつながりが確認され、疑わしい取引は証券取引等監視委員会へ報告される流れです。
- インサイダー取引を防ぐには何が重要ですか?
- インサイダー取引を防ぐには、株式売買の事前申請や取引制限期間などの社内ルールを整備し、重要事実を個人の判断で扱わない体制をつくることが重要です。あわせて、未公表情報の伝達や取引推奨も問題になり得ることを周知し、役員・従業員へ定期的に教育することも欠かせません。
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