オーナー企業とは? 定義やメリット・デメリット、経営のポイントを解説

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オーナー企業とは、創業者や親族が少人数で過半数以上の株式を所有している企業のことをいいます。
オーナー企業を立ち上げ成功に導くためには、基礎知識や成功のポイントを押さえておくことが重要です。また、ひとくちにオーナー企業といっても複数の形があるため、違いを理解したうえで設立を進めましょう。
この記事では、オーナー企業のメリットや成功のポイントなどを解説します。

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1. オーナー企業とは


まずは、オーナー企業の定義と外部株主がいるかどうかによる違いなどの基礎知識を紹介します。

1-1. オーナー企業の定義

オーナー企業とは、創業者や親族を含む一人もしくは限られた少人数の個人が、株式を所有し経営権を維持して経営している状態の企業のことをいいます。
オーナーは株式の過半数以上を所有することによって、その企業の経営や意思決定において大きな影響力を持てます。
一般的な株式会社は株主と経営者が分離しているため、株主総会で選ばれた人物が経営者になるのが一般的です。しかし、中小企業の場合は株式会社であっても株主と経営者が同じであるケースが多く見られます。
実際に「2018年版「中小企業白書」(中小企業の経営の在り方 第4章)」によれば、2017年11月に行われた調査で、中小企業のうちオーナー企業が占める割合は、約72%という結果が出ています。

1-2. 外部株主の有無による違い

オーナー企業は、外部株主がいるかどうかによって分けることが可能で、外部株主がいる場合といない場合とでは、企業経営の仕方が大きく変わります。ここでは、外部株主がいる場合といない場合の違いを解説します。

外部株主がいない場合

経営者およびその親族がすべての株式を保有している場合は、「外部株主がいないケース」になります。具体的には、株式上場を行わずに経営されている企業や、株主が少数である企業が該当します
外部株主がいないため、オーナー企業の経営者はすべてを自らの采配で経営を行うことが可能です。つまり、オーナー企業が生み出した利益などはすべてオーナー経営者に還元されるということです。

外部株主がいる場合

外部株主がいる場合、オーナー企業の株式は創業者や親族以外に複数の個人や組織によって所有されています
外部株主が増えれば、経営者とその親族の持ち株比率は下がります。その結果、会社に対する支配権も弱まるという特徴があります。
また、外部株主がいる場合、オーナー企業は株主との関係を重視する必要があり、企業の経営状況や将来の展望に関する情報を、株主に提供することが求められます。
株主からの要望や提案に対しても真摯に対応する必要があるため、意思決定のスピードが落ちるのも外部株主がいるオーナー企業の特徴です。

 

1-3. オーナー社長とサラリーマン社長の違い

オーナー社長は、社長自身が会社のオーナーであり、経営者としてのすべての責任を負っています。ビジネスに対して独自のビジョンや目標を持ち、自らの意思で経営戦略を決定できます。
また、オーナー社長は会社の支配権を有する株主であり、自己の利益と会社の利益を一体化させられます。そのため、自由な意思決定によってビジネスに情熱を注ぐことが可能です。
特に、オーナー社長が株式を100%保有している場合は、すべての決議を社長一人で行えます。そのため、提供する商品やサービスの内容を自由に決められます。
一方で、「サラリーマン社長」は、会社の経営者ですが株主ではありません。会社の役員や従業員として雇われている経営者を指し、会社の利益を最大化するために働くことがミッションです。
サラリーマン社長は、会社の目標や方針に従い他の役員や従業員と協力して経営を行います。会社の利益を追求するために、ときには個人の意見や希望を抑えなければなりません。
また、サラリーマン社長は最終的には株主にお伺いを立てる必要があるなど、重要な案件に関する決定権を持っていないケースが案外多く見られ、自分がやりたい事業を行えない場合もあります。

1-4. オーナー企業と一族経営の違い

一族経営とは、家族や親族が共同して経営する企業や事業のことです。家族が経営者としてさまざまな役割を果たし、意思決定や経営方針を共有します。
この形態は多くの場合、中小・零細企業で見られます。経営者が家族の一員であるため、経営方針や目標を身内で共有しやすくなるのがメリットです。また、家族の絆や信頼関係といったものがベースにあるため、意思決定が迅速に行われます。
一族経営のメリットとして、経営者が会社の将来に対して長期的なビジョンを持ちやすいことがあげられます。家族の将来や次世代への継承を考えながら経営を行うため、持続可能な経営を目指せます。
一方で、一族経営の場合は家族内での意見の対立や感情的な問題が経営に影響を及ぼす場合があります。また、外部の専門知識や経験を活用しにくいため、経営の幅や成長の可能性が限られる点もデメリットといえるでしょう。
事業の性質や家族の関係性などを考慮しながら、一族経営が適しているかどうかを慎重に判断することが大切です。

2. オーナー企業の特徴

オーナー企業は、多くの株式を保持している株主と経営者が同じですが、非オーナー企業は所有と経営が分離しています。非オーナー企業の経営者は、前述した「サラリーマン社長」のことです。
オーナー企業は株主と経営者が同じであるため、非オーナー企業よりも素早い経営判断が可能です。一方で、非オーナー企業の場合は、経営者と株主がそれぞれの役割を果たすことになります。

3. オーナー企業のメリット

ここでは、オーナー企業のメリットを3つ紹介します。

3-1. スピーディーな意思決定が行える

株式の過半数を所有していれば、最終決定者が経営者になるため、外部からの経営方針に対する干渉を受けません。それにより、スピーディーな意思決定が実現します。
また、100%株式を保有している場合は、すべての意思決定を経営者が行えるため、意思決定のスピードが早くなるだけでなく、経営者が推進したい事業を行うことが可能になります。これはオーナー企業の大きなメリットです。

3-2. 企業文化を強化しながら経営が行える

オーナー企業の場合、経営者が株式の大半を持っているため、企業文化を強化しながら会社経営を行えます。そのため、会社経営が一貫した方針の下で実施されることになります。
会社経営の方針が一貫していると、従業員が働きやすい職場となり、結果として売上アップにつながります。従業員とのやり取りも経営者が自ら行うことが多いため、従業員のモチベーションアップにつなげやすいのも、オーナー企業の特徴です。

3-3. 中長期的な視野に立った経営が可能になる

オーナー企業は、経営者が自身の考えに基づいて経営を行えるため、中長期的な視野に立った経営が可能となります。また、企業の成功が自身の成功に直接結びつくため、経営に対するモチベーションも高いのが特徴です。
一方、非オーナー企業の場合、株主の意向を考慮する必要があるため、必ずしも経営者の意思を重視した経営ができるわけではありません。

4. オーナー企業経営の注意点

オーナー企業経営の注意点として次の2つがあげられます。メリットだけでなくデメリットも考慮したうえで、オーナー企業経営を行うかどうかの判断を行いましょう。

4-1. 経営者への依存度が高くなる

オーナー企業は経営者の権限が強いため、経営者に依存した経営体制になります。経営者の体調などによって売上が大きく影響を受けることが、オーナー企業経営の注意点の一つです。
また、取引先も経営者との関係で取引しているケースが多いので、経営者が変わる時期に大きな問題が生じる場合もあります。そのため、後継者の育成はオーナー企業にとって重要なポイントといえるでしょう。

4-2. 資金調達の手段が限られる

一般的な株式会社は、株式市場からの資金の調達が可能です。しかし、オーナー企業の場合は、株式を外部の投資家に購入されたくないという事情があるため、資金調達の手段が限られます。それにより、事業の拡大や新規事業の立ち上げが難しくなるケースも見られます。

5. オーナー企業経営を成功させるためのポイント

オーナー企業経営を成功させるためには、3つのポイントがあります。これらのポイントを踏まえて、企業経営を行うことが大切です。

5-1. 後継者の育成を計画的に行う

オーナー企業は経営者に依存した経営になるため、後継者の育成は重要な課題です。後継者の育成が行われないと、経営者が引退や急逝した場合、経営に大きな問題が生じます
後継者の育成計画は早期から準備を進めましょう。また、親族の関わることが多いオーナー企業は、親族間で問題が起こらないよう事前に調整しておく必要もあります。

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5-2. ステークホルダーとの関係を重視する

ステークホルダーとは、株主や従業員、取引先から地域の方々まで、企業に関わる利害関係者を指す言葉です。オーナー企業の場合、ステークホルダーとの関係構築が成功につながるポイントになります。
なかでも、取引先や地域社会とのつながりを重視することで、長期的な関係が築かれ、企業が持続的に成長します。経営者が自ら顧客や地域社会と接することで、企業イメージをアップさせることが可能です。

5-3. 外部の専門家のアドバイスを受ける

オーナー企業の経営において、外部の専門家のアドバイスを受けることは重要な意味を持ちます。経営者の権限が強く、経営者の判断ミスがそのまま会社の危機につながるため、あらゆるリスクを考慮に入れた経営が求められます
経営者が一人で判断することは難しいため、税理士や弁護士といった外部の専門家のアドバイスを受けながら進めましょう。定期的に専門家のアドバイスを受けることで経営が安定します。

6. オーナー企業において重要な事業承継対策

オーナー企業において、事業承継は非常に重要です。前述したように、経営者の交代がうまくいかなければ企業存続の危機になる可能性もあります。しかし、多くのオーナー企業は計画的に事業承継を実施できていないのが現状です。
ここでは、事業承継をスムーズに行うための対策を紹介します。

6-1. 中長期的な経営計画を策定する

事業承継を行う場合、まず企業の中長期的な経営計画を策定し、どのタイミングで事業を承継させるか考えなければなりません。
中長期的な計画を立てることで、今後の目標が設定できます。不足している部分も明確になるので、後継者に引継ぎがしやすくなるでしょう
また、事業を承継する側としても、自分がどの時期に事業を承継することになるのかがわかるので、準備がしやすいというメリットもあります。

6-2. 早い時期に後継者を選定しておく

後継者の育成には時間がかかるため、早い時期に後継者を選定しておかなければなりません。
オーナー企業の場合、親族や従業員から後継者を探すケースが多く見られますが、後継者を選定する際は、経営能力があるかどうかだけでなく、他の親族や従業員からの信認があるかどうかという点が重要です。信認を得られるための説得に時間がかかることも考えられるでしょう。
後継者が見つからない場合は外部からの招へいやM&Aの検討も必要になってきます。その場合は、親族や従業員から後継者候補を探す場合に比べてさらに時間がかかるため、選択肢を広げるという意味でも、早い時期から後継者を探し始めることは重要といえます。

6-3. 事業承継の時期を決定し準備を進める

後継者が決まったら、育成を始めつつ事業承継の時期を決定します。
事業承継の準備には、育成期間も含めて5〜10年は必要だといわれています。他の親族の同意を取るために、事前に親族内での合意形成を行うための時間も確保しなければなりません。
事業承継の時期が決まれば、後継者もそのための準備を進めることが可能になります。育成期間の過ごし方を、現在の経営者と相談して決めていきます。

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7. まとめ

近年、主に中小企業の間で後継者が不足する問題が深刻化しています。親族や従業員を対象とした事業承継だけでなく、M&Aも含めて検討することにより事業承継の実現可能性を高めることが可能です。
ただし、M&Aを含めた事業承継を実行する際には専門的な知識が必要となります。専門家のアドバイスを受けながら進めるとスムーズに実施できるでしょう。
M&Aキャピタルパートナーズは、M&A仲介会社として売り手と買い手の企業の間に立ち、M&Aの成立に向けたアドバイザリー業務をサービスとして提供しています。
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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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