プロラタ方式とは? 種類やメリット、注意すべきポイントを解説

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プロラタ方式について

プロラタ方式とは、複数の金融機関から借入をしている企業が、借入額に応じて返済額を按分する返済手法です。返済条件の変更時に各金融機関への返済を公平に進めるために用いられ、残高プロラタと信用プロラタの2種類があります。

プロラタ方式を検討する場面では、どの基準で返済額を分けるのか、金融機関ごとの利害をどう調整するのかが分かりにくくなりがちです。借入残高を基準にする方法と無担保部分を重視する方法があり、どちらを採用するかで各金融機関にとっての有利不利も変わります。返済条件の公平性を保ちながら全行一致で進めることを押さえることが重要です。

本記事では、プロラタ方式の種類やメリット、注意点について解説します。

また、M&Aの意味や基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


プロラタ方式とは

プロラタ方式は、「比例して按分する」という意味の「pro rata」に由来した言葉です。複数の金融機関から借入をしている企業が、借入額に比例する形で返済額を決定することを意味します。
返済条件を変更することを「リスケジュール」といい、すべての金融機関に対して同時に返済を行っていくことで、不平等にならないようにすることが主な目的です。

2種類のプロラタ方式と計算方法

プロラタ方式には、「残高プロラタ」と「信用プロラタ」の2種類があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

残高プロラタ

残高プロラタは、各金融機関からの借入残高をもとに返済額を決める方式のプロラタです。次の例のように、借入残高が多い金融機関の比率が最も高くなるため、返済の方法がイメージしやすいでしょう。プロラタを実行する場合は、一般的に残高プロラタが採用されます。

例)借入額が合計1,000万円、月々の返済額が20万円の場合

金融機関A 金融機関B 金融機関C
借入額 500万円 300万円 200万円
借入残高に対する
比率
50% 30% 20%
毎月の返済額 10万円
(20万円 × 50%)
6万円
(20万円 × 30%)
4万円
(20万円 × 20%)

信用プロラタ

信用プロラタは、各金融機関の借入残高のうち、無担保部分の返済を優先する方式のプロラタです。「無担保」とは、預金や不動産などの担保が提供されていないことで、債権回収の保証が無い状態を意味します。

例)借入額が合計1,000万円、月々の返済額が20万円の場合

金融機関A 金融機関B 金融機関C
借入額 500万円 300万円 200万円
担保金額 200万円 担保なし 担保なし
無担保部分の
借入残高
300万円 300万円 200万円
無担保部分の
合計残高(800万円)に対する比率
37.5% 37.5% 25%
毎月の返済額 7万5,000円
(20万円 × 37.5%)
7万5,000円
(20万円 × 37.5%)
5万円
(20万円 × 25%)

担保が無い状態の借入は、担保の設定がある借入に比べて「信用度」が低くなるため、信用プロラタでは無担保部分を優先的に返済します。そのため、担保の設定がある融資を行っている金融機関は、残高プロラタのほうが有利になります。
一方で、担保の設定が無い融資を行っている金融機関にとっては、信用プロラタのほうが有利です。

プロラタ方式のメリット

プロラタ方式のメリットは、金融機関からの融資が受けやすくなることです。
プロラタ方式では、すべての金融機関に対して一斉に返済が行われます。金融機関の立場になると、返済を後回しにされることがなくなり、融資を行うハードルが下がります。結果的に、スムーズな資金調達や融資額の増加につながる可能性があるでしょう。
普段、取引を行っていない金融機関から信用を得やすくなるのもメリットです。

プロラタ方式のポイント・注意点

プロラタ方式による返済を実行するためには、各金融機関の協力が不可欠です。交渉がスムーズに進むよう、ポイントをしっかりと押さえておきましょう。

不平等な返済に注意する

プロラタ方式の注意点として、不平等な返済条件にならないようにすることがあげられます。
返済割合が不平等な設定になっていると、金融機関の間でトラブルになる可能性があります。また、不平等感が残る条件では、そもそもプロラタ方式による返済を金融機関に受け入れてもらえないでしょう。公平性を保つには、税理士や会社の経理担当への相談・交渉が欠かせません。
また、残高プロラタ方式・信用プロラタ方式のどちらを選択しても、それ以降、すべての金融機関が足並みを揃える必要が出てくる点にも注意が必要です。例えば、追加融資が必要になった場合に、一部の金融機関が反対すると実現が難しくなります。

全行一致で返済を開始する

プロラタ方式では「全行一致」が原則となり、すべての金融機関に対して同時に返済を終える必要があります
弁護士やM&A仲介会社など専門家にアドバイスを受けながら、全行一致での返済を目指しましょう。足並みが揃わないと、不公平が生まれてしまいます。

プロラタ方式での返済を交渉する手順や流れ

プロラタ方式による返済を交渉する手順は、次のとおりです。借入先の金融機関と交渉を実施する際は、専門家に依頼したほうが有利に進められます

  1. 税理士や公認会計士などに各金融機関の借入残高の確認を依頼
  2. 弁護士などの専門家同席のうえで、借入先の金融機関へプロラタ方式での返済を打診
  3. 各金融機関と相談しながら返済計画を調整
  4. すべての金融機関に対して一斉に返済を開始

まずは、現時点で各金融機関にどれだけの借入残高があるのかを確認します。税理士や公認会計士などの専門家に確認を依頼すると良いでしょう。
借入残高が確認できたら、専門家同席のもと、金融機関へプロラタ方式での返済に同意してもらうよう交渉を行います。その際、一度に複数の金融機関と協議することで公平性を保つことができます。
また、交渉時に専門家の同席を求めることには、経営者にとって次のようなメリットがあります。

  • 交渉力が高まる
  • 精神的な余裕が生まれる
  • 本業に専念できる

金融機関にとっても、客観的な立場での意見を聞けることはメリットになるでしょう。
交渉が成立したら、各金融機関と個別に返済計画を調整し、全行一致での返済になるよう計画通りに返済を進めます。

まとめ

プロラタ方式は、複数の金融機関への返済額を借入額に応じて按分し、公平性を保ちながら返済を進めるための手法です。残高プロラタと信用プロラタの2種類があり、担保の有無や借入状況によって各金融機関にとっての有利不利が変わります。不平等な条件は金融機関間の調整を難しくし、全行一致で進められない場合は返済計画に支障が出るおそれがあります。実行時は返済条件の妥当性を整理し、自社の借入状況や返済余力も踏まえて慎重に進めることが重要です。



よくある質問

  • プロラタ方式とは何ですか?
  • 複数の金融機関から借入をしている企業が、借入額に応じて返済額を按分する返済手法です。
  • プロラタ方式にはどのような種類がありますか?
  • 借入残高をもとに返済額を決める残高プロラタと、無担保部分の返済を優先する信用プロラタの2種類があります。
  • 残高プロラタとは何ですか?
  • 各金融機関の借入残高に比例して返済額を決める方式で、一般的に採用されることが多いプロラタです。
  • 信用プロラタとは何ですか?
  • 各金融機関の借入残高のうち、無担保部分を基準に返済額を決める方式です。
  • プロラタ方式のメリットは何ですか?
  • すべての金融機関に対して一斉に返済を進めるため公平性を保ちやすく、金融機関からの融資が受けやすくなる点です。
  • プロラタ方式で注意すべき点は何ですか?
  • 不平等な返済条件にならないようにすることと、全行一致で返済を開始・継続する必要がある点です。
  • プロラタ方式での返済はどのように進めますか?
  • 借入残高を確認したうえで金融機関へ打診し、各行と返済計画を調整して、すべての金融機関に対して一斉に返済を開始します。

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