資本業務提携とは? メリットやデメリットなど わかりやすく解説

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業務提携の1つの手法である「資本業務提携」。資本業務提携は、業務提携に比べ強固の契約となり成長スピードの加速といったさまざまなメリットを得ることができます。ですが、もちろんメリットだけではなくデメリットも存在しておりますので、資本業務提携を行う前に、メリット、デメリットを理解しておきましょう。

この記事では、資本業務提携とは何なのかやメリット、デメリット、手続の種類などについて解説しています。

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資本業務提携とは?

資本業務提携のイメージ

資本業務提携は、業務提携に伴い、対象会社に対して資金注入を、提携先に対して議決権を与える手法です。資本提携により、業務提携という単なる契約関係より強固な関係性を構築することが出来ます。資本提携を行うときは、協力内容を明確にするため、業務提携契約を締結することが一般的です。

①上場企業同士の資本業務提携

上場企業同士の資本業務提携は、相互に第三者割当増資を行い、株式持ち合いとなる場合が多いです。また、株式会社ではなく合弁会社を設立して、折半で出資する形での資本業務提携のケースも存在します。

②上場企業と未上場企業の資本業務提携

上場企業と未上場企業の資本業務提携は、未上場企業が株式譲渡や第三者割当増資により上場企業の出資を受け入れて上場企業グループ入りするケースが多く、将来的には完全子会社となる場合が多いです。

資本業務提携のメリット

資本業務提携のメリットとしては、大きく以下の3つで説明が可能です。

①成長スピードの加速

資本業務提携のメリットとして「時間を買う」と表現されることが多いですが、これは「当自社単独で本業の強化や新規参入による多角化に費やす時間を、資本業務提携において支払う対価で購入する」ということを意味しています。すなわち、ゼロから事業を育てていくのは非常に時間がかかるのに対し、既に経営資源と存在している営業基盤を持つ企業と資本業務提携をすれば一気に当該事業におけるポジショニングを確立し、競合他社と伍することが可能になり、利益の獲得機会を逃さずに済むというメリットがあります。

②経営資源の獲得

自社単独では早期の獲得が困難である経営資源を、資本業務提携をすることによって獲得出来るメリットがあり、資本業務提携によって獲得が可能な代表的な経営資源は以下の4つが挙げられます。

  1. ❶技術資源

    製品技術、生産技術、ノウハウ、特許 等

  2. ❷生産資源

    工場、設備、生産システム、生産ノウハウ 等

  3. ❸販売資源

    販売チャネル、店舗、倉庫、ブランド 等

  4. ❹人材資源

    経営者、研究者、技術者、販売員 等

③シナジー効果

シナジー効果のイメージ

シナジー効果とは、資本業務提携によって二つ以上の企業ないし事業が統合して運営されることで、それぞれの企業ないし事業を単独で運営するよりも大きな価値を創出することであり、資本業務提携の大きなメリットとなります。シナジー効果の例としては、以下のようなものが考えられます。

分類 内容
売上シナジー

クロスセリング
アップセリング
販売チャネル
ブランド効果

コストシナジー

営業拠点の統廃合
生産拠点の一部閉鎖
価格交渉力の強化
間接部門費(重複部分)の削減
物流コストの削減

研究開発シナジー

研究開発投資力強化
技術・ノウハウの複合

財務シナジー

他人資本調達コストの削減
他人資本調達余力の増加

また、業務提携と比較した場合のメリットとしては、株式の取得により資本関係をもつことで、企業と企業が強く結びつくことになります。お互いに出資を行う、あるいは共同で合弁会社を設立するというように、単に言葉だけの契約関係のみで結びついた場合と比べて、はるかに強固な企業関係が作られます。

その為、お互いのコミットメントのレベルは高く、困難に直面してもそれを何とか乗り越えようとするお互いの強い意志が働くことになります。長期的かつ戦略的に重要なアライアンスを行う場合には、資本関係を伴うケースが数多く見られます。

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資本業務提携のデメリット

資本関係をもつことによって強固な企業関係の構築が可能になる一方、いったん構築した資本関係を解消することや、設立した合弁会社を解消することは容易ではなく、統合や買収を行った企業を元の独立した関係に戻すことは困難です。このように資本提携は業務提携と比べて柔軟性に欠ける点がデメリットとなります。

資本業務提携の主要な手続

①業務提携契約

販売提携のイメージ

業務提携とは、資本の移動を伴わない提携であり、企業が協力して事業を行うことで、お互いが資金、技術、人材等の経営資源を提供しあって、シナジー効果を得ることによって、事業競争力の強化を目指すものです。協力関係の具体例としては研究・製品開発や生産、マーケティング、販売、資金調達、人材交流などの幅広い分野があります。業務提携を行う場合には、企業間で業務提携契約を締結する必要がありますが、業務提携契約において基本となる条項は以下の6つです。

  1. ❶定義

    経営資源を特定する

  2. ❷実施許諾

    経営資源の提供方法を定める

  3. ❸制約条件

    経営資源の使用範囲を定める

  4. ❹対価

    経営資源の価値を定める

  5. ❺保証と補償

    経営資源の品質保証を定める

  6. ❻終結

    経営資源の回収方法を定める

②株式譲渡契約

株式譲渡契約のイメージ

株式譲渡においては、売手と買手との間で、対象会社の株式の売買について合意する株式譲渡契約が締結されることとなります。株式譲渡契約も売買契約の一つである為、本来であれば売買の対象物とその引渡・取得時期、売買代金の額や支払方法についての合意が規定されれば足りるはずです。しかし、株式譲渡という取引は最終的に実行に至るまでに一定の期間を要することが一般であることや、それにもかかわらず、実質的な対象物である「会社」が、日々運営される中でその内容が刻々と変化するものであることなど、単純な売買契約とは異なる側面を有しており、これらを考慮して、株式譲渡契約には一般的な売買契約と比べて様々な特殊な規定が置かれ、かつ、従業員や取引先についてなど多くのことを定めるのが通例です。株式譲渡契約において基本となる条項は以下の7点です。

  1. ❶取引の概要

    目的物となる株式の発行会社、引渡・取得する株式の種類及び数を特定し、その金額や譲渡日(クロージング日)を定めます。

  2. ❷クロージングの前提条件

    クロージングが行われる前提として満たされていなければならない条件が規定されます。

  3. ❸表明および保証

    売手・買手双方が相手方に対し、株式譲渡契約を締結する権限を保有していること等を表明し、保証することに加え、売手が買手に対し、開示した情報が正確であること、契約締結時点やクロージング時点において、対象会社の事業・資産の内容等が一定の状態にあることを表明し、保証することが規定されます。

  4. ❹クロージング前の義務

    取引を実行するために必要な手続きの履践、取引の実行前に改善すべき問題点への対応等について規定されます。

  5. ❺クロージング前、クロージング後の義務

    クロージング後に売手・買手双方が守らなければならない事項について規定されます。クロージング後であっても、この内容に違反すれば、契約違反となります。

  6. ❻補償・損害賠償

    売手や買手が、上記③の表明・保証に違反した場合、又は上記④や⑤の株式譲渡契約上の義務に違反した場合に、相手方が被った損害を補償又は賠償することが規定されます。

  7. ❼解除

    表明・保証違反や義務違反があった場合等に契約を解除出来ることが規定されるが、一般的にはクロージングの実施以降は両当事者いずれからも解除ができないこととされます。

③第三者割当増資契約

第三者割当増資契約のイメージ

第三者割当増資とは、全ての株主に平等に株式の割当てを受ける権利を与えない形でなされる募集株式の発行方法のうち、特定の第三者に対してのみ募集株式の申込みの勧誘および割当てを行う手法です。第三者割当増資において締結される契約は株式引受契約ですが、株式引受契約においては割り当てる株式の種類・数、払込金額等の発行条件についての合意がなされます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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