オーガニックグロースとは? メリット・デメリットやM&Aグロースとの違いを解説

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競合他社との市場競争においては、オーガニックグロースを意識し経営基盤を安定させることが重要です。一方で、短期間での成長を要する場合にはM&Aグロースを採用する必要も出てくるでしょう。
この記事では、オーガニックグロースの概要や対義語となるM&Aグロースとの違いを説明すると共に、オーガニックグロースを採用するメリット・デメリットについても解説します。

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1. オーガニックグロースとは?

オーガニックグロースとは、企業が自社で生み出した経営資源を活用し、その価値を向上させて自律的かつ持続的に成長していくことを意味します。
オーガニックグロースは、通常の売上成長率より為替変動やM&Aなどの影響によって生じた損益を除き算出されます。そのため、オーガニックグロースによって算出される成長率は、既存の商品やサービス、技術やビジネス発展に有益なノウハウをはじめとする経営資源がどれだけ活用されているかの判断指標にもなりえるのです。

2. オーガニックグロースの対義語「M&Aグロース」との違い

比較項目 オーガニックグロース M&Aグロース
成長のための経営資源 内部 外部
成長速度 ゆるやか 速い
必要コスト 自己資金がメインのため少ない 多い
経営方針 自社のみ 投資家の意見も反映される
新規事業 立ち上げにくい 立ち上げやすい
方針の転換 しやすい しにくい

企業価値を向上させる手法のうち、オーガニックグロースと反対の意味を持つアプローチがM&Aグロースです。
M&Aグロースとは、企業合併や買収などM&Aによって、他社の事業や製品、サービスなどの経営資源を取り込み収益を拡大させる成長戦略です。M&Aグロースはノン・オーガニックグロースと呼ばれることもあります。
オーガニックグロースとM&Aグロースとの違いは、活用する経営資源が企業「内部」にあるか「外部」にあるかです。例えば、オーガニックグロースでは自己資金・資源を利用するため、成長速度はゆるやかな傾向にあります。ただし、自社のみで方針を決定できるため、比較的自由度が高く、中長期的な視点からの戦略を立てやすくなります。
実際には、オーガニックグロースのみ、M&Aグロースのみには限定せず、企業成長の段階に応じて併用しながら成長を目指すことも可能です。企業にとっては、どちらも欠かせない戦略といえるでしょう。

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3. オーガニックグロースのメリット

オーガニックグロースには主に以下の4つのメリットがあります。

  • 資金面のリスクが抑えられる
  • 会社の一貫性を保てる
  • 事業内容の転換がしやすい
  • 仮説検証をしながら中長期的に成長を目指せる

3-1. 資金面のリスクが抑えられる

オーガニックグロースの代表的なメリットは、資金面のリスクを抑えられることです。なぜなら、オーガニックグロースでは自社の経営資源のみで事業を成長させるので、M&Aグロースと比べて資金面のリスクが少なくなるからです。
M&Aを実施するには、外部の専門家の支援を受けることも含めて多額の費用を要するため、失敗した際の損失は膨大なものとなるでしょう。オーガニックグロースでは、コストやリスクを抑えた企業成長が可能となります。
また、M&Aグロースでは投資家からの新規の資金調達が想定されますが、「お金を出してもらう」ということは「口を挟まれる」ことを覚悟しなければなりません。このように、資金面のリスクが少ないことで経営の自由度を高められるという効果をもたらします。

3-2. 会社の一貫性を保てる

オーガニックグロースでは、会社の一貫性を保てることも重要なポイントです。外部からの干渉が無く社内のみで完結するため、自社の経営理念や社内の規則や企業風土、事業の方向性が乱れにくく、一貫性をもって改善を進められるからです。
社内の雰囲気や良い点をそのまま活かして成長につなげられる点もメリットといえるでしょう。

3-3. 事業内容の転換がしやすい

オーガニックグロースでは、社内の判断で事業内容を転換しやすい点も魅力といえます。
例えば、投資家から資金調達を受けている場合には、事業内容を大きく方向転換するためには投資家からの承諾が必要となりますし、方向転換を志向すること自体思うような成果が上がっていないということであり、その責任の追及も受けることになります。そのため、投資家とのコミュニケーションをより密にしておく必要があります。
一方で、社内のみで完結するオーガニックグロースでは、意思決定を自社で行えるため、方針決定や事業内容の転換がしやすいことが特徴です。

3-4. 仮説検証をしながら中長期的に成長を目指せる

事業を進めながら仮説検証を繰り返し、中長期的に成長を目指せる点もオーガニックグロースのメリットです。
オーガニックグロースではスモールスケールから事業を始めやすく、PDCAサイクルを回しやすいからです。また、投資家が介入しないので、目先の成果にこだわらず中長期的な経営視点からビジネスの成長を目指せることも利点といえるでしょう。

4. オーガニックグロースを採用するデメリット

オーガニックグロースには主に以下の4つのデメリットがあります。

  • 大きな改革が難しい
  • 成長に時間がかかる
  • 資金不足・人材不足に陥りやすい
  • 信用の獲得が課題になりやすい

4-1. 大きな改革が難しい

オーガニックグロースでは、抜本的な改革やスピーディな方針転換ができない点に留意が必要です。あくまで内部の資源を利用する手法であるため、市場において大きな技術革新があった場合や社会情勢が急変した場合などに対応しにくいからです。
社内において大きな改革や早急な変化が求められる場合には、オーガニックグロースでは対応しきれず市場競争から脱落するおそれもあります。

4-2. 成長に時間がかかる

オーガニックグロースでは、成長するための時間がかかり、限られた期間内に期待する成果をあげられない可能性があります。社内の限られた経営資源のみで事業を成長させなければならないからです。
自社のブランドが認知され、商品やサービスが世の中に浸透するまでに時間がかかるケースもある点に留意してください。
一方で、M&Aグロースでは、他社の社内資源を短期間で取り込み自社に活用可能です。オーガニックグロースに比べて多額の投資は必要になるものの、その分、相手方企業が所有する技術やビジネス上のノウハウ、取引先や人材、土地や設備などの資源を一気に取り込むことができます。
また、他社資源を取り込めば、広告やマーケティング、営業を通じた認知度向上の時間短縮も期待できます。そのため、短期間で大きな成長が望めるでしょう。オーガニックグロースと比較して、まさに「お金で時間を買う」ことができるのです。

4-3. 資金不足・人材不足に陥りやすい

オーガニックグロースでは、早急に売上を立てられなければ資金不足や人材不足に陥りやすいことにも注意が必要です。
売上が出ていてもキャッシュフローが回らず、倒産や廃業のリスクに直面するケースもあるでしょう。また、資金不足によって雇用のための資金が捻出できず、優秀な人材確保が難しくなることも考えられます。
M&Aや資金調達などの手段をとれば、優秀な人材も確保しやすくなります。この点、オーガニックグロースでは、成果が出るまでに時間がかかることから、特に資金繰りに関する計画性が重要となるでしょう。

4-4. 信用の獲得が課題になりやすい

企業や商品、サービスに関する信頼獲得が課題になりやすい点もデメリットといえます。オーガニックグロースでは自社の経営資源が頼りのため、広告やマーケティングにかけられる予算も限られるからです。
このような課題は、特にスタートアップのような創業から間もない企業で顕著に表れます。企業やサービスへの信用力が上がるまでに時間がかかるケースが少なくないため、どのようにして信用力を獲得すべきかが大きな課題です。

5. まとめ

オーガニックグロースは、自社の持つ経営資源を活用し、その価値を向上させて自律的かつ持続的に成長していくことを意味します。経営方針や成長戦略の一つとして用いられる一方で、M&Aと比較してメリット・デメリットの両面が存在します。
オーガニックグロースは中長期的な経営戦略との親和性が高いため、自社の経営計画や成長フェーズに見合った戦略を採ることが大切です。一方で、M&Aグロースを選択する場合は、パートナー企業の調査や交渉などにおいて、M&Aの専門家へ相談することでその精度を高められます。
東証プライム上場のM&Aキャピタルパートナーズでは、専任のアドバイザーがご相談から成約まで寄り添ってサポートします。M&Aグロースをご検討中のオーナー経営者様は、どうぞ気軽にご相談ください。

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オーガニックグロースに関するよくある質問

ここからは、オーガニックグロースに関してお客様から寄せられるご質問をご紹介いたします。
  • ノン・オーガニックグロースとは?
  • ノン・オーガニックグロースとは、M&Aグロースのことです。オーガニックグロースとは反対の企業戦略アプローチであり、企業買収や合併などM&Aを通じた他社資源をもとに自社の成長や企業価値の向上を促す手法です。
    他社の力を借りる分、リスクが高くなりますが、短期間で大きな成長が見込める点にメリットがあります。

  • オーガニックグロースが向いている企業は?
  • オーガニックグロースは、特に創業から間もないスタートアップ企業に向いています。創業当初は認知度や信用力が低いため、外部投資家からの資金調達が困難です。
    一方で、オーガニックグロースでは柔軟に事業内容を決定でき、仮説と検証を繰り返しながら事業を成長させることが可能です。オーガニックグロースによって事業を軌道に乗せて信用を獲得し、初めてM&Aグロースを採用できる段階に至ります。

監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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