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事業承継対策について
事業承継対策は、企業の存続と成長を支える中核的な取り組みです。経営者の高齢化や突然の退任に備え、後継者不在・相続トラブル・税負担といった経営課題を、計画と準備で先回りして潰すために行います。対策は「企業を存続させる」「相続トラブルを防ぐ」「節税対策につながる」の3つに整理でき、進め方は情報収集→後継者の選定→事業承継計画書の作成が骨格になります。
事業承継対策は、企業の安定的な未来を築くための戦略的プロセスです。経営者の高齢化や突然の引退に備え、後継者の選定、相続トラブルの防止、税負担の軽減といった課題に、計画的に対応していきます。
本記事では、「M&Aとは?」の基本的な理解を踏まえたうえで、事業承継を成功へ導くために「いつ」「何を基準に」検討を始めるべきかについて、わかりやすく整理して解説します。
事業承継について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
事業承継対策はなぜ必要?
事業承継は企業の未来を見据え、安定した経営を継続するために不可欠です。対策が必要な理由は、主に次のとおりです。
事業承継対策の重要性と必要な対策にまつわる要因を、順番に確認していきましょう。
企業を存続させるため
事業承継対策は、経営者の急な退任や、不在に伴う経営の不安定化を防ぎます。
事業承継においても、経営者の高齢化は深刻な問題です。経営者に関するリスクを未然に回避するためには「事業承継計画」が必要です。また、将来にわたる企業の成長と継続のためにも、早期の計画立案と実行が求められます。
事業承継は、現経営者からの経営体制の変更だけでなく、さらなる成長や発展のために必要なターニングポイントです。
相続トラブルを防ぐため
事業承継は、企業の安定性と信頼性を維持するために重要なプロセスです。
一方で、事業承継計画が不十分な場合、相続に関するトラブルが生じ、企業の運営に影響を及ぼす恐れがあります。
事業承継を円滑に進めるためには、「後継者の選定」と「相続する資産(株式や不動産など)の明確化」が必要です。これにより、相続トラブルの発生を未然に防ぎ、企業の成長と継続を支えられます。
相続トラブルは企業内部だけでなく、社外にも影響を及ぼす可能性があるため、事業承継の対策を講じ、相続トラブルの予防に取り組むことが肝要です。
節税対策につながるため
適切な事業承継計画は、相続税や贈与税などの税負担を軽減する効果があります。
計画的な事業承継によって事業承継税制の適用を受けられるため、経済的負担を抑えつつ、事業の継続と成長を図ることが可能です。
事業承継税制は、事業承継が発生するときに後継者にかかる税金が猶予、もしくは免除される制度です。先代経営者の存命中に事業承継を実施する場合は「贈与税」、死亡によって事業承継が発生する場合は「相続税」が、猶予または免税されます。
事業承継対策の手順
事業承継は、将来にわたって企業の成長を継続するための重要なステップです。ここでは、事業承継対策の基本的な手順を解説します。
情報収集の実施
事業承継を成功させるためには、的確な情報収集が不可欠です。
必要な情報には、「後継者の選定」「現在の経営状況の把握」「企業の資産状況の全面的な理解」などが含まれます。調査の対象は、有形固定資産や無形固定資産などです。
合わせて、自社株式の保有状況や個人保証の現状も把握しておく必要があります。これらの情報をもとに、後継者に適切な環境を整え、事業承継の準備を行います。
後継者の選定
事業承継計画のなかで後継者の選定は、次の重要なステップです。
親族内承継や社内承継、M&Aなどの主要な承継形態を検討し、関係者の理解と支持を得ながら、最適な後継者を選定します。この過程は、スムーズな事業承継のために必要です。
どのような方法で事業承継を実施する場合でも、関係者から理解を得ることが重要です。M&Aを選択した場合、買い手がつく企業になるためには、魅力的な会社として評価されるように取り組んでおかなければなりません。
事業承継計画書の作成
後継者が決定したら、事業承継計画書の作成に取りかかります。
この計画書には、中長期の事業計画、後継者への教育プログラムなど、具体的な内容を記載します。また、事業承継税制(特例措置)の適用にも計画書の作成が必要です。
計画書の作成を通じて、後継者や関係者間で「事業承継に関する共通認識」を持つことが可能です。認識の差を埋めたり、齟齬(そご)を回避するためにも役立ち、効果的な事業承継のための重要な役割を果たします。
事業承継対策を実施する際のポイント・注意点
事業承継には、「親族内承継」「社内承継」「M&A」「株式公開」という4つの主要な方法が存在します。会社の状況や将来のビジョンによって、最適な方法がそれぞれ異なります。
下表は、これらの方法の特徴やメリット・デメリットをまとめたものです。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 親族内承継 |
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| 社内承継 |
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| M&A |
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| 株式公開 |
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上記を参考に、自社に適した事業承継方法を検討しましょう。
主な事業承継の方法
事業承継には多様な方法があり、それぞれに特徴があります。ここでは、中小企業において特に重要な、自社株式対策を含む主要な方法について解説します。
自社株式対策を実施する
事業承継における自社株式対策は、中小企業にとって重要です。従業員持株会の設立や好意的な株主への自社株式の移動、役員退職慰労金の給付などにより、株価を下げて相続や贈与による税負担の軽減が図れます。
事前に対策をしておけば、現経営者から暦年贈与で株式を異動しておくことも可能です。さらに、事業承継税制や事業承継補助金の活用も有効な手段です。
ただし、M&Aを選択する場合、不明株の存在や株主の反対による譲渡の困難さなど、複雑な問題に直面する可能性があります。
そのため、株式の集約も検討しておかなければなりません。株式の集約は、経営の安定化や事業承継の円滑化を図るための重要な手段です。これにより、経営者は株式を一元化し、経営の効率化を図ることができます。
事前に後継者の選定・育成に着手する
早期計画と早めの後継者育成により、必要なスキルと自信を身につけ、スムーズな事業承継が実現できます。
しかし、株式会社東京商工リサーチの「2022年「全国社長の年齢」調査」によると、多くの企業で後継者不在が経営課題となっており、2022年における全国の社長の平均年齢は63.02歳と、過去最高であることがわかっています。
一般的に、後継者の育成には数年単位の年月が必要です。また、後継者自身も経営者として働くための準備期間が欠かせません。
スムーズな事業承継のためには、後継者候補と話し合いを重ねる必要があります。その際、「後継者視点」で物事を考えることが重要です。後継者はさまざまな不安を抱えているため、後継者の不安を軽減できるサポートも必要です。
事業承継対策の相談先
事業承継計画を進めるためには、適切な相談先を選ぶことが成功への第一歩です。主な相談先は、以下のとおりです。
いずれも、会社に合ったアドバイスが期待できます。自社の目的や状況に合致する相談先を検討するためにも、詳細を一つずつ見ていきましょう。
顧問税理士
事業承継計画には、顧問税理士との緊密な連携が必要です。
顧問税理士は企業の財務状況に詳しく、事業承継に関する基本的な方向性やアドバイスを提供できます。事業承継税制に対する知識も豊富で、相続税や贈与税の節税対策も行います。
ただし、専門知識の有無を確認し、必要に応じて他の専門家との併用を検討することが重要です。
事業承継引継ぎセンター
事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センターは、中小企業庁が設置する専門的な相談窓口です。
中小企業や個人事業主が直面する事業承継の問題に対し、無料で相談サービスを提供しています。具体的な情報やノウハウが必要な場合には、これらの公的支援機関を活用すると良いでしょう。
事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センターは、日本全国にあります。後継者不在の企業や小規模事業者と、譲渡希望事業者とのマッチングサービスも実施しています。
金融機関
日常的に接している金融機関は、自社の経営状態を理解したうえでのアドバイスを期待できます。
事業承継アドバイザーの資格を持った行員や、事業承継に関するセミナーの開催など、事業承継に力を入れている金融機関もありますが、提案されるプランの妥当性には注意が必要です。
事業承継に強いM&A仲介・コンサルティング会社
M&A支援を行う民間機関には、M&A仲介業者とM&Aコンサルティング会社があります。
これらは、企業の売買や合併を専門的にサポートする専門家であり、企業の戦略立案や経営課題の解決に関するアドバイスを提供します。
M&Aによる事業承継を検討している場合には、こうした専門家のサポートが重要です。
まとめ
企業の未来を託す事業承継は、単なる引き継ぎではなく、経営の持続と成長を見据えた戦略的な意思決定です。適切な時期に後継者の選定・育成を行い、税制や支援制度を活用しながら、自社に最適な承継方法を見極めることが重要です。また、株式対策や事業承継計画書の作成など、準備すべきステップを丁寧に実行することで、承継後のトラブルを未然に防げます。また、自社の実情に合わせた対策を講じるためには、税理士やM&A仲介会社といった専門家の力を借りることも有効です。
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よくある質問
- なぜ事業承継対策が必要なのですか?
- 事業承継対策が必要なのは、経営者の急な退任や不在による経営の不安定化を防ぎ、将来にわたる企業の成長と継続を支えるためです。また、計画が不十分だと相続に関するトラブルが生じ、企業運営に影響を及ぼす恐れがあります。さらに、相続税や贈与税といった税負担が事業承継の障壁になることもあるため、対策を早期に進めておくことが重要です。
- 事業承継対策の基本的な手順を教えてください。
- 事業承継対策は、情報収集→後継者の選定→事業承継計画書の作成という流れで進めます。まず現状を把握し、次に誰に承継するかを固め、最後に計画書で中長期の進め方を具体化します。事業承継は企業の未来を見据えた取り組みであるため、場当たり的ではなく、段階を踏んで準備を積み上げることが求められます。
- 企業を存続させるために、事業承継対策はどう役立ちますか?
- 事業承継対策は、経営者の急な退任や不在に伴う経営の不安定化を防ぐために機能します。経営者の高齢化が深刻なリスクになり得る中で、事業承継計画を持つことはリスクの未然回避につながります。事業承継は経営体制の変更にとどまらず、さらなる成長や発展のためのターニングポイントでもあるため、早期の計画立案と実行が重要です。
- 相続トラブルを防ぐために、事業承継対策で押さえるべき点は何ですか?
- 相続トラブルの予防には、後継者の選定と、相続する資産(株式や不動産など)の明確化が重要です。事業承継は企業の安定性と信頼性を維持するためのプロセスですが、計画が不十分だと相続に関するトラブルが生じ、企業の運営に影響を及ぼす恐れがあります。事前に整理しておくことで、トラブルの発生を未然に防ぎ、企業の成長と継続を支えられます。
- 自社株式対策ではどんな対応が重要ですか?
- 中小企業では、自社株式対策が事業承継の重要テーマになります。従業員持株会の設立や好意的な株主への株式移動、役員退職慰労金の給付などで株価を下げ、相続や贈与による税負担の軽減を図る考え方が示されています。暦年贈与で株式を異動しておくことも選択肢になります。また、事業承継税制や事業承継補助金の活用、株式の集約も検討対象となります。
- 後継者の選定・育成はなぜ早めに始めるべきですか?
- 後継者の育成には数年単位の年月が必要で、後継者自身にも経営者として働くための準備期間が欠かせません。円滑に進めるには、後継者候補と話し合いを重ね、「後継者視点」で考えることが重要です。後継者はさまざまな不安を抱えやすいため、不安を軽減できるサポートも含め、早期から準備を積み上げていくことが求められます。
- 事業承継対策の相談先はどこが考えられますか?
- 事業承継計画を進めるには、相談先選びが成功への第一歩になります。主な相談先として、顧問税理士、事業承継引継ぎセンター、金融機関、事業承継に強いM&A仲介・コンサルティング会社が挙げられます。顧問税理士は財務状況に詳しく、事業承継税制や相続税・贈与税の節税対策を含む助言が期待できます。公的窓口や金融機関なども含め、自社の目的や状況に合う先を選ぶことが重要です。
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