累進課税とは? 累進課税の理解、節税へのアプローチについても計算方法を用いて解説

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日本の税金制度の中には、一律の税率を設定せず、課税対象となる所得や、取得した財産をベースに計算される課税価格が一定額を超えると、税率が上がって納税額が増える累進課税制度という税の仕組みがあります。
今回はこの累進課税制度に適用する累進税率について、詳細に説明します。

累進税率

このページのポイント

~累進課税とは?~

日本の税金制度の仕組みで、一律の税率を設定せず、課税対象となる所得や、取得した財産をベースに計算される課税価格が一定額を超えると、税率が上がって納税額が増える課税制度。累進税率には、「単純累進税率」と「超過累進税率」の2種類があり、単純累進税率とは、課税される金額全体を基準にして、一定の税率をかける仕組みなのに対し、超過累進税率では、一定額を基準とし、そこを超過していくごとにそれぞれの税率をかける点が特徴。累進税率が適用される採用される税金としては、「所得税」「相続税」「贈与税」が対象となる。

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1. 累進税率の概要

1-1. 累進税率とは?

累進税率とは累進課税制度における税率のことをいい、税務をしていくうえで把握しておき必要があります。この累進税率を把握しておくことで税金をどれだけ支払うかを把握することができます。そのため、経営者にとっても、累進税率を知っておくことは、節税対策にもつながることがあるため、非常にメリットがあると考えます。

2. 単純累進税率と超過累進税率

累進税率は、設けられた基準に沿って一定額ごとに高い税率をかける仕組みです。この累進税率には以下の2種類があるためそれぞれ説明します。

2-1.  単純累進税率

単純累進税率とは、課税される金額全体を基準にして、一定の税率をかける仕組みをいいます。課税対象となる金額が一定基準を超える度に、その金額全体に該当する税率がかけられる点が単純累進税率の特徴です。
例えば、200万円の課税対象に20%の税率がかかるケースでは、税金は以下のように計算します。
「200万円×20%=40万円」

2-2.  超過累進税率

超過累進税率では、一定額を基準とし、そこを超過していくごとにそれぞれの税率をかける点が特徴です。そのため、単純累進税率のように、課税対象となる金額全体に税率がかかるわけではありません。設けられた基準を超える度に、その分の差額に各基準に応じた税率がかかることに留意が必要です。
例えば、100万円以下の税率が10%、200万円以下の税率20%のケースでは、税金は以下のように計算します。
「100万×10%+(200万-100万)×20%=30万円」
超過累進税率では、単純累進税率と同じ計算をした後、その税金の基準に対応して定められている控除額を差し引けば、超過累進税率で計算した数字と同額を算出することができます。
このように、単純累進税率と超過累進税率では仕組が全く異なるので留意が必要です。

3. 累進税率が適用される採用される税金

日本の税金制度で累進課税方式が適用されている代表的なものは、所得税、相続税および贈与税の3種類で、1887年3月から適用されました。
累進課税では納税者の経済状況に合わせた税負担が行えるため、税率は変わりながらも現在まで継続されています。

3-1.  所得税

所得税とは、個人の所得、つまり収入に対してかかる税金で、所得金額が一定額を超えるごとに税率が変わります。

3-2.  相続税

家族や親族が亡くなると、遺族は財産を相続します。その際に発生する税金が相続税です。相続税は、あまり頻繁に支払うものではありませんが、事前に相続税の累進税率の基準を知っておくことで節税できることが多くあります。

3-3.  贈与税

贈与税とは、生きている人から財産をもらったときにかかる税金です。「毎年1月1日から12月31日までの間にいくらもらったか」を基準に計算します。

4. 相続税の節税対策

ここでは、事業承継などで話が上がることの多い、相続税の節税対策について説明します。
経営者が何らかの財産を残したいと考えているのであれば、あらかじめ課税対象となる取得金額の基準を下げておくことが実務上多く見受けられます。なぜなら、相続税は、経営者が存命中にしか節税できないものであるからです。
相続税の節税対策では、生前贈与や不動産への転化により、相続人の取得総額を下げるという方法が多用されています。また、経営者であれば、事業承継で株式を相続します。株式相続では、被相続人から相続人へ名義変更する必要があります。
さらに、非公開株式であれば、相続時に株価の計算も必要となります。株式相続では一般的な相続よりも、税務を含め、非常に手間がかかることに留意が必要です。

5. まとめ

累進税率および各税金の税率について知ることは正確な税金計算や効果的な節税につながります。経営でのお金のやりくりをスムーズにするためには、税金に関するさまざまな知識を身につけておくことが重要です。また、経営者であれば、累進税率について理解し、必要に応じて税務の専門家である税理士に相談することが望まれます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部 部長公認会計士梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部 部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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