株価の決まり方とは? 仕組みや関係する要因を解説

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株価は、個別企業の業績のみが影響するわけではありません。金利や外国為替、景気動向など、さまざまな要因により、買いたい人と売りたい人の注文価格が重なったときに決定します。大まかな傾向としては、株式を購入したい人が多ければ上がり、購入したい人が少なければ下がります。
本記事では、株価の仕組みや株価の決定に関わる要因について、初心者の方でもわかりやすいように解説します。株価と時価総額の関係や、上場・非上場による株価の決まり方の違いについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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1. 株価の決まり方とは

株価の決まり方
株価の決まり方に影響を与えるのは、株式を購入したい人と売却したい人による需要と供給のバランスです。適切なタイミングで株式の売買を行うには、株価の仕組みや時価総額との関係、上場・非上場による株価の決まり方について理解しておくことが重要です。

1-1. 株価の仕組み

上場株式は、証券取引所で取引されます。株価が決まる要因となるのは、そのときどきの「需要と供給のバランス」です。
株式取引は、企業が発行する株式を売買するもので、株主の責任は出資額を限度とする有限責任となっています。株式市場に出ている注文のうち、購入希望者が多い場合は株価が上昇しますが、売却希望者が多いと株価は下落する傾向です。
それぞれの投資家が企業の将来利益のみならず、キャッシュフローや収益性、1株当たり純資産に対する株価の割安度合い(PBR)、為替や金利の動向、企業が公表したコーポレートイベント(例えばM&Aや増配、自社株買い)等を予想して株式を売買するため、こうした要因により株価は刻々と変動しています。
したがって、株価は長い時間をかけて大きく変化するだけでなく、短期間で急激に価格が変動することも少なくありません。

1-2. 株価と時価総額の関係

時価総額は、企業における株式の価値の総体を示す数値です。以下の計算式により、求められます。

  • 時価総額=現在の株価 × 発行済株式総数

市場価値によって日々変動する株価に、発行済みの株式総数をかけ合わせた「時価総額」をもとに、そのときの企業の市場価値を評価できるため、企業の将来性を見極める際に役立ちます
次の計算式は、A社とB社の時価総額を示したものです。

  • A社:株価 1,000円 × 200株=時価総額 200,000円
  • B社:株価 1,500円 × 100株=時価総額 150,000円

この例では、株価はB社のほうが高くなっていますが、時価総額においてはA社のほうが上回っていることがわかります。
このように、株価だけに着目するよりも、株価と発行済株式総数をもとにした時価総額を確認することで企業分析が行いやすくなります

1-3. 上場・非上場による株価の決まり方の違い

前述のとおり、上場企業は証券取引所での市場取引による需要と供給のバランスによって株価が決まります。一方、非上場企業の株式は、上場企業のように証券取引所での市場取引が行われないため、市場での取引価格がありません
そのため、非上場企業の株価の決まり方は、2つに大別されます。
一つは、同族承継により贈与税や相続税を計算するための決まり方です。

同族承継のための株価の決まり方 特徴
類似業種比準方式 類似業種における上場企業の1株当たりの配当額・利益・純資産を比準して評価する
純資産価額方式 資産や負債を相続税の評価にして、評価差額に係る法人税額を差し引いた純資産価額で評価する

もう一つは、M&Aで譲渡額を算定するときに用いる非上場企業の株価の決まり方です。

M&Aでの株価の決まり方 株式価値 特徴
コスト・アプローチ 簿価純資産法 貸借対照表の純資産 ・算定コストを抑えやすい
・簿価と時価が乖離した資産負債や簿外資産等があると、本来の価値が表れにくい
時価純資産法 ・貸借対照表の資産・負債の時価評価
・簿外資産・負債の時価評価
・算定コストや時間を要しやすい
・対象企業の実態を把握しやすい
マーケット・アプローチ 類似会社比較法 類似した上場会社の利益指標等に対する株価をもとに算定 客観性が高い傾向にある
インカム・アプローチ DCF法 将来期待できる利益・キャッシュフロー ・将来の成長や業績を反映した評価が可能となる
・将来キャッシュフローや割引率等、予測や前提条件の設定が複雑であり、評価にあたり専門性が求められる

M&Aで、企業全体の価値を評価する「バリュエーション」については、こちらで詳しく解説しています。

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2. 株価の決定に関わる要因

株価は個別企業の業績だけでなく、資本市場の動向や国際情勢などのさまざまな要因で変動しています。株式を売買するタイミングは、株価の決定に関わる各要因を確認してから判断しましょう。
株価の上昇や下落に関しては、主に以下の要因が挙げられます。

  • 会社の業績・将来性・人気
  • 金利
  • 外国為替
  • 景気動向
  • 政治・政策
  • 国際情勢
  • 自然災害や天候

それぞれ詳しく解説しますので、順番に理解を深めましょう。

2-1. 会社の業績・将来性・人気

企業の売上や利益などの業績は、株価を決定する重要な要素です。
売上や利益、キャッシュフローが伸びて業績が改善される見込みがあると、配当の増加やキャピタルゲイン(株式の購入価格と売却価格の差により生じる収益)を期待して株式を購入する投資家が増える傾向にあるためです。
株価は「需要と供給のバランス」により決定するため、株式を購入する投資家が増えることで株価が上昇しやすくなります
ただし、好業績であったとしても、投資家から「株価が上がりきっている」「材料は出尽くした」と判断されてしまうと、株価が下落するケースもあります。
株価に影響を与える具体的な要因は、以下のとおりです。

株価の上昇が期待できる 株価の下落につながりやすい
・新製品やサービスの売れ行きが良い
・規制緩和により販路が拡大した
・供給過多で在庫を多く抱えている
・規制緩和で市場競争が激化し売上が減少した

同業種の株価の動きは似る傾向にあるため、業界自体の浮き沈みに着目することも重要です。また、会社の将来性も、株価の決まり方に影響を与えます。現在の会社の業績を踏まえ、将来性の期待が高まると株価は上昇する傾向にありますが、事故や不祥事などが起こると株価は下がりやすくなります。
なお株価は、業績だけなく人気にも左右されるのが通常です。たとえ業績が良くても、多くの人に良い会社であると認識されていなければ、株式を購入する人が増加せず、株価が上がりにくくなるでしょう。

2-2. 金利

金利も、株価が決まる要因の一つです。金利が上がると企業は銀行からの借入を控えるため、設備投資や事業拡大を縮小して売上が減少し、株価が下落することが懸念されます
反対に金利が下がると、企業は銀行から借入しやすくなるため、設備投資や事業拡大を行う可能性が高まります。それにより、売上の伸びが期待されて株式を購入する投資家が増える傾向にあるため、株価が上昇しやすくなるのです。
また、金利が上がると新たに発行される債券の利回りが上昇するため、投資家にとっては債券が魅力的な投資先となり、リスクの高い株式からリスクの低い債券へと投資資金を動かす傾向にあります。これにより株価が下落する場合があります。
このように、金利と株価は逆相関の関係にあるとされており、金利は株価に大きな影響を与える要因です。

2-3. 外国為替

株価の動向において特に注目されるのが、ドル/円、ユーロ/円の為替市場の変化です。下表は、円高と円安が株価に与える影響について示しています。

円高 円安
輸入や海外生産 業績が上がる要因となり
株価が上昇しやすい
業績が下がる要因となり
株価が下落しやすい
輸出 企業の利益が減る要因となり
株価が下落しやすい
業績アップの追い風となり
株価が上昇しやすい

電機や自動車、機械などの輸出産業は、円高では円換算した際の販売価格が安くなるため株価が下がり、円安だと販売価格が高くなり利益が伸びて株価が上がりやすい傾向にあります。

2-4. 景気動向

国内の景気の動向は、大きく株価に影響します。
好景気であれば、会社の活動は活性化しやすいため、収益が増えて株価が上昇することが期待できます。また会社の活動がより活発化すると、さらに株価の上昇が見込めるという好循環が起こりやすいです。
反対に不景気になると、会社の活動や消費者の消費行動が鈍化して利益が減少する傾向にあり、株価が下がる要因となります。
身近なところから景気動向をチェックするには、不況で外出の頻度が減ったり、出費を抑えることが多くなったりしていないか確認することで、消費の鈍化が予想できます。

2-5. 政治・政策

景気や経済に大きな影響を与え、株価を左右する要因となるのは、増税や減税、景気対策といった政府の財政対策や日本銀行の金融政策です。
例えば、政局が安定していないと日本国内の投資家に対してだけでなく、海外の投資家にも不安感を与えることになり、その結果、株式の売却が増えて株価の下落を招く可能性があります。
反対に、国内外の投資家が財政対策や金融政策に期待感を持つことができれば、株式を購入する人が増えて株価が上昇しやすくなります
したがって株価を見通す際は、GDP(国内総生産)や日銀短観(全国企業短期経済観測調査)など、政府や日本銀行が発表する経済指標を確認すると良いでしょう。

2-6. 国際情勢

近年は経済のグローバル化により、商品やサービスの輸出入、人の移動など、国境を越えた投資活動が活発になっています。
そのため歴史的な株価の急落は、しばしば国際情勢に関連していることが多い傾向にあります。例えば、2008年のリーマンショック(サブプライムショック)では、世界中の株式市場で株価が暴落しました。
また、2020年からのコロナショックのときには株価が大きく下がり、その後回復するなど、株式市場の国際化に伴い、世界的なできごとが日本の株式市場にも大きく影響を及ぼしています
各国の戦争やテロといった経済以外の要因によって株価が変動するケースもあるため、株式市場を見通すうえで国際情勢の注視が欠かせません。

2-7. 自然災害や天候

自然災害や天候も、株価に影響を与える要因の一つです。天候の影響でわかりやすい例が、農作物がうまく育たない場合です。気温や降水量によって収穫量が減ったり品質に影響したりすると、経営を圧迫し、株価の下落を引き起こす要因となります。
大規模な自然災害が発生した場合、被害を受けた企業の業績は悪化する傾向にありますが、その一方でインフラ復旧に関する需要が高まります。具体的には、自然災害による修復や復旧作業に伴い、建設や土木関連の企業の株価が上昇することもあるのです。

3. まとめ

投資家は、企業の将来の利益を見据えたうえで株式の売買を行っていますが、株価は個別企業の業績だけで決まるものではありません。金利や外国為替、国際情勢、政治など、さまざまな状況が複雑に絡み合い、株式市場の需要と供給のバランスに基づいて決定します。
株価は、買収や合併といったM&Aを実施する際の企業価値にも大きく影響します。適切なタイミングで株式の売買を行うには、株価の仕組みや時価総額との関係、上場・非上場による株価の決まり方についても理解しておくことが重要です。
M&Aキャピタルパートナーズは、M&Aにおける豊富な実績を有しており、株価の適切な価格を見極めるサポートも実施しています。適切な株価を確認することで、株式を売買するタイミングを計る際に役立ちますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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