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黒字倒産について
黒字倒産とは、損益計算書上では利益が出ているにもかかわらず、支払いに必要な手元資金を確保できず、事業の継続が困難となって倒産に至る状態です。売上を計上する時期と実際に代金を回収する時期、仕入代金や人件費などを支払う時期にはずれがあるため、帳簿上は黒字でも資金繰りが行き詰まることがあります。
決算上は黒字であるにもかかわらず、銀行口座の残高が増えず、仕入代金や給与、借入金の返済に不安を感じる経営者も少なくありません。利益が出ていることだけで会社の支払余力を判断すると、資金繰りの悪化を見落とす可能性があります。そのため、黒字倒産を防ぐには、利益だけでなく手元資金の状況や今後の入出金を継続的に把握することが重要です。
本記事では、黒字倒産の仕組みや原因、兆候を把握するための確認ポイント、回避方法、実際の事例を解説します。
黒字倒産とは
黒字倒産とは、損益計算書上では利益が出ているにも関わらず、支払期日までに必要な資金を確保できず、事業の継続が困難となって倒産に至ることです。法律上の倒産類型を示す正式な用語ではなく、一般に、帳簿上は黒字である企業が資金不足によって倒産する状態を指します。
売上が伸びていても、入金より支払いが先行すれば、手元の現金は減少します。特に、以下のような状態が複数見られる場合は、黒字でも資金繰りが悪化している可能性があるため、注意が必要です。
黒字倒産の仕組み
黒字倒産が起きる主な理由は、損益計算書上の利益と実際の現金の動きが一致しないためです。
企業会計では、商品やサービスを提供し、収益認識の要件を満たした時点で売上を計上しますが、掛取引では売上を計上してから代金が入金されるまでに一定の期間を要します。
しかし、その期間にも、仕入代金や人件費、税金、借入金の返済などの支払期限は訪れます。売上代金が入金される前に支払いが集中すると、帳簿上は利益が出ていても手元資金が不足し、取引先や金融機関への支払いができなくなる場合があるのです。
一つ、具体例を示します。
<前提条件>
- 販売と仕入共に掛取引を行っている
- 3月31日を事業年度末とする会社である
- 2月1日時点の運転資金として手元に50万円の資金残高がある
上記の会社が、2月1日に60万円の商品を掛けで仕入れ、3月1日に100万円で掛け販売したケースを考えてみましょう。仕入代金の支払日は3月1日、販売代金の回収日は2ヶ月後の5月1日とします。
会計上は、商品を販売した3月1日に売上100万円と売上原価60万円を計上します。そのため、この取引による利益は40万円(100万円-60万円)となり、ほかに収益や費用がなければ、3月末の決算は40万円の黒字です。
一方、現金の動きを見ると、3月1日には仕入代金60万円を支払わなければなりません。しかし、この時点の現預金残高は50万円であり、販売代金100万円が入金されるのは5月1日です。そのため、3月1日時点では支払いに必要な資金が10万円不足します。この不足を借入れや支払条件の調整などによって補えなければ、帳簿上では利益が出ていても、期日どおりに仕入代金を支払えません。
このように、利益と現金の動きのずれによって資金繰りが行き詰まり、事業を継続できなくなることが、黒字倒産の基本的な仕組みです。
赤字倒産との違い
黒字倒産と赤字倒産の違いは、倒産に至るまでの損益計算書上の利益の状態にあります。
赤字倒産とは、収益よりも費用が上回る状態が続き、利益を確保できないことで資金が減少し、支払いが困難になって倒産することです。一方、黒字倒産は、損益計算書上では利益が出ていても、売上代金の入金前に仕入代金や人件費、税金などの支払いが重なり、手元資金が不足することで発生します。
つまり、赤字倒産は主に事業の収益性の悪化が背景にあるのに対し、黒字倒産は利益と現金の動きのずれによる資金繰りの悪化が原因です。ただし、どちらも最終的には支払いに必要な資金を確保できなくなり、事業の継続が困難になる点は共通しています。
債務超過との違い
黒字倒産と債務超過は混同されがちですが、それぞれ意味が異なります。
黒字倒産は、支払いに必要な手元資金が不足して倒産に至る現象です。一方、債務超過とは、会社の負債総額が資産総額を上回り、貸借対照表上の純資産がマイナスとなっている財務状態を指します。
債務超過であっても、十分な現金や資金調達手段を確保できていれば、ただちに倒産するわけではありません。反対に、資産が負債を上回っていても、売掛金や在庫などをすぐに現金化できず、支払いに必要な資金が不足すれば黒字倒産に至る可能性があります。そのため、債務超過だから黒字倒産するとは限らず、黒字倒産する企業が必ず債務超過に陥っているわけでもありません。
黒字倒産が起きる原因
黒字倒産は、売掛金や在庫、設備投資などにより、帳簿上の利益と実際の現金の動きにずれが生じることで発生します。主な原因として、以下の6つが挙げられます。
資金繰り管理の不足
損益計算書上の利益や現在の預金残高を確認するだけでは、将来の支払いに必要な資金を確保できるか正確に判断できません。資金繰りを管理するには、売掛金の入金予定と、仕入代金、人件費、税金、借入金返済などの支払予定を時系列で整理することが必要です。
将来の入出金を把握していないと、納税や賞与、設備代金などのまとまった支出を見落とし、想定外の資金不足が生じるおそれがあります。資金不足の発見が遅れれば、金融機関への融資相談や取引先との支払条件の調整が間に合わない事態に陥りかねません。その結果、支払期日が迫ってから資金不足が表面化し、黒字倒産につながる可能性があります。
売掛金の回収遅延・貸し倒れ
掛取引では、商品やサービスを提供して売上を計上してから、実際に代金を回収するまでに一定の期間を要します。売掛金の回収よりも、仕入代金や人件費、外注費などの支払いが先に到来する場合、その間の運転資金を自社で確保しなければなりません。
予定していた期日までに売掛金を回収できなかったり、取引先の倒産によって貸し倒れが発生したりすると、見込んでいた現金が入らず、資金繰り計画が崩れます。特定の取引先への売上依存度が高い企業ほど影響は大きく、自社の支払いに必要な資金を確保できず、黒字倒産につながる可能性があります。
借入金の返済負担
金融機関などから借入れを行うと、返済期間中は元本と利息を支払う必要があります。利息は損益計算書上の費用として計上される一方、元本返済は費用に含まれません。そのため、元本を返済して実際の現金が減っていても、帳簿上の利益は直接減少しない点に注意が必要です。
営業活動で得た現金の多くを返済に充てる状態が続くと、損益計算書上は黒字でも、手元資金が不足する場合があります。複数の借入れの返済時期が重なったり、事業で生み出すキャッシュに対して返済額が大きかったりすると、資金繰りはさらに圧迫されるでしょう。その結果、仕入代金や人件費などを支払えず、黒字倒産につながる可能性があります。
過剰な在庫の保有
商品や原材料を仕入れると、会社が保有していた現金は在庫という資産に変わります。販売前の在庫は貸借対照表上では資産として計上されますが、仕入代金や人件費などの支払いに直接充てることはできません。
販売見込みを上回る在庫や長期間売れない在庫を抱えると、売上代金を回収するまで資金が拘束され、手元資金が減少します。保管費用や管理費用がかかるほか、商品の劣化や陳腐化によって評価損や廃棄損が生じ、追加の負担につながるケースも少なくありません。帳簿上では資産を保有していても、支払いに使える現金が不足すれば、黒字倒産に至る可能性があります。
過大な設備投資
機械や車両、店舗、システムなどへの設備投資には、一時的に多額の現金が必要です。一方、設備の取得費用は、会計上では減価償却によって複数年にわたり費用計上されるため、支出額の全額が取得時の利益に反映されるわけではありません。
そのため、損益計算書上では黒字を維持していても、設備投資によって手元資金が大幅に減少する場合があります。投資した設備が収益を生み出すまでに時間がかかったり、想定した売上を確保できなかったりすると、投資資金の回収も遅れるでしょう。このように、手元資金に見合わない設備投資を行うと、日常的な支払いや借入金返済に充てる資金が不足し、黒字倒産につながる可能性があります。
売上急増に伴う運転資金不足
売上が急激に増えると、商品や原材料の仕入れ、外注費、人件費など、売上を生み出すための支出も増加します。掛取引では、増加した売上代金を回収する前に、仕入代金や経費の支払期限が到来する場合も少なくありません。
売上規模の拡大に伴って売掛金や在庫も増えるため、事業を回すために必要な運転資金は従来よりも大きくなります。特に、大型案件の受注や急な事業拡大では、短期間にまとまった資金を用意しなければなりません。売上の増加に見合う運転資金を確保できていないと、売上や利益が伸びていても支払いに必要な現金が不足し、黒字倒産につながる可能性があります。
黒字倒産の予兆を把握するために確認したいポイント
黒字倒産の予兆は、損益計算書上の利益だけでは判断できません。資金繰り表やキャッシュフロー計算書、貸借対照表を組み合わせ、将来の資金不足や現金の増減、支払余力に問題がないかを確認します。
資金繰り表で将来の資金不足をチェックする
資金繰り表では、売掛金などの入金予定と、仕入代金、人件費、税金、借入金返済などの支払予定を時系列で整理します。現在の預金残高だけでなく、数ヶ月先までの月末現預金残高を算出し、各支払期日に必要な資金を確保できるかを確認することが大切です。
納税や賞与、設備代金などを反映した結果、現預金残高がマイナスになる月がある場合は、資金ショートの危険性が高まります。売掛金の回収が予定より遅れるケースも想定し、入金が後ろ倒しになっても支払いを続けられるか確認しましょう。資金不足が見込まれる時期と金額を把握することで、黒字倒産の兆候を早期にとらえられ、対策を立てやすくなります。
キャッシュフロー計算書で本業の現金収支をチェックする
キャッシュフロー計算書を作成している場合は、営業・投資・財務の各活動によって、一定期間の現金がどのように増減したかを確認します。なかでも営業キャッシュフローは、本業によって現金を生み出せているかを判断するうえで重要な指標です。
損益計算書上では利益が出ているにも関わらず、営業キャッシュフローのマイナスが続いている場合は注意が必要です。売掛金や在庫の増加などにより、計上した利益を現金として回収できていない可能性があります。単年度の数値だけで判断せず、複数年度の推移を比較し、本業の資金創出力が低下していないかを確認しましょう。
貸借対照表で支払余力と財務基盤をチェックする
貸借対照表では、現預金や売掛金、在庫、借入金などの残高を確認し、支払いに使える資金を十分に確保できているかを把握します。単年度の数値だけでなく、過去からの推移を比較し、現預金の減少や売掛金・在庫、借入金の増加が続いていないかを確認することが必要です。
| 確認する項目 | 注意したい状態 |
|---|---|
| 現預金 | 売上や利益が出ているにも関わらず、残高が減り続けている |
| 売掛金・棚卸資産 | 売上の伸び以上に増え、代金の回収や在庫の販売に時間がかかっている |
| 流動比率・当座比率 | 過去の自社水準より低下し、短期的な支払いに対する余力が小さくなっている |
| 短期借入金 | 日常的な支払いを補うための借入れが継続的に増えている |
| 自己資本比率 | 比率が低下し、借入れへの依存度が高まっている |
一つの数値だけで黒字倒産のリスクを判断することはできません。複数の変化が同時に起きている場合は、資金繰りや財務基盤が悪化している可能性があります。
損益計算書で利益の健全性をチェックする
損益計算書では、最終利益が黒字かどうかだけでなく、本業の収益を示す営業利益を安定して確保できているかを確認しましょう。営業利益が減少している一方、資産売却などによる特別利益によって最終利益のみ黒字となっている場合は、収益基盤が弱まっている可能性があります。
売上が増えていても利益率が低下している場合は、仕入費や人件費などの支出増加に収益の伸びが追いついていないことも考えられます。ただし、損益計算書だけでは現金の不足までは判断できません。資金繰り表やキャッシュフロー計算書とあわせて確認し、利益の金額だけでなく、その利益が本業から継続的に生み出されているかを見極めることが大切です。
黒字倒産を回避する7つの方法
黒字倒産を回避するためには、まず自社のキャッシュの流れを把握し、自社主体で取り組める施策から実施することが重要です。
一般的には、キャッシュフロー管理や回収・支払条件、在庫、保有資産の見直しを優先し、それでも改善が難しい場合は、借入金の返済条件の変更や新たな資金調達、M&Aなどを検討します。
ただし、適切な対応は資金不足の原因や資金繰りの状況によって異なるため、以下の順序は一般的な目安としてご覧ください。
1.キャッシュフロー管理の徹底
黒字倒産を防ぐには、まず損益計算書上の利益だけでなく、実際の現金の出入りを継続的に管理することが重要です。キャッシュフロー計算書を確認すれば、営業・投資・財務の各活動によって資金がどのように増減したかを把握できます。
さらに、売掛金の入金予定や仕入代金、人件費、税金、借入金返済などの支払予定を資金繰り表にまとめ、数ヶ月先までの現預金残高を予測しましょう。資金繰り表は実績に合わせて定期的に更新し、資金不足が見込まれる時期を早めに把握することで、支出時期の調整や金融機関への相談など、資金ショートを避けるための対応を取りやすくなります。
2.回収・支払時期の調整
資金繰りの状況を把握したら、売上代金の回収時期と仕入代金などの支払時期を見直します。掛取引では、売上代金を回収するまでの期間を短くし、仕入代金を支払うまでの期間を長くすることで、手元資金を確保しやすくなります。
前述の事例では、2月1日に60万円の商品を仕入れ、3月1日に100万円で販売しています。当初は、手元資金が50万円しかない状態で3月1日に仕入代金60万円を支払う必要があるため、10万円の資金不足が生じていました。
そこで、図のように販売代金の回収時期を3月31日に早め、仕入代金の支払時期を5月31日まで延ばした場合、先に100万円を回収できます。手元資金は当初の50万円と合わせて150万円となり、その後に仕入代金60万円を支払っても90万円が残るため、資金ショートを回避できます。
ただし、回収・支払条件は一方的に変更できるものではありません。取引先との関係にも配慮しながら、双方の合意のもとで条件を調整することが大切です。
3.在庫管理の最適化
過剰な在庫は、仕入れに使った資金を商品や原材料として固定し、手元資金を減少させる要因となります。一方で、在庫を減らしすぎると欠品が発生し、販売機会を失う可能性もあるため、需要に応じた適正在庫を保つことが重要です。
過去の販売実績や季節変動、商品の保管期間などを踏まえて仕入量を調整し、長期間動いていない在庫は値下げ販売や処分を検討しましょう。在庫回転率などの指標を継続的に確認し、売れ行きに対して在庫が増えすぎていないかを把握することで、在庫への資金の固定化を防ぎ、資金繰りの改善につなげられます。
4.資産の現金化
資金繰りを改善するためには、自社が保有する資産を見直し、現金化できるものがないか確認することも有効です。具体的には、事業に使用していない不動産や設備、有価証券などの遊休資産を売却する方法や、売掛債権をファクタリングなどによって支払期日前に現金化する方法があります。資産の種類によっては売却までに時間を要するため、資金不足が深刻化する前に検討しておくことが大切です。
ただし、資産を売却すると売却損や税負担が生じる場合があり、売掛債権の現金化には手数料もかかります。事業に必要な資産まで手放すと、その後の収益力を損なう可能性もあるため、資金繰りへの効果と事業継続への影響を確認したうえで判断することが重要です。
5.借入金の返済条件の見直し
借入金の返済負担が資金繰りを圧迫している場合は、金融機関に相談し、返済期間の延長や一定期間の元本返済猶予、毎月の返済額の減額など、返済条件の変更(リスケジュール)を検討します。元本返済額を抑えることで、当面の現金流出を軽減し、仕入代金や人件費などに充てる資金を確保しやすくなります。
ただし、リスケジュールは自社の判断だけで実行できるものではなく、金融機関の審査と合意が必要です。資金繰り表や経営改善計画を用意し、返済条件の変更が必要な理由と、今後の返済見通しを具体的に説明しましょう。また、リスケジュール中は新たな融資を受けにくくなる場合もあるため、資金不足が深刻化する前に相談することが重要です。
6.資金調達先の確保
予期せぬ売上減少や入金遅延、大口支出が発生した際に備え、平時から複数の資金調達先を確保しておくことも重要です。メインバンクだけに依存せず、地域金融機関や日本政策金融公庫などとも関係を築き、必要に応じて借入れを相談できる体制を整えます。借入れ以外の手段を検討する場合は、株主や投資家との連携も候補になります。
そのためには、試算表や資金繰り表を定期的に共有し、事業の状況や資金の使途、返済見通しを説明できるようにしておきましょう。資金不足が表面化してからでは、審査に時間がかかったり、希望額を調達できなかったりする可能性があります。余裕のある段階で相談を始めることが大切です。
7.M&Aの活用
自社単独で資金繰りを改善することが難しい場合は、会社や事業を第三者へ譲渡するM&Aも選択肢となります。
M&A手法の一つである株式譲渡では、譲渡対価は原則として株主が受け取るため、対象会社の手元資金が直接増えるわけではありません。ただし、買い手の傘下に入ることで、資金面や経営面の支援を受けながら事業を継続できる可能性があります。
一方、事業の一部または全部を譲渡する手法である事業譲渡では、譲渡した事業の対価を売り手が受け取るため、借入金の返済や残存事業の運転資金などに充てられる場合があります。
M&Aには相手探しや条件交渉、デューデリジェンスなどに時間を要するため、資金繰りが逼迫する前に専門家へ相談することが重要です。
黒字決算後に資金繰りが悪化した企業の事例
ここからは、実際に黒字決算後に資金繰りが悪化した企業の事例を見ながら、理解をさらに深めていきましょう。今回は2つのケースを紹介します。
株式会社アーバンコーポレイション(2008年)
株式会社アーバンコーポレイションは、1990年に前身会社が設立され、マンション販売や不動産流動化事業を展開しました。2002年には東京証券取引所第一部へ指定替えとなり、2008年3月期には連結売上高約2,436億8,500万円、経常利益約616億7700万円を計上しています。
一方、事業拡大で借入金が膨らむなか、サブプライムローン問題による金融市場の混乱や不動産市況の悪化、融資姿勢の厳格化が重なり、資金繰りが悪化しました。BNPパリバを割当先とする約300億円の社債発行に伴うスワップ契約では、受取額や時期が不確定で、契約内容の開示も問題視されました。
その後、2008年8月13日に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は約2,558億円です。この事例からは、黒字決算でも借入金への依存度が高く、資金調達環境が悪化すると、資金繰りが急速に行き詰まる可能性があることがわかります。
江守グループホールディングス株式会社(2015年)
江守グループホールディングス株式会社は、化学品や合成樹脂などを扱う専門商社で、当時、東証一部に上場していました。中国事業の拡大により、2014年3月期には連結売上高約2,089億円を計上し、当期純利益は4期連続で過去最高を更新しています。
しかし、中国子会社の主要取引先に対する売掛債権の回収可能性や取引の妥当性に疑義が生じ、貸倒引当金を中心に約462億円の特別損失を計上しました。2014年12月末時点で約234億円の債務超過に陥り、資金確保や返済条件の見直しを進めたものの、2015年4月30日に民事再生法の適用を申請しました。
この事例からは、売上や利益が伸びていても、特定地域・取引先への依存度が高く、売掛債権の回収が滞ると、財務状況と資金繰りが急速に悪化する可能性があることがわかります。
まとめ
黒字倒産は、利益が出ている企業でも、手元資金が不足すれば起こり得ます。損益計算書だけで経営状態を判断するのではなく、資金繰り表やキャッシュフロー計算書、貸借対照表もあわせて確認し、将来の資金不足を早期に把握することが重要です。
事業の成長や設備投資、事業承継などの重要な経営判断では、資金計画を含めた総合的な検討が欠かせません。黒字倒産のリスクを抑えながら持続的な経営を実現したい方は、M&Aを含めたさまざまな選択肢について、専門家へ相談することも有効です。
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よくある質問
- 黒字倒産とは、どのような状態を指しますか?
- 黒字倒産とは、損益計算書上では利益が出ているにも関わらず、支払期日に必要な資金を確保できず、資金繰りが行き詰まって倒産に至る状態です。利益と実際の現金の動きのずれが背景にあります。
- 黒字倒産はなぜ起こるのですか?
- 売上を計上してから代金を回収するまでに時間がかかる一方、仕入代金や人件費、借入金などの支払いが先に到来するためです。入金前に支払いが集中すると、利益が出ていても手元資金が不足する場合があります。
- 赤字倒産との違いは何ですか?
- 赤字倒産は、収益より費用が上回る状態が続き、資金が減少して支払いが困難になるものです。一方、黒字倒産は、利益が出ていても入出金のタイミングのずれなどによって資金が不足し、倒産に至る点が異なります。
- 債務超過は黒字倒産とどう関係しますか?
- 債務超過は、負債が資産を上回り、貸借対照表上の純資産がマイナスになっている状態です。黒字倒産とは別の概念であり、債務超過でも支払資金があればただちに倒産するとは限りません。反対に、債務超過でなくても資金不足によって黒字倒産する可能性があります。
- 黒字倒産の主な原因には何がありますか?
- 売掛金の回収遅延や貸し倒れ、過剰な在庫、過大な設備投資、借入金の返済負担、売上急増に伴う運転資金不足、資金繰り管理の不足などが主な原因として挙げられます。
- 黒字倒産を回避する方法は何ですか?
- キャッシュフロー管理の徹底、回収・支払時期の調整、在庫管理の最適化、返済条件の見直し、複数の資金調達先の確保、資産の現金化などが挙げられます。自社単独での改善が難しい場合は、M&Aも選択肢となります。
- 黒字倒産リスクはどうやって早期に発見できますか?
- 資金繰り表で将来の入出金と現預金残高を確認し、キャッシュフロー計算書で本業による現金の増減を把握します。あわせて、貸借対照表で支払余力や財務基盤、損益計算書で利益の内容と持続性を確認することが重要です。
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