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企業の成績を評価するための指標は多数存在します。売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)などが一般的な例です。しかし、これらの指標がすべてを網羅しているわけではありません。企業の真の価値を評価するためには、その企業が資本をどの程度効率的に使っているかを理解する必要があります。そのために開発されたのが経済付加価値(EVA)という指標です。
本記事では、EVAの基本的な概念から、具体的な計算例、それに伴うメリットとデメリットまで、詳しく解説します。
このページのポイント
~EVA(Economic Value Added)とは?~
EVA(Economic Value Added)は、経済付加価値ともいわれ、資本のコストを考慮に入れた企業の本質的な収益力を示す指標。企業の純利益から資本コストを差し引いたもので、企業が投下した資本に対してどれだけの付加価値を生み出したかを示すものであり、企業の長期的な価値を評価するのに適している。
1. EVA(Economic Value Added)の概要
1-1. EVAとは?
「EVA(Economic Value Added)」とは、経済付加価値ともいわれ、資本のコストを考慮に入れた企業の本質的な収益力を示す指標です。EVAは企業の純利益から資本コストを差し引いたもので、企業が投下した資本に対してどれだけの付加価値を生み出したかを示します。具体的な計算式は次のようになります。
「EVA=NOPAT−(WACC×資本投下)」
または
「EVA=投下資本×(ROIC-WACC)」
なお、
「NOPAT」は税引後営業利益(Net Operating Profit After Tax)、
「WACC」は加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital)、
「ROIC」は投下資本利益率(Return On Invested Capital)とそれぞれいいます。
「投下資本」は一般に有利子負債と株主資本の合計を指します。
また、EVAは米国コンサルティング会社のスターン・スチュワート社が提唱した概念であり、同社の登録商標でもあります。
2. EVAの計算方法
2-1. 具体的なEVAの計算例
具体的な計算例として、ある企業AのNOPATが50百万円、WACCが8%、資本投下額が400百万円、ROICが12.5%だとすると、EVAは以下のように計算されます。
EVA=50−(0.08×400)=18百万円
または
EVA=400×(0.125−0.08)=18百万円
この結果から、この企業Aが投下した資本に対して18百万円の付加価値を生み出したことが分かります。
EVAは、企業が資本をどの程度効果的に使っているかを評価するための重要な指標であり、多くの企業で用いられています。
3. EVAのメリット/デメリット
3-1. EVAのメリット
EVAの主なメリットは以下のとおりです。
- EVAは、資本コストを考慮に入れることで、資本の効率的な使用を評価することができます。
- EVAは、企業の長期的な価値を評価するのに適しています。短期的な利益追求だけでなく、長期的な企業価値の向上を目指すことを促します。
3-2. EVAのデメリット
EVAの主なデメリットは以下のとおりです。
- EVAの計算は、比較的複雑であり、必要なデータを得るのが難しい場合があります。
- EVAは、一定の資本コストが存在すると仮定していますが、実際には資本コストは変動することがあります。
- EVAは、企業の内部的な業績を評価するためのものであり、市場の評価や競争環境など、企業外部の要素を考慮に入れていません。
4. まとめ
「EVA(Economic Value Added)」は、資本の効率的な使用を評価するための重要な指標です。しかし、その計算は複雑であり、必要なデータを得るのが難しい場合があります。それにもかかわらず、EVAは企業の真の価値を理解するために有用な道具であり、その利用は広がりを見せています。