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株式譲渡と消費税について
株式譲渡と消費税の関係とは、株式譲渡自体は原則として非課税取引である一方、付随する手数料や課税売上割合への影響によって、実務上は消費税負担に関係してくるというものです。株式の売買そのものに消費税は課されませんが、会計処理や納税額の計算では注意が必要です。
株式取得の手法の一つである「株式譲渡」は、通常「非課税取引」として消費税の対象外とされていますが、場合によっては消費税の影響を受けるケースもあります。特に、株式の売却額が大きい、または頻繁に株式取引を行っている場合、課税売上割合が変動し、結果として企業の納税額に影響を与える可能性があります。
本記事では、株式譲渡と消費税の関係性、課税売上割合への影響、手数料にかかる消費税、具体的な仕訳方法や注意点について、分かりやすく解説します。
なお、株式譲渡の基本から実務上の論点、手続きの流れは「株式譲渡とは?」で解説しています。
株式譲渡に消費税はかかる?
株式譲渡に際して、基本的に消費税は発生しません。国債や株式といった有価証券の譲渡は下記のとおり、原則として消費税の非課税取引と定められています。
国債や株式などの有価証券の譲渡は、原則として、消費税の非課税取引とされています。
株式の信用取引による売付けも現物の株式を借りて売却しているため、有価証券の譲渡として取り扱われ非課税取引となります。
消費税は、商品の売買やサービス提供による消費行動に対して課されるものです。株式の譲渡は資本の移転であるため、課税対象には該当しません。
ただし、例外は存在し、税制上は「課税売上割合」が関係します。譲渡代金の支払いなどの際には手数料がかかるのが通常で、この部分については課税取引となる点に注意しなければなりません。
なお、株式譲渡によって得た売却益に対しては、所得税や法人税などの税金が発生します。
株式譲渡で消費税に影響が出るケース
株式譲渡そのものは原則として消費税の非課税取引ですが、譲渡額が大きい場合や株式取引が多い場合には、課税売上割合に影響し、仕入税額控除の計算に関係することがあります。また、譲渡に伴う手数料などには消費税が課される場合があります。ここでは、課税売上割合の概要と、消費税との関係を確認します。
課税売上割合とは
課税売上割合は、課税期間中の課税売上高を、同期間の総売上高で割って算出します。総売上高には、課税売上高、輸出等による免税売上高、非課税売上高が含まれます。また、分子となる課税売上高には、輸出等による免税売上高も含まれます。なお、特定の有価証券等の譲渡については、課税売上割合の計算上、譲渡対価の5%相当額を総売上高に算入する扱いとされています。
- 課税売上割合の計算式
- 課税売上割合(%)= 課税期間中の課税売上高(税抜き)÷ 課税期間中の総売上高(税抜き)×100
課税売上割合は、消費税の仕入税額控除を計算する際に用いられる割合です。総売上高には、課税売上高、輸出等による免税売上高、非課税売上高が含まれます。また、分子となる課税売上高にも、輸出等による免税売上高が含まれます。
課税売上割合が小さいと消費税が増える場合がある
会社が納付する消費税額は、原則として、課税売上に係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算します。ただし、課税仕入れ等に係る消費税額を全額控除できるのは、課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上の場合です。課税売上高が5億円を超える場合や、課税売上割合が95%未満の場合は、個別対応方式または一括比例配分方式により、課税売上に対応する部分の仕入税額を計算して控除します。
そのため、課税売上割合が小さくなると、控除できる仕入税額が減り、結果として納付する消費税額が増える場合があります。
前述の計算式に当てはめると、株式等の譲渡が非課税売上に該当する場合、課税売上割合の分母である総売上高が増えるため、課税売上割合が低下する可能性があります。
ただし、特定の有価証券等や一定の金銭債権の譲渡については、課税売上割合の計算上、譲渡対価の全額ではなく、5%相当額を総売上高に算入する扱いとされています。
株式譲渡時の消費税の仕訳・会計処理
株式などの有価証券等の譲渡は、原則として消費税の非課税取引です。ただし、課税売上割合の計算では、特定の有価証券等の譲渡対価について、譲渡対価の5%相当額を総売上高に算入します。そのため、株式譲渡の会計処理では、売却損益だけでなく、譲渡対価である売却額を把握できるように記載することが重要です。
基本の仕訳・会計処理例
株式譲渡での会計処理では、売却時に有価証券の帳簿価額を減額し、売却額との差額を有価証券売却益または有価証券売却損として処理します。
消費税上、株式等の譲渡は非課税取引に該当します。ただし、課税売上割合の計算では、特定の有価証券等の譲渡対価について5%相当額を総売上高に算入するため、会計ソフトでは当該処理に対応した税区分や補助科目の設定を確認する必要があります。
下記の例は、簿価1,000円の株式を1,500円で売却し、利益が出たケースです。
有価証券売却益が出る場合
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,500 | 有価証券 | 1,000 |
| 有価証券売却益 | 500 |
※課税売上割合の計算上は、売却益500円ではなく、譲渡対価1,500円を基準に確認します。特定の有価証券等に該当する場合、総売上高に算入する金額は譲渡対価の5%相当額です。
次に紹介する例は、簿価1,500円の株式を500円で売却し、損失が出たケースです。この場合、売却額と簿価との差額を有価証券売却損として処理します。
有価証券売却損が出る場合
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 現金 | 500 | 有価証券 | 1,500 |
| 有価証券売却損 | 1,000 |
※課税売上割合の計算上は、売却損1,000円ではなく、譲渡対価500円を基準に確認します。特定の有価証券等に該当する場合、総売上高に算入する金額は譲渡対価の5%相当額です。
消費税や手数料を含めた仕訳・会計処理例
実際に株式譲渡を行う際には、決済や手続きのために委託売買手数料などが発生する場合があります。国内の委託売買手数料等は課税仕入れに該当することがありますが、株式譲渡のために支払う手数料は、個別対応方式では非課税売上にのみ要する課税仕入れとして扱われるため、仕入税額控除の計算には注意が必要です。
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 現金 | 16,900 | 有価証券 | 10,000 |
| 支払手数料 | 1,000 | 有価証券売却益 | 8,000 |
| 仮払消費税 | 100 |
上記の例は、簿価1万円の株式を1万8,000円で売却し、売却手数料1,000円と消費税100円が発生したケースです。この場合、入金額は、売却額1万8,000円から手数料1,000円と消費税100円を差し引いた1万6,900円となります。
※課税売上割合の計算上は、入金額1万6,900円や売却益8,000円ではなく、譲渡対価1万8,000円を基準に確認します。特定の有価証券等に該当する場合、総売上高に算入する金額は譲渡対価の5%相当額です。
※仮払消費税として仕訳する場合でも、申告上の仕入税額控除の対象になるかは、個別対応方式または一括比例配分方式などの計算方法によって異なります。実際の処理は、会計ソフトの税区分設定や専門家への確認が必要です。
まとめ
株式譲渡は原則として消費税の課税対象外ですが、譲渡に伴う手数料などの付随費用には消費税が関係する場合があります。また、課税売上割合の計算では、特定の有価証券等の譲渡対価の5%相当額を総売上高に算入するため、仕入税額控除や納税額に影響する可能性があります。売却益・売却損だけでなく譲渡対価を把握できるよう仕訳を整理し、株式譲渡を含むM&A取引では専門家の確認を受けながら税務面を確認することが重要です。
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よくある質問
- 株式譲渡に消費税はかかりますか?
- 株式譲渡そのものは、原則として消費税の非課税取引です。株式は有価証券の譲渡にあたり、消費行動に対する課税対象には該当しません。
- 株式譲渡で消費税の影響が生じるのはなぜですか?
- 株式譲渡自体は非課税でも、譲渡に伴う手数料などの付随費用には消費税が課される場合があるためです。また、特定の有価証券等の譲渡対価は、課税売上割合の計算上、5%相当額を総売上高に算入するため、仕入税額控除に影響することがあります。
- 課税売上割合とは何ですか?
- 課税売上割合とは、課税期間中の課税売上高を同期間の総売上高で割って算出する割合です。総売上高には課税売上高、輸出等による免税売上高、非課税売上高が含まれ、分子となる課税売上高にも免税売上高が含まれます。
- 課税売上割合が小さいとどうなりますか?
- 課税売上高が5億円を超える場合や課税売上割合が95%未満の場合は、課税仕入れ等に係る消費税額を全額控除できず、個別対応方式または一括比例配分方式で控除額を計算します。課税売上割合が小さくなると、納付する消費税額が増える場合があります。
- 株式譲渡時の支払手数料には消費税がかかりますか?
- かかる場合があります。株式譲渡そのものは非課税ですが、決済や手続きのための支払手数料は課税取引となる場合があるため、消費税を含めて処理する必要があります。
- 株式譲渡の仕訳では何に注意すべきですか?
- 株式の売却額がわかるように記載することです。課税売上割合の計算では、売却益や売却損ではなく譲渡対価を基準に確認し、特定の有価証券等に該当する場合は5%相当額を総売上高に算入します。
- 株式譲渡で特に注意すべき点は何ですか?
- 株式譲渡は非課税取引である一方、手数料の課税処理、課税売上割合、仕入税額控除への影響を見落とさないことです。仮払消費税として仕訳する場合でも、申告上の控除対象になるかは計算方法によって異なるため、税区分設定や専門家への確認が必要です。
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