ティン・パラシュートとは? 概要とメリット、ゴールデンパラシュートとの違いを解説

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日本の企業間におけるM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)の動きは、近年、増加しています。M&Aは企業の成長戦略の一環として行われる一方、敵対的な買収を受ける場合もあります。企業が敵対的な買収から身を守るために用いる手段のひとつとして認識されているのがティン・パラシュート(Tin Parachute)です。今回は、ティン・パラシュートの概要、ゴールデンパラシュート(Golden parachute)の紹介、ゴールデンパラシュートとの違い、ティン・パラシュートのメリットについて、詳しく説明します。

このページのポイント

~ティン・パラシュートとは?~

買収防衛策のひとつ。買収後に従業員が解雇されることを想定し、通常より多額の退職金や一時金を出す規定を、あらかじめ雇用契約または労働協約で定めておくことで、買収コストの引き上げによる買収意欲の低下を狙うこと。

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ティン・パラシュート(Tin Parachute)とは

ティン・パラシュートとは、買収防衛策のひとつで、買収後に従業員が解雇されることを想定し、通常より多額の退職金や一時金を出す規定を、あらかじめ雇用契約または労働協約で定めておくことで、買収コストの引き上げによる買収意欲の低下を狙うことをいいます。

ティン・パラシュートは、直訳すると「ブリキの落下傘」となりますが、総額は巨額であっても従業員の一人一人に支給する金額が少ないためにティン(ブリキの)パラシュートという言葉が使われるようになったといわれています。

ゴールデンパラシュート(Golden parachute)の紹介

ここでティン・パラシュートと似た用語でゴールデンパラシュート(Golden parachute)があります。

ゴールデンパラシュートとは、買収コストを引き上げることで買収意欲を削ぎ、抑止効果を高める買収防衛策のことをいいます。

ゴールデンパラシュートという名前の由来は、経営陣が会社から追い出されることになっても、高額な手当をもらって脱出できるという特徴から来ています。

M&Aにおけるゴールデンパラシュートの例としては、敵対的買収などで経営権が移動した場合に、経営陣に支払われる退職金を通常よりも高額に設定する契約を企業があらかじめ結んでおくことです。その結果、買収者側にとっては買収コストが大幅に上昇するため、これが抑止力となり、敵対的買収を防ぐことにつながります。

ゴールデンパラシュートとの違い

ゴールデンパラシュートとの違いは、株式総会で承認をもらう必要がないということです。前述したゴールデンパラシュートは役員などの経営者の退職金を利用した防衛策のため、株主総会での承認が必要となります。しかし、ティン・パラシュートは従業員の退職金を対象にしているので、取締役会の決議だけで完了するという特徴があります。

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ティン・パラシュートのメリット

次にティン・パラシュートのメリットを紹介します。

M&Aのプロセスにおいて、買収企業は既存の従業員のモチベーションや士気を保つ目的でティン・パラシュートを導入することが多いです。これにより、買収後の従業員の離職リスクを軽減し、企業買収のスムーズな進行を促進します。また、ティン・パラシュートの導入で従業員に対する安心感を提供し、買収に伴うストレスを軽減するメリットがあります。

ティン・パラシュートの具体的な内容は企業によって異なりますが、通常、一定期間の給与支給、ボーナス、未使用の有給休暇の買い取り、保険の継続などが含まれます。このような条件を明確に定めることで、従業員は企業のM&Aプロセスに対して前向きな姿勢を持ち続けることができるメリットがあります。

まとめ

今回は、ティン・パラシュートについて詳しく説明しました。

ティン・パラシュートは、買収防御策のひとつとして位置づけられています。

敵対的買収の阻止は企業の継続的な経営や文化を保つ上で重要な要素となる場合もありますが、その手段によって企業価値を自ら損なう行動は、長期的な視点での経営の健全性や株主の利益をどう捉えるかという観点からも慎重な判断が求められると考えられます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部 部長公認会計士梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部 部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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