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債務超過について
債務超過とは、一般に、貸借対照表上で負債の総額が資産の総額を上回り、純資産がマイナスとなっている状態をいいます。赤字とは異なり、一定時点における会社の財政状態を示す概念であり、債務超過であっても直ちに倒産することを意味するものではありません。
債務超過は、会社の財政状態が悪化していることを示す重要な指標ですが、その危険度は純資産がマイナスであるという事実だけで判断できるものではありません。実際には、本業の収益力や資金繰り、資産・負債の実態なども踏まえて総合的に確認する必要があります。
また、債務超過となった場合でも、利益改善や資本対策による解消を目指す方法に加え、状況によってはM&Aが選択肢となることもあります。
本記事では、債務超過の原因や影響、危険度の判断基準、解消方法、M&Aを検討する際の考え方について解説します。
※本記事の内容は一般的な解説であり、個別の状況については各種専門家にご確認ください。
債務超過とは
債務超過とは、一般的には、貸借対照表(Balance Sheet:B/S)上、負債の部の合計額が資産の部の合計額を上回っている状態、すなわち純資産がマイナスとなっている状態をいいます。ここでは、まずこの会計上の債務超過を前提に説明し、実態貸借対照表で見た債務超過や、破産法上の債務超過との違いも整理します。
貸借対照表からみた判断基準と具体例
純資産とは、貸借対照表上、資産の部の合計額から負債の部の合計額を差し引いた金額であり、帳簿上の株主持分を示すものです。通常、純資産はプラスの値となり、資本金や利益剰余金などから構成されますが、業績不振等により利益剰余金が減少し続けると、純資産がマイナスに転じることがあります。純資産がマイナスになるということは、帳簿上、株主にとっての持分が失われている状態を意味し、会社の財政状態が悪化していることを示す重要なシグナルとなります。
決算書の貸借対照表を確認し、純資産の部の合計額がマイナスになっている場合、その会社は債務超過の状態にあると判断されます。
例えば、資産合計が1,000万円、負債合計が1,200万円の会社では、純資産は▲200万円となります。この場合、この会社は200万円の債務超過という状態にあることになります。
図で示すと以下のとおりです。
会計上・実態上・法的債務超過の違い
「債務超過」という言葉は、状況によって指している内容が異なる場合があります。代表的な整理として、次の3つが挙げられます。
- 会計上の債務超過
- 貸借対照表上、資産の帳簿価額の合計が負債の帳簿価額の合計を下回っている状態をいいます。本記事で基本的に取り扱う「債務超過」は、主にこの会計上の意味を指します。
- 実態上の債務超過
- 資産・負債を帳簿価額ではなく、時価や回収可能性等を踏まえた実質的な価値に置き直した「実態貸借対照表」上で、負債が資産を上回っている状態をいいます。中小企業のM&A支援や事業再生の実務では、帳簿上の純資産だけでなく、このような実態貸借対照表に基づく財務状況が重要な判断材料になります。
- 破産法上の債務超過
- 破産法上、法人が「その財産をもってその債務を完済することができない状態」をいい、破産手続開始の原因の一つとして定められている法律上の概念です。会計上の債務超過と破産法上の債務超過は、必ずしも同一の状態を指すものではありません。
貸借対照表上の資産・負債の金額は、会計基準に基づく帳簿価額で計上されており、必ずしも現在の換価価値や実質的な価値を示すものではありません。例えば、保有する不動産や有価証券に含み益がある場合には、実態債務超過には該当しないケースもあります。反対に、回収が見込めない売掛金や不良在庫などが帳簿価額のまま計上されている場合には、実態としてはより深刻な債務超過の状態にあるケースもあります。単に「純資産がマイナスかどうか」だけでなく、どの意味での債務超過かを意識することが重要です。
なお、貸借対照表上の純資産がマイナスであることは、その会社に事業としての価値が全くないことを意味するわけではありません。純資産はあくまで帳簿価額ベースで算定されたものであり、将来の収益力や無形の強みなどは反映されていません。この点については、後述の「債務超過でもM&Aは可能?」で改めて解説します。
赤字との違い
債務超過と混同されやすい言葉に「赤字」があります。赤字とは、一定期間の損益計算において、収益よりも費用が多く、損失が発生している状態をいい、損益計算書(P/L)で判断されます。これに対して債務超過は、貸借対照表上、負債の総額が資産の総額を上回り、純資産がマイナスとなっている状態をいいます。つまり、赤字は「一定期間の損益」の問題であるのに対し、債務超過は「ある時点の財政状態」の問題であるという点で異なります。
前述のとおり、赤字が複数期にわたって続くと、それまで蓄積してきた利益剰余金が徐々に減少し、最終的に純資産全体がマイナスに転じることで債務超過に至ることがあります。もっとも、単年度で赤字になったからといって、直ちに債務超過になるわけではありません。それまでに蓄積された利益剰余金が十分にあれば、単年度の赤字だけで純資産がマイナスに転じることは通常ありません。
債務超過になる主な原因
債務超過に至る原因はさまざまですが、代表的なものとして以下が挙げられます。
それぞれについて、詳しく説明していきます。
赤字の累積
代表的な原因の一つは、当期純損失(赤字)が複数期にわたって積み重なることです。赤字が続くと、それまで蓄積してきた利益剰余金が徐々に減少し、最終的に純資産全体がマイナスに転じることで債務超過に至ります。なお、赤字の累積によるものだけでなく、単年度における多額の損失によって、一時的に大きな債務超過に陥るケースもあります。
資産の評価損
保有する資産について、会計基準上の要件を満たし、減損損失や評価損の認識が必要となる場合には、資産の帳簿価額が減少し、純資産が大きく毀損することがあります。例えば、不動産等について減損損失の認識が必要となる場合や、有価証券について会計基準上の評価損等が生じる場合などが挙げられます。なお、時価が下落したからといって、必ずしも直ちに評価損や減損損失を計上するとは限らず、資産の種類や保有目的、適用される会計基準、減損の兆候・認識要件等によって取扱いが異なります。
過大投資の失敗と借入負担
多額の借入を行って設備投資を行うこと自体が、直ちに純資産を減少させるわけではありません。借入を行った時点では現預金と借入金がともに増加し、設備を取得した時点でも現預金が固定資産に置き換わるにとどまるため、いずれも取引時点では純資産は変動しません。債務超過につながるのは、その後、投資に見合う収益が得られず営業損失が継続したり、減価償却費や支払利息の負担を利益で吸収できなかったり、投資した資産について減損損失が発生したりすることで、損失が累積していく場合です。
債務超過になるとどうなるのか
債務超過になった場合、会社の対外的な信用や資金調達などに影響が生じる場合があります。ここでは、債務超過によって生じ得る主な影響を紹介します。
そのうえで、倒産との違い、危険度を判断する際の考え方について解説します。
金融機関との関係への影響
債務超過は、金融機関が融資審査を行う際の重要な判断材料の一つとされています。新規融資の審査において不利に働く場合や、既存の融資契約で純資産維持条項などの財務制限条項(コベナンツ)が定められている場合には、これに抵触する可能性があります。もっとも、金融機関は債務超過の有無だけでなく、業績の推移や事業計画、資金繰りの状況なども踏まえて総合的に判断するため、債務超過であることが直ちに融資の謝絶につながるとは限りません。判断の基準は、金融機関ごとの審査方針によっても異なります。
信用力・取引条件への影響
取引先が与信審査を行う際や、保証会社による審査などにおいても、債務超過であることが不利な要素として考慮される場合があります。その結果、例えば仕入先から買掛金の支払期限の短縮や前払いを求められるなど、取引条件の見直しにつながるケースも考えられます。
許認可・補助金への影響
業種や制度によっては、許認可の取得・更新や補助金の交付にあたって、財産的基礎に関する要件が設けられている場合があります。該当する制度に当てはまる場合、債務超過であることが許認可の維持や補助金の申請に影響を及ぼす可能性がありますが、影響の有無や程度は業種・制度ごとに大きく異なるため、該当し得る制度がある場合には個別に確認することが必要です。
倒産との違い
「倒産」という言葉には、法律上統一された定義はありません。一般には、支払不能に陥った場合や、破産・民事再生・会社更生といった法的整理の手続きに至った場合などを指して用いられることが多い言葉です。これに対して債務超過は、あくまで貸借対照表上、負債が資産を上回っているという財務状態を示す概念であり、両者は同じものではありません。資金繰りが維持できている限り、債務超過のまま事業を継続している企業も存在します。
もっとも、法人(合名会社・合資会社を除きます)については、支払不能に至っていない場合であっても、破産法上の債務超過に該当することが、破産手続開始の原因の一つとなり得る点には留意が必要です。ここでいう破産法上の債務超過は、前述のとおり、帳簿上の純資産がマイナスであることと必ずしも同義ではありません。また、破産法上の債務超過に該当する場合であっても、自動的に破産手続が始まるわけではなく、債権者や本人からの申立てを経て、裁判所が法定の要件を判断したうえで開始決定を行うという手続きを経ることになります。
危険度を判断する際の考え方
債務超過の危険度は、純資産がマイナスであるという事実だけで一律に判断できるものではありません。実務上は、主に次の4つの観点を確認することが重要とされています。
- 短期的な資金繰り
- 今後3~6か月程度の資金繰りの見通しや、給与・仕入代金・税金や社会保険料・借入金の元利金の支払いに延滞の兆候がないか、手元流動性がどの程度あるか
- 本業の収益力
- 営業キャッシュフローや、一時的な損失を除いた場合の正常収益力がどの程度か、赤字が一時的なものか構造的なものか
- 実態貸借対照表の状況
- 保有資産に含み益があるか、回収が見込めない売掛金や不良在庫、簿外債務等がないか、実態ベースでの債務超過額がどの程度か
- 金融債権者との関係
- 返済条件の変更(リスケジュール)の有無、コベナンツへの抵触状況、追加融資を受けられる余地、経営者保証の状況
これらを総合的に確認することで、自社が置かれている状況をより具体的に把握することができます。特に、営業キャッシュフローが継続的に赤字であったり、税金や社会保険料の支払いに遅れが生じていたりする場合は、資金繰りが逼迫している可能性が高く、早急な対応の検討が必要です。
債務超過を解消する方法
債務超過を解消する主な方法として、以下のようなものが挙げられます。
何から対応すべきかを整理したうえで、それぞれについて、詳しく解説していきます。
まず何から対応すべきか
債務超過への対応を検討する際は、闇雲に個別の解消策を講じるのではなく、次のような順序で状況を整理することが有効とされています。
- 資金ショートの回避
- 直近の資金繰りを確認し、当面の資金繰りに問題がないかを把握します。
- 実態の把握
- 実態貸借対照表や正常収益力を踏まえ、実質的にどの程度の債務超過状態にあるかを把握します。
- 本業の改善可能性の検証
- 本業の収益力の改善によって、単独で解消を図れる見込みがあるかを検証します。
- 資本・債務面の対策の検討
- 本業の改善だけでは不十分な場合に、増資・DES・債務免除等の対策を検討します。
- スポンサー・M&Aの検討
- 単独での再生よりも、第三者の支援を受けた方が合理的と判断される場合に検討します。
まず資金繰りと実態を把握したうえで、状況に応じた対応を段階的に検討していくことが重要です。
利益改善による解消
利益改善による解消は、本業の収益力を高め、利益を積み上げていくことで、純資産を回復させる方法です。より具体的には、事業構造の見直しやコスト削減、不採算事業からの撤退などを通じて実現します。効果が現れるまでに時間を要する場合が多いものの、中長期的な解消手段の一つとされています。
例えば、債務超過額が3,000万円で、年間の税引後利益が500万円であれば、他の条件を一定とした単純計算では、解消までにおおむね6年を要する計算になります(配当の実施等は考慮せずに3,000万円÷500万円=6年とした簡略化した試算です)。
増資による解消
第三者割当増資などにより、新たに資本を注入して純資産を直接増加させる方法です。比較的即効性のある解消手段ですが、実行にあたっては、出資を引き受ける先を確保できることが前提となります。また、新株を発行することで既存株主の持株比率が変動する(希薄化する)ほか、発行価額が有利発行に該当しないかなど、留意すべき点が複数あります。
DES(デット・エクイティ・スワップ)による解消
DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、金融機関や役員などが有する貸付金(債権)を株式に転換することで、負債を圧縮するとともに純資産を増加させる方法をいいます。役員が会社に対して行っている貸付け(役員借入金)を解消する目的で用いられる場合もあります。実行にあたっては、債権者の同意が必要となるほか、税務上は、債権の額面と税務上評価される価額との差額について、債務者側に債務消滅益が生じる場合があります。特に、対象となる債権の時価が額面を下回る場合には、課税関係が問題となるため、単純に負債が資本へ振り替わるだけの取引とは限りません。税務上の取扱いについては、個別に税理士等の専門家へ確認することをおすすめします。
債務免除による解消
金融機関などの債権者から、債務の一部について免除を受ける方法です。中小企業活性化協議会などを活用した私的整理手続や、法的整理の手続きの中で行われる場合があり、当事者間の合意形成が前提となります。債務免除を受けると、原則として債務免除益が課税所得を構成しますが、通常の繰越欠損金(青色欠損金額)との相殺のほか、会社更生・民事再生や一定の私的整理手続に伴う場合には、期限切れ欠損金の損金算入など、別途の取扱いが問題となることがあります。これらの取扱いは個別性が高いため、税理士等の専門家へご相談ください。
債務超過でもM&Aは可能?
債務超過は解消すべき経営課題である一方、その解消の選択肢の一つとしてM&Aが検討される場合があります。ここでは債務超過でもM&Aが可能となる理由などを解説します。
債務超過でもM&Aが成立し得る理由
企業価値は、貸借対照表上の純資産の額だけで決まるものではなく、将来のキャッシュフローや事業の収益力、技術力・顧客基盤・許認可(承継の可否は取引のスキームによって異なります)といった無形の強みなども踏まえて評価されます。そのため、帳簿上の純資産がマイナス(債務超過)であっても、事業そのものに価値が認められる場合には、M&Aが成立し得るケースがあります。
なお、事業に一定の価値が認められる場合であっても、有利子負債の状況等によっては、それを踏まえた株式の価値(株式価値)が低額、あるいはゼロに近くなる場合もあります。「事業に価値がある」ことと、「株主が高い譲渡対価を受け取れる」ことは、必ずしも同じではない点に留意が必要です。
また、債務超過企業のM&Aは、株式譲渡だけでなく、増資、事業譲渡、会社分割、いわゆる第二会社方式など、複数の手法を組み合わせて行われる場合があります。どのような手法が適しているかは、個別の状況によって異なるため、M&Aの専門家とも相談して進めることが重要です。
純資産だけでは企業価値を判断できないケース
純資産だけでは企業価値を判断できないケースがあることにも留意が必要です。例えば、一時的な特別損失によって債務超過に陥っているものの本業の収益力は堅調な企業や、赤字が続いているものの独自の技術力・顧客基盤に強みを持つ企業などが挙げられます。こうした企業は、帳簿上の純資産だけを見ると債務超過であっても、実態貸借対照表や事業の収益力を踏まえた評価では、相応の価値が認められる場合があります。
M&Aが有効となるケース
次にM&Aが有効な選択肢となり得るケースとしては、例えば以下のような場合が挙げられます。
- 後継者が不在で、事業承継の手段を検討する必要がある場合
- 本業自体は黒字であるものの、過去の損失の影響で債務超過となっている場合
- 自社単独では設備投資や人材、販路の確保が難しいものの、他社の支援を受けることで改善が見込める場合
- 資金繰りが悪化する前の段階で、時間的な余裕をもって支援を検討できる場合
これらに共通するのは、事業そのものには一定の価値や継続可能性が見込まれる点です。単独での再生が難しい場合でも、第三者の支援を組み合わせることで、事業の存続や再生につながる可能性があります。
M&Aだけで債務超過が自動解消するわけではない
最後に注意したいのは、株式譲渡によるM&Aを実行しただけでは、対象会社の資産・負債・純資産の額は原則として変わらないという点です。M&Aが債務超過の解消につながるのは、買収後にスポンサー企業からの増資が行われたり、資金支援や債務の整理があわせて行われたりするなど、資本面・債務面の対策とあわせて実施される場合です。M&Aは、それ自体が債務超過を自動的に解消する手法ではなく、資本対策や債務整理と組み合わせることで、再生に向けた選択肢の一つとなり得るものと理解しておくことが重要です。
債務超過企業のM&Aを検討する際のポイント
債務超過企業がM&Aを検討する際は、次のようなポイントを確認しておくことが重要です。
それぞれについて解説します。
実態債務超過額を把握する
帳簿上の純資産だけでなく、資産・負債を実態ベースに置き直した実態貸借対照表を作成し、実際にどの程度の債務超過状態にあるかを把握することが出発点となります。含み益のある資産や、回収が見込めない売掛金・不良在庫、簿外債務などを洗い出すことで、より実態に近い財務状況を確認できます。
本業の正常収益力を確認する
一時的な損失や特別な要因を除いた場合に、本業がどの程度の収益力を持っているか(正常収益力)を確認します。本業の収益力が確保できているかどうかは、事業の継続可能性やM&Aの成立可能性を判断するうえで重要な材料となります。
企業価値と株式価値を分ける
前述のとおり、事業や会社そのものに価値が認められることと、株主が受け取る譲渡対価が高額になることは、別の問題です。有利子負債の状況等を踏まえた株式価値がどの程度になるかについても、早い段階で認識しておくことが重要です。
金融機関・経営者保証を早期確認する
M&Aの実行にあたっては、金融機関からの借入れの取扱いや、経営者が差し入れている個人保証(経営者保証)の取扱いについても、早期に金融機関等と協議しておく必要があります。M&Aが成立したからといって、経営者保証が自動的に解除されるわけではなく、金融機関等の同意を得ながら、保証の解除や保証人の変更について、個別に協議・交渉を進めることになります。
資金ショート前に検討を始める
M&Aには、候補先の探索や条件交渉、デューデリジェンス、金融機関との調整など、一定の時間を要します。資金繰りが逼迫し、資金ショートが目前に迫った段階では、検討できる選択肢が限られてしまいます。金融機関との関係が悪化する前の、比較的早い段階で専門家に相談し、状況を整理しておくことが望ましいとされています。
よくある誤解・判断ミス
「債務超過だから買い手がつかない」と思い込み、検討そのものを先送りにしてしまうケースがある一方で、「M&Aをすれば必ず希望どおりの条件で売却できる」と過度に期待してしまうケースもあります。実際に成立するかどうかや条件は、相手先との交渉や事業の状況によって異なります。思い込みで判断するのではなく、早い段階でM&Aの専門家に相談し、自社の状況を客観的に把握した上で検討を進めることが重要です。
まとめ
債務超過とは、貸借対照表上、負債が資産を上回り純資産がマイナスとなっている状態を示す概念であり、直ちに倒産を意味するものではありません。もっとも、放置すると金融機関との関係や信用力などに影響が生じる可能性があるため、実態債務超過額や資金繰りの状況を踏まえて危険度を見極めた上で、早めに対応を検討することが重要です。
対応にあたっては、まず資金繰りと実態を把握したうえで、利益改善・増資・DES・債務免除といった方法や、それらの組み合わせによる自力での再生可能性を検討し、状況によっては、資本対策や債務整理とあわせてM&Aによる第三者の支援を選択肢とすることも考えられます。M&Aは債務超過を自動的に解消する手法ではなく、あくまで選択肢の一つであるという点を踏まえたうえで、自社の状況を正確に把握し、早い段階で弁護士・公認会計士・税理士・M&Aの専門家などの各種専門家に相談することをおすすめします。
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よくある質問
- 債務超過でも会社は存続できますか?
- はい。会計上、帳簿上の純資産がマイナスとなっている状態であっても、資金繰りが維持できていれば、直ちに事業の継続が困難になるわけではありません。ただし、実態貸借対照表ベースでの財務状況や資金繰りの状況、破産法上の債務超過に該当するかどうかなど、別途確認が必要な点もあるため、放置せず早期に各種専門家へ相談することをおすすめします。
- 債務超過でも銀行融資は受けられますか?
- 債務超過である場合、銀行融資の審査では不利に働くことがあります。もっとも、債務超過であることだけをもって、直ちに融資を受けられないと決まるわけではありません。金融機関は、資金繰りの状況、本業の収益力、事業計画の実現可能性、担保・保証の有無、既存借入の返済状況などを総合的に判断します。そのため、債務超過の原因や今後の改善方針を整理し、実態貸借対照表や資金繰り表、事業計画をもとに説明できる状態を整えておくことが重要です。
- 債務超過でもM&Aはできますか?
- 可能な場合があります。企業価値は純資産の額だけでなく、将来の収益力や事業の強みを踏まえて評価されるため、債務超過であっても事業に価値が認められればM&Aが成立するケースがあります。ただし、事業に価値が認められる場合でも、負債の状況によっては株式価値が低くなり、株主が受け取る譲渡対価が低額になる場合があり、増資・事業譲渡・債務整理等をあわせて検討する必要がある場合があります。
- 債務超過と赤字は何が違いますか?
- 赤字とは、一定期間の損益計算において、収益よりも費用が多く、損失が発生している状態をいいます。これに対して債務超過とは、貸借対照表上、負債の総額が資産の総額を上回り、純資産がマイナスとなっている状態をいいます。つまり、赤字は「一定期間の損益」の問題であり、債務超過は「ある時点の財政状態」の問題です。赤字が続くと利益剰余金が減少し、最終的に債務超過に陥ることがありますが、単年度で赤字になったからといって、直ちに債務超過になるわけではありません。
- 債務超過を解消するにはどうすればよいですか?
- 主な方法として、利益改善、増資、DES(デット・エクイティ・スワップ)、債務免除などが挙げられます。まずは資金繰りと実態を把握したうえで、状況に応じた対応を段階的に検討することが重要です。M&Aによる第三者の支援も選択肢の一つとなり得ますが、M&A自体が自動的に債務超過を解消するわけではない点に留意が必要です。
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