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株式譲渡の仕訳方法について
株式譲渡の仕訳方法とは、株式を譲渡した企業と取得した企業が、株式譲渡によって生じた取引を会計上記録する方法を指します。譲渡側は譲渡対価と帳簿価額との差額を売却損益として処理し、取得側は取得した株式の保有割合などに応じて適切な勘定科目で資産計上します。
株式譲渡が行われた後は、譲渡企業と取得企業の双方で会計処理が必要になります。ただし、同じ株式譲渡でも、売り手と買い手では仕訳の考え方が異なり、買い手側では取得割合に応じて使う勘定科目も変わります。さらに、無償譲渡のような例外的な場面や、取得後の決算時に必要となる評価替え、税務上の扱いまで含めると、実務上の判断は複雑です。
本記事では、株式譲渡に関する仕訳や税務処理を、譲渡企業・取得企業それぞれの立場からパターン別に解説しています。
株式譲渡の全体像や手続きの流れ、またM&Aの意味や基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
株式譲渡・取得の会計処理・仕訳方法
早速、株式譲渡の会計処理をみていきます。譲渡企業の仕訳方法、取得企業の仕訳方法の順に解説します。
譲渡企業の仕訳
株式を譲渡した企業(売り手企業)は、受け取った対価と株式の帳簿価額との差額を、売却損益として計上します。
例えば、帳簿価額480万円の株式を譲渡し、現金500万円を受け取った場合の仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 500万円 | 投資有価証券 | 480万円 |
| 投資有価証券売却益 | 20万円 | ||
なお、株式を無償で譲渡した場合は、会計上は経費扱いとなり、法人に株式譲渡したのか、個人に譲渡したのかによって勘定科目は以下のように変化します。
- 役員や従業員に譲渡した場合
- 役員の場合は役員報酬、従業員の場合は給与となります。税務処理については、従業員に関しては損金として算入が可能ですが、役員の場合は損金に算入できません。
- 第三者の個人に譲渡した場合
- 勘定科目は寄付金となります。寄付金の損金算入限度額までは、損金として算入が可能です。
- 第三者の法人に譲渡した場合
- 勘定科目は寄付金となります。寄付金の損金算入限度額までは損金として算入が可能です。
取得企業の仕訳
次に、株式を取得した場合の仕訳を解説します。譲渡企業との資本関係によって3つのパターンに分かれます。
関連会社を関係会社株式として仕訳する場合
譲渡企業が発行する株式(議決権)を20%以上50%未満の範囲で取得している場合、譲渡企業との関係は関連会社となり、取得した株式は「関係会社株式」として仕訳します。
例えば、3,000万円で発行済株式の1/3を取得し、対価を現金預金で支払った場合は、以下のように仕訳を起こします。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 関係会社株式 | 3,000万円 | 現金預金 | 3,000万円 |
子会社を関係会社株式として仕訳する場合
原則として、譲渡企業が発行する株式(議決権)の50%以上を取得していれば、譲渡企業は自社の子会社となります。仕訳を起こす際は、関連会社の場合と同様に、勘定科目は「関係会社株式」を用います。
譲渡企業の株式を500万円で取得し、対価を現金預金で支払った場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 関係会社株式 | 500万円 | 現金預金 | 500万円 |
なお、連結財務諸表作成のための連結修正の仕訳に関しては、上記と異なるので注意してください。
その他の株式として仕訳する場合
譲渡企業が発行する株式(議決権)の20%未満を取得している場合、その株式は投資有価証券として処理します。
譲渡企業の株式を2,000万円で購入し、対価を現金預金で支払った場合は、以下のように仕訳を起こします。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 2,000万円 | 現金預金 | 2,000万円 |
なお、株式を取得した企業が自社の連結子会社になり、連結決算とする場合は、のれんをふまえて仕訳や会計処理をする必要があるので覚えておきましょう。
株式を無償譲渡された場合
株式を無償譲渡されたケースも整理しておきましょう。誰が株式を取得したのかによって勘定科目は以下のように変化します。
- 役員や従業員が無償譲渡された場合
- 勘定科目は役員報酬、または給与となります。
- 第三者の個人が無償譲渡された場合
- 勘定科目は寄付金となります。
- 第三者の法人が無償譲渡された場合
- 勘定科目は寄付金となります。
株式を取得した後の決算期における仕訳
上場企業の株式を取得し、その株式が投資有価証券に該当する場合は、決算期に株式の評価替え(時価評価)の仕訳が必要となります。この評価替えの仕訳は、関係会社や満期まで保有する目的以外で市場価格の存在する投資有価証券を保有している限り、決算期ごとに行わなければなりません。
現金500万円で取得した株式(投資有価証券)が、決算期の時価で550万円になったケースを考えてみましょう。この場合、法人税率が40%であるとすると、仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 50万円 | その他有価証券評価差額金 | 30万円 |
| 繰延税金負債 | 20万円 | ||
株式譲渡・取得の税務処理
続いて、株式を譲渡または取得した際の税務処理をみていきます。譲渡企業の税務処理、取得企業の税務処理の順に解説します。
譲渡企業の税務処理
株式を譲渡した譲渡企業(売り手企業)の税務処理は、譲渡先が法人なのか個人なのかによって手法が異なります。
法人に対して株式を譲渡した場合、株式を譲渡した価額と株式の帳簿価額との差額が譲渡損益となります。帳簿価額よりも安い価額で譲渡すれば譲渡損、高い価額で譲渡すれば譲渡益です。
譲渡損が出た場合は、事業で得た所得と相殺されるため、その分だけ法人税が安くなります。反対に譲渡益が出た場合は、事業で得た所得に加算されるため、その分だけ法人税が高くなります。
では、個人に対して譲渡した場合はどうなるでしょうか。
個人に対して取得価額よりも高い価額で株式を譲渡した場合は、譲渡価額と取得価額の差額に対して所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%課税されます。
なお、譲渡価額が時価よりも目安として20%以上安い場合は、時価と譲渡価額の差額は贈与と判断されるおそれがあります。その場合は贈与税が課税されるため注意が必要です。
取得企業の税務処理
株式譲渡により譲渡企業から株式を取得した企業(買い手企業)は、既に説明したように、会計処理において譲渡企業との資本関係などに基づいて適切な勘定科目を選択し、資産計上します。それ以外、取得企業は特別な税務処理は必要ありません。
株式は消費税の課税対象とならないため、消費税も課税されません。
なお、株式譲渡によるM&Aで株式を取得した場合、通常はのれん代を加えた金額を支払います。また、連結決算をする場合はのれんを踏まえた会計処理・仕訳が必要です。しかし、税務処理においては個別会計と同様に、株式取得にかかった費用は総額を関連会社株式に加算して資産計上するため、費用にはならず税務上のメリットは発生せず、のれんも計上されません。
まとめ
株式譲渡の仕訳方法は、譲渡企業か取得企業かという立場の違いに加え、取得した株式の割合や無償譲渡の有無、決算時の評価替えの要否によって処理が変わります。税務処理についても、譲渡企業では譲渡先が法人か個人かで取扱いが異なり、取得企業では原則として特別な処理が不要であるなど、会計処理とは別の視点で整理が必要です。株式譲渡に伴う会計・税務処理は論点が多く複雑であるため、誤りを避けるには、内容を事前に把握したうえで専門家に確認しながら進めることが重要です。
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よくある質問
- 株式譲渡の仕訳は譲渡企業と取得企業でどう違いますか?
- 譲渡企業は、受け取った対価と株式の帳簿価額との差額を売却損益として計上します。一方、取得企業は、譲渡企業との資本関係や取得割合に応じて、投資有価証券または関係会社株式などの勘定科目で処理します。
- 譲渡企業はどのように仕訳しますか?
- 譲渡企業は、受け取った対価と譲渡した株式の帳簿価額との差額を売却損益として計上します。例えば、帳簿価額480万円の株式を500万円で譲渡した場合、20万円を投資有価証券売却益として処理します。
- 取得企業は取得割合によってどのように仕訳を分けますか?
- 議決権の20%以上50%未満を取得した場合や50%以上を取得した場合は関係会社株式として仕訳し、20%未満の場合は投資有価証券として処理します。
- 株式を無償で譲渡した場合はどのように処理しますか?
- 役員や従業員に譲渡した場合は役員報酬または給与、第三者の個人や法人に譲渡した場合は寄付金として処理します。損金算入の扱いは相手先や立場によって異なります。
- 株式取得後の決算ではどのような仕訳が必要ですか?
- 上場企業の株式を取得し、それが投資有価証券に該当する場合は、決算期ごとに時価評価の仕訳が必要です。
- 譲渡企業の税務処理では何に注意が必要ですか?
- 譲渡先が法人か個人かで税務処理が異なります。法人に譲渡した場合は譲渡損益が法人税に影響し、個人に譲渡した場合は条件によって所得税や、時価より著しく低い場合には贈与税が問題となることがあります。
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