株式譲渡の仕訳方法 取得側・譲渡側それぞれの処理について詳しく解説

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株式譲渡の仕訳方法について

株式譲渡の仕訳方法とは、株式を譲渡した側と取得した側が、株式譲渡によって生じた取引を会計上記録する方法です。譲渡側では譲渡対価と帳簿価額との差額を売却損益として処理し、取得側では取得割合や資本関係に応じて、投資有価証券や関係会社株式などの勘定科目で資産計上します。

株式譲渡では、株式を譲渡した側と取得した側で会計処理が異なります。取得側では、取得割合や資本関係に応じて、投資有価証券や関係会社株式などの勘定科目の判断も必要です。
また、税務処理は、譲渡する株主が法人か個人か、譲渡価額が時価と比べて適切かなどによって確認すべき点が変わります。

本記事では、株式譲渡に関する仕訳や税務処理を、譲渡側・取得側それぞれの立場からパターン別に解説します。
なお、株式譲渡の概要を確認したい方は、「株式譲渡とは?」の記事もあわせてご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


株式譲渡・取得の会計処理・仕訳方法

早速、株式譲渡の会計処理をみていきます。譲渡側の仕訳方法、取得側の仕訳方法の順に解説します。

譲渡側の仕訳

株式を譲渡した企業(売り手企業)は、受け取った対価と株式の帳簿価額との差額を、売却損益として計上します
例えば、帳簿価額480万円の株式を譲渡し、現金500万円を受け取った場合の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
現金 500万円 投資有価証券 480万円
投資有価証券売却益 20万円

なお、譲渡企業が株式を無償で譲渡する場合は、会計上は経費扱いとなり、譲渡先によって勘定科目は以下のように変化します。

役員や従業員に譲渡した場合
役員の場合は役員報酬、従業員の場合は給与となります。税務処理については、従業員に関しては損金として算入が可能ですが、役員の場合は損金に算入できません。
第三者の個人に譲渡した場合
勘定科目は寄付金となります。寄付金の損金算入限度額までは、損金として算入が可能です。
第三者の法人に譲渡した場合
勘定科目は寄付金となります。寄付金の損金算入限度額までは、損金として算入が可能です。

取得側の仕訳

次に、株式を取得した場合の仕訳を解説します。取得する株式の議決権割合や対象会社との資本関係によって、主に3つのパターンに分かれます。

関連会社を関係会社株式として仕訳する場合

対象会社が発行する株式(議決権)を20%以上50%未満の範囲で取得している場合、対象会社との関係は関連会社となり、取得した株式は「関係会社株式」として仕訳します。
例えば、3,000万円で発行済株式の1/3を取得し、対価を現金預金で支払った場合は、以下のように仕訳を起こします。

借方 貸方
関係会社株式 3,000万円 現金預金 3,000万円

子会社を関係会社株式として仕訳する場合

原則として、対象会社が発行する株式(議決権)の50%以上を取得していれば、対象会社は自社の子会社となります。仕訳を起こす際は、関連会社の場合と同様に、勘定科目は「関係会社株式」を用います
対象会社の株式を500万円で取得し、対価を現金預金で支払った場合の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
関係会社株式 500万円 現金預金 500万円

なお、連結財務諸表作成のための連結修正の仕訳に関しては、上記と異なるので注意してください。

その他の株式として仕訳する場合

対象会社が発行する株式(議決権)の20%未満を取得している場合、その株式は投資有価証券として処理します
対象会社の株式を2,000万円で購入し、対価を現金預金で支払った場合は、以下のように仕訳を起こします。

借方 貸方
投資有価証券 2,000万円 現金預金 2,000万円

なお、株式を取得した結果、対象会社が自社の連結子会社になり、連結決算の対象になる場合は、のれんをふまえて仕訳や会計処理をする必要があるので覚えておきましょう。

株式を無償譲渡された場合

株式を無償で受け取った側の処理は、受領者が法人か個人かで異なります。

法人が無償譲渡を受けた場合
時価相当額で関係会社株式または投資有価証券を計上し、貸方は受贈益等で処理します。
個人が無償譲渡を受けた場合
個人は複式簿記を行わないため、仕訳自体は発生しません。贈与税の課税が論点となります。役員や従業員が無償取得した場合は、給与・役員報酬としての所得税等の課税が論点となります。

株式を取得した後の決算期における仕訳

上場企業の株式を取得し、その株式が投資有価証券に該当する場合は、決算期に株式の評価替え(時価評価)の仕訳が必要となります。この評価替えの仕訳は、関係会社や満期まで保有する目的以外で市場価格の存在する投資有価証券を保有している限り、決算期ごとに行わなければなりません
現金500万円で取得した株式(投資有価証券)が、決算期の時価で550万円になったケースを考えてみましょう。この場合、法人税率が40%であるとすると、仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
投資有価証券 50万円 その他有価証券評価差額金 30万円
繰延税金負債 20万円

株式譲渡・取得の税務処理

続いて、株式を譲渡または取得した際の税務処理をみていきます。譲渡側の税務処理、取得側の税務処理の順に解説します。

譲渡側の税務処理

株式譲渡における税務処理は、譲渡する株主が個人か法人かによって異なります

法人株主(譲渡企業)が株式を譲渡した場合、譲渡価額と帳簿価額の差額が譲渡損益となります。帳簿価額より安い価額で譲渡すれば譲渡損、高い価額で譲渡すれば譲渡益です。譲渡損益は他の事業所得と合算され、法人税等の対象となります。譲渡先が法人か個人かは、譲渡企業側の損益計算には影響しません。

個人株主が株式を譲渡して譲渡益が生じた場合、原則として申告分離課税により所得税・住民税・復興特別所得税が課されます。上場株式等では、譲渡価額と取得価額の差額に対し、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%が課税されるのが一般的です。
なお、譲渡価額が時価よりも著しく低い場合は、時価と譲渡価額の差額が贈与と判断されるおそれがあります。その場合は贈与税が課税される可能性があるため注意が必要です。

取得側の税務処理

株式譲渡により株式を取得した企業(買い手企業)は、既に説明したように、会計処理において対象会社との資本関係などに基づいて適切な勘定科目を選択し、資産計上します。それ以外、取得側は特別な税務処理は必要ありません
株式は消費税の課税対象とならないため、消費税も課税されません。
なお、株式譲渡によるM&Aで株式を取得した場合、通常はのれん代を加えた金額を支払います。また、連結決算をする場合はのれんを踏まえた会計処理・仕訳が必要です。しかし、税務処理においては個別会計と同様に、株式取得にかかった費用は取得した株式の取得価額に含めて資産計上するため、費用にはならず税務上のメリットは発生せず、のれんも計上されません。

まとめ

株式譲渡によるM&Aを実施した場合、株式を譲渡した側と取得した側では、会計処理・仕訳の方法が異なります。取得側では、取得割合や対象会社との資本関係に応じて、投資有価証券や関係会社株式などの勘定科目を判断する必要があります。また、取得した株式が投資有価証券に該当する場合は、決算期ごとの時価評価が必要となることもあります。

税務処理についても、取得側では原則として特別な処理は必要ありませんが、譲渡側では株主が法人か個人かによって、法人税や申告分離課税などの扱いが異なります。譲渡価額が時価より著しく低い場合は、贈与税が課税される可能性がある点にも注意が必要です。

株式譲渡に関する会計処理・税務処理は、当事者の立場や取得割合、対価の内容によって判断が分かれます。処理に不安がある場合は、会計・税務に詳しい専門家へ相談しながら進めることが重要です。



よくある質問

  • 株式譲渡の仕訳は譲渡側と取得側でどう違いますか?
  • 譲渡側は、受け取った対価と株式の帳簿価額との差額を売却損益として計上します。一方、取得側は、取得割合や対象会社との資本関係に応じて、投資有価証券または関係会社株式などの勘定科目で処理します。
  • 譲渡側はどのように仕訳しますか?
  • 譲渡側は、受け取った対価と譲渡した株式の帳簿価額との差額を売却損益として計上します。例えば、帳簿価額480万円の株式を500万円で譲渡した場合、20万円を投資有価証券売却益として処理します。
  • 取得側は取得割合によってどのように仕訳を分けますか?
  • 議決権の20%以上50%未満を取得した場合や50%以上を取得した場合は関係会社株式として仕訳し、20%未満の場合は投資有価証券として処理します。
  • 株式を無償で譲渡した場合はどのように処理しますか?
  • 譲渡する法人側は、役員・従業員への譲渡なら役員報酬または給与、第三者への譲渡なら寄付金として処理します。受け取る法人側は時価相当額で資産計上し受贈益を計上します。個人が受け取る場合は仕訳は不要で、贈与税等の課税が論点となります。
  • 株式取得後の決算ではどのような仕訳が必要ですか?
  • 上場企業の株式を取得し、それが投資有価証券に該当する場合は、決算期ごとに時価評価の仕訳が必要です。
  • 譲渡側の税務処理では何に注意が必要ですか?
  • 法人株主が譲渡した場合は譲渡損益が他の所得と合算され、法人税等の対象となります。個人株主が譲渡益を得た場合は、原則として申告分離課税により所得税・住民税・復興特別所得税が課されます。譲渡価額が時価より著しく低い場合は、贈与税が課税される可能性があります。

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