株式譲渡の仕訳方法 取得企業・譲渡企業それぞれの処理について詳しく解説

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株式譲渡が実行されたら会計処理が必要です。しかし、株式を譲渡した側(売り手企業)と株式を取得した側(買い手企業)とでは方法が異なり、仕訳の知識がなければ正しく処理できません。
また、株式を取得した側は、売り手企業の株式をどれくらい持っているかによって、仕訳の起こし方が変わります。さらに、税務処理も譲渡側と取得側では方法が違います。
このように、株式譲渡に関連した会計処理や税務処理は非常に複雑で間違いやすいものです。そこで本記事では、会計処理と税務処理をパターン別に解説していきます。会計処理における仕訳例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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1. 株式譲渡・取得の会計処理・仕訳方法

早速、株式譲渡の会計処理をみていきます。譲渡企業の仕訳方法、取得企業の仕訳方法の順に解説します。

1-1. 譲渡企業の仕訳

株式を譲渡した企業(売り手企業)は、受け取った対価と株式の帳簿価額との差額を、売却損益として計上します
例えば、帳簿価額480万円の株式を譲渡し、現金500万円を受け取った場合の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
現金 500万円 投資有価証券 480万円
投資有価証券売却益 20万円

なお、株式を無償で譲渡した場合は、会計上は経費扱いとなり、法人に株式譲渡したのか、個人に譲渡したのかによって勘定科目は以下のように変化します。

  • 役員や従業員に譲渡した場合・・・役員の場合は役員報酬、従業員の場合は給与となります。税務処理については、従業員に関しては損金として算入が可能ですが、役員の場合は損金に算入できません。
  • 第三者の個人に譲渡した場合・・・勘定科目は寄付金となります。寄付金の損金算入限度額までは、損金として算入が可能です。
  • 第三者の法人に譲渡した場合・・・勘定科目は寄付金となります。寄付金の損金算入限度額までは損金として算入が可能です。

1-2. 取得企業の仕訳

次に、株式を取得した場合の仕訳を解説します。譲渡企業との資本関係によって3つのパターンに分かれます。

関連会社を関係会社株式として仕訳する場合

譲渡企業が発行する株式(議決権)を20%以上50%未満の範囲で取得している場合、譲渡企業との関係は関連会社となり、取得した株式は「関係会社株式」として仕訳します。
例えば、3,000万円で発行済株式の1/3を取得し、対価を現金預金で支払った場合は、以下のように仕訳を起こします。

借方 貸方
関係会社株式 3,000万円 現金預金 3,000万円

子会社を関係会社株式として仕訳する場合

原則として、譲渡企業が発行する株式(議決権)の50%以上を取得していれば、譲渡企業は自社の子会社となります。仕訳を起こす際は、関連会社の場合と同様に、勘定科目は「関係会社株式」を用います
譲渡企業の株式を500万円で取得し、対価を現金預金で支払った場合の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
関係会社株式 500万円 現金預金 500万円

なお、連結財務諸表作成のための連結修正の仕訳に関しては、上記と異なるので注意してください。

その他の株式として仕訳する場合

譲渡企業が発行する株式(議決権)の20%未満を取得している場合、その株式は投資有価証券として処理します
譲渡企業の株式を2,000万円で購入し、対価を現金預金で支払った場合は、以下のように仕訳を起こします。

借方 貸方
投資有価証券 2,000万円 現金預金 2,000万円

なお、株式を取得した企業が自社の連結子会社になり、連結決算とする場合は、のれんをふまえて仕訳や会計処理をする必要があるので覚えておきましょう。

株式を無償譲渡された場合

株式を無償譲渡されたケースも整理しておきましょう。誰が株式を取得したのかによって勘定科目は以下のように変化します。

  • 役員や従業員が無償譲渡された場合・・・勘定科目は役員報酬、または給与となります。
  • 第三者の個人が無償譲渡された場合・・・勘定科目は寄付金となります。
  • 第三者の法人が無償譲渡された場合・・・勘定科目は寄付金となります。

1-3. 株式を取得した後の決算期における仕訳

上場企業の株式を取得し、その株式が投資有価証券に該当する場合は、決算期に株式の評価替え(時価評価)の仕訳が必要となります。この評価替えの仕訳は、関係会社や満期まで保有する目的以外で市場価格の存在する投資有価証券を保有している限り、決算期ごとに行わなければなりません
現金500万円で取得した株式(投資有価証券)が、決算期の時価で550万円になったケースを考えてみましょう。この場合、法人税率が40%であるとすると、仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
投資有価証券 50万円 その他有価証券評価差額金 30万円
繰延税金負債 20万円

2. 株式譲渡・取得の税務処理

続いて、株式を譲渡または取得した際の税務処理をみていきます。譲渡企業の税務処理、取得企業の税務処理の順に解説します。

2-1. 譲渡企業の税務処理

株式を譲渡した譲渡企業(売り手企業)の税務処理は、譲渡先が法人なのか個人なのかによって手法が異なります
法人に対して株式を譲渡した場合、株式を譲渡した価額と株式の帳簿価額との差額が譲渡損益となります。帳簿価額よりも安い価額で譲渡すれば譲渡損、高い価額で譲渡すれば譲渡益です。
譲渡損が出た場合は、事業で得た所得と相殺されるため、その分だけ法人税が安くなります。反対に譲渡益が出た場合は、事業で得た所得に加算されるため、その分だけ法人税が高くなります。

では、個人に対して譲渡した場合はどうなるでしょうか。
個人に対して取得価額よりも高い価額で株式を譲渡した場合は、譲渡価額と取得価額の差額に対して所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%課税されます。
なお、譲渡価額が時価よりも目安として20%以上安い場合は、時価と譲渡価額の差額は贈与と判断されるおそれがあります。その場合は贈与税が課税されるため注意が必要です。

2-2. 取得企業の税務処理

株式譲渡により譲渡企業から株式を取得した企業(買い手企業)は、既に説明したように、会計処理において譲渡企業との資本関係などに基づいて適切な勘定科目を選択し、資産計上します。それ以外、取得企業は特別な税務処理は必要ありません
株式は消費税の課税対象とならないため、消費税も課税されません。
なお、株式譲渡によるM&Aで株式を取得した場合、通常はのれん代を加えた金額を支払います。また、連結決算をする場合はのれんを踏まえた会計処理・仕訳が必要です。しかし、税務処理においては個別会計と同様に、株式取得にかかった費用は総額を関連会社株式に加算して資産計上するため、費用にはならず税務上のメリットは発生せず、のれんも計上されません。

3. まとめ

株式譲渡によるM&Aを実施した場合、株式を譲渡した側なのか、取得した側なのか、発行済の株式の何割を取得したのかなどによって会計処理・仕訳の手法が異なります。また、取得した株式の種類で決算期ごとの対応も変わってきます。
税務処理に関しても、株式を取得した企業側は特別な処理は必要無い一方で、譲渡した企業側には譲渡益に対して法人税が課税されるなど、さまざまな違いがあるので注意が必要です。譲渡価額が安すぎると贈与税がかかる場合があることも押さえておくと良いでしょう。
ここまで見てきたように、株式譲渡に関連した会計処理・税務処理はかなり複雑なうえに専門知識も必要となるため、専門家に相談することをおすすめします。
M&Aキャピタルパートナーズはコンサルタントの士業資格保有率No.1の実績を持ち、税理士をはじめ多くの専門家が在籍しています。株式譲渡の仕訳や税務処理についてわからないことがある場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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