MSCBとは? 仕組み・特殊条項・メリットとデメリットを解説

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MSCBについて

MSCBとは、Moving Strike Convertible Bondの略語で、日本語では「転換価額修正条項付転換社債型新株予約権付社債」と訳される転換社債です。発行後一定期間が経過した後、株価などの時価に応じて転換価額を修正する特殊条項が付いている点が特徴で、一般的には下方修正の条件が付いた転換社債を指します。

M&Aを検討する際、資金調達方法の選択は重要な論点の一つです。MSCBは、市場環境に応じた株式発行や機動的な資金調達につながる可能性がある一方で、転換価額の修正によって株式の希薄化や株価下落リスクが生じる場合があります。仕組みを理解しないまま導入すると、既存株主や投資家との関係にも影響するため、特殊条項の内容や導入時の留意点を整理しておくことが重要です。

本記事では、MSCBの概要、特殊条項の例、導入するメリット・デメリット、留意点について解説します。

また、M&Aの意味と基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


MSCBの概要

MSCBとは?

MSCBは、Moving Strike Convertible Bondの略語で、日本語では「転換価額修正条項付転換社債型新株予約権付社債」と訳されています。MSCBは、転換価格を修正するという特殊条項が付いた転換社債であり、発行後一定の期間経過後に、転換価格をその時の時価で算定し直す条項が付されている転換社債(CB)を指します。一般的には修正幅に条件がつけられており、下方修正の特殊条項のついた転換社債をいいます。

具体的な特殊条項の例

具体的な特殊条項の例としては、上場会社において、発行時に決定される価格よりも株価が下がった場合、それに応じて転換価額も下方修正する条項が設けられることがあります。その場合、MSCBが発行されている状態で株価が下がると、転換時に転換価額も下がることになるため、発行される株式数が多くなり、この結果、意図せずに株式の希薄化が進むことがあります。

MSCBを導入するメリットとデメリット

次にMSCBを導入するメリットとデメリットを紹介します。

MSCB導入のメリット

まず、MSCBを導入するメリットは主に以下のとおりです。

  • 新株予約権付社債の転換価額に修正条項がついているため、市場環境に応じた株式の発行が可能となります。
    また、第三者割当形式で特定の投資家が単独で割当てを引受けるため、通常の公募増資と比較して手続きが簡略であり、発行コストを抑えることが可能となることから、機動的な発行及び短期間での反復的な発行が可能となります。
    さらに、株価が下がっても転換が可能であるため、経営不振企業でも資金調達が可能となり、MSCBにより調達した資金で企業再生が図られた企業も存在します。

MSCB導入のデメリット

次にMSCBを導入するデメリットは主に以下のとおりです。

  • 転換価額が下方修正されると、株式転換したときに得られる株式数が増加するため、株式の希薄化(一株当りの価値の低下)が進み、既存株主の利益が損なわれることがあります。
    また、MSCBを引受けた投資家がヘッジのためと称して空売りを実施し、結果として株価の下落に繋がることがあります。

MSCBを導入する際の留意点

MSCBを導入する際の留意点としては、主に以下のことが考えられます。

透明性の確保

透明性を確保するために、MSCBの構造と転換メカニズムを投資家に対して明確に伝えることが重要です

適切な価格設定

転換価格の修正幅の条件を適切に設定し、市場環境や企業価値の変動を考慮する必要があります。

リスク管理

市場の変動に対応するためのリスク管理策を講じ、投資家と企業の双方が利益を享受できるようにすることが重要です。

まとめ

MSCBは、転換価額を修正する特殊条項が付いた転換社債であり、M&A戦略における資金調達方法の一つとして検討されることがあります。市場環境に応じた株式発行や機動的な資金調達につながる一方、転換価額の下方修正による株式の希薄化、既存株主への影響、株価下落リスクには注意が必要です。導入を検討する際は、MSCBの構造や転換メカニズムを理解し、価格設定やリスク管理を整理したうえで、必要に応じて法務・財務・M&Aの専門的な観点から確認することが重要です。



よくある質問

  • MSCBとは何ですか?
  • MSCBとは、Moving Strike Convertible Bondの略語で、日本語では「転換価額修正条項付転換社債型新株予約権付社債」と訳されます。転換価額を修正する特殊条項が付いた転換社債を指します。
  • MSCBの特殊条項とはどのようなものですか?
  • MSCBの特殊条項では、発行時に決定された価格よりも株価が下がった場合、それに応じて転換価額を下方修正する条項が設けられることがあります。転換価額が下がると、発行される株式数が多くなる場合があります。
  • MSCBを導入するメリットは何ですか?
  • MSCBは、転換価額に修正条項が付いているため、市場環境に応じた株式の発行が可能です。また、第三者割当形式により、通常の公募増資と比べて手続きや発行コストを抑えやすく、機動的な発行につながります。
  • MSCBを導入するデメリットは何ですか?
  • MSCBでは、転換価額が下方修正されると株式転換時に得られる株式数が増えるため、株式の希薄化が進み、既存株主の利益が損なわれることがあります。また、空売りによって株価下落につながるリスクもあります。
  • MSCBを導入する際の留意点は何ですか?
  • MSCBを導入する際は、構造や転換メカニズムを投資家に明確に伝える透明性の確保、転換価格の修正幅に関する適切な条件設定、市場変動に対応するためのリスク管理が重要です。
  • MSCBはM&Aの資金調達に活用できますか?
  • MSCBは、M&Aを検討する企業にとって資金調達方法の一つになり得ます。ただし、構造が複雑で、株式の希薄化や株価下落リスクもあるため、導入時には法務・財務・M&Aの観点から慎重に検討する必要があります。

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