スモールM&Aとは? 実施するメリット・デメリットや必要な手続きを解説

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スモールM&Aについて

スモールM&Aとは、少額で実施されるM&Aのことです。近年、中小企業の事業承継や会社再生を目的としたスモールM&Aの活用が広まっています。

本記事では、「M&Aとは?M&Aとは?|詳細記事へ」の基本的な理解を踏まえたうえで、スモールM&Aの概要、メリットやデメリット、手法、流れ、マッチングのポイント、費用などについて解説します。


スモールM&Aの概要

スモールM&Aとは、比較的少額(概ね1,000万円以下)で行われる、小規模な会社・店舗・事業単位の売買を指します。地域密着型の個人事業や小規模法人が主な対象です。

例えば、一定の収益はあるものの後継者が不在のため、第三者承継によって事業の継続を図るケースや、赤字事業を買い手が引き継いで再建を目指すケースなどで活用されています。

スモールM&Aのメリット

中小M&Aの譲渡価格
画像出典:中小M&A推進計画(概要) ~計画策定の趣旨等~

中小企業のM&Aは売り手の規模に幅がありますが、全体の約4割がスモールM&Aに該当しています。小規模な企業によるスモールM&Aの活用が活発なのは、以下のメリットによるものです。

各メリットについて、詳しく見ていきましょう。

後継者不在でも事業を継続できる

スモールM&Aは、深刻化する事業承継問題の具体的な解決策として注目されています。

近年の中小企業は、経営者の高齢化および後継者不足が顕著です。収益性があっても承継の糸口を見つけられず、廃業へと向かうケースが少なくありません。

休廃業・解散企業の経営者年齢の推移
画像出典:2025年版「中小企業白書」

中小企業白書2025年版では、休廃業・解散の企業において70代・80代以上の経営者の比率が高まり、経営者年齢のピーク自体が上方へシフトしていることが示されています。

休廃業・解散企業の損益別構成比の推移
画像出典:2025年版「中小企業白書」

2024年時点の同じ調査では、黒字のまま休廃業・解散に至った企業は全体の過半(51.1%)を占め、後継者不在が価値ある事業の消失をもたらしている現実が浮き彫りとなっています。

こうした状況のなか、親族内や社内で承継者を確保できなくても、第三者承継によって事業・雇用・取引を維持できるスモールM&Aは、有効な選択肢として注目されています。

経営者の個人負担を軽減し、利益を得られる

中小企業の資金調達では、経営者による個人保証や、自宅などの担保提供が求められることが少なくありません。これらは経営者にとって、心理的、経済的な負担となっています。

スモールM&Aで事業を譲渡すれば、交渉次第で個人保証や担保の解除、あるいは切り替えが可能です。これにより、経営から退く際のリスクを抑制できます。

さらに、売却対価として創業者利益を確保できる点も重要です。これまで築いた顧客・ノウハウ・ブランドといった事業価値を現金化することで、生活資金や資産形成、あるいは新たな投資・起業の原資として活用できます。

スモールM&Aのデメリット

スモールM&Aには、主に以下のようなデメリットがあります。

メリットとデメリットの双方を把握したうえで検討することが大切です。

手数料の負担が大きくなりやすい

取引金額が小さいスモールM&Aでは、仲介会社に支払う手数料が割高に感じられがちです。

例えば、数百万円規模の譲渡価格に対して、数十万円単位の手数料が発生する場合、売り手にとっては費用対効果が見合わないと判断することもあるでしょう。

M&A仲介における一般的な成功報酬は、低額帯でも一定の料率(例:5億円以下の部分5%など)が適用されます。さらに、各社の基準額設定(株式価値基準か、企業価値・移動総資産基準か)や最低手数料の有無によって、実費が押し上げられる場合があります。

買い手側の視点でも、取得後の利益率や回収期間を踏まえると、初期費用の負担の大きさは無視できません。

マッチングや交渉が難航しやすい

スモールM&Aでは、財務資料や契約書類の整備、法務・税務を含む情報開示の準備が不十分なケースが多く見られます。正確な情報を提示できない場合、マッチングや条件交渉が難航しがちです。

また、準備不足のまま契約を締結してしまうと、後に認識のズレやトラブルに発展するリスクがあります。規模が小さい企業だからこそ、事前の情報整理をしっかりと行い、必要に応じて専門家の支援を受けながら進めることが大切です。

スモールM&Aの手法

スモールM&Aの手法には、株式譲渡と事業譲渡があります。会社を丸ごと承継する場合は株式譲渡、対象資産や契約を選んで柔軟に計画する場合は事業譲渡が選択されます。

株式譲渡

株式譲渡は、既存株主が保有株式を第三者へ売却し、会社の経営権そのものを引き継ぐ手法です。取引先との契約、許認可、従業員の雇用などの権利義務が包括的に承継されるため、手続きは比較的シンプルに済みます。顧客や従業員に与える影響が小さく、円滑な引継ぎが期待できるのも特徴です。

ただし、過去の負債や簿外債務、将来の労務・訴訟リスクなど、隠れたリスクを承継してしまう可能性があります。これを避けるためには、デューデリジェンスの徹底が不可欠です。

事業譲渡

事業譲渡は、会社そのものではなく、会社が保有する事業の一部または全部を切り出して譲渡する手法です。すべての権利義務を包括的に承継する株式譲渡とは異なり、事業譲渡では「採算事業のみを切り出す」「不要な負債を含めない」などの柔軟な設計が可能です。個人による小規模事業の買収でリスクを限定したい場合などに適しています。

ただし、取引先や従業員との契約を個別に結び直す必要があるため、実務負担が大きくなりやすい点には留意しなければなりません。

スモールM&Aの流れ

スモールM&Aの基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 事前準備
  2. 相手企業の選定
  3. 条件交渉
  4. デューデリジェンス
  5. 契約の締結
  6. クロージング、PMI

各プロセスについて、詳しく見ていきましょう。

1.事前準備を行う

はじめに、スモールM&Aによって「何を・なぜ譲渡するのか」を明確にしましょう。売却対象や希望条件、譲れないポイントなどをはっきりさせることで、相手企業の選定や条件交渉がスムーズになります。

あわせて、財務三表や資産・負債、契約・許認可の棚卸しや、自社の強み(顧客基盤、立地、ノウハウ、人材)の洗い出しを行います。専門家に依頼する場合は、仲介会社やアドバイザーとの契約も必要です。

2.相手企業を選定する

仲介会社や専門家の支援のもと、買い手となる相手の選定を行います。

この段階では、業種・地域・事業規模・シナジーなどをもとに候補をロングリスト化し、条件適合度と実行力でショートリストへ絞り込みます。

初期の接触では、企業名を伏せたノンネームシートを用いて、関心を持ってくれる相手に打診するのが基本です。その後は、事業内容や経営方針などを多角的に確認しながら、信頼できる相手か否かを見極めます。

3.条件交渉に進む

買い手候補が決まったら、具体的な条件交渉を始めます。まず、経営者同士の面談で事業への考え方や相性を確認し、その後、譲渡価格、引継ぎ方法、従業員の雇用継続、M&Aスキーム(株式譲渡や事業譲渡)などの主要条件をすり合わせましょう。

交渉は、買い手から提出される意向表明書(LOI)をもとに進めます。価格交渉は意見が分かれやすいため、事前に事業価値を客観的かつ正確に評価しておくと、着地点を見つけやすくなるでしょう。大枠がまとまったら、基本合意書(MOU)を取り交わします。

4.デューデリジェンスを行う

デューデリジェンスとは、買い手が売り手の実態を確認するために実施する調査です。財務・税務・法務に加え、契約・許認可・労務・知財・環境・顧客集中・簿外債務の有無など、多岐にわたります。

デューデリジェンスの結果によっては、価格や契約条件、補償条項などの見直しが行われる場合があります。売り手側は、誠実で一貫した情報開示を心がけなくてはなりません。

5.契約の締結

条件交渉がまとまり、デューデリジェンスの結果も反映したら、最終契約を締結します。この際、スキームに応じて、株式譲渡契約書(SPA)または事業譲渡契約書を作成しなければなりません。契約書には、譲渡対象・対価・決済方法・譲渡日などの基本事項に加え、契約解除や損害賠償、クロージング条件などを規定します。

将来のトラブルを避けるため、弁護士・専門家と連携し、条項の整合性、履行可能性、スケジュールの現実性を厳格にチェックしましょう。

6.クロージングとPMIの実施

クロージングでは、契約内容に沿って経営権や資産の引き渡しを行います。株式譲渡であれば、株式の移転と対価の支払いにより法的にM&Aが成立します。

クロージング後に行うのは、売り手と買い手の組織や業務を統合するPMI(Post Merger Integration)です。業務フローや人事制度などのすり合わせを通じて、シナジーを発揮できる体制を整えます。

PMIでミスがあると、取引先との関係の悪化や、従業員の大量離職などのトラブルを招き、期待していたシナジーを得られなくなる可能性があります。そのため、M&Aの規模に関わらず丁寧に行わなければなりません。

スモールM&Aの相手を見つける方法

スモールM&Aの成功の鍵は、自社の目的と条件に適合する相手を見つけることです。そのためには、自社の状況・目的に応じた相談先やマッチング手段を選ぶことが欠かせません。

相談先・マッチング手段ごとの特徴と注意点は以下のとおりです。

種類 特徴 注意点
M&A仲介会社
  • 買い手・売り手の間に立ち、交渉から契約まで一貫してサポート
  • 経験・ノウハウが豊富で成約まで安心して任せられる
  • 成功報酬など手数料が発生する
事業承継・引継ぎ支援センター
  • 全国に相談窓口があり地方都市でも相談しやすい
  • 第三者目線の公平なアドバイスがもらえる
  • 手がけるM&Aは事業承継を目的としている
  • 大規模なM&Aや複雑なスキームには対応できない
商工会議所などの団体組織
  • 中小企業同士のM&Aに強い
  • 地域密着型で相談しやすい
  • 商工会議所の会員になるために費用がかかる
  • サービスの質やスピードが民間企業より劣る可能性がある
M&Aマッチングサイト
  • オンラインで案件を検索・打診できるプラットフォーム
  • 手軽に始められ、手数料を抑えられることが多い
  • 相手との交渉・契約は基本的に自分で行う必要がある

スモールM&Aにかかる費用

スモールM&Aにかかる費用の中心となるのは、仲介会社などの専門家に支払う仲介手数料です。

M&A仲介手数料は着手金、中間報酬、成功報酬で構成されます。なかでも金額の大きい成功報酬は、レーマン方式などで算出され、譲渡価格の5%前後が相場です。

ほかに発生する費用としては、弁護士や司法書士などによる書類作成や、デューデリジェンス、評価書作成費などの専門家報酬があります。マッチングサイト経由で直接交渉する場合でも、契約書レビューや論点整理には専門家の関与が望まれるため、一定のコストは避けられないと考えましょう。

また、経営者保証や担保の切替・解除では、金融機関との交渉費用が発生するため、旧オーナーの保証解除を前提とする予算が必要です。

取引金額が小さくても諸経費が嵩むケースは珍しくないため、初期段階で総費用を見積もり、予算に応じた進め方(範囲確定、スキーム最適化、見積比較)を設計しましょう。

まとめ

スモールM&Aは、事業承継や会社再生の手段として中小企業に注目されています。後継者不在でも事業承継でき、経営者個人の負担を軽減できるメリットがある一方、手数料が割高になりやすい点や、情報提供不足により交渉が難航するリスクには注意が必要です。

実行の過程では、相手の選定や条件交渉に向けた丁寧な準備や、契約締結からPMIまでのトラブル防止を意識した慎重な対応が求められます。

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よくある質問

  • スモールM&Aとは何ですか?
  • スモールM&Aとは、1,000万円以下の少額で行われる小規模なM&Aを指し、事業承継や再生を目的として中小企業で活用されています。
  • スモールM&Aの主なメリットは?
  • 後継者不在でも事業を継続できること、経営者の負担を軽減し創業者利益を得られることが主なメリットです。
  • スモールM&Aの手法には何がありますか?
  • 主に株式譲渡と事業譲渡があり、包括的な承継か、選別的な資産譲渡かで選択されます。
  • スモールM&Aにかかる費用はどれくらいですか?
  • 成功報酬は譲渡額の約5%が相場で、弁護士・税理士報酬などを含めると数十万~数百万円の費用が発生することがあります。
  • スモールM&Aの相談先はどこが良いですか?
  • M&A仲介会社、事業承継支援センター、商工会議所、マッチングサイトなどから、自社に合った相談先を選ぶのが望ましいです。

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