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クラウン・ジュエルについて
日本の企業間におけるM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)の動きは、近年、増加しています。M&Aは企業の成長戦略の一環として行われる一方、敵対的な買収として進められる場合も存在します。企業が敵対的な買収から身を守るための数々の手段の中のひとつとして認識されているのが「クラウン・ジュエル(Crown Jewel)」です。買収者が最も欲する事業や資産を第三者へ売却・分社化することで、買収意欲と経済的メリットを一気に削ぎ、交渉を有利に導く手法といえます。
本記事では、「敵対的買収敵対的買収とは?|詳細記事へ」の基本的な理解を踏まえたうえで、クラウン・ジュエルの概要、メリットとデメリット、具体的な事例について、詳しく説明します。
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クラウン・ジュエルの概要
クラウン・ジュエルとは?
クラウン・ジュエルとは、敵対的買収を行ってきた企業に対し、被買収企業の価値ある部門や資産、子会社などを第三者にわざと売却したり分社化することによって対抗しようとする防衛策のことをいいます。
つまり、自社の重要な部分を切り離すことで、総合的な自社の価値を下げ、敵対的買収から回避しようとする防衛策です。
クラウンとは王冠でジュエルは宝石を指します。敵対的買収の対象をクラウン(王冠)、そこの価値ある部門や資産をジュエル(宝石)と例えたことが由来といわれています。
本来、クラウン・ジュエルという単語だけだとある会社の魅力ある部門という意味を指します。しかし、クラウン・ジュエルというのはクラウン・ジュエル・ディフェンス(王冠の宝石防衛)というのが語源で、ディフェンスが省略されてクラウン・ジュエルと呼ばれるようになったといわれています。
クラウン・ジュエルをする条件
クラウンジュエルの中には、比較的簡単に行うことのできるものもあれば、発動するのに必要な条件もあります。
クラウンジュエルの中でも、条件が厳しいものは事業譲渡や子会社株式の譲渡が挙げられます。
事業譲渡や子会社株式の譲渡をするときは株主総会の承認を得なければなりません。なお、事業譲渡とは会社が行っている事業の一部または全部を第三者に移譲することを指します。
この場合、具体的には株主総会で3分の2以上の賛成を得る必要があります。
また、会社の重要財産を譲渡する際は、取締役会だけで決定することができます。
上記の事業譲渡のように株主総会の合意は関係ありません。そのため、緊急の敵対的買収に対して比較的素早く対応することが可能となります。
クラウン・ジュエルの留意点
取締役には、会社法により原則として善管注意義務や忠実義務が課されています。
これらの義務は会社の経営への社会的期待に対する責任を指します。そのため、事業譲渡や子会社株式の譲渡、重要財産の処分は、この原則に反してしまう可能性があります。なぜなら、事業譲渡や子会社株式の譲渡、重要財産の処分が会社の利益に反する場合、一時的に会社の経営に重要な影響を与え、会社の所有者である株主に不利益となる可能性があるからです。
そのため、クラウン・ジュエルを行うという取締役会の決定を株主が退け、会社を訴える可能性もあることに留意が必要です。
クラウン・ジュエルの事例
日本において、クラウン・ジュエルを実行しようとしたとした事例を紹介します。
それは、ライブドアによる日本放送の敵対的買収です。
ニッポン放送は、ライブドアから敵対的買収を仕掛けられた際に、ニッポン放送が持つフジテレビの株式を売却することをちらつかせました。
ライブドアの買収目的は、ニッポン放送の保有する株式を通して間接的にフジテレビを支配することだったので、これらの株式を売却されてしまうと、ライブドアはニッポン放送を買収する意味がなくなってしまうので、売却することで敵対的買収をやめさせようとしたのです。
最終的にはライブドアが買収から手を引いたため、ニッポン放送は実際にはこれを実行するには至らず、ライブドアとフジテレビは和解・業務提携を行なうこととなりました。
まとめ
クラウン・ジュエルは、敵対的買収を強力に牽制できる半面、核心事業を手放すことで自社の競争力や株主価値を損なう危険も孕む諸刃の剣です。株主総会特別決議や取締役の善管注意義務といった法的ハードルに加え、長期戦略との整合性も欠かせません。効果と副作用を冷静に比較し、代替策との組み合わせを含めて最適な防衛体制を構築することが、企業価値を守り高める近道となるでしょう。
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よくある質問
- クラウン・ジュエルは具体的にどのような買収防衛策ですか?
- 被買収企業が価値ある事業や資産を第三者に売却・分社化し、買収者の狙いをそぎ落として敵対的買収を断念させる手法です。
- クラウン・ジュエルのメリットは?
- クラウン・ジュエルのメリットは、敵対的買収者の狙いを外し買収意欲を削ぐことで企業の独立性を守れる点と、交渉時間を確保できる点です。
- クラウン・ジュエルのデメリットは?
- クラウン・ジュエルのデメリットは、価値ある事業・資産を手放すことで自社の長期的競争力や収益基盤が損なわれる恐れがあること、取締役の善管注意義務違反リスクが高まること、株主価値毀損への批判を招く可能性があることです。
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