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会社分割の登記方法について
会社分割の登記方法は、吸収分割と新設分割で申請先・期限・必要書類が異なります。吸収分割は承継会社本店の法務局へ、効力発生日から2週間以内に申請。新設分割は新設会社本店の法務局へ、設立登記日等を起点に2週間以内が期限。登録免許税や官報公告費、司法書士報酬の把握に加え、書類漏れ防止と専門家選びが重要です。
会社分割は再編や成長戦略で広く使われますが、登記は要件・期限・書類が複雑で、専門知識が求められます。吸収分割では、効力発生日から2週間以内に、分割会社と承継会社の双方について登記を申請します。新設分割では、株主総会の決議日や債権者保護手続きの終了日など、法定の基準日のうち最も遅い日から2週間以内に、分割会社の変更登記と新設会社の設立登記を申請します。契約・計画、公告、債権者保護、株主関係資料など多くの添付が必要で、管轄が異なる場合は経由申請となり所要期間にも影響します。
本記事では、「M&Aとは?」の基本的な理解を踏まえたうえで、会社分割の登記手続きについて分かりやすく解説します。申請先やその期限、必要書類や登記にかかる費用についても、具体的に説明します。
専門家の選び方にも触れ、手続きをスムーズに進めるためのポイントも紹介していますので、ぜひご参照ください。
会社分割の登記方法とは
会社分割を進める際は、事前に行うべき社内手続きがあります。必要な手続きは、吸収分割と新設分割の違いや会社の機関設計、簡易分割・略式分割への該当性などによって異なります。
吸収分割の登記方法
吸収分割においては、特定の手続きを経たうえで登記を行うことが求められます。
吸収分割の社内手続き
登記を申請する前に、分割および承継会社は、一連の社内手続きを完了させることが大切です。これらは、両社間の合意形成から始まり、具体的には以下のような手順を含みます。
- 【両社の合意】分割および承継会社は、それに関する基本的な合意に達する必要がある
- 【取締役会の決議】各社の取締役会は、その契約に対する承認決議を行う
- 【官報公告の申し込み】分割の意向を公にするため、官報に公告を行う
- 【契約の締結】正式な吸収分割契約を締結
- 【労働者保護手続き】分割によって影響を受ける労働者の保護措置を講じる
- 【官報公告の掲載】分割実施の公告を官報に掲載
- 【債権者への通知】分割による影響を債権者に通知し、その権利を保護
- 【反対株主への通知】分割に反対する株主に対して通知
- 【株主総会の承認】最終的に、その契約に対する承認決議を行う
これらの手順を踏むことで、分割および承継は法的な要件を満たすことが可能になり、スムーズに進められます。
また、労働者保護手続きや債権者への通知は、関係者の権利を保護するうえで重要です。官報公告を通じて分割の情報を周囲に開示することで、透明性を確保します。
※ただし、簡易分割や略式分割に該当する場合など、株主総会の承認が不要となるケースもあります。また、債権者保護手続きや株主への通知・公告等の要否は、分割の内容や各社の状況によって異なります。
登記の申請先と申請期限
吸収分割では、分割会社と承継会社の双方について、効力発生日から2週間以内に変更登記を申請します。効力発生日は、吸収分割契約で定めます。両社の本店所在地を管轄する登記所が同じ場合は、その登記所へ同時に申請します。管轄する登記所が異なる場合は、分割会社の登記についても、承継会社の本店所在地を管轄する登記所を経由して同時に申請します。
主な必要書類は、次に説明するとおりです。
吸収分割の登記に必要な書類
吸収分割の登記を行う際に必要な書類は、以下のとおりです。
- 契約書
- 資本金の計上証明書
- 株主総会議事録、または簡易分割・略式分割などに該当することを証する書面
- 債権者保護手続きに関する書面
- 新株予約権提出等の公告を行うことを証明する書面
- 株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
- 分割会社の登記事項証明書
- 委任状
株主リストには「議決権数上位10名の株主」と「議決権割合の多い順に加算して3分の2に達するまでの株主」のうち、人数が少ない方について、以下の項目を記載します。
一方で、株主リストには「議決権数上位10名」もしくは「議決権割合が3分の2以上の者」について、以下の項目が必須です。
- 株主の氏名または名称
- 住所
- 株式数(種類株式発行会社の場合は種類および数)
- 議決権数
- 議決権数割合
必要となる書類は、会社形態や機関設計、吸収分割の内容などによって異なります。また、委任状は司法書士や弁護士などの代理人に登記申請を依頼する場合に必要です。上記は一例であり、実際に申請を行う際は、弁護士および司法書士等の専門家に相談しておくと良いでしょう。
新設分割の登記方法
登記方法は、以下の一連の手続きを経て行われます。新設分割における社内手続きのほか、登記の申請先・申請期限・必要書類について詳しく解説しますので、順番に確認しましょう。
新設分割の社内手続き
新設分割の場合は承継会社が存在せず、社内の手続きは主に「分割会社側」で行われます。以下は、新設分割において分割会社が進める際の主な手順です。
- 【取締役会における新設分割の承認決議】分割会社の取締役会で、新設分割を承認する決議を実施
- 【分割計画書作成】新設分割に関する計画書を作成
- 【官報公告申し込み】新設分割の実施を官報に公告するための申し込み
- 【従業員へ通知】従業員に新設分割の詳細、時期などを事前に通知
- 【官報公告掲載】新設分割の実施を官報に公告
- 【債権者へ個別催告】債権者の権益保護のため、新設分割に関する情報を債権者に個別に通知
- 【反対株主へ通知】株主の意見を尊重するため、新設分割に反対する株主に通知
- 【株主総会における新設分割承認決議】新設分割を承認する決議を実施
ただし、簡易分割に該当する場合など、株主総会の承認が不要となるケースもあります。また、債権者保護手続きや株主への通知・公告等の要否は、新設分割の内容や会社の状況によって異なります。
登記の申請先と申請期限
新設分割の登記申請は、新設社の本店所在地にある法務局で行います。法務局に届け出てから受理確認の謄本が取得できるまで、リードタイムが発生します。
M&Aにおいては「登記内容が変更されたとき」など、確認しながらでなければ解決できないことがあるため、事前にリードタイムを想定したうえでスケジュールを立てておくことをおすすめします。
また、申請には、以下の書類を準備しておくと良いでしょう。
- 定款
- 役員の就任承諾書
- 役員の印鑑証明書
- 会社法に従って資本金が計上されていることを証明するもの
- 会社分割計画書
- 分割会社の株主総会議事録
- 官報公告のコピー
- 分割に異議を述べた債権者がいない旨の上申書
新設分割の効力発生日と登記期限は、吸収分割の場合とは異なります。新設会社の「設立登記日」が、分割の「効力発生日」です。また、登記期限は会社法第924条に定められており、株主総会の決議日、株主や新株予約権者への通知・公告から法定期間が経過した日、債権者保護手続きが終了した日、会社が定めた日など、法定の基準日のうち最も遅い日から2週間以内に申請する必要があります。
具体的な申請先は、それぞれの会社が管轄区域内にある登記所です。管轄区域が同じ場合、承継会社の登記所に同時に申請する「同時申請」を行います。
一方で、管轄区域が異なる場合、承継会社が属する区域内の登記所を経由して申請する「経由申請」を行います。申請から登記が完了し、登記事項証明書を取得できるようになるまでには一定の期間を要します。各法務局の登記完了予定日を確認したうえでスケジュールを立てておくことが大切です。
新設分割の登記の必要書類
新設分割登記において、必要となる主な添付書類の一例は、以下のとおりです。
▼【新たに設立する承継会社の添付書類】
- 新設分割計画書:分割スケジュールで初めに作成した計画書
- 定款
- 代表取締役選定書:添付が必要な場合
- 役員の就任承諾書:就任承諾書および本人確認証明書類と印鑑証明書
- 株主総会における議事録(新設分割計画の承認済):分割会社側で作成
- 債権者保護手続きに係る書面:債権者保護手続の際に作成した書面
- 新株予約権提出等の公告実施を証明する書面
- 株主名簿および株券発行を実施していない証明となる書面:新株予約公告証明代わりに添付
- 株主リスト:分割会社側の株主リストを作成
- 資本金の計上証明書
- 分割会社の登記事項証明書:設立会社と管轄法務局が異なる場合に必要。ただし、承継会社と同じ場合で、会社法人等番号を記載する場合は不要
- 委任状:司法書士や弁護士へ依頼する場合
▼【分割会社が必要な登記添付資料】
- 委任状:代理人に申請を委任する場合
分割会社側の変更登記については、原則として、代理権限を証する委任状以外の添付書類は必要ありません。必要となる書類は、新設会社の形態や機関設計、新設分割の内容などによって異なるため、実際に申請する際は専門家に確認しておくと良いでしょう。
会社分割の登記にかかる費用
登録免許税は、会社分割の登記に必要な税金で、吸収および新設で計算方法が異なります。以下は、それぞれの登録免許税の計算方法です。
登録免許税
登録免許税は、会社分割における重要な費用の一部であり、吸収分割と新設分割で計算方法が異なります。具体的には、会社の資本金額の増減に基づいて計算され、その結果によって最終的な税額を決定します。
吸収分割と新設分割の場合における具体的な計算方法は以下のとおりです。
吸収分割の登記の場合
吸収分割の登録免許税は、吸収する会社の資本金額が増加するか否かで、以下のようになります。
- 資本金額が増加しない場合:分割する会社同様3万円
- 資本金額が増加する場合:資本金の増加額 × 0.7%
ただし、吸収する会社の資本金増加は、計算結果が3万円超か否かで登録免許税の金額が異なります。
- 資本金の増加額 × 0.7%が3万円未満の場合:一律3万円
- 資本金の増加額 × 0.7%が3万円以上の場合:計算で求めた金額
また、上記に加えて、分割会社側の変更登記には、原則として3万円の登録免許税がかかります。
新設分割の登記の場合
新設分割の際に発生する登録免許税は、次の計算式で求められます。
- 新設分割における納付額:資本金額 × 0.7%
資本金の増加額ではなく、資本金額をベースに求められる点には注意が必要です。また、吸収分割の場合と同様に、金額が3万円を超えるか否かで登録免許税の金額が変わります。
- 資本金 × 0.7%が3万円未満の場合:一律3万円
- 資本金 × 0.7%が3万円以上の場合:計算で求めた金額
また、吸収分割の場合と同様、新設分割の場合も、分割会社側の変更登記には原則として3万円の登録免許税がかかります。
官報公告費
会社分割を実施する際は、債権者保護手続きとして、官報に掲載する「公告」が必要となる場合があります。官報公告費は掲載行数によって変動します。料金は1行22字につき3,589円+税で、公告内容や決算情報の開示状況によって総額が異なります。(2026年7月時点)
司法書士報酬
会社分割の登記は、複数の会社について同時に申請する必要があり、添付書類や事前手続きも多岐にわたります。そのため、司法書士などの専門家に依頼するケースも少なくありません。
会社分割の登記を司法書士に依頼する場合、報酬は20万~60万円程度が一つの目安です。ただし、登記申請のみを依頼するのか、分割契約書や議事録の作成、官報公告の手配、債権者への催告、スケジュール管理なども依頼するのかによって、金額は大きく異なります。
会社分割の登記手続きを行う際の注意点
会社分割の登記手続きは、その複雑さから専門的な知識と経験が必要です。以下に、手続きを進めるうえで注意すべきポイントを紹介します。
提出書類漏れに注意
吸収分割ならびに新設分割の双方において、承継会社が登記申請を行う際に提出しなければならない書類は複数あります。これらの書類のどれか一つに漏れや不備があると、その手続きに遅延が生じる可能性が高まります。
そのため、提出が必要な書類を十分に理解し、適切に準備することが重要です。
会社分割登記を得意とする専門家を選ぶ
会社分割の登記は、司法書士でも専門性が必要であり、すべての司法書士事務所が得意とするわけではありません。先方にとって不得手な分野と知らずに依頼してしまうと、結果的に、非常に時間がかかる場合があります。
M&Aをスムーズに進めるためには、時間管理も重要です。そのため、事務所選びの際には実績や評判を鑑み、専門知識を持つ司法書士や仲介会社に相談することが推奨されます。会社分割の登記を得意とする専門家を選ぶことで、スムーズな進行と適切な対応が期待できるでしょう。
まとめ
会社分割の登記は、吸収分割と新設分割で申請先や期限、必要書類が異なります。自社がどちらに該当するのかを確認したうえで、必要な手続きや書類を整理し、漏れなく準備を進めることが大切です。 また、会社分割の登記は手続きが複雑で、ケースによって必要な対応も異なります。自社のみでの対応が難しい場合は、会社分割登記の実績がある専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。
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よくある質問
- 会社分割の登記はどこに申請しますか?
- 吸収分割の場合は承継会社の本店所在地の法務局、新設分割の場合は新設会社の本店所在地の法務局に申請します。
- 会社分割の登記申請期限はいつですか?
- 吸収分割は契約書で定めた効力発生日から2週間以内、新設分割は法定要件を満たした最も遅い日から2週間以内に申請する必要があります。
- 吸収分割の登記に必要な書類には何がありますか?
- 契約書、資本金の計上証明書、株主総会議事録(両社)、債権者保護手続き書面、公告実施証明書、株主名簿・株主リスト、分割会社の登記事項証明書、委任状などが必要です。
- 新設分割の登記に必要な書類は何ですか?
- 定款、役員就任承諾書・印鑑証明書、資本金計上証明書、会社分割計画書、株主総会議事録、官報公告のコピー、債権者への異議申述がない旨の上申書などが必要です。
- 会社分割で発生する登録免許税はどう決まりますか?
- 吸収分割は資本金増加額×0.7%(最低3万円)、新設分割は新会社の資本金額×0.7%(最低3万円)で算定されます。
- 会社分割に必要な官報公告費はいくらですか?
- 分割公告のみで7〜8万円程度、決算公告も含めると約17万円前後が必要となります。
- 会社分割登記を司法書士に依頼した場合の費用相場は?
- 一般的には20〜30万円程度で、手続き内容・規模によって金額が変動します。
- 会社分割の登記で注意すべきポイントは何ですか?
- 書類の不備による遅延が起こりやすいこと、さらに会社分割登記は専門性が高いため、実績ある司法書士や専門家を選ぶことが重要です。
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