株式取得でかかる費用とは? 関連費用の詳細や会計上の処理を詳しく解説

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株式取得でかかる費用について

株式取得でかかる費用とは、株式の購入代金に加えて、取得手続きや調査・助言などに伴って発生する取得関連費用のことです。具体的には、M&A仲介手数料やアドバイザリー報酬、デューデリジェンス費用、印紙代・登記費用、名義書換料などが含まれます。会計・税務上の処理は費用の性質や発生時期によって異なるため、取得時には整理して確認する必要があります。

株式取得では、購入代金以外にも手続きや調査・助言に関する費用が発生するため、どの費用を取得関連費用として扱うかを整理しておくことが重要です。また、会計上・税務上の扱いは一律ではないため、発生時期や取引の目的に応じた確認も欠かせません。

本記事では、株式取得でかかる費用の内訳、取得関連費用の会計・税務上の処理、取得費が不明な場合の考え方について解説します。
なお、株式取得の概要を確認したい方は「株式取得とは?」の記事もあわせてご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


株式取得にかかる費用とは

株式取得にかかる費用には、株式などを取得したときに払った購入代金以外に、M&A仲介会社・アドバイザーへの報酬、デューデリジェンス費用などがあります。これらのうち、株式取得に直接関連して発生した費用は、取得関連費用(付随費用)として扱われる場合があります。また、取引内容や手続きによっては、印紙代や登記に関する費用、株主名簿の名義書換に関する費用が発生することもあります。

株式の取得関連費用として扱われる費用

株式の取得関連費用(付随費用)として扱われるものには、仲介手数料、取得前後のデューデリジェンス費用、その他の手続きの実費などが挙げられます。各費用の詳細を下記に解説しますので、順番に確認していきましょう。

M&Aの仲介手数料やアドバイザリー報酬

株式の取得は、事業承継や企業買収を目的とすることが多く、専門家であるM&Aの仲介会社に依頼するのが一般的です。依頼の際は、仲介手数料やアドバイザリー報酬を支払う必要があります。

仲介手数料は、M&Aを行う売り手企業と買い手企業の間に入り、中立的な立場からM&Aの成立に向けて進めてもらう際に払う費用であり、買い手と売り手の両方が負担します。アドバイザリー報酬は、売り手か買い手のどちらかについてもらうアドバイザーに対して、案件を進めてもらうために支払うものです。
さらに、非上場株式を取得した場合は、紹介者に対して紹介料や謝礼金などを払う場合もあります。

専門家に依頼した場合に必要となる手数料については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

デューデリジェンス費用

株式の取得では、その目的上、会社の財務・法務・ビジネスモデルに対してデューデリジェンスを実施することがあります。デューデリジェンスを専門家に依頼する場合は、調査費用が発生します。
株式取得を決める前であれば、取得関連費用に含まれません。一方、取得を決めた後であれば、取得関連費用に含まれるのが通常です。ただし、意思決定の前であっても、買収先が既に決まっているケースでは、取得関連費用に含めるように求められます。

印紙代や登記にかかる費用

株式取得を実行するときは、そのスキーム(M&Aの取引方式)に応じた契約書や計画書を作成する必要があり、作成する書類の種類によっては、印紙税がかかる場合があります。たとえば、株券や有価証券の受取書などは、印紙税の課税対象となることがあります。
加えて、登記事項に変更が生じる場合には、商業登記・法人登記の際の費用も必要です。具体的には、登録免許税や必要書類の交付手数料などが挙げられます。

名義書換料

株式を取得した人が会社に対して株主としての権利を主張するためには、株主名簿への記載または記録が重要です。そのため、株式譲渡によって株式を取得した場合は、通常、取得者側から会社に対して株主名簿の名義書換を請求します。
この際、名義書換に関する費用が発生する場合があり、支払った名義書換料は、株式取得に関連する費用として扱われることがあります。

株式の取得関連費用の会計処理

法人が別法人の株式を取得して子会社化した場合、連結財務諸表上は、取得関連費用を発生した事業年度の費用として処理します。主要な取得関連費用の内容と金額については、連結財務諸表の「注記事項」として開示するよう、会計基準で定められています。
一方、個別財務諸表上では、子会社株式の取得に直接要した付随費用は、株式の取得価額に含めて処理します。

株式の取得関連費用の税務処理

株式の取得関連費用の税務上の処理はどうなるのでしょうか。結論として、取得関連費用は、取得費として扱うと定められています。
ただし、弁護士・司法書士やM&Aの仲介会社などの専門家に支払った費用を取得費にするか否かは、議論が分かれているのが現状です。一般的に、株式取得の意思決定が行われる前の費用なら「損金処理」、意思決定が行われた後の費用なら「取得費」として扱います。
意思決定のタイミングと調査目的によって処理が分かれるため、株式取得の経緯や調査の意図は、資料として残しておくと良いでしょう。

株式譲渡における不明な取得費の計算方法

株式譲渡において、購入した時期が古い株式や、相続によって得た株式である場合には、取得費が不明になっているケースも考えられます。該当するケースでは、同一銘柄の株式ごとに、取得価額を「株式譲渡した額の5%相当」にすることが可能です。
例えば、取得費を正確に計算することができない状態で、株式を1,000万円で譲渡したと考えましょう。この場合は、1,000万円 × 0.05 = 50万円を取得費に換算して問題ありません。
取得費不明時に売却代金の5%相当額を取得費とする扱いは、株式等について国税庁のタックスアンサーでも確認できます。

参考:No.1464 譲渡した株式等の取得費|国税庁

まとめ

株式取得には、購入代金のほかに仲介手数料やアドバイザリー報酬、デューデリジェンス費用などの関連費用が発生します。これらの取扱いは会計と税務で異なり、会計上も連結と個別で処理が分かれる点に注意が必要です。

税務上は、株式取得に直接関連する費用を取得費に含めるのが基本ですが、費用の内容や目的、株式取得との関連性により判断が分かれる場合があります。
株式取得にかかる諸費用の取扱いは、会計処理と税務処理で複雑な部分があります。取得目的や、その他の詳細な条件が決まっている場合であっても、専門家へ事前に相談しましょう。



よくある質問

  • 株式取得時にかかる費用にはどのようなものがありますか?
  • 購入代金に加え、仲介手数料・アドバイザリー報酬、デューデリジェンス費用、印紙代や登記費用、名義書換料などの取得関連費用(付随費用)が発生します。
  • M&A仲介手数料やアドバイザリー報酬は株式取得のどの費用に該当しますか?
  • 株式取得に直接関連して支払う仲介手数料やアドバイザリー報酬は、取得関連費用として扱われる場合があります。非上場株式の場合は、紹介料や謝礼金が発生するケースもあります。
  • デューデリジェンス費用は取得関連費用に含まれますか?
  • 株式取得の意思決定後に実施するデューデリジェンス費用は取得関連費用に含まれます。意思決定前でも買収先が特定されている場合は取得関連費用に含める扱いとなります。
  • 印紙代や登記費用は株式取得のどの費用に分類されますか?
  • 作成する書類の種類や記載金額によっては、印紙税がかかる場合があります。また、株式取得に伴って役員変更や商号変更、本店移転など登記事項に変更が生じる場合は、登録免許税や必要書類の交付手数料などの登記費用が発生することがあります。
  • 株式取得後に必要となる名義書換料とは何ですか?
  • 株主名簿の書き換え請求に際して必要となる費用です。株主が変わっても会社側が自動で名義変更することはなく、新しい株主が請求し、名義書換料を負担します。
  • 取得関連費用は会計上どのように処理されますか?
  • 連結財務諸表では当期の費用として計上し、注記で明示する必要があります。個別財務諸表では株式の取得価額に含めて処理します。
  • 取得関連費用の税務処理はどのようになりますか?
  • 税務上は、株式取得に直接関連して支出した費用は、取得費に含めるのが基本です。ただし、専門家への報酬やデューデリジェンス費用などは、支出の目的や株式取得との関連性によって取扱いが分かれる場合があります。判断に迷う場合は、税理士などの専門家に確認しましょう。
  • 取得費が不明な株式を譲渡する場合、どのように計算しますか?
  • 取得費が不明な場合、譲渡金額の5%を取得費として計算できます。例として1,000万円で譲渡した場合、取得費は50万円として扱われます。

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