アーニング・マルチプル・レシオとは? 概要と実際の適用例、メリットとデメリットについて

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アーニング・マルチプル・レシオについて

アーニング・マルチプル・レシオとは、M&Aにおける企業買収価格を売り手企業の税引後純利益で割り、同種業界における買収価格の水準感を把握するための比率です。過去の買収事例や業界平均と比較し、提示された買収価格が業界水準と比べてどの程度かを確認する際に用いられます。

M&Aの買収価格を検討する際は、対象企業の収益力や同種業界の過去事例を踏まえて、水準感を確認することが重要です。アーニング・マルチプル・レシオは、シンプルに比較しやすい一方で、収益の変動性や将来の成長期待をどのように見るかもあわせて考える必要があります。

本記事では、アーニング・マルチプル・レシオの概要、実際の適用例、メリットとデメリットについて解説します。

また、M&Aの意味や基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


アーニング・マルチプル・レシオの概要

アーニング・マルチプル・レシオとは?

アーニング・マルチプル・レシオとは、M&Aにおける企業買収価格を売り手企業の税引後純利益で割った、同種業界における一般的な比率・傾向値を指します。

実際の適用例

実際の適用例としては、例えば、ある業界での過去の企業買収事例が示すアーニング・マルチプル・レシオが5倍であったとします。これは、売り手企業である被買収企業の税引後純利益の5倍までが、その業界における一般的な買収価格の相場と解釈されることを意味します。買い手企業が新たな買収を検討する際には、この比率を基準として、提案される買収価格が業界標準と比較して適正であるかを評価するのに役立ちます。
実務において、アーニング・マルチプル・レシオは、買収対象となる企業の価値評価や、投資判断のために広く利用されます。特に、M&Aのアドバイザーは、業界内での買収事例を調査し、これらのマルチプルを基にして買収価格の妥当性を検証します。
また、この比率は、単に財務データに基づく数値分析だけでなく、市場のセンチメントや特定業界内での成長期待を反映したものとしても一般的に認識されています。したがって、アーニング・マルチプル・レシオを用いることで、買収候補企業の市場価値をより深く理解し、適切な買収戦略を立てるための有力な手段となります。

アーニング・マルチプル・レシオを利用する
メリットとデメリット

次にアーニング・マルチプル・レシオのメリットとデメリットを整理します。

アーニング・マルチプル・レシオのメリット

まず、アーニング・マルチプル・レシオの主なメリットは以下のとおりです。

比較が容易である

アーニング・マルチプル・レシオを使用する最大のメリットの一つは、異なる企業間での買収価格の比較を容易にすることです。この比率により、買い手企業は一貫した基準で企業価値を評価し、業界平均や過去の取引と比較することができます。

評価方法がシンプルである

収益性に基づくこの指標は理解しやすく、計算も比較的簡単です。これにより、迅速な評価や決定が可能になり、特に時間が制約となるM&Aの交渉において有利となります。

市場の期待値やセンチメントの反映

アーニング・マルチプル・レシオは、市場の期待値やセンチメントを反映します。成長が期待される企業や業界は高いマルチプルを持つことが多く、これにより買い手企業は市場の見方や業界の将来性を評価することができます。

アーニング・マルチプル・レシオのデメリット

次にアーニング・マルチプル・レシオの主なデメリットは以下のとおりです。

収益の変動性への過度な依存

収益に基づくマルチプル法のため、収益の変動性や不確実性を十分に考慮しないことがあります。例えば、収益が一時的に高まっている、または不安定な企業は、実際の価値よりも過大評価されるリスクがあります。

成長率を考慮しない

アーニング・マルチプル・レシオは現在の収益を基礎にしているため、将来の成長潜在力や事業戦略の変化を十分に反映しない可能性があります。例えば、高成長が見込まれる企業や、事業再構築中の企業の場合、この指標だけではその価値を適切に評価できないことがあります。

業界や地域間での差異

アーニング・マルチプル・レシオは業界や地域によって大きく異なることがあります。そのため、異なる業界や地域間で直接比較する際には、これらの違いを考慮する必要があります。そのため、マルチプルの業界平均や過去の傾向を理解することなく使用すると誤った解釈につながる可能性があります。

まとめ

アーニング・マルチプル・レシオは、M&Aにおいて買収価格の妥当性を把握するための有用な指標です。比較のしやすさや計算のシンプルさという強みがある一方で、収益の変動性や将来の成長率、業界や地域ごとの差異を十分に反映しきれない面もあります。そのため、買収価格の判断では、この指標を単独で用いるのではなく、他の財務指標や事業戦略、業界動向も含めて総合的に評価することが重要です。M&Aの検討を進める際は、こうした指標の特性を踏まえつつ、必要に応じて専門家の支援も活用しながら判断することが望まれます。



よくある質問

  • アーニング・マルチプル・レシオとは何ですか?
  • M&Aにおける企業買収価格を売り手企業の税引後純利益で割った比率のことです。同種業界における一般的な買収価格の目安として用いられます。
  • アーニング・マルチプル・レシオはどのように使われますか?
  • 過去の買収事例や業界平均と比較しながら、提案される買収価格が適正かどうかを判断するために使われます。M&Aのアドバイザーが買収価格の妥当性を検証する際にも活用されます。
  • アーニング・マルチプル・レシオの具体例はありますか?
  • ある業界で過去のM&A事例からアーニング・マルチプル・レシオが5倍とされる場合、被買収企業の税引後純利益の5倍程度が買収価格の目安になると解釈されます。
  • アーニング・マルチプル・レシオのメリットは何ですか?
  • 異なる企業間の買収価格を比較しやすいこと、評価方法がシンプルで理解しやすいこと、市場の期待値やセンチメントを反映しやすいことが主なメリットです。
  • アーニング・マルチプル・レシオのデメリットは何ですか?
  • 収益の変動性や不確実性を十分に考慮しにくいこと、将来の成長率を反映しにくいこと、業界や地域によって水準が大きく異なることがデメリットです。
  • どのような場面で特に有用ですか?
  • M&Aの実施過程で、買収候補企業の市場価値を把握し、買収価格や投資判断の妥当性を検討する場面で有用です。

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