コントロールプレミアムとは? 概要、算出方法、ディスカウントとの関係について詳しく説明します

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M&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)ではコントロールプレミアム(Control Premium)という重要な概念があります。プレミアムという言葉から、価値の上乗せを表すことは想像できますが、一体何によって生じる価値を意味するのでしょうか。
今回は、コントロールプレミアムの概要、算出方法、ディスカウントとの関係について、詳しく説明します。

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1. コントロールプレミアムとは?

コントロールプレミアムは、企業の支配権に大きな変動が生じる株式の売買取引の際にシナジー効果等を加味し認識され、直近の株式価値に上乗せされた、追加支払い分の代金のことをいいます。
一般に、上場会社又は非上場会社の支配権の獲得等を目的としたM&A取引では、「買収プレミアム」とも呼ばれます。また、株式非公開化や上場企業のM&A等を目的としたTOB(株式公開買付)案件では、主に「TOBプレミアム」とも呼ばれます。
M&Aにおけるコントロールプレミアムでは、企業の支配権(議決権の50%超)を獲得する場合に認められる株価のプレミアムのことをいいます。
通常、企業の株式を買い集めて支配権を獲得するには、多くの少数株主から株式売却の同意を取り付けなければなりません。そのためには、株式の買い取り価格に上乗せが必要です。その上乗せ分がコントロールプレミアムに該当します。
基本的には、買収額と時価総額の差額がコントロールプレミアムとなります。

2. コントロールプレミアムの算出方法

次にコントロールプレミアムの算出方法ですが、コントロールプレミアムのみを切り出して、合理的に算出する方法はありません。
一般的には、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどのバリュエーションに、内包して評価することとなります。
ここでのポイントは、バリュエーション内に支配株主の関与があるかどうかです。
支配株主の関与がある場合は、そのバリュエーションに支配権が含まれるため、コントロールプレミアムを内包しているとの見方ができます。
一方、支配株主の関与がないバリュエーションは、支配権を含まないため、コントロールプレミアムを評価できない手法と判断します。

3. コントロールプレミアムとディスカウントとの関係

コントロールプレミアムとディスカウントとの関係を説明します。
まず、価値の上乗せをプレミアムと呼び、反対に価値が減額されることをディスカウントと呼びます。ここでは、コントロールプレミアムに関連する以下の2つのディスカウントを紹介します。

3-1. マイノリティ・ディスカウント

マイノリティ・ディスカウントとは、コントロールプレミアムと対極する価値減額のことをいいます。TOBの実施により証券市場外で株式等を大量に取得し大規模な支配権の変動が生じる場合、新たに支配株主となる者は支配株主(コントロール)価値を認識し、逆に新たに少数株主となる者(旧支配株主)は少数株主(マイノリティ)価値を認識します。一般に支配権等の有無の観点から、「支配株主価値」≧「少数株主価値」となることから、支配権等の喪失による価値低下のことをマイノリティ・ディスカウントと呼んでいます。このマイノリティ・ディスカウントとコントロールプレミアムは表裏一体の関係にあるといえます。

3-2. 非流動性ディスカウント

非流動性ディスカウントとは、非上場企業株式の流動性の低さに着目した価値減額をいいます。上場企業の株式は、市場での取引が可能なため、買い手を見つけやすく流動性が高いといえます。
一方、非上場企業は市場での取引ができないため、自ら買い手を探す必要があり、手間がかかります。
この流動性の低さに着目し、類似する上場企業の株価から減額する部分を非流動性ディスカウントといいます。
例えば、M&Aを実施し、大量に株式等を買い集めた後、非上場化又は非公開化する場合、当該対象会社の株式等を不特定多数の投資家と自由に売買できなくなります。ここで、支配株主と少数株主の双方が流動性リスクを認識するため、非流動性ディスカウントを認識することになります。

4. まとめ

今回はコントロールプレミアムについて、説明しました。M&Aを検討している経営者にとっては、コントロールプレミアムを概要を理解し、実際に算定する際は、評価アプローチを組み合わせた上で総合的な判断のもとで行うことが重要です。しかし、M&Aは取引が複雑になるため、コントロールプレミアムの価値算定を検討する場合には適宜、財務やM&Aなどの専門家に相談して進めることが望ましいでしょう。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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