M&A支援機関登録制度とは? 概要や登録要件をわかりやすく解説

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近年、後継者不在問題などを背景として、中小企業がM&Aによる事業承継に活路を見出すケースが増えています。
M&Aには、税金のルールや法律が複雑に絡むため、M&Aの実施を支援する機関からアドバイスを受ける方法が一般的です。しかし、支援機関の数の増加に伴い、サポートの質にバラつきが出るなどの問題が起きています。
M&A支援機関登録制度は、要件を満たした優良なM&Aの支援機関を登録する制度であり、令和3年8月に創設されました。その後、2,000件を超える支援機関が登録され、令和5年2月16日時点における登録件数は2,980件となっています。
本記事では、M&A支援機関登録制度の概要や登録要件をわかりやすく解説します。制度を活用するメリットについても、M&A支援機関側と支援を依頼する側の双方の視点で見ていきましょう。

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1. M&A支援機関登録制度とは

M&A支援機関登録制度は、中小企業のM&Aをサポートするための制度の一つです。詳細を見ていきましょう。

1-1. M&A支援機関登録制度の概要

支援機関登録制度の概要

出典:https://ma-shienkikan.go.jp/search

M&A支援機関の登録制度とは、M&Aの仲介事業者を中小企業庁のデータベースに登録する制度のことです。仲介事業者が行うサポートを均質化し、中小企業が安心してM&Aを実施できる環境を構築するために導入されました。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)では、この制度に登録されたM&A支援機関が提供する支援に関連する費用のみが補助の対象となっています。支援に関連する費用とは、仲介手数料やフィナンシャル・アドバイザー費用などです。
M&Aキャピタルパートナーズも、支援機関として登録されています。

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1-2. M&A支援機関登録制度の目的

中小M&A支援機関の制度が創設された目的として、支援機関の信頼性向上が挙げられます。
従来、中小企業の事業承継は、経営者の身内や自社の従業員が後継者となるケースが一般的でした。しかし、身内や従業員の中から次の世代の経営者候補を見つけることができず、M&Aによる第三者への事業承継のニーズが高まっています。
それに伴い、M&Aの支援機関も増えていますが、支援の質にバラつきがあり、依頼者側の経営者自身もM&Aの知見が少ないことから、トラブルが散見されるようになりました。そこで導入されたのがM&A支援機関登録制度です。
中小企業の経営者が安心してM&Aの支援機関を選べるようになることで、中小企業のM&Aを促進することが制度導入の狙いとなっています。

2. M&A支援機関の登録要件

M&A支援機関として登録を行うには、中小企業庁が2020年3月に策定(その後、2023年9月に第2版として改訂)した中小M&Aガイドラインを遵守することを宣言するなど、いくつかの要件があります。

2-1. 中小M&Aガイドラインの遵守を宣言

中小企業庁が発表した中小M&Aガイドラインは、後継者がいない中小企業と、M&Aの支援機関に向けて作成されました。
M&Aの基礎知識や手続きの流れ、支援機関に関する情報などがまとめられており、当事者である中小企業と、M&Aの支援機関が適切な行動をとるための指針となっています
M&A支援機関として登録するためには、ガイドラインに定められた行動指針に従った仲介業務やFA業務を行うことを、宣言しなければなりません。

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2-2. 中小M&Aガイドライン遵守の宣言をホームページにて明記

中小M&Aガイドラインについては、遵守することを宣言するだけでなく、一般の人が閲覧可能なホームページでその旨を明記することも登録要件の一つです。
具体的には、登録制度公募要領に添付がある「遵守事項一覧」にチェックを入れて、ホームページに掲載します。当社でも、ホームページにて中小M&Aガイドラインへの取り組みを掲載しています。
ホームページが無い場合は、会社概要やパンフレットに記載する形でも問題ありません。

2-3. FA・仲介業者において定める料金表を提出

FA(フィナンシャル・アドバイザー)やM&Aの仲介業者は、報酬体系を明確にしたうえで、申請時に料金表を提出します。料金表の提出によって、報酬体系に公正性が生まれ、中小企業が安心して依頼することが可能です。
料金表は社内規程などで定められているものを用いるのが通常ですが、定めが無い場合は、直近の契約料金や事前見積りといった情報を提出することで代用できます。このとき、料金を算出した根拠がはっきりしないものは、代替資料として認められないことがあるので注意しましょう。

2-4. 登録後、遵守事項を履行することを誓約

M&A支援機関として登録されたあとは、定められた遵守事項を履行しなければなりません。適切な行動基準を維持し、中小企業の信頼を得ることが求められます。
中小M&Aガイドラインを遵守していないことが判明した場合や、対応について改善が見られない場合は、翌年以降の継続が認められないこともあります。

2-5. 顧客中小企業者等による情報提供窓口への相談等を制約しない

M&A支援機関登録制度を利用する支援機関は、顧客となる中小企業者に対して、中小企業庁の情報提供窓口への相談を制約してはなりません。
依頼側である中小企業が、M&Aの支援機関に対して不満がある場合は、中小企業庁の窓口へ自由に相談できます。相談は、秘密保持義務条項の内容に関わらず実施可能です。

2-6. 反社会的勢力に該当せず、今後も関係を持つことがない

いわゆる「反社会的勢力」に該当しないことや、そのような勢力とつながりが無いことも、M&A支援機関登録制度を利用する要件です。暴力団や暴力団関係企業などと一切関係を持っておらず、将来的にも持つ意思が無い支援機関のみが登録できます。

2-7. 補助金交付等の停止・契約に係る指名停止等の措置を受けていない

補助金は、国・自治体の政策目標に合わせた事業者の取り組みをサポートすることを目的として、資金の一部を給付する制度です。
補助金の給付を希望する企業などが申請を行い、審査に通過することで資金の提供を受ける流れですが、法律違反にあたる行為が発覚したなどの理由で給付が取り消されることがあります。
給付停止や指名停止の処分対象となった支援機関は、M&A支援機関登録制度を利用できません

2-8. 中小企業庁が必要と認めた情報に関し、委託先への提供や公表に同意する

M&A支援機関登録制度への登録申請や登録継続申請を行った支援機関に関する情報は、中小企業庁のホームページに掲載されることがあります。M&A市場の実態把握や健全な市場環境の整備が主な目的です。
個別の企業情報は特定できない形で掲載されますが、情報開示に同意し、異議を申し立てないことが登録の条件となります。

3. M&A支援機関の登録制度を活用するメリット

ここでは、M&A支援機関の登録制度を活用するメリットを、支援機関側と依頼する企業側に分けて見ていきましょう。

3-1. 支援機関にとってのメリット

登録制度の利用には、中小M&Aガイドラインの遵守が要件になっているため、登録が許された支援機関は信用力が向上します。依頼する側も安心できるでしょう。
中小企業庁のホームページに登録機関のデータベースがあり、一般向けに公開されているため、マーケティングやブランディングの効果も期待できます。

3-2. 依頼企業側のメリット

依頼企業側のメリットとして、要件をクリアした支援機関のみが登録されているため、安心して依頼できることが挙げられます
また、登録された支援機関へ依頼することで、「事業承継・引継ぎ補助金」の対象となり、M&A支援機関の活用にかかる費用を一部補助してもらえることも、大きなメリットといえるでしょう。

4. M&A支援機関への登録申請のフロー

M&A支援機関への登録申請のフローは、次のとおりです。

STEP1

公募要領などの確認:M&A支援機関の登録は、「事業承継・引継ぎ補助金」事業に連動して受付が行われる。申請受付の開始や公募要領は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」のホームページでチェックする。

STEP2

申請フォームから申請:中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」ホームページから申請フォームにアクセスし、必要書類を提出する。

STEP3

事務局による審査:その後、事務局による審査が行われ、要件を満たした場合は登録が承認される。

STEP4

審査結果の通知:承認されたM&A支援機関のリストは、中小企業庁のホームページで公表される。

5. M&A支援機関への登録における注意点

M&A支援機関への登録における注意点に、「虚偽申請の禁止」があります。
登録を希望する支援機関は、虚偽の内容を含む申請を行ってはなりません。内容に虚偽があることが登録後に判明すると、登録が抹消されるだけでなく、法的責任が生じることもあります。誠実な申請を心がけ、情報の誤りにも十分注意が必要です。

また、提供した情報は、中小企業庁のホームページで一部公表される可能性があります。登録申請や登録継続の要件として情報公開に同意することが定められているため、認識しておきましょう。

6. まとめ

M&A支援機関登録制度は、安心して依頼できる支援機関を見極めるための指標の一つです。
また、登録された支援機関に依頼することで、「事業承継・引継ぎ補助金」の対象となり、補助金の支給対象となることも、依頼側の大きなメリットといえます。
M&Aキャピタルパートナーズは、M&A支援機関として登録されており、中小M&Aガイドライン遵守の宣言も行っています。
M&Aのことなら、東証プライム上場の信頼と豊富な実績がある当社へ、ぜひご相談ください。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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