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日本の株式会社のおける株式には、特定の権限を持つ特別な株式が存在します。これは一般的な株式とは異なり、企業の経営権における重要な役割を果たします。この特別な株式の名前は「黄金株」。今回は、黄金株が何であるのか、その活用方法、メリットとデメリット、そして発行手続について、詳しく説明していきます。

このページのポイント
~黄金株とは?~
黄金株は、一定の特別な権利を持つ株式のことを指す。特別な権利とは、通常、経営権に関連するもので、取締役の選任や解任についての拒否権をもつことや、事業譲渡や合併など、企業の取り決めに関して特別な権利を持つことが多い。
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1. 黄金株の概要
1-1. 黄金株とは?
黄金株は、一定の特別な権利を持つ株式のことを指します。これは通常、経営権に関連するもので、取締役の選任や解任についての拒否権をもつこと、事業譲渡や合併など、企業の取り決めに関して特別な権利を持つことが多いです。日本の企業では、黄金株を持つことで、企業の方針や経営の決定において、一定の保護や影響をもたらすことができます。
2. M&Aにおける黄金株の活用方法
M&A(合併・買収)の際には、黄金株は非常に重要な役割を果たします。例えば、買収に関わる株主総会決議事項についての拒否権と譲渡制限の付いた株式を2株だけ信頼できる第三者に対して発行しておくこともできます。これにより、他社からの敵対的な買収を防ぐことが可能になり、黄金株を活用してその企業の意向を尊重した経営を継続することができます。
2-1. 黄金株を発行するメリットとデメリット
まず、黄金株を発行するメリットは主に以下のとおりです。
- 企業の自主性を保護することができる
- 敵対的な買収から保護する手段として有効である
- 事業承継を円滑に進めやすく、事業承継に早期に着手しやすい
次に、黄金株を発行するデメリットは主に以下のとおりです。
- 黄金株を持つ株主の過度な権限集中が問題となることがある
- 拒否権が不合理に乱発される場合、会社の経営を阻害することになる
- 透明性の低下やガバナンスの問題が生じるリスクがある
3. 黄金株の発行手続
黄金株の発行手続は、大きく以下の2つのパターンが考えられます。それぞれ、発行手続の手順を説明していきます。
3-1.現在発行されている普通株式の一部を黄金株に変更する方法
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手順(1)
株主総会を招集して定款変更を行う
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手順(2)
普通株式を黄金株に変更することについて、株式の内容が変更になる株主と会社の間で合意書を作成する
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手順(3)
黄金株の発行可能株式総数と黄金株の内容と発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数について変更登記をする
3-2.現在発行されている株式とは別に新たに黄金株を発行する方法
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手順(1)
株主総会を招集して定款変更と募集事項の決定を行う
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手順(2)
株主総会で決めた募集事項を黄金株を引き受ける相手に通知して、黄金株の引受けについて申し込みを受ける
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手順(3)
払込期日の前日までに申込者に割り当てる株式の数を通知し、黄金株を割り当てる。その後、払込期日に払込みを受ける
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手順(4)
資本金の額、黄金株の発行可能株式総数と黄金株の内容および発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数について変更登記をする
4. まとめ
このように黄金株は、日本の企業経営において特別な役割を果たす株式です。その権利や利益は大きい反面、透明性やガバナンスの問題が指摘されることもあるため、その活用は慎重に検討する必要があります。特にM&Aを実施する際には、黄金株が企業の方針や経営の決定に大きな影響を持つことがありますので、その存在と機能を理解することは非常に重要です。