買収にかかる費用とは? 種類や相場、費用を抑える方法をわかりやすく解説

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企業の買収は、多額の投資を伴う重要な決定です。買収を成功させるためには、適切な費用計算と専門的な知識が欠かせません。
本記事では、企業の買収にかかる費用とその抑制方法について詳しく解説します。これにより、経営者は適切な費用を算出し、買収を成功に導くことができるでしょう。

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1. 企業の買収にかかる費用の種類

費用 概要
買収費用
  • 買収の対象となる企業を買うための対価
  • 交渉あるいは入札によって買収対価を決定する
仲介手数料・報酬
  • 仲介会社に業務を依頼した場合にかかる費用
  • 主に以下のようなものがある
  • ・着手金

    ・中間報酬

    ・デューデリジェンス費用

    ・成功報酬

    ・リテイナーフィー

税金
  • 主に売り手側に発生する
  • 買い手側で発生する税金としては事業譲渡の際の消費税等がある

企業の買収には、買収対価や仲介手数料、税金など、さまざまな費用が発生します。これらの費用を理解し、適切に算出することが大切です。

1-1. 買収費用

買収費用は、買収の対象となる企業を買うための対価です。買収費用を計算するためには、株式価値を算出しなければなりません。株式価値の計算方法は、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、コスト・アプローチの3種類があります。

  • 【インカム・アプローチ】会社の収益性をベースとして、株式の価値を評価する
  • 【マーケット・アプローチ】対象となる会社と類似する上場企業や取引事例をベースとして、株式の価値を評価する
  • 【コスト・アプローチ】対象となる会社の純資産をベースにして、株式の価値を評価する

買収対価の決定方法は、交渉あるいは入札です。そのため、入札の場合は、入札金額や入札企業の状況に応じて判断します。これらの要素を考慮に入れて、適切な買収費用を算出することが重要です。

1-2. 仲介手数料・報酬

M&Aの仲介手数料は、仲介会社に業務を依頼した場合にかかる費用で、主に以下のようなものがあります。

  • 【着手金】仲介会社に依頼した時点でかかる費用
  • 【中間報酬】基本合意書を締結した時点で支払う費用
  • 【デューデリジェンス費用】売り手企業のリスクや将来性を調査するための費用
  • 【成功報酬】M&Aが成功した際に支払われる費用
  • 【リテイナーフィー】毎月仲介会社に払う月額の手数料(必要無い場合もある)

M&Aにおける仲介手数料の計算は、一般的には取引価格の一定のパーセンテージです。この比率は、取引の規模や複雑さ、仲介会社の評価、市場の状況などによって異なります。

1-3. 税金

企業の買収には、数種類の税金が発生します。ただし、株式の売買は非課税です。つまり、株式譲渡や株式交換で消費税は課されません。この点は、企業の買収を考えている経営者にとって大きなメリットです。
次に、事業譲渡について考えてみましょう。事業譲渡は資産を譲渡するため、譲渡した資産に対して「消費税」が課されることがあります。なかでも、不動産が含まれている場合は、契約書に必要な「印紙税」をはじめ、不動産関係の税金がかかるケースも見られます。
税金を支払う必要が発生するのは、主に売り手企業側です。一方、買い手側が税金を支払わなければならないのは、多くの場合、事業譲渡の際の消費税等です。買収の資金繰りを考えるうえで、重要なポイントとなるでしょう。

2. 買収にかかる費用の相場

企業の買収に必要な費用は、買収自体の費用だけではなく、仲介手数料や報酬などさまざまです。実際にどの程度発生するのか、費用相場について解説します。

2-1. 買収費用

・一般的な中小企業の場合は「時価純資産」に「営業利益の数年分」を足したのが相場
一般的な中小企業の場合、買収費用の相場は「時価純資産」に「営業利益の数年分」を足した金額です。しかしながら、相場はあくまで一般的なケースであり、具体的な買収費用は、企業の具体的な状況や将来性によって大きく変動します。
企業価値の算定は専門家が行い、結果によって買収費用が決まります。買収費用は、企業の将来性や戦略的価値に基づいて決定されることが通常です。将来的な収益性や成長性が大きく影響を与えるため、赤字であっても将来性がある会社の場合は、上記の相場に適さないことも多いでしょう。

2-2. 仲介手数料・報酬

M&Aの仲介手数料は、仲介業者によって異なります。一般的には、着手金として50~100万円程度が相場です。
成功報酬については、取引価格が上がるにつれて、手数料率が5%、4%、3%と下がっていく「レーマン方式」が採用されています。中小企業の場合、成功報酬は「5%前後」が相場です。

取引価格等 手数料率
5億円以下 5%
5億円超〜10億円以下 4%
10億円超〜50億円以下 3%
50億円超〜100億円以下 2%
100億円超 1%

レーマン方式には、「株価レーマン」「企業価値レーマン」「移動資産レーマン」の3種類があります。それぞれ以下のように、対象となる資産が異なります。

  • 【株価レーマン】株式価額
  • 【企業価値レーマン】株式価額とネット有利子負債を足したもの
  • 【移動総資産レーマン】株式価額、有利子負債、その他の負債を足したもの

例えば、株式価額が3億円で負債勘定が12億円(有利子負債7億円・その他の負債5億円)の場合、株価レーマンの成功報酬は1,500万円、企業価値レーマンは4,500万円、移動総資産レーマンは6,000万円です。

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2-3. 税金

企業の買収において、事業譲渡の際に買い手側が支払う税金に「消費税」があります。消費税は、課税資産に10%をかけることで計算します。課税資産とは、買い手が取得する資産から非課税資産(例えば土地など)を引いた残額です。
ここで重要なのは、非課税資産と課税資産の区別を理解し、適切に算出することです。消費税の計算は専門的な知識を必要とするため、税務専門家やM&Aコンサルタントに相談することをおすすめします。これにより、適切な買収費用を算出し、買収の成功を実現できるでしょう。

3. 買収時の費用を抑える方法

企業を買収する際は、多額の費用が発生します。そのため、経営者にとって削減方法を知ることは重要です。ここでは、買収費用を抑える具体的な方法について解説します。

3-1. 適切な株式の価値を算出する

企業の買収において、買収金額はM&Aでかかる費用の大部分を占めます。買収金額は、買収したい企業の価値に基づいて計算されるため、企業の価値を高く見積もると、投資金額が回収できないリスクがあります。買収費用は、現実的な事業計画に基づいて、適切な株式価値を算出することが重要です。
株式価値の計算には、企業の財務状況・業績・市場環境など、多くの内容が考慮されます。また、企業の将来性や成長性も重要な算定要素です。これらの要素を正確に評価し、適切な株式価値を算出することが、成功するM&Aには必要になるでしょう。

3-2. 仲介会社の比較検討を行う

企業の買収を行う際、仲介会社の選択は重要なポイントです。仲介会社の比較検討を行うことで、費用を安く抑えられます。まず、着手金が無料の会社を選びましょう。近年では、着手金を取らない会社が増えてきています。
着手金をはじめとする、中間金などの報酬が発生する場合でも、金額設定はさまざまです。そのため、複数の会社から見積を取り、自社の希望と合った会社を選ぶことが重要です。ただし、安さだけで会社を選ぶことは避け、担当者に対する評価や口コミなども参考にすると良いでしょう。

3-3. デューデリジェンスの範囲を検討する

デューデリジェンスは、財務・法務・税務・労務・ITなど、企業活動のあらゆる内容が含まれます。すべてを実施対象にしてしまうと、費用が多くかかるため注意が必要です。
また、一つの分野であっても、デューデリジェンスの対象となる業務の種類はさまざまです。例えば、財務デューデリジェンスでは、財務諸表の詳細な分析だけでなく、会計処理の適切性や内部統制の有効性なども調査対象に含まれますが、企業の規模が小さかったり、リスクの低い案件の場合には、調査対象を限定するケースもあります。
つまり、企業の規模や買収の目的に合わせて、デューデリジェンスの実施範囲を詳細に決定することが、費用削減につながります。

3-4. 費用を抑えられるM&Aのスキームを選択する

M&Aのスキームによって、買収の範囲や対価、税金が異なります。
例えば、買収対象を企業全体ではなく、必要な事業部門に絞ることで、対価を抑えることが可能です。また、買収スキームを工夫することや、異なるスキームへの変更を検討することで、費用を抑えられます。
ただし、その際は買収目的から逸れないよう注意が必要です。買収目的とスキームが一致していないと、買収後の経営に問題が生じる恐れがあります。スキームの選択や変更は複雑であり、専門的な知識が欠かせません。不安な場合は、専門家を活用しましょう。

3-5. 赤字会社を買収する

赤字会社の買収は、企業価値が低く算定されるため、買収価格も安くなる傾向があります。赤字会社の経営者は「早く企業を手放したい」と考えているため、安く買収できるかもしれません。
また、自社とのシナジー効果が認められる企業であれば、売上アップが望めるでしょう。買収後の経営効率の向上や市場拡大など、買収による利益増加の可能性も含みます。
一方で、赤字会社の買収にはリスクもあります。スキームの選択肢が少なくなるほか、赤字会社の財務状況の悪化、業績回復の遅れ、経営資源の不足などのリスクがあることを十分理解しておきましょう。
赤字会社の買収を考えている経営者は、買収のメリットとリスクを正確に理解し、適切な判断を行うことが求められます。

4. まとめ

企業の買収は、買収費用・仲介会社への手数料や報酬・税金など、多くの費用が発生します。これらの費用を抑えるためには、仲介会社の比較検討、デューデリジェンスの範囲の限定、M&Aのスキームの再検討などが有効です。
しかし、費用を削減するポイントの判断を誤ったり、安さだけで仲介業者を選んだり、不適切なスキームを選択してしまうと、結果的に失敗する可能性があります。
心配な場合は、専門家を活用しましょう。専門家には、企業の買収に関する複雑な問題を解決するための知識と経験があります。M&Aキャピタルパートナーズでは、株価レーマン方式を採用しており、その信頼性とサービス内容は高く評価されています。
以上のことから、企業の買収を成功させるためには、適切な費用計算と専門的な知識が必要です。これらを理解し、適切な計画を立てることが、買収の成功につながるでしょう。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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