M&Aシニアエキスパート認定制度とは? 受験するメリットや試験概要などを解説

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M&Aシニアエキスパート認定制度について

M&Aシニアエキスパート認定制度とは、事業承継やM&Aに関する専門知識と実務理解を備えた人材を育成するための民間資格制度です。M&Aシニアエキスパート、事業承継シニアエキスパート、事業承継・M&Aエキスパートの3資格で構成され、知識レベルや対象分野に応じて段階的に学べる仕組みとなっています。

M&Aや事業承継の実務には、法務、税務、会計、企業評価など幅広い知識が求められます。もっとも、M&A仲介業そのものに国家資格は必要ないため、アドバイザーごとの知識や経験には差が出やすいのが実情です。そうした中で、専門性の目安となるのがM&Aシニアエキスパート認定制度です。制度の全体像や資格ごとの違い、試験の難易度、取得する意義を把握しておくことは、学習やキャリア形成だけでなく、相談先を見極めるうえでも役立ちます。

本記事では、M&Aシニアエキスパート認定制度の概要や取得するメリット、種類ごとの試験内容などを紹介します。

また、M&Aの意味や基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


M&Aシニアエキスパート認定制度とは

M&Aに携わる仲介業を行うのであれば、特別な国家資格などを取得する必要はありません。会計や法的な部分は公認会計士や弁護士などの国家資格取得者が行うため、仲介業務だけを行うのであれば、資格はいらないためです。
しかし、それでは仲介業者の質は担保できません。経験と知識が豊富なアドバイザーがいる一方で、知識も経験も乏しいアドバイザーが増えていけば、M&A市場の健全な成長が阻害されてしまいます。

こうした危機感から、M&Aに携わるアドバイザーの質の向上を目指して、業界内で民間資格が作られました。それが「M&Aシニアエキスパート認定制度」です。

資格制度の概要

M&Aシニアエキスパート認定制度とは、一般社団法人金融財政事情研究会が認定する資格制度のことです。

事業承継やM&Aに関する専門的な知識とスキルを持つ「プロフェッショナル」を養成し、中小・零細企業における事業承継やビジネスマッチングをサポートすることを目的に運営されています。
事業承継やM&Aに携わるプロフェッショナルとしてキャリアアップを目指す人にとって、M&Aシニアエキスパート認定制度は、さまざまな知識や経験が身につく有益な資格といえるでしょう。

資格の認定元

M&Aシニアエキスパート認定制度は、上述のように国家資格ではなく民間資格ではありますが、M&A業界に古くから携わる株式会社日本M&Aセンターと株式会社きんざいによって、共同で創設されたものです。

M&Aに精通した人材の育成を通じ、中小・零細企業の成長と発展、経営者・従業員などの生活基盤を安定させ、ひいては日本経済を押し上げることを目的としています。
なお、2020年9月時点で、約30,000名がM&Aシニアエキスパート認定制度の資格を取得しています。

M&Aシニアエキスパート認定制度の種類

M&Aシニアエキスパート認定制度は、下表のように「M&Aシニアエキスパート」「事業承継シニアエキスパート」「事業承継・M&Aエキスパート」の3つで構成されています。

種類 特徴 受験資格 試験実施時期
M&Aシニアエキスパート

中小M&A実務に関する難関資格

事業承継・M&Aエキスパート認定者、事業承継シニアエキスパート認定者他

5月と11月の年2回

事業承継シニアエキスパート

事業承継実務に関する最難関資格

事業承継・M&Aエキスパート認定者他

10月の年1回

事業承継・M&Aエキスパート

事業承継や中小企業M&Aの基本的な知識に関する資格

金融業務2級試験合格者

通年実施
(受験者が予約した日時で行われる)

資格の詳細を一つずつ、順番に見ていきましょう。

M&Aシニアエキスパート

M&Aシニアエキスパートとは、中小企業のM&A実務に関する資格です。M&A業界に従事するプロフェッショナルのなかでも文字通りのエキスパートであり、M&A分野の成長に寄与する役割が求められています。

M&Aシニアエキスパートを受験するためには、M&Aシニアエキスパート養成スクールを修了すること以外にも、事業承継・M&Aエキスパート認定者(試験合格者)であることなどが必須です。

事業承継シニアエキスパート

事業承継シニアエキスパートは、事業承継実務に関する資格です。こちらも、事業承継・M&Aエキスパートの上級資格にあたります。資格を取得すると事業承継の実務能力はもちろん、経営戦略に関するさまざまな提案などができるようになることから、社内の人材育成にも活用されています。

事業承継シニアエキスパートを受験するためには、事業承継シニアエキスパートWeb講義を受講する以外にも、事業承継・M&Aエキスパート認定者(試験合格者)であることなどが必要です。

事業承継・M&Aエキスパート

事業承継・M&Aエキスパートとは、事業承継や中小企業M&Aに関する基本的な知識を確認するための資格です。

この分野の専門的なスキルや知識を評価して、プロフェッショナルとしてのキャリアを築くためのファーストステップとなるものです。事業承継・M&Aエキスパート試験に合格すると、上級資格であるM&Aシニアエキスパートの養成スクールの受講が可能になります。

事業承継・M&Aエキスパート試験を受験するためには、一般社団法人金融財政事情研究会が実施する、金融業務2級試験に合格しなければなりません。

M&Aシニアエキスパートの資格を取得するメリット

M&Aシニアエキスパートの資格を取得すると、さまざまなメリットが得られます。そのなかでも特に重要なメリットは、以下の2つです。

事業承継やM&A実務の即戦力人材である証明になる

資格を取得することで、事業承継やM&A実務に関する知識を豊富に持ち、即戦力人材であることが証明できます。M&A業界に就職や転職を希望する場合、非常に有利となるだけでなく、実際にクライアントと接する際にもM&Aのプロフェッショナルであることを証明し、信頼を得ることも可能です。

また、一般企業や投資会社などで事業承継やM&Aのコンサルティング業務などに従事する機会も増えるため、キャリアアップの足掛かりとすることも期待できます。

事業承継とM&Aに関する知識を網羅的に取得できる

事業承継とM&Aに関する幅広い知識を網羅的に取得できる点もメリットです。

M&A業務は、税法はもちろん、民法や会社法をはじめとするさまざまな法務知識や、実務的な知識が必要です。各分野を横断する広範囲な知識を独学で習得するのはかなり難しいですが、M&Aシニアエキスパート認定試験に合格できれば、ゼネラリストとしての道が拓けます。

また、専門職としてのスキルセットを向上させ、クライアントへの価値提供に貢献することにもつながります。

M&Aシニアエキスパート認定制度の難易度

M&Aシニアエキスパート認定制度は、カリキュラムに沿った多種多様な分野に渡る勉強が必要です。簡単な試験でないことは言うまでもありませんが、ある程度まとまった時間が取れるのであれば、決して合格できない試験ではありません。

そこで、M&Aシニアエキスパート認定制度の難易度はどの程度なのかを解説します。

難易度

M&Aシニアエキスパート認定制度の取得難易度は、資格ごとに異なります。「M&Aシニアエキスパート」「事業承継シニアエキスパート」「事業承継・M&Aエキスパート」のそれぞれに分けて、資格難易度を確認していきましょう。

M&Aシニアエキスパート

M&Aシニアエキスパートは、中小企業のM&A実務に関する難関資格であり、事業承継シニアエキスパートよりも難易度は高く、M&A資格の最高峰に位置づけられています

試験に関しては、まずWeb講義によるM&Aシニアエキスパートの講座を受講し、そのうえで受験する「Web講義+認定試験(CBT方式)」が採用されています。

M&Aシニアエキスパートの過去問や合格率は公表されておらず、試験問題集などを入手することもできませんが、試験内容は概ねWeb講座の内容に沿ったものであるため、講義内容をしっかりと理解すれば合格できるでしょう。

事業承継シニアエキスパート

事業承継実務に関する最難関資格が、事業承継シニアエキスパートです。試験内容は幅広く、理論的な内容以外にも実務ノウハウなども問われることから、難易度はかなり高いと言われています。

Web講義を受講しなくても受験資格を得ることはできますが、講義内容に沿った形で試験問題が出題されるため、短期間で合格したい方や合格に自信の無い方は、Web講義を受講してから試験を受けるほうが良いでしょう。

事業承継・M&Aエキスパート

事業承継・M&Aエキスパート認定試験は、M&Aシニアエキスパート認定制度のなかでは最も難易度が低く、適切な準備を行えば比較的短期間で取得することができると言われています。

試験は四答択一式が30問、総合問題10題を120分で解くもので、100点満点で70点以上が合格基準となっています。

通信教育講座や試験問題集なども提供されているため、勉強を始めたばかりで自信の無い方は、これらを済ませてから受験すると良いでしょう。

試験内容

次に、各認定資格の試験内容について、試験時間や出題形式、合格基準などについて解説します。

M&Aシニアエキスパート

M&Aシニアエキスパート試験の概要は、以下のとおりです。

試験時間 120分
試験内容
  • M&A実務
  • M&A評価
  • 会計・税務
  • 企業評価概論など
出題形式

四答択一式50問

合格基準

100点満点で60点以上の正解

合格率

非公表

受験方法

全国各地のテストセンター(受験会場)において、コンピューターで受験

受験料

11,000円

合格基準は「100点満点で60点以上の正解」とやや低く設定されていますが、先述したとおりM&A資格の最高峰ともいわれているため、試験の難易度は高めです。試験内容が広範囲なため、しっかりと勉強しないと合格は難しいでしょう。

事業承継シニアエキスパート

事業承継シニアエキスパート試験の概要は、以下のとおりです。

試験時間 120分
試験内容
  • 中小企業の事業承継総論
  • 相続税・贈与税の仕組み
  • 財産評価
  • 税制改正と民法改正
  • コンサルティング業務の進め方
  • 事業承継税制
  • 事業承継対策の手法
  • 金融機関の事業承継派生取引
  • 実務におけるケーススタディなど
出題形式

四答択一式50問

合格基準

100点満点で60点以上の正解

合格率

非公表

受験方法

全国各地のテストセンター(受験会場)において、コンピューターで受験

受験料

11,000円

事業承継シニアエキスパート試験は、実務におけるケーススタディが含まれている点がM&Aシニアエキスパートと大きく異なります。M&A実務を行った経験が無い方が書籍だけで勉強するには限界があるため、難しいと感じる方は、Web講義を活用すると良いでしょう。

事業承継・M&Aエキスパート

事業承継・M&Aエキスパート試験の概要は、以下のとおりです。

試験時間 120分
試験内容
  • 事業承継関連税制等
  • 事業承継関連法制等
  • M&A基礎知識・関連会計
  • M&A関連法制等
出題形式

四答択一式30問、総合問題10題

合格基準

100点満点で70点以上の正解

合格率

非公表

受験方法

全国各地のテストセンター(受験会場)において、コンピューターで受験

受験料

7,700円

事業承継・M&Aエキスパート試験は、他の試験と比べると、M&Aに関する基礎的な知識を問う問題が多いのが特徴で、合格基準も「100点満点で70点以上の正解」とやや高めに設定されています。

M&Aエキスパート認定資格の取得までに必要な勉強時間

M&Aエキスパート認定資格の取得までに「どれくらいの勉強時間が必要になるのか」は、試験勉強を始める時点で、M&Aや事業承継に関する知識を既にどの程度身につけているのかによって変わります

一般的に、資格試験合格に必要な学習期間は数ヶ月程度と言われますが、Web講義に準じた内容で出題されることから、必要な勉強時間を短くしたい方は「Web講義での学習に集中する」と良いでしょう。

M&Aシニアエキスパート認定制度の流れ

試験の申し込み方法や、実際に合格証を取得するまでにはどのようなプロセスがあるのかを解説します。

  1. 受講者登録・試験申し込み
  2. 試験準備
  3. 受験・合格証を取得

受講者登録・試験申し込み

はじめに、受験予定の資格試験の受験申し込みを行います。

M&Aシニアエキスパートは「5月と11月の年2回」、事業承継シニアエキスパートは「10月の年1回」、事業承継・M&Aエキスパート試験に関しては「通年」実施されています。

どの試験を受けるのかを決めたら、希望日時に合わせてオンラインで申し込みを行います。また、Web講義を受けてから受験する場合は、まずWeb講義の申し込みからスタートしましょう。

試験準備

各種申し込みが完了したら、試験に向けた準備に入ります。Web講義を利用する場合は、必要な講義をすべて受けると修了証が与えられ、そのあとで認定試験(CBT方式)の受験手続きを行います。

一方、通信講座や独学などで試験準備をする場合は、申し込んだ受験日に向けて勉強に励むことが一般的です。

受験・合格証を取得

受験申し込み時に登録したテストセンターに行き、コンピューターに向かって120分間の試験を受けます。試験終了後に合否が画面に表示されたら内容を確認し、試験官からスコアレポートを受け取り、テスト会場から退室します。

試験に合格した場合は、試験の翌日にユーザー登録したマイページから試験合格の認定証をダウンロードして終了です。

不合格だった場合は、システムの利用可能期間内であれば何度でも再受験が可能なため、ユーザー登録したマイページからもう一度、再受験の手続きを行います。

まとめ

M&Aシニアエキスパート認定制度は、事業承継やM&Aに関する知識と実務理解を段階的に身につけられる民間資格制度です。資格ごとに対象分野や難易度は異なりますが、いずれもM&A実務に携わる人材の専門性を示す指標として活用できます。M&A仲介会社やアドバイザーを選ぶ際には、こうした資格の保有状況も一つの判断材料になります。実際の案件では資格だけでなく経験や対応力も重要になるため、専門性と実務力の両面を備えた支援先に相談しながら進めることが望ましいでしょう。



よくある質問

  • M&Aシニアエキスパート認定制度とは何ですか?
  • 事業承継やM&Aに関する専門知識とスキルを持つ人材を育成するための民間資格制度です。中小・零細企業の事業承継やビジネスマッチングを支援できるプロフェッショナルの養成を目的としています。
  • M&Aシニアエキスパート認定制度の認定元はどこですか?
  • 一般社団法人金融財政事情研究会が認定する資格制度です。制度自体は、株式会社日本M&Aセンターと株式会社きんざいによって共同で創設されました。
  • 資格にはどのような種類がありますか?
  • M&Aシニアエキスパート、事業承継シニアエキスパート、事業承継・M&Aエキスパートの3種類で構成されています。
  • M&Aシニアエキスパートを取得するメリットは何ですか?
  • 事業承継やM&A実務の即戦力人材であることの証明になり、事業承継とM&Aに関する知識を網羅的に身につけられる点が主なメリットです。
  • 試験の難易度はどのくらいですか?
  • 資格ごとに異なりますが、M&Aシニアエキスパートと事業承継シニアエキスパートは難関資格とされ、事業承継・M&Aエキスパートはその入門的な位置づけです。
  • 試験はどのような形式で行われますか?
  • 全国各地のテストセンターで、コンピューターを用いるCBT方式で実施されます。試験時間は120分で、四答択一式を中心に出題されます。
  • 資格取得まではどのような流れで進みますか?
  • 受講者登録と試験申し込みを行い、必要に応じてWeb講義で学習したうえで受験します。合格後は、マイページから認定証をダウンロードして取得します。

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