会社分割の不動産取得税とは? 非課税要件と必要書類、計算方法を解説

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土地などの不動産を新たに取得した場合、原則として不動産取得税が課されます。それでは、企業グループ内の組織再編で会社分割を行い、分割した会社間で資産を移動させた場合はどうなるでしょうか?
会社から会社へ資産が移動するため、新たに取得したといえそうですが、もともとは一つの企業なわけですから、課税するのは本来の趣旨から外れるようにも見えます。
そこで本記事では、会社分割における不動産取得税について、非課税となる要件や課税されるケースなどについて解説します。

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1. 会社分割の不動産取得税とは?

不動産取得税とは、土地等の不動産を取得した際に課される地方税のことです。ただし、(同じ地方税でも)固定資産税のように毎年課されるものではなく、取得時に一度だけ課税される仕組みです。
不動産取得税は、会社分割によって不動産を譲り受けた場合でも、原則として譲り受けた側が課税されるように定められています。
通常、取得した不動産の課税標準額に対して4%の税率で課税されますが、会社分割で取得した不動産に関しては、要件を満たすと非課税になる場合があります。

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2. 会社分割の不動産取得税の非課税要件

会社分割で取得した不動産に対して課される不動産取得税が「非課税」となる要件は、以下の5つです。

  1. 分割対価要件
  2. 主要資産・負債移転要件
  3. 移転事業継続要件
  4. 従業者引継要件
  5. 按分型要件

分社型分割の場合は1〜4、分割型分割の場合は1〜5をすべて満たせば、不動産取得税が非課税となります。ここからは、それぞれの要件を具体的に見ていきましょう。

2-1. 分割対価要件

一つ目は、分割対価要件です。分割により支払われる対価が株式のみであった場合は、不動産取得税が非課税となる要件に該当します。
会社分割の対価は、株式以外に現金を交付することも認められているため、分割の対価として現金など株式以外の資産が交付された場合は、不動産取得税が課されます。

2-2. 主要資産・負債移転要件

2つ目の要件は、移転した資産および負債に関する要件です。分割する事業に関連する主要な資産と負債が承継会社に移転されることが、不動産取得税が非課税となる要件に該当します。
資産だけでなく負債も対象となるため、例えば会社分割によって主要資産だけを移転させた場合は、不動産取得税が非課税とならない点に注意しなければなりません。

2-3. 移転事業継続要件

3つ目の要件は、移転した事業がその後も継続されていることです。
会社分割によって移転した事業が、事業を承継した会社によって引き続き営まれることが、不動産取得税が非課税となるための要件となります。

2-4. 従業者引継要件

4つ目は、従業員の引継要件です。会社分割が実施される前に分割事業に従事していた従業員のうち、概ね80%以上が分割後も引き続き、承継した会社で働き続ける見込みであることが、不動産取得税が非課税となる要件となります。
この場合、「従業者」に該当する範囲は法人によって異なるため、留意が必要です。

2-5. 按分型要件

5つ目の要件は、按分(あんぶん)型要件です。按分とは、割合に応じて分けることを意味します。按分型要件は、分社型分割の場合は必要ではありません。分割型分割の場合にのみ、不動産取得税が非課税となるための要件として必要になります。
分割型分割では、分割を行う際、承継会社は分割会社の株主に対して、分割の対価として承継会社の株式を交付します。
交付にあたり、もともと株主が保有していた分割会社の株式比率をもとに株式数を算出し、交付する承継会社の株式数を決定しなければなりません。

3. 会社分割の不動産取得税の非課税申請に必要な書類

会社分割で移動した資産に対して課される不動産取得税を非課税とするためには、対象の都道府県に対して申請書等を提出しなければなりません。
その際に必要となるのは、主に以下の書類です。

不動産取得税非課税申告書

会社分割に伴う不動産取得税を非課税にする旨を申請する書類

分割について承認または同意があったことを証する書類

分割会社の株主総会議事録や取締役会議事録など

分割計画書(新設分割の場合)

「3.移転事業継続要件」を満たすもの

分割契約書(吸収分割の場合)

「3.移転事業継続要件」を満たすもの

履歴事項全部証明書

法務局で登記されている会社情報を示す書類
また「3.移転事業継続要件」を満たすもの

定款

分割会社、承継会社双方の定款が必要
「3.移転事業継続要件」を満たすもの

分割法人から引き継ぐ権利義務に関する内容を確認できる書類

「2.主要資産移転要件」を満たす旨を確認できる書類
具体的には、貸借対照表や承継権利義務明細表など

分割事業に係る従業員のうち、分割承継法人の従業員の人数がわかる書類

「4.従業者引継要件」を満たす旨を確認できる書類
具体的には、雇用契約書や分割前後における分割事業部門の従業者の人数比較表、従業者名簿など

なお、これらの書類は原本に限らず、写しでも良いとされています。ただし、場合によっては、原本の確認や追加書類の提出が必要となるケースもあるため、こうした点には気を付けなければなりません。

4. 会社分割の不動産取得税が課税されるケース

会社分割の際、不動産取得税が課されるケースについて解説します。先述のように非課税にならず、不動産取得税が課されるのは、以下のような場合です。

非課税要件に該当しない場合

・先述の非課税要件の1〜5に該当しない場合は、不動産取得税の課税対象となる
・一つでも要件が欠けていれば課税対象となるため注意が必要

賃貸中の不動産を賃貸人に移転させた場合

賃貸中の不動産を賃貸人に移転させると、その不動産は分割した事業とは切り離されて関係が無くなるため、課税対象となります

名義変更後に土地を賃貸に出す場合

土地を賃貸に出すと、その不動産は分割した事業とは関係無い用途に使われることになるため、課税対象となります

各地方自治体の非課税要件を満たさない場合

不動産所得税は地方税であるため、課税の判断は最終的に各都道府県が行います
そのため、各自治体の考えによっては、要件を満たさないと判断される可能性もあります

5. 会社分割の不動産取得税の計算方法

続いて、会社分割で不動産取得税が課された場合の計算方法について解説します。不動産取得税の税額は、以下の算式によって算出するのが原則です。

  • 不動産取得税 =「取得した不動産の価格(課税標準額)」× 税率

課税標準額とは、不動産の購入価格や建築費用ではなく、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて算定された、固定資産台帳に登録されている価格のことを指します。
令和9年(2027年)3月31日までは軽減税率が適用されるため、土地、家屋(住宅)に関しては税率が3%に、家屋(非住宅)については4%に定められています。
なお、新築住宅や中古住宅の取得については、不動産取得税の軽減制度があるため、具体的な内容についてはあらかじめ各自治体に確認しておくと良いでしょう。

6. 会社分割の不動産の取得に関する注意点

最後に、会社分割で不動産を取得した際、注意すべきことについて解説します。これまで述べてきたように、会社分割において一定の要件を満たすと、取得した不動産に対する不動産取得税は非課税となります。
しかし、会社分割を行う場合は別途、分割会社と承継会社の両方で分割に関する法人登記を行わなければなりません。また、不動産を取得した法人は、不動産登記を行うことが必須です。
この際に必要となる登録免許税について、それぞれ解説します。法人登記と不動産登記は、効力発生日から2週間以内に登記申請を行い、納税することが求められるため、期日にも留意しましょう。

6-1. 法人登記の場合の登録免許税

会社分割を行った場合は、分割会社と承継会社の双方で法人登記が必要になります。その際支払うべき登録免許税は、以下のとおりです。

立場 登録免許税 補足

分割会社

3万円(一律)

-

吸収分割の承継会社

【資本金の増加なし】3万円
【資本金の増加あり】
増加した資本金額 × 0.7%

計算の結果
3万円未満の場合は、3万円

新設分割の承継会社
(新設会社)

新設会社の資本金額 × 0.7%

計算の結果
3万円未満の場合は、3万円

なお、登録免許税の支払いに関しては、法務局の窓口などで該当する金額分の「収入印紙」を購入し、登記申請書に添付することで納付したものとみなされます。

6-2. 不動産登記の場合の登録免許税

会社分割によって不動産を取得した場合、不動産取得税が非課税となるか否かに関わらず、不動産登記を行わなければなりません。
その際、支払うべき税額は、以下の算式により計算します。

  • 不動産登記の登録免許税=不動産評価額 ×2%

したがって、不動産評価額が1,000万円の土地を取得した場合の登録免許税は、1,000万円 × 2%=20万円 と算出されます。

7. まとめ

会社分割を行うと、承継会社に多くの不動産を承継させる場合があります。該当する不動産の数が多かったり評価額が高かったりすると、不動産取得税も高額になってしまいますが、要件を満たした場合は「非課税」にすることができます。
ただし、非課税要件は多岐にわたり、必要書類も多いため、すべてを自社で準備するのは容易ではありません。また、不動産取得税以外にも登録免許税が発生しますが、こちらは非課税にはならないため留意が必要です。
このように、会社分割に伴う不動産取得を適切に進めるためには、専門家へ相談することをおすすめします。M&Aキャピタルパートナーズは、東証プライム上場のM&A仲介会社であり、会社分割に関する専門家も数多く在籍しています。
会社分割における不動産取得に関して疑問やお悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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