休眠会社とは? メリットやデメリットと手続き方法を解説

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休眠会社について

休眠会社とは、株式会社について最後の登記があった日から12年を経過した会社を指し、広くは長期間にわたり事業活動を行っていない会社も含まれます。将来の事業再開を見据えて休眠化を選ぶこともできますが、みなし解散や税務申告、役員変更登記など継続して必要となる対応があります。

休眠会社を検討する場面では、解散や廃業と何が違うのか、どのようなメリットがあるのか、休眠中に何を続けなければならないのかが分かりにくくなりがちです。実際には、将来の事業再開を見据えて会社を残す方法として有用である一方、税務申告や役員変更登記、みなし解散への対応など、見落とせない論点もあります。休眠化の効果と負担の両方を整理して判断することが重要です。

本記事では、休眠会社の概要や目的に加えて、みなし解散・廃業との違い、メリット・デメリットを解説します。会社を休眠させる方法や、もとに戻すための手続きも紹介しますので、参考にご活用ください。

また、M&Aの意味や基本知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。


休眠会社とは

休眠会社とは

休眠会社とは、株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したもの(会社法第472条1項)を指します。広義では、長期間にわたり企業活動を行っていない会社も含まれます。
一般的に株式会社には、さまざまな登記事項が求められます。例えば、会社形態によっては、定款で定めることにより役員の任期を最長で10年とすることができ(会社法第332条2項、336条2項)、この場合10年に一度は必ず役員の変更登記を行わなければなりません。しかし、このケースにおいて期日をさらに2年過ぎても登記が行われず、最後の登記より12年が経過すれば、休眠会社として扱われます。一方で、必要があれば、12年が経過していなくても、経営者の判断によって会社を休眠させることが可能です

会社を休眠させる目的

会社を休眠させる目的はそれぞれに異なりますが、代表的な理由は次のとおりです。

  • 経営者の高齢化や病気など
  • 事業再生に向けた時間の確保
  • 廃業の準備

近年、経営者の高齢化や後継者不足が取りざたされており、後継者のいない会社において、経営者の高齢化や病気に伴い会社を休眠させるケースがみられます。また、会社を休眠させると税金免除などの経済的なメリットが得られるため、事業再生に向けての時間確保や廃業準備としても会社の休眠が用いられます。

みなし解散・廃業との違い

休眠会社と類似した概念に、みなし解散と廃業があります。それぞれの定義の違いは、次のとおりです。

みなし解散

みなし解散とは、法律上の休眠状態が続く株式会社に対して法務大臣が官報公告を行い、登記所から通知書が送付されてもなお、必要な登記申請または「まだ事業を廃止していない」旨の届出がされないときは、解散されたものとみなす制度です。公告から2ヶ月を経ても登記申請または届出が無い場合、「みなし解散の登記」がされます。
商業登記法上の規定によると、同一の本店所在地において同じ商号を登記できません(商業登記法第27条)。この定めに則ると、新たに会社を設立する際に休眠会社が支障をきたすため、法務局の登記官によって強制的に解散手続きが取られ、会社を解散できるようになりました。

廃業(清算)

廃業とは、経営者が自主的に会社を解散して事業を廃止することです。
みなし解散と廃業は、どちらも通常、将来にわたり事業を再開できません(ただし例外的に、解散したものとみなされたあとも3年以内であれば、株主総会の決議によって株式会社を継続することができます(会社法第473条))。一方、休眠会社は再度手続きを経ることで事業を再開できる点で、みなし解散や廃業と異なります。

休眠会社化のメリット

休眠会社化の主なメリットは、次の4点です。

いつでも事業活動が再開できる

会社を解散させずに休眠化させておく場合、いつでも事業活動を再開できます。解散や廃業の場合には、事業活動を再開できないため、将来的に事業再開の選択肢を残したい場合には、休眠会社化が有用です
なお、休眠状態を継続させることに対して、税務署への休業届の提出以外、特別な手続きは不要です。時間も費用もかからず、すぐに事業を再開できる点もメリットといえるでしょう。

解散・清算に比べ費用や時間がかからない

会社の休眠化では、解散や廃業(清算)に比べて費用や時間がかからない点も特長です。
例えば、会社を廃業する際は、次の3つの登記をしなければなりません。

  • 法人解散登記
  • 清算人選任登記
  • 清算結了登記

さらに、官報に解散公告を出す必要があり、約4万円の費用がかかります。また、法人の解散・廃業(清算)では、解散確定申告と清算確定申告が必要です。一方で、会社を休眠させる場合、これらの費用や手続きは不要なため負担が軽減されます。

法人税・消費税の課税が無い

休眠会社に対しては、法人税や消費税の課税が無い点もメリットです。そもそも、法人税は会社の所得に対して課せられる税金であり、事業を継続して所得がある限り課税されます。この点、休眠会社は事業を休止しており所得を生み出さない状態を継続するため、休眠期間中の法人税は発生しません。
なお、法人住民税の均等割に関しては所得に関わらず原則として毎年定額が発生しますが、自治体によって免除されるケースもあるので、各自治体への確認をおすすめします。
また、消費税は事業者が事業として行う取引に対して課される税金です。休眠会社として事業を行っていない場合は、課税対象が無いため消費税も生じません

許認可の取り直しが無い

休眠会社化させる際は、事業を再開する場合に許認可を取り直す必要が無い点もメリットです。
廃業を選択した場合、新たに事業を起こす際は、必要となる許認可を再取得しなければなりません。一方、休眠会社では、休眠前に取得した許認可が取り消されることはないため、事業を再開する場合に再取得の必要はありません。さまざまな手続きを経ずに事業を再開できる点もメリットといえるでしょう。

休眠会社化のデメリット

休眠会社化の主なデメリットは、次の4点です。

手続きや会社維持のために費用が発生する

休眠会社化のデメリットとして挙げられるのが、会社を休眠させるための手続きや休眠中の会社維持に費用が生じる点です。
会社の休眠化にあたっては、税務署をはじめとする各所へ書面を提出する手続きが必要ですが、負担はそれほど大きくありません。また、先述のとおり、法人税や消費税など税金の一部は課されませんが、例えば、法人住民税の均等割など、免除されなかった税金は納めなければなりません。
また、土地建物等を所有している場合は、固定資産税が生じる可能性もあるので留意が必要です。

みなし解散の恐れがある

先述した、みなし解散の制度にも注意が必要です。
法律上の休眠状態が続く株式会社に対して法務大臣が官報公告を行い、2ヶ月以内に必要な登記(役員の変更等)の申請または「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなされないときは、たとえ事業を継続していたとしても解散されたものとみなされます。法務局によって「みなし解散の登記」がなされると会社は解散したものとして取り扱われ、さらに3年経過すると事業を再開することができなくなるため、事業継続を希望する場合は、早急な対応が求められます。

税務申告の必要がある

休眠会社においても、税務申告の必要は生じます。たとえ事業を行わなくとも、法人として確定申告義務を負うからです。また、税理士などの専門家に税務申告を依頼している場合は、委託費も生じます。
なお、2年連続で申告期限を守らなかった場合には、青色申告が取り消されます。この場合、欠損金(税務上の赤字)の繰越控除や繰戻し還付も行えなくなる点に注意が必要です。

役員の変更登記が必要

休眠中であっても役員の変更登記は必要である点もデメリットといえます。会社を休眠させていても、役員の任期は休眠とは関係なく進行します。そのため、任期満了になれば重任または役員交代を行い、その旨を登記しなければなりません。
多くの中小企業が該当する非公開会社では、役員の任期は最長10年と定めることができるため、休眠中であっても少なくとも10年に1度は役員の変更登記が必要となります。また、この変更登記は、変更が生じたときから2週間以内に行う必要があります。期間内に登記申請をしなかった場合は、経営者(会社代表者)に対して100万円以下の罰金が科せられるケースもあるので注意しましょう。

休眠会社に関する手続き方法

ここからは、休眠会社に関する手続きとして、次の2つの方法を解説します。

会社を休眠させるための手続き

会社を休眠させるには、関係する行政機関に対して書類を提出しなければなりません。主な提出先と必要書類は、次のとおりです。

提出先機関 主な必要書類

管轄の税務署

・休業の旨を記載した異動届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
・消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書

都道府県・市区町村税事務所

・異動届出書

管轄の年金事務所

・健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届

労働基準監督署

・労働保険確定保険料申告書

公共職業安定所(ハローワーク)

・雇用保険適用事業所廃止届

これらの書類提出に際して、特別な費用は発生しません。ただし、税理士や社会保険労務士といった専門家に書類作成を依頼する場合は、それぞれに対する手数料が生じます。

もとに戻すための手続き

会社を休眠から復活させて、もとに戻す際も手続きが必要です。主な提出先と必要書類は、次のとおりです。

提出先機関 主な必要書類

管轄の税務署

・異動届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

都道府県・市区町村税事務所

・異動届出書

管轄の年金事務所

・健康保険・厚生年金保険新規適用届

公共職業安定所(ハローワーク)

・雇用保険適用事業所設置届

休眠前に青色申告者であった場合は、青色申告が取り消されていないか、滞納している税金はないかも併せて確認してください。なお、休眠理由が一時的なものでない場合、そもそも再開のメリットがあるのかも入念に検討して手続きを行うことが肝要です。

まとめ

休眠会社は、会社を解散せずに事業停止の状態を維持し、将来の再開に備えられる点が大きな特徴です。解散や清算に比べて時間や費用の負担を抑えやすく、許認可の取り直しが不要な場合がある一方で、税務申告や役員変更登記、みなし解散への注意は欠かせません。事業再生や後継者探しのために時間を確保したい場合には有効な選択肢ですが、再開可能性や維持負担も踏まえて判断する必要があります。



よくある質問

  • 休眠会社とは何ですか?
  • 株式会社について最後の登記があった日から12年を経過した会社を指し、広くは長期間にわたり事業活動を行っていない会社も含まれます。
  • 休眠会社とみなし解散の違いは何ですか?
  • 休眠会社は手続きを経れば事業再開が可能ですが、みなし解散は官報公告や通知後も必要な登記申請や届出が行われない場合に、法律上解散したものとみなされる制度です。
  • 休眠会社と廃業の違いは何ですか?
  • 廃業は経営者が自主的に会社を解散して事業を廃止することですが、休眠会社は会社を残したまま事業を停止し、再開の選択肢を残せる点が異なります。
  • 休眠会社化のメリットは何ですか?
  • いつでも事業を再開できること、解散や清算より費用や時間がかからないこと、法人税や消費税の課税が生じないこと、許認可の取り直しが不要なことです。
  • 休眠会社化のデメリットは何ですか?
  • 会社維持のための費用が発生すること、みなし解散の恐れがあること、税務申告が必要なこと、休眠中でも役員の変更登記が必要なことです。
  • 会社を休眠させるにはどのような手続きが必要ですか?
  • 税務署、都道府県・市区町村税事務所、年金事務所、労働基準監督署、公共職業安定所などに、休業や各種廃止に関する書類を提出します。
  • 休眠会社を再開するにはどのような確認が必要ですか?
  • 税務署や自治体、年金事務所、公共職業安定所への届出に加えて、青色申告が取り消されていないか、滞納税金がないかも確認する必要があります。

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