シャーク・リペラントとは? 概要と留意点を詳しく解説

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日本の企業間におけるM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)の動きは、近年、増加していますが、M&Aは企業の成長戦略の一環として行われる一方、敵対的な買収を受ける場合もあります。企業が敵対的な買収から身を守るための手段のひとつとして認識されているのがシャーク・リペラント(Shark Repellent)です。今回は、シャーク・リペラントの概要、スタッガード・ボード( Staggered Board of Directors)およびスーパー・マジョリティ条項(Super Majority Provisions)の紹介、留意点について詳しく説明します。

シャーク・リペラント(Shark Repellent)とは

シャーク・リペラントとは、直訳すると「サメよけ」という意味ですが、敵対的買収防衛策のひとつです。買収を仕掛ける会社をサメに見立て、これを防ぐ手段でシャーク・リペラント(サメよけ)と呼ばれています。

シャーク・リペラントの主な具体例としては、定款に取締役の任期を異なる期間で設定するスタッガード・ボードや、合併承認に際して株主総会で絶対多数の決議を必要とするスーパー・マジョリティ条項の設置などがあります。

スタッガード・ボードの紹介

ここでスタッガード・ボードをより詳しく説明すると、取締役会のメンバーを異なる期間で任期を設定し、全員を同時に交代させないようにします。通常、取締役は数年ごとに分割され、毎年一部が改選されるため、敵対的買収者が取締役会の支配を獲得するためには複数年にわたる取締役選挙に勝利する必要があります。これにより、買収企業が短期間で経営権を掌握することが困難になり、被買収企業に時間を稼ぐ効果があります。

スーパー・マジョリティ条項の紹介

次にスーパー・マジョリティ条項をより詳しく説明します。スーパー・マジョリティ条項とは、絶対的多数条項とも呼ばれ、企業の株主や役員、または法律の制定・変更において、特定の重要な決定を行うために必要な議決権の割合を通常の必要議決権数以上に設定する条項をいいます。

例えば、企業の定款変更や合併、買収等の重要な決定において、通常の必要議決権数以上の賛成(通常は2/3以上)を必要とすることで、決議要件を厳しくすることができます。

シャーク・リペラントの留意点

シャーク・リペラントとして設定する買収防衛策は、経営陣が常に既存株主の最善の利益のために行動するとは限らないため、留意が必要です。

例えば、スタッガード・ボードの場合のデメリットとして、取締役会が新しいアイデアや変革を受け入れるのが難しくなる可能性があり、その結果、企業価値の向上機会を逃すリスクがあります。

また、スーパー・マジョリティ条項の場合のデメリットとして、企業経営の柔軟性が低くなる可能性があり、その結果、企業価値の向上機会を逃すリスクがあります。

まとめ

今回は、シャーク・リペラントについて詳しく説明しました。

敵対的買収の阻止は企業の継続的な経営や文化を保つ上で重要な要素となる場合もありますが、その手段によって企業価値を自ら損なう行動は、長期的な視点での経営の健全性や株主の利益をどう捉えるかという観点からも慎重な判断が求められると考えられます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズコーポレートアドバイザリー部長 梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ 
コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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