
保育園・保育業界のM&A動向
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保育業界は保育所、幼稚園、認定こども園に大別される。保育所は「認可保育所」と「認可外保育所」が存在する。
「認可保育所」とは、施設の広さや保育士等の職員数など、国が定めた認可基準を満たし、各都道府県知事に認可された保育所のことを指す。「認可外保育所」とは、国が定めた基準は満たしておらず、各都道府県知事に認可されていない保育所のことを指す。ベビーホテルや企業内保育所など、様々な保育ニーズに応える施設が多く、人気の高い認可外保育所も存在する。

保育所設置の際は、児童の安全確保や保育水準を保つために、様々な基準、制約を守ることが求められる。 認可保育所の設置には都道府県知事の許可が必要であり、厚生労働省令として定められている「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」や都道府県等が条例で規定した基準を満たす必要がある。一方の認可外保育所の設置の際にも、都道府県知事への届出が必要かつ、厚生労働省が定めた「認可外保育施設指導監督基準」を満たす必要がある。
保育サービス事業は、2000年に民間企業による認可保育所の運営が認められたが、撤退時の規制がないことなどから、当初は自治体からの信頼が得られないことが多く、2015年時点での民間企業が運営する認可保育所は全体の3.9%ほどであった。しかし、近年の保育需要の高まりや、国をあげての子育て支援施策から、民間企業の参入が増加している。
矢野経済研究所の調査によると、2018年度の保育所・託児所市場規模は前年度比6.0%増の3兆3,500億円とされている。
2019年度も待機児童解消に向けた施策から、保育所や託児所の新規開設、利用児童数の増加が見込まれ市場規模も3兆5,500億円になると予想されている。 業界内主要企業の売上高は、株式会社JPホールディングスが約292億円、ライクキッズ株式会社が約202億円、株式会社こどもの森が約180億円、株式会社グローバルキッズが約181億円、株式会社アイグランが約150億円、アートチャイルドケア株式会社が約80億円となっている。また正規従業員数は、株式会社JPホールディングスが3094人、ライクキッズ株式会社が2517人、株式会社グローバルキッズが2028人となっている。
株式会社船井総合研究所の調査による国内の保育対象人口は、2017年が300万人、2018年が325万人、2020年が370万人となっているが、2030年においては330万人~350万人であり、2025〜28年頃には保育対象人口はピークアウトしていくと予想される。

保育業界の課題として第一に挙げられるのが、保育士不足である。
過度な作業量や稼働に見合わない報酬、業務の都合上、落ち着いた休憩時間を取れないことからくるストレスなど、労働環境の理由から慢性的な人材不足が課題となっている。
次に挙げられるのが、待機児童問題である。女性の社会進出や保育士不足により待機児童が増加している。特に都市部では、人口増加により児童も集中的に増加していることに加え、限られた土地での保育所の設置が難しくなっていることから、待機児童問題は顕著である。 国をあげての子育て支援が制度化されており、保育所が社会において果たす役割は大きくなってきている中で、各事業者は課題や多様化するニーズに柔軟に対応していくことが事業拡大の要因になるだろう。
保育所の多くは社会福祉法人が運営しており、民間企業が運営する認可保育所はまだ少ないの現状である。
ただ、多くの事業者が売上を伸ばしていることから、業界内のM&Aが増加している。また学習塾業界や鉄道業界など、他業界からM&Aによる参入も目立ってきている。
―主な事例―
・2019年9月、株式会社城南進学研究は東京都世田谷区に認可外保育園を運営するCheer plus株式会社の全株式を取得し、子会社化した。英語教室や学童保育などに優れたノウハウを有しているCheer plus株式会社をM&Aすることにより、事業規模の拡大や質の高い保育サービスの提供が図られた。
・2018年2月、株式会社ベネッセホールディングスの子会社である株式会社ベネッセコーポレーションは保育業務支援システムを提供する株式会社コドモンと業務提携契約を締結した。このM&Aにより、家庭と保育所を連携させた育児環境の向上実現に向けたサービスを拡充が図られた。
・2017年6月、株式会社アドバンテッジパートナーズが出資する特別目的会社は、株式会社やる気スイッチグループホールディングスの全株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、経営基盤の一層の強化と各ブランドの更なる発展が図られた。
・2017年4月、株式会社桧家ホールディングスは、同社連結子会社であるライフサポート株式会社を通じて英語による認可外保育園等の運営を行う株式会社PURE SOLUTIONSの全株式を取得し、子会社化した。このM&Aにより、英語教育のノウハウを活かした認可外の英語保育施設や児童育成施設の展開が図られた。
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弊社のM&Aご成約実績
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詳細業種 内装工事・フローリング工事 所在地 関東 概算売上 10億円~30億円 -
詳細業種 水産加工業 所在地 関東 概算売上 10億円~30億円 -
詳細業種 歯科医院 所在地 中部・北陸 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 リース業 所在地 非公開 概算売上 非公開 -
詳細業種 映像制作 所在地 関東 概算売上 10億円~30億円 -
詳細業種 広告企画制作 所在地 関東 概算売上 5億円~10億円 -
詳細業種 ソフトウェア受託開発 所在地 中部・北陸 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 ソフトウェア受託開発業 所在地 関西 概算売上 1億円~2.5億円 -
詳細業種 紙器製造販売 所在地 関東 概算売上 1億円~2.5億円
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