M&A成約事例・実績
ご成約者インタビュー 
それぞれの選択

M&Aご成約者事例
#06

「継続的に地域社会へ貢献したい
そんな思いがM&Aを決意させた」

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原木屋産業株式会社
代表取締役
大栗 秀雄

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株式会社クワザワ
代表取締役社長
桑澤 嘉英
譲渡企業

原木屋産業株式会社

代表取締役大栗 秀雄

1967年日産プリンス東京販売(株)に入社し、営業として自動車販売に従事する。1979年原木屋産業を株式会社化し、同社代表取締役に就任。1999年原木屋セーフティーステップ(株)を設立し、同社代表取締役に就任。「商売は信用が第一」の哲学を胸に順調に業容を拡大する。本件M&A後は代表取締役として残り、引き続き同社のさらなる発展と円滑な承継を目指す。

譲受け企業

株式会社クワザワ

代表取締役社長桑澤 嘉英

1976年東京海上火災(株)入社。1981年父親の急逝にともない(株)クワザワ入社。札幌建材支店長、東京本部本部長などを経て1997年同社代表取締役社長に就任。社長就任後は主に北海道内の建設資材の販売、工事の請負施工、資材運送など、関連分野の企業に資本参加し順調に業容を拡大する。今回のM&Aを実施により、関東圏における商圏の拡大および10年来の構想であった足場事業へ進出を果たす。今後は、原木屋産業と原木屋セーフティーステップとのシナジーを発揮し、北海道でのシェアNo.1と本州市場の拡大を目指す。

まずは大栗様が原木屋産業株式会社を創業された経緯からお聞かせいただけますか。

インタビューイメージ1

学校を卒業してから上京し、杉並区にある大手ディーラーに勤務していました。25歳の時に千葉県東金市の土地と家を購入。造成地の中でもっとも広い区画を契約し、将来的にはそこで自動車販売会社と保険代理店、そして喫茶店を経営しようと考えていました。

ところが契約を済ませた翌月に、父が倒れたという一報が。母から「すぐに帰ってきてほしい」と連絡があったのです。すぐに栃木の実家に戻ると、すでに父は病院に運ばれていて、意識不明の状態になっていました。母を一人にしておくのも忍びないので実家に戻ろうと、契約したばかりの家と土地を解約し、会社に辞表を提出したのですが、当時、私の営業成績はトップクラス。なかなか了解してはくれなかったのですが、状況が状況なのでと強く頼みこむと、4ヵ月後、同系列のディーラーの小山店の店長として推薦するというありがたいお話をいただいたのです。

インタビューイメージ2

ところが、私が実家に帰るということを聞きつけた父の友人で、地元のコンクリート会社の専務がやってきて、ぜひうちに来てほしいというのです。何度も何度も実家にやってきては、「来てもらわないと困る」との一点張り。旧知の方であったため、むげに断ることもできずに、そちらのお世話になることにしたのです。ただ、私は中学生の時から30歳で独立しようと決めていて、できれば自分が好きだった自動車業界で、それを果たしたいと考えていたのですが…。コンクリートを扱う会社に入ったことで、方向転換せざるをえなくなりました。 5年間ほどその会社に勤務して、計画通り30歳で独立を果たしました。扱うのはコンクリート会社での経験を通じてノウハウを蓄積してきたコンクリート建材を中心とした建設資材。無借金経営を標榜していたので、生産設備が不要な商社という業態を選びました。私と家内と弟と母、妹二人と家内の兄が株主となって株式会社を設立。父と母が昭和29年からコツコツと経営を続けていた小さな日用雑貨店の屋号である“原木屋”を受け継いだのです。

その後は、どのように会社経営の舵をとってこられたのですか。

インタビューイメージ

商品の柱を一本に定めるのではなく、扱う品目が多ければ多いほど会社を安定的に経営できると考えていたので、コンクリートのみならず、鋳物やコンクリートの型枠の修理も手がけました。さらに大手製鉄会社の特約店となり、側溝を塞ぐ鋼製蓋版やグレーチングなども扱うようになりました。

社員教育は徹底的に行いましたね。アイテム数が増えると、その分だけ商品知識も必要になります。また、お客様はもちろん、仕入れ先との信頼関係を大切にするということは言い聞かせていました。特に、金銭的な約束は絶対に破らないこと。見積もり段階では徹底的に交渉して1円でも安く仕入れるよう努力するが、支払いの段階では金額も期日も必ず守るようにと指導しました。そういった方針で事業を推し進めていくと、「原木屋産業に販売しても、間違いなく支払ってくれる」という認識が定着し、さらに面白いことに、当社の与信チェックは厳しいから、「原木屋さんが販売している会社に売っても大丈夫だ」という評判が同業者内で広まっていきました。

結局、商売は信用が第一。それは自動車ディーラーの営業マン時代からずっと、片時も忘れることのない哲学でもあります。お客様や仕入れ先、そして地域の方々に認められ、信頼される存在にならなくてはいけないのだと社員全員に伝えていきました。平成11年には建築足場専門の関連会社である原木屋セーフティーステップ株式会社を設立するなど、栃木県南部という商圏の中で順調に事業を拡大していきました。

M&Aを検討するに至った経緯をお聞かせください。

インタビューイメージ

この原木屋産業を将来的にどうすべきなのか?という命題には、いつも悩まされ続けていました。一般的には後継者を立てるというパターンがありますが、身内には該当者がおらず、土地や建物は私たち家族の所有となっているため、資産分与の面から考えても社員の中から後継者を育てるのも現実的ではありません。これまで無借金経営でやってきたので、株式会社は存在させながら、少しずつ資産を売却していって、私たち家族の生活だけを守っていくという手段も考えられなくはありません。しかし、ビジネスを畳んでいってしまったら、800社以上もあるお客様はどうなる?300社もある仕入れ先はどうなる?地元の会計事務所やガソリンスタンドなど経費のおつきあいだってありますし、中には親の代からお付き合いのあるところもあります。そういった方々とのつながりがなくなってしまえば、皆さんだって少なからずダメージを受けることになります。そして何よりも社員の雇用、生活、今後の活躍の機会が失われてしまいます。

さらにいえば、ビジネス面だけではなく、これまで様々な地域活動や団体に参加し、地元のイベントにも毎年協賛金のご協力をさせていただいてきましたし、地元のサッカーチームのスポンサーにもなっています。

いずれもささやかな金額ではありますが、寄付をすることで本当に喜んでくださる方々がいる。これまで築き上げてきた、お世話になってきた方々との関係まで失って良いのかと、これからもこの原木屋を頼りにしてくださる方々の期待にお応えしなくてはならないのではと考えたのです。

最終的にM&Aを決断されたのは、どのような理由だったのでしょうか。

インタビューイメージ

正直言って、M&Aという言葉は嫌いでした。必要だと思ったことはなかったし、他にも道はあるだろうと考えていました。しかし、実際に企業承継を考えなくてはならないタイミングに直面し、後継者問題や地元貢献を継続したいという思いなど様々な条件と併せて考えてみると、この選択が正しいように思えたのです。

M&Aを提案してくる会社は数社ありました。提示された契約事項を吟味し、当社の弁護士にも相談したところ、もっともM&Aキャピタルパートナーズさんが提示した条項がフィットし、会社自体、しっかりしていると判断。営業担当者も熱心で、私たちの疑問に誠意をもってスピーディに回答をくださった点に、私も家内も好印象を持ちました。

M&Aが成立した時の率直な感想をお聞かせください。

インタビューイメージ

クワザワは上場企業なので、様々な規定やコンプライアンスがしっかりしています。原木屋産業にも、私が決めてきた規則がありますが、それをガラッと変える必要があることに、私も社員も少々戸惑っています。中には、「これからどうなる?」と思っている社員もいるかもしれませんが、特に混乱はなく、ミーティングや会議、飲み会の場などで常に「これからどんどん良くなる」ということを伝えています。

せっかく、クワザワというしっかりした上場企業と一緒になったので、今まで通りではダメだと思っています。売り上げも利益も上げることができる組織にして、クワザワに引き渡したいと。M&Aが成立した時点で、ただ見守るだけになる人も多いようですが、私はそれでは申し訳ないと思いました。手は抜きたくないのですよ、ですからやれるだけのことはやりたい。あと5年という猶予をいただいたので、その限られた期間の中で、できる限り良い会社にして渡したいと思っています。そして社員もクワザワと一緒になってよかったと、そんな実感が持てるよう尽力していくつもりです。

ここからは、譲受企業である株式会社クワザワの桑澤社長を交え、お互いの印象や、 M&Aを決断した理由、そして今後の展望について語っていただきました。

インタビューイメージ7
桑澤

真摯な姿勢で堅実に地に足をつけて経営されてこられている印象を受けました。もちろん、財務諸表を拝見しても、常に数字と向き合って経営をされてきたということが明らかにわかりました。無謀なことはされない大栗社長が、原木屋セーフティーステップという子会社を作られたのは大きな決断ではなかったかと推測されます。それは原木屋産業という親会社があって、そこが盤石だからこそできたことでしょう。きちんと計算されている。それでいて、非常に温厚な方でいらっしゃいました。

大栗

桑澤社長と初めてお会いしたときに、誠実な方だと感じました。私どものいくつかのわがままを快く受け止めていただいたことに感謝しています。

桑澤

ビジネス的にもM&Aによるメリットは大きいと判断しました。特に子会社の原木屋セーフティーステップがやられている足場の事業は、実は私が12年前に手掛けたいと思ってはいましたが、幹部から反対を受けていたものです。当時はお客様もいないし職人もいない。材料もないので3~4年は赤字ですよといわれて、泣く泣くあきらめたという経緯があります。
大栗社長は、苦労して体制づくりをやってこられた。私たちが一からはじめて、あれだけの会社にするには何年かかるかわかりません。完成された組織をそのままグループにお招きできるメリットは非常に大きいと感じています。また、当社は関東圏においては栃木と群馬に出先をもっていませんでした。今後は原木屋産業を拠点に、当該エリアもカバーすることができます。

インタビューイメージ8
大栗

原木屋産業としては逆に、クワザワの拠点がある茨城にも進出したいと考えていましたので、商圏拡大のチャンスになると思っています。またクワザワがこのエリアに進出することで、建設資材の需要拡大が見込める。そういった戦略を立てることができます。

桑澤

そうですね。協業することで、様々な未来展望が見えてきます。例えば原木屋セーフティーステップにはベトナム人の職人さんがいます。そこは私どもも勉強になると思っています。これから10年後には間違いなく職人の数が減っていきます。一説によれば3割減が予想されています。建設業界にとって大変な時代がやってきますよ。そういった中、外国人労働力の活用は重要になってきます。
外国人雇用のノウハウを教わりながら、足場だけでなく当社の他の作業領域にも適応していきたいと考えています。とにかく大栗社長の経営手腕は私たちとしても見習いたい部分がたくさんあると感じていますし、ましてや足場という業界は未経験。色々なことを教わりながらバトンタッチしていただければと思います。

インタビューイメージ
大栗

原木屋産業もセーフティーステップも、与えられた5年という期間の中でもっともっと利益の出る体質にしてお渡ししたいし、桑澤社長が考えているクワザワの北関東エリア進出のお手伝いを、自分の能力の範囲で精一杯させていただきたいと思っています。原木屋産業は父の代に始まり、62年の歴史を重ねてきました。一方のクワザワは82年の歴史があります。元々、原木屋を100年企業にしたいという願いがありましたし、その時、クワザワは120年になりますから、何が何でもそこまでは原木屋を継続させていただきたいと願っています。クワザワの力と原木屋の力を集結すれば、もっと企業として大きく成長できるし、利益があがる体質になると確信しています。

桑澤

心強いお言葉です。原木屋産業とクワザワが扱う建築資材は商圏が違えども、同じ製品を扱っているし、同じメーカーとの取引がある。今後のスケールメリットも期待できるし、いずれは人材交流もできるかと考えています。そして、それぞれが大きく発展していければと思います。当社はこれまでにも数多くのM&Aを実施してきましたが、以前は経営的に立ちいかなくなったお取引先を救済するケースが多かったのも事実。
今回のように、本当に良い会社をお迎えすると、技術、人材、経営ノウハウなどプラスα以上の力がグループに与えられると感じています。
こうした素晴らしい出会いの場を作ってくれたM&Aキャピタルパートナーズさんに感謝したいと思います。

インタビューイメージ

(文=伊藤秋廣 写真=伊藤元章)2016/11/17

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