シャーク・リペラントとは? 概要と留意点を分かりやすく解説

シャーク・リペラントとは?概要と留意点を分かりやすく解説のメインビジュアルイメージ

更新日


シャーク・リペラントについて

日本の企業間におけるM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)の動きは、近年、増加していますが、M&Aは企業の成長戦略の一環として行われる一方、敵対的な買収を受ける場合もあります。企業が敵対的な買収から身を守るための手段のひとつとして認識されているのがシャーク・リペラント(Shark Repellent)です。今回は、シャーク・リペラントの概要、スタッガード・ボード( Staggered Board of Directors)およびスーパー・マジョリティ条項(Super Majority Provisions)の紹介、留意点について詳しく説明します。

このページのポイント

~シャーク・リペラントとは?~

シャーク・リペラントは、敵対的買収を防ぐための手段で、企業が取締役任期をずらすスタッガード・ボードや、合併に特定の決議数を設けるスーパー・マジョリティ条項などを採用することです。本記事では、シャーク・リペラントの概要、スタッガード・ボードとスーパー・マジョリティ条項の具体例、そしてそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

無料で相談する

関連タグ

  • #M&A
  • #M&A関連記事
  • #M&A用語集
  • #シャーク・リペラントとは?

~その他 M&Aについて~

シャーク・リペラント(Shark Repellent)とは

シャーク・リペラントとは、直訳すると「サメよけ」という意味ですが、敵対的買収防衛策のひとつです。買収を仕掛ける会社をサメに見立て、これを防ぐ手段でシャーク・リペラント(サメよけ)と呼ばれています。

シャーク・リペラントの主な具体例としては、定款に取締役の任期を異なる期間で設定するスタッガード・ボードや、合併承認に際して株主総会で絶対多数の決議を必要とするスーパー・マジョリティ条項の設置などがあります。

スタッガード・ボードの紹介

ここでスタッガード・ボードをより詳しく説明すると、取締役会のメンバーを異なる期間で任期を設定し、全員を同時に交代させないようにします。通常、取締役は数年ごとに分割され、毎年一部が改選されるため、敵対的買収者が取締役会の支配を獲得するためには複数年にわたる取締役選挙に勝利する必要があります。これにより、買収企業が短期間で経営権を掌握することが困難になり、被買収企業に時間を稼ぐ効果があります。

関連記事
スタッガード・ボード
~概要、メリットとデメリット、具体的な事例について~

スーパー・マジョリティ条項の紹介

次にスーパー・マジョリティ条項をより詳しく説明します。スーパー・マジョリティ条項とは、絶対的多数条項とも呼ばれ、企業の株主や役員、または法律の制定・変更において、特定の重要な決定を行うために必要な議決権の割合を通常の必要議決権数以上に設定する条項をいいます。

例えば、企業の定款変更や合併、買収等の重要な決定において、通常の必要議決権数以上の賛成(通常は2/3以上)を必要とすることで、決議要件を厳しくすることができます。

関連記事
スーパー・マジョリティ条項
~概要と、メリット・デメリット、活用事例について~

シャーク・リペラントの留意点

シャーク・リペラントとして設定する買収防衛策は、経営陣が常に既存株主の最善の利益のために行動するとは限らないため、留意が必要です。

例えば、スタッガード・ボードの場合のデメリットとして、取締役会が新しいアイデアや変革を受け入れるのが難しくなる可能性があり、その結果、企業価値の向上機会を逃すリスクがあります。

また、スーパー・マジョリティ条項の場合のデメリットとして、企業経営の柔軟性が低くなる可能性があり、その結果、企業価値の向上機会を逃すリスクがあります。

まとめ

今回は、シャーク・リペラントについて詳しく説明しました。敵対的買収の阻止は企業の継続的な経営や文化を保つ上で重要な要素となる場合もありますが、その手段によって企業価値を自ら損なう行動は、長期的な視点での経営の健全性や株主の利益をどう捉えるかという観点からも慎重な判断が求められると考えられます。

M&Aキャピタルパートナーズは、豊富な経験と実績を持つM&Aアドバイザーとして、お客様の期待する解決・利益の実現のために日々取り組んでおります。
着手金・月額報酬・企業評価レポート作成がすべて無料、秘密厳守にてご対応しております。
以下より、お気軽にお問い合わせください。


関連記事
ホワイトナイト
~意味や事例について~
スコーチドアースディフェンス
~定義とメリット・デメリット、具体例について~
キラー・ビー
~概要、メリットとデメリット、事例について~
クラウン・ジュエル
~概要、条件、留意点、具体的な事例について~
グリーン・メール
~概要について~
ゴールデンパラシュート
~概要、メリットとデメリット、具体的な事例について~
ジューイッシュ・デンティスト
~概要と類似する買収防衛策について~
バックエンド・ピル
~概要、目的、ポイズン・ピル(Poison Pill)との違いについて~
パックマン・ディフェンス
~概要、メリット、デメリットについて~
スーイサイド ピルとは?
~敵対的買収防衛策の概要と留意点~
ティン・パラシュート
~概要とメリット、ゴールデンパラシュートとの違いについて~

よくある質問

  • シャーク・リペラントとは何ですか?
  • シャーク・リペラントは、敵対的買収を防ぐための防衛策で、取締役任期の異なる設定や、株主総会での厳格な決議要件を設けて買収を困難にします。
  • スタッガード・ボードとは?
  • スタッガード・ボードは、取締役の任期を異なる期間で設定し、一度にすべての取締役を交代させないようにする方法で、買収者の経営権掌握を遅らせる効果があります。
  • スーパー・マジョリティ条項のメリットは何ですか?
  • スーパー・マジョリティ条項は、重要な決定に対して通常の議決権数以上の賛成を要求することで、企業の買収を防ぎ、経営陣にとって有利に働きます。

ご納得いただくまで費用はいただきません。
まずはお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社コーポレートアドバイザリー部 部長公認会計士梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 コーポレートアドバイザリー部 部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

詳細プロフィールはこちら

M&A関連記事

M&Aへの疑問

M&Aへの疑問のイメージ

M&Aに関する疑問に市場統計や弊社実績情報から、分かりやすくお答えします。

業種別M&A動向

業種別M&A動向のイメージ

日本国内におけるM&Aの件数は近年増加傾向にあります。その背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。

M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。