ディールとは? M&Aにおける意味や手順、失敗の要因・対策を解説

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M&Aにおけるディールについて

ディール(deal)とは、一般的に「取引」「商談」「契約」などを意味する言葉です。M&Aでは、候補企業の選定や条件交渉、デューデリジェンス、最終契約、クロージングなど、企業の合併や買収に関して行われる一連の取引を指します。文脈によっては、その前の準備段階やM&A成立後の経営統合まで含めて用いられる場合もあります。

M&Aのディールには、多くの関係者が関与し、各段階で異なる目的と判断が求められます。準備段階での戦略整理や候補選定、交渉・契約に向けた実務対応、買収後の統合プロセスまで、取引は複数の工程を経て進行します。こうした流れを理解しておくことで、どの場面で何が必要となるのかを把握しやすくなり、取引を計画的に進めるための判断にも役立ちます。

本記事では、ディールの意味や流れに加えて、各工程で押さえておきたいポイントを整理します。M&Aを円滑に進めるための基本的な知識として、ディールの各ステップや関連用語を把握しておくことが重要です。

監修者情報

M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長 公認会計士 梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。 これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。


ディールとは

ディールとは(一般的なビジネスとM&Aにおける意味)

ディール(deal)とは、一般的に「取引」「商談」「契約」などを意味する言葉です。ビジネスでは商品の売買や業務提携などの取引を指しますが、M&Aでは契約締結だけでなく、その前後を含む一連のプロセスを表す場合があります。ここでは、それぞれの意味を解説します。

一般的なビジネスにおけるディールの意味

一般的なビジネスにおけるディールとは、企業や個人が行う取引、商談、契約などを指す言葉です。商品の売買やサービスの提供、不動産・金融商品の取引、業務提携、プロジェクト契約など、当事者間の交渉や合意を伴う幅広い商取引に用いられます。新規顧客の契約獲得や既存契約の更新など、日常的な営業活動のなかで発生する取引もディールに含まれます。

M&Aにおけるディールの意味

M&Aにおけるディールとは、企業の合併や買収に関して行われる一連の取引を指します。実務では、候補企業の選定から条件交渉、デューデリジェンス、最終契約の締結、クロージングまでを含めて用いられることが一般的です。文脈によっては、M&Aの目的や方針を整理する準備段階や、成立後の経営統合までを含めてディールと呼ぶ場合もあります。

M&Aのディールにおける3つのフェーズ

M&Aのディールは、本格的な交渉に入る前の「プレディール」、交渉や契約を進める「ディール」、成約後の統合に取り組む「ポストディール」の3つのフェーズに整理できます。

プロセス 内容
プレディール
(Pre-deal)
本格的な交渉に入る前の準備段階
M&Aの目的や取引の判断基準を整理する
ディール
(Deal)
実際の取引フェーズ
条件とリスクを精査し、取引の実行可否を判断する
ポストディール
(Post-deal)
買収・譲渡完了後の統合フェーズ
事業を安定させ、M&Aの目的や効果の実現につなげる

各フェーズは独立しているわけではありません。プレディールで定めた目的や方針が交渉時の判断基準となり、ディールで検討・合意した内容がポストディールの進め方にも影響します。

プレディール

プレディールとは、相手企業との本格的な交渉に入る前に、M&Aの目的や戦略、希望条件などを整理する準備段階です。どのような相手企業や取引条件が自社の目的に適しているかを見極めるため、判断基準を定めます。準備が不十分なまま交渉へ進むと、目的に合わない相手を選んだり、交渉途中で方針がぶれたりする可能性があります。

ディール

ディールとは、具体的な相手企業と交渉し、条件やリスクを精査しながら、契約締結とクロージングを目指す取引実行段階です。プレディールで定めた目的や判断基準をもとに、双方が合意できる条件を探り、取引を実行すべきかを判断します。この段階で確認・合意した内容は、最終契約だけでなく、成立後の事業運営やPMIの進め方にも影響します。

ポストディール

ポストディールとは、クロージング後に両社の経営や業務を統合し、M&Aで掲げた目的の実現を目指す段階です。単に制度や業務を統一するのではなく、事業の安定性を保ちながら、組織体制や業務フロー、企業文化などをすり合わせていきます。M&Aを取引の成立で終わらせず、経営上の成果へつなげるためのフェーズといえます。

M&Aにおけるディールの関連用語

M&Aの用語には、ディールに関わるものが多く存在します。

ディールサイズ
M&A取引の規模を表す。「大規模案件(メガディール)」「中規模案件」「小規模案件(スモールM&A)」がある
ディールメーカー
M&A取引を創出・支援する関係者の総称
ディールブレイカー
M&A破談の原因となる事実や出来事

ディールサイズ

ディールサイズとは、M&Aにおける取引額の規模を示す用語です。金額による統一的な区分はありませんが、実務上は取引額を目安として、大規模案件・中規模案件・小規模案件の3つに整理されることがあります。ここでは、以下の金額を目安に解説します。

ディールサイズの区分 取引額の目安
大規模案件(メガディール) 数百億円以上
中規模案件 数億円から数十億円程度
小規模案件(スモールM&A) 1億円以下

大規模案件(メガディール)

大規模案件はメガディールとも呼ばれます。統一的な基準はありませんが、取引金額が数百億円以上となる大企業同士のM&AやクロスボーダーM&Aなどが例として挙げられます。

大規模案件は注目度が高く、メディアに取り上げられることも少なくありません。なお、後述の中規模案件や小規模案件に比べると関係者が多く、法規制や資金調達、契約条件などの検討事項も複雑になりやすいため、交渉や手続きに時間を要する場合があります。

中規模案件

中規模案件は取引価額が数億円から数十億円程度の案件を指します。ベンチャー企業や地方の中小企業が行うM&Aが該当します。

大規模案件ほどではないにしろ、スキームの選定や税務面での対応など、検討すべきポイントが多いため手続きが煩雑化しやすいディールサイズです。そのため、M&A仲介会社や金融機関のサポートを受けて実施するのが一般的です。

小規模案件(スモールM&A)

小規模案件はスモールM&Aとも呼ばれ、取引価額が1億円以下の案件を指します。個人事業や小規模企業、Webサイト・ECサイトなどを対象とするM&Aが含まれます。

大規模案件のようにメディア上で取り上げられるケースは少ないものの、マッチングサイトを活用し、インターネット上で取引を進める場合もあります。

ディールメーカー

ディールメーカーとは、取引の組成や交渉、成立を主導する人物・プレーヤーを指す用語です。M&AではM&A仲介、ファイナンシャルアドバイザー(FA)、金融機関、M&A担当者などに対して用いられることがあります。

案件に応じて、相手先の選定やトップ面談の調整、条件交渉、デューデリジェンス、契約手続きなどを支援する税理士、公認会計士、弁護士などの専門家も関与します。

M&Aの最終的な意思決定は、売り手と買い手がそれぞれ行います。ディールメーカーは、各分野の専門知識や実務経験を生かし、取引の成立に向けた支援を担います。

ディールブレイカー

ディールブレイカーとは、取引の成立を妨げる決定的な要因・条件などを指す言葉です。M&A実務では、重大なリスクや条件の不一致など、破談につながる要因を指して用いられることがあります。

例えば、デューデリジェンスによって、簿外債務や法令違反、重大な労務問題などが判明し、買い手が取引を継続できないと判断した場合、こうした問題がディールブレイカーとなることがあります。

具体的なディールブレイカーについては、後述します。

M&Aにおけるディールのプロセス

M&Aのディールプロセスは、準備・交渉・統合の3段階に分かれ、戦略の策定から経営統合まで一連の流れを体系的に進めます。

フェーズ 主なステップ
プレディール(準備段階)
  1. M&A戦略・目的を明確化する
  2. M&A専門家の選定と依頼を行う
  3. スキームを決定する
  4. ターゲットを選定する
ディール(交渉・契約段階)
  1. トップ面談を行う
  2. 条件交渉を行う
  3. 基本合意書を締結する
  4. デューデリジェンスを実施する
  5. 最終条件交渉・契約締結を行う
  6. クロージングを実施する
ポストディール(統合段階) 経営統合(PMI)を実行する

プレディール(準備段階)

ここでは準備フェーズ(プレディール)の進め方を整理します。プレディールがどこまで準備できるかは、それ以降に行われるディール(交渉・契約フェーズ)のスムーズさに影響します。それぞれの流れについて、詳しく見ていきます。

  1. M&A戦略・目的を明確化する
  2. M&A専門家の選定と依頼を行う
  3. スキームを決定する
  4. ターゲットを選定する

M&A戦略・目的を明確化する

はじめに、M&Aを行う明確な目的や戦略を策定します。
目的や戦略が曖昧なままプロセスを進めると、自社の課題解決に至らなかったり、企業成長につながらなかったりするリスクが高まります。

そのため、自社の強みや課題、競合や市場の動向をリサーチし、どのようなM&Aスキームを選択するべきなのか、どのような相手が最適であるのかを深掘りしていくことが大切です。

M&A専門家の選定と依頼を行う

M&Aには法務・税務・財務・労務の知識と高度な交渉力が必要です。
効率的に進めるには、早めに仲介会社やFA、弁護士・会計士などの専門家に依頼し、戦略から契約まで伴走してもらうことが大切です。その際は、業界知識や実績、担当者との相性や対応力などを確認しながら依頼先を選びましょう。

スキームを決定する

戦略に合わせてM&Aのスキームを決定します。具体的には、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併、株式交換、株式移転などのスキームを検討していくことになります。
メリットとデメリットを勘案し、仲介会社などの専門家からのサポートを受けながら慎重に検討しましょう。

ターゲットを選定する

戦略にしたがって相手先を選定します。
買い手の場合は、仲介会社などから収集した、企業が特定されない範囲で業種、希望条件などの情報を記載した「ノンネームシート」からターゲット候補を選定していきます。大まかな条件をもとに複数の候補に絞り込み、興味がある企業があれば、仲介会社へ詳細開示の要望を出しましょう。

その後、相手企業(売り手の候補先)から情報開示への了承を得られたら、買い手と仲介会社などとの間で秘密保持契約を締結します。
このプロセスを経ることで、対象企業の企業名や事業内容、役員名などをまとめた詳細資料を入手できるようになり、ターゲットの選定を進めることができます。こうした資料は一般にIM、いわゆる企業概要書と呼ばれます。

ディール(交渉・契約段階)

ここでは3段階のうち、ディール(交渉・契約)フェーズの進め方を整理します。それぞれの流れについて、詳しく見ていきます。

  1. トップ面談を行う
  2. 条件交渉を行う
  3. 基本合意書を締結する
  4. デューデリジェンスを実施する
  5. 最終条件交渉・契約締結を行う
  6. クロージングを実施する

トップ面談を行う

具体的な相手先が見つかると、まずトップ面談に進みます。
ここでは、秘密保持契約書を締結したうえで詳細な話し合いを行い、買い手・売り手の経営陣同士が直接対話します。経営理念や企業文化、事業の強み、M&A後のビジョンなど、資料だけでは伝わりにくい部分も含めて相互理解を深めることが目的です。

経営者同士の面談は、統合の成否に直結する重要な場です。互いの意図や期待を理解し合い、円満な合意に至るよう努めます。

条件交渉を行う

トップ面談で双方の理解が深まった段階で、譲渡価格や顧客・取引先との契約など、具体的な条件交渉へ進みます。

条件交渉の初期には、買い手側から「意向表明書(LOI)」や「タームシート」が提示され、この書類には希望する譲渡価格や取引スキーム、今後のスケジュールなどが記載されます。これらは双方の基本的な認識をすり合わせるうえで重要な書面となります。

基本合意書を締結する

主要条件について合意した段階で、売り手と買い手は基本合意書を締結します。基本合意書には、取引スキームや予定価格、役員・従業員の処遇、今後のスケジュール、独占交渉権など、その時点で合意した主要条件を記載します。

基本合意書に記載する取引条件は、デューデリジェンスの結果を踏まえて変更される可能性があるため、法的拘束力を持たせないことが一般的です。ただし、秘密保持義務や独占交渉権など、一部の条項には法的拘束力を持たせる場合があります。

デューデリジェンスを実施する

基本合意書を締結した後は、デューデリジェンス(DD)を実施します。

デューデリジェンスとは、相手企業について財務、法務、税務、人事、IT、環境など、さまざまな角度から実態を調査することです。なお、デューデリジェンスは買い手だけでなく、売り手側が事前に自社の課題やリスクを調査・整理するセルサイドデューデリジェンス(ベンダーデューデリジェンス)が行われることもあります。

ずさんなデューデリジェンスで売り手の抱える問題に気付かずにM&Aが成立してしまった場合、買い手は期待していたシナジー効果を得られないばかりか、売り手とのトラブルに発展し、訴訟沙汰となるケースもあります。
そのため、あらかじめM&Aに伴うリスクの有無の確認や洗い出しを行い、実施可否の判断および対応策を講じるために、デューデリジェンスというプロセスは極めて重要です。

最終条件交渉・契約締結を行う

デューデリジェンスの結果を踏まえ、譲渡価格や統合条件などの最終的なすり合わせを行います。この段階では、表明保証、補償条項、競業避止義務、クロージング条件などを盛り込んだ最終契約書が作成され、両社が詳細を確認します。

基本合意書は、基本的には法的拘束力を持たず、持ったとしてもそれはごく限定的なものに留まるのが特徴です。対して、最終契約書は正式な合意を示す書面であり、違反があれば損害賠償請求が可能となる法的拘束力を持ちます。両社が条件に納得したうえで正式に契約を締結し、M&Aの取引成立へ進みます。

なお、契約締結時には表明保証違反などによる損害賠償リスクをカバーする「表明保証保険」を利用する選択肢も有効です。ディールブレイカーの根本解決策ではありませんが、事後トラブルへのセーフティネットとして検討しておくと安心です。

クロージングを実施する

最終契約の締結後、契約で定めた前提条件を満たしたうえで、クロージングを実施します。クロージングとは、株式譲渡や事業譲渡などのM&A取引が実行され、M&Aの対象となる会社または事業の経営に関する権利が売り手から買い手へ移転することです。

クロージングまでには、許認可や第三者の同意の取得、必要書類の準備、送金・着金確認の方法などを整理し、当日の手順を確認します。案件によっては、チェックリストを用いた事前確認やリハーサルを行うこともあります。

従業員や取引先への説明・通知の時期は、情報管理や事業への影響などを踏まえて、案件ごとに判断が必要です。クロージング後に通知する場合もあります。一方、上場会社では、M&Aに関する決定事実について適時開示を要する場合があるため、事前に開示方針やスケジュールを整理しておくことが大切です。

ポストディール(統合・PMIフェーズ)

ここでは統合・PMIフェーズ(ポストディール)の進め方を整理します。

M&A成立後は、買い手と売り手が協力して新体制を築くPMI(Post Merger Integration)が実施されます。ここでは、組織体制や人事制度、業務フロー、ITシステムなどを統合し、計画どおりにシナジー効果を発揮できる体制を整備します。短期的には統合に伴う課題や体制整備に取り組み、中長期では経営方針や企業文化の融合によるシナジーの最大化を図りましょう。

また、従業員や顧客、取引先などのステークホルダーに対しても丁寧な説明や対話を行い、不安を和らげることが欠かせません。コミュニケーションを重ねながら進捗状況を検証し、必要に応じて体制を改善することで、M&A後の企業価値を安定的に高めることができます。

M&Aにおいてディールブレイカーとなる主な要因・対策

ディールブレイカーとは、M&Aの交渉や取引が破談となる原因となる事実や出来事を指します。問題が判明しても必ずしも破談になるわけではなく、是正対応や譲渡価格・契約条件の調整によって取引を継続できる場合もあります。主な要因を早期に把握し、適切に対応することが必要です。

デューデリジェンスで重大なリスクが発覚する

デューデリジェンスによって、簿外債務や偶発債務、不正会計、未払い残業代、訴訟、法令違反など、事前に把握されていなかった問題が発覚する場合があります。影響が限定的であれば、問題の是正や譲渡価格の調整、表明保証・補償条項の設定などを契約条件に反映し、取引を継続できる可能性もあるでしょう。一方、買収後の事業継続や企業価値に重大な影響を及ぼすと判断されれば、ディールの中止につながります。売り手は必要な資料や情報を適切に開示し、買い手は専門家と連携してリスクの内容と影響を精査することが必要です。

企業価値や取引条件について合意できない

売り手と買い手の間で、企業価値や譲渡価格、支払方法、表明保証、補償条項などに対する認識が一致せず、交渉が決裂する場合があります。特に、デューデリジェンスの結果を踏まえて価格や条件を変更する際、算定根拠や影響が十分に共有されなければ、相手の納得を得にくくなります。双方が企業価値算定の前提や重視する条件、受け入れ可能な範囲を事前に整理し、交渉の早い段階から共有することが必要です。条件を変更する場合は、理由を具体的に説明し、合意内容を書面へ反映したうえで、双方が納得できる着地点を探ります。

M&Aの目的や経営方針が合わず、信頼関係を築けない

譲渡価格などの条件に合意できても、M&Aの目的や成立後の経営方針、経営者の関与、従業員の処遇、企業文化などに大きな相違があると、交渉の継続が難しくなる場合があります。重要な情報が適切に開示されなかったり、一方的な要求や態度が続いたりすれば、不信感が強まり、破談につながる可能性もあります。トップ面談や条件交渉の早い段階で、互いの目的や価値観、M&A後に目指す姿、懸念事項を率直に共有することが必要です。相違を無理に解消しようとせず、調整できる範囲と、成立後も協力関係を築ける相手かを慎重に見極めます。

業績や外部環境の変化によって取引の前提が崩れる

交渉開始後に売り手の業績が大きく悪化すると、当初算定した企業価値や買収後の収益計画を見直す必要が生じ、条件の再調整や取引中止につながる場合があります。情報漏洩によるキーパーソンの離職や主要取引先との契約終了など、事業基盤を揺るがす変化にも注意が必要です。景気の急変や市場縮小、法規制の変更によって、想定していた成長性やシナジーが見込めなくなる可能性もあります。交渉中も業績や事業環境を継続的に確認し、変化が生じた場合は影響を精査したうえで、譲渡価格や契約条件、スケジュールを速やかに見直します。

M&Aにおけるディールを成功させるポイント

ディールを成功させるポイントとして、以下4点を紹介します。

M&Aの目的と戦略を明確にする

何にも増して、M&Aを行う目的や戦略を明確にすることが大切です。
将来的な企業成長や事業規模の拡大など、M&Aを実施する目的を明確にすることでターゲット企業やスキームの適正化が可能となり、ディールの進行における不一致を回避できます。

また、目的が明らかになれば自分たちのなかで譲れない条件もはっきりしますので、ディールの交渉時に相手から希望条件の提示があった際にも、自社の優先順位に応じて一貫した対応が可能になるでしょう。お互いにM&Aの目的と戦略を明確にしたうえで、交渉の落としどころを探っていくことが、スムーズなディール進行につながります。

誠実な姿勢で相互理解を深める

M&Aは取引であるため、相手企業の存在無くして成立しません。どれほど有利な条件や戦略を用意していても、相手が不信感や不快感を抱けば、ディールが破談となる可能性が高まります。

買い手と売り手は異なる企業なので、考え方に違いがあるのは当然です。双方が対等な立場で誠実な姿勢を持ち、丁寧に交渉を進めることが重要です。特に、経営者同士のトップ面談では、相互理解を深めるための丁寧なやり取りが欠かせません。相手企業のビジョンや価値観を理解し、自社との違いを前提に建設的な対話を重ねることが求められます。

考え方のズレがあっても、誠意あるコミュニケーションを重ねれば、早期のすり合わせが可能となり、後々の摩擦を防いでディール成功の土台を築くことができます。

徹底したデューデリジェンスを実施する

ディールの途中、特にデューデリジェンス終了後に売り手にリスクが見つかった場合には、ディールが破談となる可能性があります。そのため、まずは徹底したデューデリジェンスの実施が大切です。売り手は買い手の円滑なデューデリジェンスの実現のため、必要な書類の提供や調査への協力を行うことが欠かせません。買い手もさまざまな角度から綿密なリサーチを行うことが求められます。

また、仮にデューデリジェンスのタイミングでリスクが見つかった場合には、具体的な対応策を提示しましょう。双方がリスクの解決に向けて適切な対応をとれば、ディールが円滑に進むだけでなく、M&A実行後のトラブルも回避できます。

外部の専門家や金融機関と連携しながら進める

M&Aは法務・財務・税務・人事など多方面の専門知識や実務対応が求められるため、経験豊富なM&AアドバイザーやFA(ファイナンシャルアドバイザー)、弁護士、会計士などと連携して進めることが重要です。専門家の知見を活用することで、交渉・契約・統合までの各段階をより正確かつ効率的に進めることが可能となります。

また、資金面では金融機関との信頼関係の構築が欠かせません。M&Aは多額の資金を動かす取引であるため、日頃から金融機関と定期的に情報共有し、良好な関係を維持することで資金繰りのリスクを減らすことができます。このように専門家や金融機関と連携して進めることで、ディール全体の安定性と成功確度の向上が期待できます。

まとめ

M&Aにおけるディールは、目的や戦略を整理するプレディールから、交渉・契約を進めるディール、成約後の統合を行うポストディールまで、相互に連続するプロセスです。取引を円滑に進めるには、各段階で生じ得るリスクを早期に把握し、相手企業との対話や適切な情報開示を重ねる必要があります。

専門的な判断が求められる場面も多いため、M&Aを検討する際は、実績のあるM&Aアドバイザーへ相談することも選択肢の一つです。



よくある質問

  • M&Aにおけるディールとは何ですか?
  • M&Aにおけるディールとは、企業の合併や買収に関して行われる一連の取引のことです。一般的には、候補企業の選定、条件交渉、デューデリジェンス、最終契約、クロージングまでが含まれます。文脈によっては、準備段階や成立後の経営統合までを含めて用いられる場合もあります。
  • M&Aのディールはどのようなフェーズに分かれますか?
  • M&Aのディールは、準備段階の「プレディール」、交渉・契約を進める「ディール」、成約後に経営統合を行う「ポストディール」の3つに分けられます。各フェーズは連続しており、準備段階で定めた目的や方針、契約時の検討事項が、成約後のPMIにも影響します。
  • M&Aのディールではどのような手続きが行われますか?
  • まず、M&Aの目的や戦略を明確にし、専門家やスキーム、候補企業を選定します。その後、トップ面談、条件交渉、基本合意、デューデリジェンス、最終契約を経て、対価の支払いや株式移転を行うクロージングへ進みます。成約後は、PMIによって経営や業務を統合します。
  • ディールブレイカーとは何ですか?
  • ディールブレイカーとは、M&Aの交渉や取引が破談となる原因となる事実や出来事です。重大なリスクの発覚、譲渡価格や取引条件をめぐる対立、経営方針の相違、業績悪化、外部環境の変化などが該当します。影響が大きい場合は、取引の延期や中止につながります。
  • デューデリジェンスで問題が見つかった場合、M&Aは中止になりますか?
  • 問題が見つかっても、必ずしもM&Aが中止になるとは限りません。影響が限定的であれば、問題の是正、譲渡価格の調整、表明保証や補償条項の設定などで対応できる場合があります。一方、事業継続や企業価値に重大な影響が及ぶ場合は、取引を中止する可能性があります。
  • M&Aのディールを円滑に進めるには何が重要ですか?
  • M&Aの目的と戦略を明確にし、適切な情報開示と対話を通じて相互理解を深めることが重要です。デューデリジェンスで把握したリスクは、必要に応じて契約条件へ反映します。法務・財務・税務・労務などの専門的な判断も必要となるため、M&A仲介会社やFA、専門家との連携も欠かせません。
  • M&Aの成立後にはどのような対応が必要ですか?
  • M&Aの成立後も、期待した成果を実現するための対応が必要です。ポストディールでは、組織体制、人事制度、業務フロー、ITシステム、企業文化などの統合を進めます。従業員や顧客、取引先にも丁寧に説明し、進捗を確認しながら必要に応じて体制を改善します。

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