債券とは? 概要、債権との違い、価格形成と利回り、債券投資のメリットやリスクを解説

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債券市場は株式市場と並ぶ世界最大の有価証券市場であり、多種多様な投資機会を提供しています。債券市場を熟知している投資家は少なくありませんが、日々新たな商品が増え続けているため、債券の専門家であっても、債券市場の進化にタイムリーについていくことは容易ではありません。
本記事では、債券の概要、債権との違い、債券の価格形成と利回り、債券投資のメリットやリスクなどについて詳しく解説します。
債券についての理解を深めるために、本記事をお役立てください。

このページのポイント

~債券とは?~

債券とは、投資家が発行体に資金を提供し、定期的に利息を受け取り、満期に元本が返済される金融商品です。会社や政府が発行し、リスクとリターンが存在します。一方、同音異義語で「債権」がありますが、債権は、特定の人に対してお金や物を請求できる法律上の権利を指します。

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債券とは

債券とは、債券購入者(保有者)が債券発行体に資金を融資する金融商品です。会社だけでなく、国や地方自治体なども債券を発行することによって必要な資本を調達しています。例えば、投資家が会社の発行した債券(社債)を購入した場合は、その会社に対する融資に相当し、国債を購入した場合は、政府に対する融資に相当します。ローンと同様に、債券の場合も定期的に利息(クーポン)が支払われ、規定された期日に元本が返済されます。ただし、債券は市場での売買が可能である点がローンと異なります。

債券発行の具体例とリスク

より具体的な事例を説明します。
ある会社が新社屋の建設用資金として10億円を必要としており、債券を発行してその資金を調達することにしたと仮定します。この会社は必要な資金を調達するために、投資家に対して100万円を1単位とする債券を1,000単位販売するとします(100万円×1,000単位=10億円)。この場合、この100万円が各債券の額面価値となります。資金を調達する会社は当該債券の発行体と呼ばれ、年間の支払利息、いわゆるクーポンと、調達した10億円の元本を返済するまでの期間を決定します。クーポンを決定するにあたり、発行体はその時点の金利環境を考慮して、比較対象となる他の債券に対して競争力があり、投資家にとって魅力ある水準にクーポンを設定します。上記の会社は年間のクーポンが5%で期間5年の債券を発行することに決めたとしましょう。5年の期間が満了すると、債券は「満期」を迎え、発行体である上記の会社は各債券保有者に対して、保有する債券1単位あたり額面価値100万円を償還します。
投資家にとって、債券が満期を迎えるまでの時間の長さは、予想されるリスクや潜在的なリターンを決定づける重要な要因になります。一般的に、5年後に償還される10億円の債券は30年後に償還される同額の債券よりもリスクが低いと考えられます。これは、債券が満期を迎えるまでの期間、すなわち残存期間が長くなるほど、債券保有者に元利金を支払う発行体の能力に悪影響を与えうる要因が多くなると考えられるためです。
残存期間が長くなることで増加するリスクは、発行体がその債券に対して支払う利息、いわゆるクーポンと直接の因果関係を持ちます。いい換えると、発行体は通常、満期までの期間が長い債券に対して高い金利を支払います。したがって、投資家の観点からすると、残存期間が長い債券ほど高いリターンを得られる可能性が高くなります。一方で、高いリターンを得られる可能性と引き換えに、投資家が負うリスクも高くなっています。
債券投資に伴うリスクの詳細については、後述します。

債権との違い

ここで、債券と似た用語に「債権」という言葉があります。読み方も同じですが、内容は大きく異なります。
債権とは、特定の人に対して金銭の支払い、物品の付与、労力の提供などの特定の行為を要求できる権利をいいます。債権を有する人を債権者、債権者に対して特定の行為を提供する義務を負う人を債務者といいます。債権は、労力の提供や金銭の給付など、一定の行為を請求することができる権利であり、この権利や義務の帰属主体は、個人、法人を問いません。
そのため、債券は有価証券ですが、債権は法的な権利と整理することができます。

債券の価格形成と利回り

次に市場における債券の価格形成と利回りについて順に説明します。

債券価格を決める要因

通常、債券は、発行されると市場で取引することができます。市場での取引が始まると、債券の価値は価格と利回りで決まります。市場で取引される以上、各債券には売買可能な価格が必要であることはいうまでもありません。各債券の利回りは、投資家がその債券を満期まで保有した場合に獲得できると予想される1年あたりのリターンです。したがって、利回りは債券の購入価格とクーポンによって決まります。債券には、大別すると固定利付債と変動利付債の2種類がありますが、ここでは、固定利付債を対象にして説明します。
債券の価格は、常に利回りと反対方向に動きます。利回りが上昇すれば価格が下落し、利回りが下落すれば価格が上昇します。

債券にとって決定的に重要なこの特性を理解するためのポイントは、定期的にクーポンとして支払われる金利収入の価値が債券価格に反映されていることを理解することにあります。国債などの指標となる金利が低下すると、固定されたクーポンをもつ発行済み債券(既発債といいます)の価値は上昇します。これは、既発債は以前の金利が高かった環境下で発行されたものであり、その分クーポンも高いためです。既発債の保有者は、こうした債券を市場でプレミアム価格で売却できます。一方、金利水準が上昇すると、既発債の価値は低下します。これはこれらの債券のクーポンが相対的に見劣りするようになり、結果としてディスカウント(値引)されて取引されるようになるためです。

債券市場価格の具体例

ここで、債券市場価格を理解するための具体例を紹介します。
通常、債券市場では、債券価格を債券の額面価値に対する割合として表示します。
例えば、ある会社が発行した債券が市場で「100」で取引されている場合、その価格は額面100万円あたり100万円であり、この債券は「パー」で取引されているといわれます。「パー・バリュー」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは「額面価値」を意味します。パーより低い価格、例えば「98」で取引されている場合には、その価格は額面価値100万円あたり98万円であり、この債券は「ディスカウント」あるいは「アンダー・パー」で取引されているといわれます。この債券がパーより高い価格、例えば「105」で取引される場合、この債券の価格は額面100万円あたり105万円であり、この債券は「プレミアム」または「オーバー・パー」で取引されていると言われます。
金利が上昇すると、新規に発行される債券の金利は既発のものよりも高くなるため、既発債の価格は低下します。そのため、一般的には金利上昇は債券投資家にとって悪材料だとみなされます。一方、金利が低下すると、新たに発行される債券の金利が既発債よりも低くなるため、既発債は市場においてプレミアムで取引されるようになります。

利回りとは

利回りとは、投資を行うことによりどの程度のリターンを得られるかを測る尺度をいいます。
例えば、現時点で100万円を投資して1年後に103万円が償還される場合、100万円×(1+利回り)=103万円の計算式から、1年間の利回り(=リターン)は3%であるということ ができます。少し見方を変えると、3%の利回りを想定した場合に は、1年後の103万円と現在の100万円の価値は等しいということに なります。このことを計算式では 100万円=103万円/(1+利回り) と表現し、「1年後の103万円を3%の利回りで割り引いた現在価値 は100万円である」といいます。

債券投資のメリット

次に債券投資のメリットについて説明します。主なメリットは以下のとおりです。

それぞれ順に説明していきます。

満期時に元本が戻ってくる

1つ目は満期時に元本が戻ってくることです。債券は、あらかじめ決められた満期日に元本が返済されます。これは、債券発行者が借りたお金を返済するという仕組みで、債券を満期まで保有していれば、投資した元本が戻ってきます。株式投資などと比べると、元本が保証されているという点が債券投資のメリットといえます。

決められた利率で利息を受け取ることができる

2つ目は決められた利率で利息を受け取ることができることです。債券には、あらかじめ決められた利率(クーポン率)で、定期的に利息(クーポン)が支払われます。この利息のことを前述したようにクーポンと呼びます。例えば、年利2%の債券を購入した場合、毎年2%の利息を受け取ることができます。この利息は、満期まで固定されているため、安定した収入を得ることがメリットといえます。

運用計画を立てやすい

3つ目は運用計画を立てやすいことです。債券は、満期日と利率が決まっているため、将来のキャッシュ・フローを予測しやすいという特徴があります。例えば、5年後に100万円が必要だと分かっている場合、5年物の債券を購入することで、必要な資金を準備することができます。このように、債券投資は、将来の資金計画を立てやすいという点でもメリットといえます。

分散投資に適している

最後は分散投資に適していることです。分散投資とは、リスクを抑えるために、様々な種類の資産に投資することをいいます。債券は、株式などと比べると値動きが小さいため、ポートフォリオの安定性を高めることができます。また、国債、地方債、社債など、様々な種類の債券に投資することで、さらにリスクを分散することもメリットといえます。

債券投資に伴うリスク

次に債券投資のメリットについて説明します。主なメリットは以下のとおりです。

それぞれ順に説明していきます。

信用リスク

1つ目は、信用リスクです。信用リスクとは、債券の発行元が支払いを履行しなかったことにより損失を被る可能性をいいます。債券は、そもそも国や会社などが資金を集めるために発行している有価証券です。つまり、発行元である会社などの経営が悪化した際は債券の価値が下がります。 たとえば、利息の支払いが滞るケースや、倒産すれば最悪の場合支払いがおこなわれないケースもあります。債券投資時にリスクが低いといわれていても、発行元の状況に左右される可能性があることに留意が必要です。

価格変動リスク

2つ目は、価格変動リスクです。債券の価格は全く変わらないわけではなく、金利や発行元の状況により上下します。債券投資は、株式投資や暗号資産投資よりも安定した運用ができるといわれていますが、価格が上下する可能性があることに留意が必要です。

途中償還リスク

3つ目は、途中償還リスクです。債券は、元本の一部、あるいはそのすべてが満期になる前に償還されることがあります。満期になる前に償還されると、投資する際に予定していた利回りが変動する可能性があります。 たとえば、満期までの期間で支払われる予定だった利子を受け取れなくなります。途中償還されることで、予定よりも利子がもらえないケースがあることに留意が必要です。

流動性リスク

4つ目は、流動性リスクです。流動性リスクとは、ある金融商品を売ろうと思ったとき、その商品が市場での取引量が少ないこと等により、希望した価格で売りたくても売れない状態を指します。具体的には、災害や事故などがあったことにより市場の取引ができなくなったり、取引量が少ないことで非常に不利な価格で取引をさせられて損をしたりするリスクのことをいいます。国債といった流動性の高い債券であれば、上記のようなケースはほとんど起こりません。しかし、流動性の低い債券は買い手が見つからず、取引がうまくいかない可能性があることに留意が必要です。

元本割れリスク

5つ目は、元本割れのリスクです。債券には信用リスクや価格変動リスクがあると説明しましたが、その結果、元本割れしてしまう可能性があります。安定した運用ができる、リスクが少ないというメリットばかりに着目し、元本割れのリスクを考慮していないと大きく損をするリスクがあることに留意が必要です。

為替変動リスク

6つ目は、為替変動リスクです。外国債券に投資する場合は、為替変動にも注意が必要です。外国債券のように、元金あるいは利子の受け取りが外貨でおこなわれるものは、受け取るタイミングによって円貨に換算したときの受け取り金額が異なるケースがあります。例えば、購入したときよりも円安の状態で円貨に換算する場合は為替差益を受け取れますが、購入したときよりも円高であれば為替差損が生じてしまいます。外国債券に投資する際は、受け取り時点の為替水準にも留意が必要です。

カントリーリスク

最後は、カントリーリスクです。カントリーリスクも、外国債券に投資する際に注意すべき項目の一つです。カントリーリスクとは、国の経済や政治が不安定になって証券市場や為替市場が混乱し、資産の価値が変動する可能性があるリスクをいいます。外国債券に投資する際には、その国の経済や政治などが原因で価格が変動したり、支払いが滞ったりすることを考慮しておく必要があります。例えば、災害や戦争などが起きたり、財政破綻したりすると、利子の支払いが滞ることがあります。 外国債券へ投資するのであれば、その国の状況を把握することが重要です。

まとめ

今回は債券について説明しました。
債券投資を検討している経営者にとっては、債券の概要、債券投資のメリットやリスクなどを理解しておくことが重要です。しかし、債券投資には安定したリターンが期待できる一方で、思わぬ損失を招くリスクも伴います。リスク管理を徹底するためにも、資産運用の専門家に相談して慎重に進めることが重要です。
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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社コーポレートアドバイザリー部 部長公認会計士梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 コーポレートアドバイザリー部 部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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