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相対取引について
相対取引とは、M&Aにおいて市場を通さず、売り手と買い手が特定の相手と直接条件交渉を行い、合意に基づいて取引を進める方法です。非上場会社の株式や事業のように、市場価格をそのまま当てはめにくい対象で用いられることが多く、価格や決済方法を柔軟に設計しやすい一方で、条件の妥当性や取引の安全性を慎重に見極める必要があります。
相対取引は、M&Aで広く用いられる取引方法の一つですが、市場取引と異なり、価格や決済方法を当事者間で個別に決めていく点に特徴があります。そのため、柔軟に条件を調整しやすい反面、交渉力や情報量の差によって不利な条件で進むおそれもあります。直接交渉で進めるのか、専門業者を介するのかによっても実務上の進め方は変わるため、特徴を整理して理解しておくことが重要です。
本記事では、相対取引の概要や、メリット・デメリット、具体的な進め方について詳しく解説します。
相対取引とは
まずはじめに、相対取引の定義や、市場取引との違いについて解説します。
M&Aにおける相対取引
M&Aにおける相対取引とは、取引所などの市場を介さず、売り手と買い手が価格や支払方法、譲渡条件などを個別に交渉し、合意に基づいて取引を進める方法です。非上場会社の株式や事業には市場価格が存在しないことが多いため、収益力や資産、将来性などを踏まえて条件を調整します。
相対取引は「相対売買」とも呼ばれ、株式のほか、FXや不動産、暗号資産などでも用いられます。また、金融商品では、取引所を介さない店頭取引が相対取引の形で行われる場合があります。
M&Aでは、当事者同士で直接進めるほか、M&A仲介会社やFA、金融機関、士業などの支援を受けることも可能です。
相対取引と市場取引の違い
市場取引は、多くの参加者による売買注文を市場で集約し、需要と供給に応じて価格が形成される取引方法です。上場株式など、同じ条件の商品が継続的に売買される取引に適しています。
一方、相対取引では、特定の売り手と買い手が価格や数量、支払方法などの条件を個別に交渉し、双方の合意によって取引を成立させます。
非上場会社の株式や事業には、取引所で形成される市場価格が存在しないことが多く、収益力や資産、将来性、取引条件なども案件ごとに異なります。そのため、M&Aでは対象会社の個別事情を評価し、当事者間で条件を調整する相対取引が一般的です。
相対取引のメリット
相対取引には、以下のような特有のメリットが存在します。それぞれ見ていきましょう。
価格や決済方法の柔軟性が高い
相対取引では、売り手と買い手が個別に交渉するため、価格だけでなく、支払時期や分割払いの有無、譲渡条件なども案件に応じて調整できます。法令や税務、資金調達上の制約を踏まえる必要はありますが、双方の事情を取引条件へ反映しやすい点がメリットです。
市場相場の影響を受けにくい
相対取引では、市場で形成された価格をそのまま適用するのではなく、対象会社の収益力や資産、将来性などを踏まえて、当事者間の交渉により価格を決定します。そのため、市場価格の短期的な変動に直接左右されにくく、個別事情を条件へ反映できる点がメリットです。ただし、景気や金利、業界動向などは企業価値や交渉条件に影響します。
相対取引のデメリット
相対取引には柔軟性や独自のメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。一つずつ見ていきましょう。
適正な取引が行われない可能性がある
相対取引では、当事者同士で価格や決済方法を決めるため、不公平な取引が行われる可能性があります。
市場取引では「市場相場」が価格の基準となりますが、相対取引ではそのルールが適用されません。そのため、交渉力の差によっては、不当に高い価格で取引を強いられることや、取引後に対価が支払われないといったケースも起こり得ます。
また、取引が非公開で行われることが多いため、不透明な条件での合意が成立するおそれもあります。特に、売り手または買い手が経験不足の場合は、不利な条件に気付かずに契約してしまう危険性が高いでしょう。
相対取引の自由度の高さには、こうした不当取引のリスクが伴うため、十分な注意が必要です。
取引成立までに時間を要する
市場取引では、売買注文の条件が合えば比較的短時間で取引が成立します。一方、相対取引では、取引相手の選定に加え、価格や取得株式数、支払方法などを個別に交渉しなければなりません。
条件がまとまらなければ交渉が長期化し、取引が成立しない可能性もあるため、希望条件を事前に整理しておくことが重要です。
M&Aにおいて相対取引を行う方法
M&Aにおける相対取引には、取引者同士が直接取引を行う方法と、専門会社を介して取引を進める方法の2種類があります。それぞれの方法の概要と、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
取引者同士が直接取引する
M&A仲介会社やFAを介さず、売り手と買い手が直接交渉して取引を進めることも可能です。支援会社への報酬を抑えられる可能性がある一方、相手探しや条件交渉、契約手続きなどを当事者側で進める必要があります。
直接取引のメリット
直接取引では、仲介会社やFAに支払う手数料を抑えられる可能性があります。また、当事者同士で意思や希望条件を伝えられるため、すでに信頼関係がある相手との取引では、情報共有や意思決定を進めやすい場合があります。
直接取引のデメリット
直接取引では、候補先の選定や企業価値の算定、条件交渉、契約書の作成などを自ら手配しなければなりません。相手方の信用力や提示条件を十分に確認できないまま進めると、契約後のトラブルにつながる可能性もあります。必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家へ相談することが重要です。
専門業者を介して取引する
M&A仲介会社やFAなどの専門業者を介し、候補先の探索や条件交渉、取引の進行について支援を受けながら相対取引を進める方法もあります。当事者の負担や取引上のリスクを抑えやすい一方、支援内容に応じた手数料が発生します。
仲介のメリット
専門業者を利用すると、自社だけでは見つけにくい候補先の紹介や、企業価値の算定、条件交渉、手続きの進行などについて支援を受けられます。専門的な知見を活用することで、確認不足や認識の相違によるトラブルを防ぎやすくなる点もメリットです。
仲介のデメリット
専門業者を利用する場合は、成功報酬以外に着手金や中間報酬などの手数料が発生することがあります。料金体系や支援範囲は依頼先によって異なるため、費用の総額だけでなく、どこまで対応してもらえるのかを契約前に確認することが重要です。
M&Aの相談先を選ぶポイントについて知りたい方は、「M&A・事業承継の相談先とは?」の記事をあわせてご覧ください。
まとめ
相対取引は、市場を介さず、売り手と買い手が価格や支払方法、譲渡条件などを個別に交渉する取引方法です。市場価格が存在しないことの多い非上場会社の株式や事業の売買で、一般的に用いられています。条件を柔軟に調整できる一方、価格の妥当性を判断しにくく、交渉に時間を要する場合もあります。そのため、当事者だけで進めるか、M&A仲介会社やFAなどの支援を受けるかを含め、取引の規模や状況に合った進め方を検討することが重要です。
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よくある質問
- 相対取引とは何ですか?
- 相対取引とは、市場を介さず、特定の売り手と買い手が価格や数量、支払方法などを個別に交渉し、合意に基づいて行う取引です。M&Aでは、非上場会社の株式や事業を売買する場面で一般的に用いられます。
- 相対取引と市場取引の違いは何ですか?
- 市場取引では、多数の参加者による売買注文をもとに価格が形成されます。一方、相対取引では、特定の売り手と買い手が価格や支払方法などを個別に交渉し、双方の合意によって条件を決定します。
- M&Aで相対取引が用いられやすいのはなぜですか?
- 非上場会社の株式や事業には、市場で形成された価格が存在しないことが多いためです。対象会社の収益力や資産、将来性などを評価し、個別事情に応じて価格や譲渡条件を調整します。
- 相対取引のメリットは何ですか?
- 価格だけでなく、支払時期や決済方法、譲渡条件などを当事者間で柔軟に調整できる点です。市場価格に直接連動せず、対象会社や取引当事者の個別事情を条件へ反映できます。
- 相対取引のデメリットは何ですか?
- 市場価格を基準にできないため、価格や条件の妥当性を判断しにくい点です。また、取引相手の選定や条件交渉を個別に行う必要があり、合意や取引成立までに時間を要する場合があります。
- M&Aで相対取引を行う方法には何がありますか?
- 売り手と買い手が直接交渉する方法と、M&A仲介会社やFA、金融機関などの支援を受けて進める方法があります。支援内容や費用は依頼先によって異なるため、事前の確認が必要です。
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