通販業界 市場規模や買収・売却事例について解説

通販業界市場規模や買収・売却事例について解説のメインビジュアルイメージ

更新日

  • #業種別M&A動向
  • #通販業界 M&A

業界の定義

通信販売は、小売業態のうちの無店舗販売の1つである。店舗を設置せずに、メディアを利用して商品またはサービスなどの役務を展示し(ラジオでは音声のみで紹介するなど、必ずしも画像を掲示するとは限らない)、メディアにアクセスした消費者から何らかの通信手段で注文を受け、商品または役務を提供する販売方法のことを指す。「通販」と省略して呼ばれることが多い。


業界の特色

通販業界イメージ画像

通販において利用するメディアは、テレビの地上デジタル放送によるコマーシャルメッセージ・テレビショッピングやケーブルテレビに開設された通販専門チャンネル、ラジオでのラジオショッピング、街頭や建物内に置いてあるフリーマガジンによるもの、郵送などによるダイレクトメール、カタログ雑誌として書店で売られているもの、新聞に掲載される新聞広告または折り込まれる折込チラシ、インターネットによるものなどがある。

通販の事業主体は、小売業者・卸売業者・無店舗販売専門業者にとどまらず、百貨店・専門店のような店舗販売業者が通販に参入するケースや製造業・水産業・農業など製造元が通販を行うケース、放送局・新聞社・出版社などメディアを持っているところが通販に参入しているケースなどがある。

通販のメリットは、利用者が店舗まで出かける必要がなく営業時間を気にしなくてよいという時間の制約がない上に、商品提供者との対面の煩わしさがなく、指定の場所まで配送してくれるので、かさ張るものや重量物を運ぶ必要がないという点である。一方、デメリットとしてあげられるのが、現物を手にして購入することができないため、商品到着後に希望と違っていることが多い点である。返品交換は可能だが、手間がかかるためストレスになることが多い。

市場の規模

経済産業省が発表した「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2018年の通販業界のBtoCのみの市場規模は、17兆9,845億円であった。また、BtoB(企業間取引)の市場規模は、344兆2,300億円となっており、一般には馴染みがないが国内の通販業界は企業間取引が大半を占めている。


日本のBtoC-EC市場規模の推移
出典:https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002.html

企業別に通販業界の売上をみると、アマゾンジャパン合同会社が1兆5,350億円、アスクル株式会社が2,800億円、ジュピターショップチャンネル株式会社が1,630億円、株式会社大塚商会が1,243億円、株式会社ミスミグループ本社が1,199億円、株式会社ヨドバシカメラが1,170億円。株式会社ディノス・セシールが1,138億円となっており、ネット通販が上位を占めている。

アマゾンジャパン合同会社は、売上高で2位以下を大きく引き離している。圧倒的な資金力と開発力を武器に新たなサービスを次々と立ち上げながら、機能のアップデートも怠らないのが大きな強みになっている。

商品特化で見ていくと、アパレルでは株式会社ユニクロが630億円、食品・飲料では株式会社イトーヨーカ堂が427億円、化粧品ではオルビス株式会社が559億円などとなっている。


課題と展望

通販業者が抱える課題として、引上率(1回目の購入後ある一定期間内に2回目の購入がある比率。新規顧客の最初のリピートであることも勘案して重要な指標となっている。)が低い、リピート率が低い、新規顧客獲得率が悪いというものがあげられる。

また通販は労働人口減少にともなう労働者賃金上昇とは無縁と思われがちだが、商品を利用者に届ける配送のところで配送料負担や再配達の問題がある。特に配送料は年々上昇しており、顧客が配送料すべてを支払うシステムではない場合、利益を減少させる最大の要因となっている。

また、コールセンターを自社で持っている通販事業者は、人手不足が課題になっており、人材をAIに置き換えるなど対策を考えなければいけない状況になりつつある。

通販業界のM&A動向

通販業界でのM&Aが行われるケースは、越境ECサイトのM&Aやキャッシュレス技術獲得を目的としたM&Aなどが挙げられる。

前者については、中国の通販業界の急成長により、中国人の購買意欲は越境して日本もターゲットになっているため、それぞれの国の通販企業同士のM&Aや、越境サイトが目的でのM&Aが行われるケースだ。後者に関しては、キャッシュレス決済比率が上昇しているため、キャッシュレス技術獲得を目的としたM&Aが行われるケースである。

2017年、家電量販店の株式会社エディオンは、EC事業を運営するフォーレスト株式会社をM&A。エディオンは中期事業計画でEC事業の強化を盛り込んでおり、ノウハウの獲得を目的としたM&Aであった。

2016年、楽天株式会社は、フリーマーケットアプリケーション「フリル」を運営する株式会社FablicをM&A。フリルは10〜20代の女性をターゲットとしており、楽天株式会社が運営する「ラクマ」と統合して相乗効果を期待する。

2016年、ファッション通販サイト、SHOPLIST.com by CROOZの運営などを行うクルーズ株式会社は、ウェブメディア運営などを行う株式会社CandleをM&A。株式会社Candleの経営者は22歳でのイグジットであった。

M&Aキャピタルパートナーズは、豊富な経験と実績を持つM&Aアドバイザーとして、お客様の期待する解決・利益の実現のために日々取り組んでおります。
着手金・月額報酬・企業評価レポート作成がすべて無料、秘密厳守にてご対応しております。
以下より、お気軽にお問い合わせください。


ご納得いただくまで費用はいただきません。
まずはお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

2007年、立教大学経済学部経営学科卒業後、国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。
2021年M&Aキャピタルパートナーズ入社後は、広報責任者として、TV番組・CMなどのメディア戦略をはじめ広報業務全体を管掌、2024年より現職。
一般社団法人金融財政事情研究会認定M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


M&A関連記事

M&Aへの疑問

M&Aへの疑問のイメージ

M&Aに関する疑問に市場統計や弊社実績情報から、分かりやすくお答えします。

業種別M&A動向

業種別M&A動向のイメージ

日本国内におけるM&Aの件数は近年増加傾向にあります。その背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。

M&Aキャピタルパートナーズが
選ばれる理由

創業以来、売り手・買い手双方のお客様から頂戴する手数料は同一で、
実際の株式の取引額をそのまま報酬基準とする「株価レーマン方式」を採用しております。
弊社の頂戴する成功報酬の報酬率(手数料率)は、
M&A仲介業界の中でも「支払手数料率の低さNo.1」を誇っております。