流通・販売業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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流通・販売業界は、私たちの日常生活に欠かせない存在です。本記事では、流通・販売業界の特徴や主要な業種を詳しく解説します。各業種の役割を理解することで業界全体の姿が見えてくるでしょう。

流通・販売業界の特徴

流通・販売業界は、商品やサービスの移転に関わる一連の活動を担う重要な分野です。流通・販売業界は主に「小売業」と「卸売業」に大別されます。小売業は最終消費者や企業への少量販売を行い、卸売業は小売業や企業向けの大量販売を担当します。

経済産業省の調査(2023年⼩売業販売を振り返る)によると、卸売業の市場規模は431兆170億円、小売業は163兆340億円でした。

小売業のうち百貨店・スーパー、専門量販店、コンビニエンスストア、ドラッグストアは特に規模が大きく、消費者の多様なニーズに応える重要な役割を果たしています。

流通・販売関連業種一覧

流通・販売業界は多岐にわたる業種で構成されています。ここからは、以下に列挙した主要業種の特徴や役割、課題を解説します。

  • 商社
  • その他卸売業
  • 百貨店
  • スーパーマーケット
  • コンビニエンスストア
  • 家電量販店
  • 携帯販売代理店
  • 書店
  • ホームセンター
  • ディスカウントストア
  • EC・通販
  • その他小売

商社の特徴

商社は、国内外の商品取引や物流を担う重要な企業です。具体的には、海外からの輸入品や国内メーカーからの仕入れ商品の取扱い、国内小売業への販売、貿易仲介、物流などの「トレーディング」活動を行います。

商社は「総合商社」と「専門商社」に大別されます。総合商社は多岐にわたる事業や製品を取扱うのに対し、専門商社は特定製品の売上比率が50%以上を占めるのが特徴です。

近年の商社は、単なる仲介業にとどまらず、原材料調達から製造、物流、販売、アフターサービスまでを包括する「バリューチェーン」の構築に注力しています。この戦略により、より付加価値の高いビジネスモデルを創出しています。

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その他卸売業の特徴

卸売業は、製造業から商品を仕入れたり、市場から食材を買い付けたりして、それらを小売業者に販売する役割を担っています

卸売業は、商品流通において製造・収穫と小売の中間に位置しており、製造と消費の双方の情報を把握できるのが強みです。現在製造されている商品はもちろんのこと、今後製造が予定されている商品の情報もいち早くキャッチできます。同時に、どの商品が市場で人気があるのかも把握が可能です。

こうした特性から卸売業は、製造業と小売業の橋渡し役として、市場動向を的確にとらえ、効率的な商品流通をサポートする役割が期待されています

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百貨店の特徴

百貨店は長い歴史を持つ業態です。伊勢丹や三越、阪急、松坂屋などがよく知られています。

百貨店業の特徴としては、商品展示やディスプレイに関して、出店業者の意向だけでなく、百貨店のバイヤーやフロアマネージャーの承認が必要となる点が挙げられます。また、富裕層向けの「外商」サービスも、百貨店ならではの特徴といえるでしょう。

消費の低迷やショッピングモール、量販店、ECサイトの台頭により、百貨店の売上は近年、低迷傾向にあります。この課題に対応するため、百貨店各社はフロア設計の見直しや新たなサービスモデルの構築に取り組んでいます。

伝統と革新のバランスを取りながら現代の消費者ニーズにいかに応えるか、経営陣の手腕が問われています。

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スーパーマーケットの特徴

スーパーマーケットは、セルフサービス方式を採用する、年商1億円以上の総合食料品小売店を指します。その経営形態は主に二つに分類されます。一つは「総合スーパー」です。食料品だけでなく日用品、衣料品、玩具、文具など幅広い商品を取扱います。もう一つは「食品スーパー」で、生鮮食品や日用品に特化しています。

ショッピングモールも総合スーパーです。日常生活に必要な衣料品や家電、家具まで幅広く揃っているのが特徴で、ワンストップショッピングの場として人気です。

近年、消費行動の多様化や値上げの影響を受け、スーパーマーケット各社は独自の決済サービスを導入したり、ストーリー性のある商品を取扱ったりするなど、さまざまな工夫を凝らしています。これらの取り組みにより、顧客満足度の向上と競争力の強化を図っているのです。

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コンビニエンスストアの特徴

コンビニエンスストア(コンビニ)は、飲食料品を主に扱う小型の小売店です。具体的には、売り場面積が30平方メートル以上、250平方メートル未満で、1日14時間以上営業するセルフサービス販売店を指します。

近年では24時間営業が一般的となり、現代の忙しいライフスタイルに適した便利な存在として独自の価値を確立していますが、一方で人手不足という深刻な問題を抱えています。そこでコンビニ各社が進めているのが、キャッシュレス決済の導入やIoT技術の活用です。

また、一部の店舗では24時間営業の見直しを実験的に行うなど、さまざまな取り組みを展開しています。

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家電量販店の特徴

家電量販店は、消費者が各メーカーの製品を比較しながら購入を検討できる小売形態です。家電量販店は、メーカーから一定の数の商品を仕入れることで卸値を抑え、薄利多売の販売戦略を展開しています。この戦略を可能としているのが、大型化と多店舗展開です。また、在庫リスクを軽減するために、店舗間で在庫の平準化を図っています。

しかしながら、業界の構造的な問題やインターネット通販の台頭により、価格競争は今後も激化すると予想されます。そのため各社は、顧客サービスの向上やオンラインとオフラインの融合など、新たな価値提供に余念がありません。

変化する消費者ニーズに応え、持続可能な成長を目指す家電量販店の取り組みに注目が集まっています。

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携帯販売代理店の特徴

携帯販売代理店は、メーカーが製造した携帯電話端末を顧客に直接販売する店舗です。通信キャリアや他の代理店と契約を結び、サービスを展開しています。

携帯販売代理店業の特徴は、その階層構造にあります。通信キャリアとの契約の距離によって1次から5次までの代理店に分類されているのです。キャリアに近いほどインセンティブが高く、遠くなるほど低くなる傾向があります。

現在、携帯電話市場は飽和状態にあり、通信キャリアと代理店がより緊密に協力し、新たな収益モデルを創出することが期待されています。IoTやAIなどの新技術を活用したサービス展開も、今後ますます増えるでしょう。

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書店の特徴

書店は、書籍や雑誌を主に取扱う小売店です。従来の実店舗に加え、近年ではオンライン書店の台頭が著しく、電子書籍の販売も行っています。

紙媒体の書籍・雑誌の売上は低迷傾向にあり、各書店は収益拡大のためにさまざまな取り組みを行っています。カフェを併設する書店や、日用品なども扱う書店はその代表例といえるでしょう。

また、著者によるトークイベントの開催や、地域の文化発信拠点としての機能強化なども行われており、単なる「本を売る場所」から「文化を育む場所」へと進化を遂げつつあります。

オンライン書店には無い実店舗ならではの魅力の強化と、新たな価値の創造が、書店業に共通する課題といえます。

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ホームセンターの特徴

ホームセンターとは、住宅関連用品を幅広く取り揃えた大型小売店を指します。代表的なホームセンターはコメリ、ワークマン、ナフコ、カインズなどです。

店頭では、DIY関連品、自動車用品、園芸用品、家電製品、組立式家具など、消費者の手作り志向やハウスキーピングに関連した商品が売られています。これらの商品構成は、「自分らしい暮らし」を追求する現代の消費者ニーズに合致しており、ホームセンター人気の理由の一つといえるでしょう。

アウトレットモールやショッピングモールとの競争激化を背景に、近年、ホームセンター業界にも変化が見られます。よりリーズナブルな価格を提供するディスカウント型や、地域に密着したフランチャイズ・チェーン型の店舗が増加しているのです。多様化戦略により、各社は競争力の維持・向上を図っています。

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ディスカウントストアの特徴

ディスカウントストアは、日用品、衣料品、食品、家電製品、玩具などを幅広く取り扱う小売業態です。特徴は、低価格で短時間での買い物を可能にする点にあります。

スーパーマーケットが地域密着型で生鮮食品を中心としたデイリーユースの商品を扱うのに対し、ディスカウントストアは販売促進費、人件費、賃料などのコストを抑えることで、商品を安価に提供するのが特色です。

低価格実現のため、ディスカウントストアは独自の仕入れ戦略を採用しています。多くの場合、仕入れは現金決済で行われ、できるだけメーカーや一次卸など、仕入れ元に近い業者から直接仕入れることで中間マージンを削減しています。

こうした工夫により、ディスカウントストアは「安さ」という明確な価値を消費者に提供し、競争力を維持しているのです。

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EC・通販の特徴

EC・通販は、小売業態における無店舗販売の代表格です。従来の通販は、テレビCMやラジオ、通販専用チャンネル、ダイレクトメール、カタログ雑誌などを通じて商品やサービスを紹介し、注文を受けていました。

しかし、現在の主流はインターネットショップなどのECビジネスです。オンライン上で商品の売買、契約、決済までを完結させる形態が一般的となっています。

なお、ECにはさまざまなビジネスモデルがあり、BtoB、BtoC、CtoC、D2C、越境EC、ギフトECなど、多様な形態が展開されています。

BtoB EC 企業間で取引を行うEC・通販
例)ASKUL
BtoC EC 企業が消費者向けに商品を販売するEC・通販
例)Amazon
CtoC EC 個人間で取引を行うEC・通販
例)メルカリ
D2C EC 製造者(メーカー)が直接消費者と取引を行うEC・通販
越境EC 国を越えて商品を販売・サービスの取引を行うEC・通販
ギフトEC ギフト商品の販売に特化したEC・通販EC・通販
例)AnyGift

EC・通販の最大の魅力は、時間や場所の制約が無く、商品が自宅まで届くという利便性にあります。この利便性が、市場の継続的な拡大を後押ししています。

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その他小売の特徴

小売業界には、独自のコンセプトを持つ商品に特化し、複数の販売チャネルを活用することで、ユニークなブランドを確立している企業が存在します。これらの企業は、明確な差別化戦略により、競争の激しい市場で存在感を示しています。

M&Aを積極的に行う企業が増えているのも、近年の特徴です。異業種との統合や、関連する複数の業種の取り込みにより、労働力の確保やシナジー効果の創出を図り、業績を伸ばしています。このような戦略的な動きが、小売業界の新たな可能性を切り開いていくことでしょう。

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まとめ

流通・販売業界は、商品やサービスを消費者に届ける重要な役割を担っています。本記事では、卸売業や小売業などを中心に、多岐にわたる業種を取り上げて解説しました。

各業種は独自の特徴を持ちながらも、デジタル化や消費者ニーズの変化に対応するため、常に進化を続けています。業界再編やM&Aも行われており、今後もさらなる変革が予想されます。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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