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益金不算入制度について
子会社から配当金を受け取った際は、一定条件下では税務上の所得に含めなくて良い「益金不算入制度」が適用されます。
本記事では、「M&Aとは?M&Aとは?|詳細記事へ」の基本的な理解を踏まえたうえで、国内外の益金不算入制度の仕組みと、その適用条件、さらに対象外となるケースを、最新の税制改正も踏まえてわかりやすく解説します。
子会社の配当金における益金不算入制度とは
子会社から受け取る配当金には、同一の利益に対する二重課税を防ぐために「益金不算入制度」が適用される場合があります。この制度は、法人間での配当取引で、税負担を適正化する重要な仕組みです。
そもそも益金不算入制度とは
益金不算入制度とは、会計上は収益として計上されるものの、その性質上、税務処理上は益金に算入しない仕組みのことです。特に法人間で配当金が流通する場合、同一の利益に対して複数回課税が行われる「二重課税」の問題が生じます。
例として、法人Xが、子会社Zから配当を受け取る場合を考えてみましょう。子会社Zにおいて、利益に対して「150」の課税が行われます。その後、法人Xにおいて、子会社Zからの配当金150に対して課税が行われると、合計で「300」の課税が発生します。このように、同じ利益に対して二重に課税されてしまう現象が「二重課税」です。
損金不算入制度とは、この二重課税を排除するため、受取配当金の一部または全額が益金から除外される制度です。具体的には、以下が対象となります。
- 配当
- 利子
- 剰余金の分配
配当金は「完全子法人株式等」「関連法人株式等」「その他株式等」「非支配目的株式等」に区分できます。株式保有割合や保有期間に応じて益金不算入割合が異なり、短期保有株式は対象外です。
子会社からの配当金が不算入になる理由
子会社は、法人税を支払った後の利益から配当金を支払います。支払った配当金に再び法人税を課すと、同一の利益に対して二重課税が生じてしまいます。
これは、法人は株主の集合体とみなされ、法人税は企業段階で先に支払われるため、個人所得税の前払いとみなされる考え方に基づくものです。そのため、配当金を受け取る法人では、二重課税を回避するために益金不算入の取扱いが設けられています。
なお、借入金によって取得した株式に関連する場合、その取得に要した借入金等の利子(負債利子)は、配当金から控除が必要です。借入によって得た配当金は益金不算入の対象となる一方、借入金に係る利子は損金算入が認められるため、そのままでは利益に対する課税が過剰に軽減されます。こういった不合理な事態を防ぐために、受取配当金の額から負債利子相当額を控除する調整が行われます。
益金不算入の適用区分
| 区分 | 条件 | 不算入割合 | 負債利子の控除 | |
|---|---|---|---|---|
| 支配目的 | 完全子法人株式等 | 株式保有率100% | 100% | なし |
| 関連法人株式等 | 株式保有率3分の1超 | あり | ||
| 配当目的 | 非支配目的株式等 | 株式保有率5%以下 | 20% | なし |
| その他株式等 | 上記に該当しない株式等 | 50% | なし |
益金の不算入区分は令和4年度税制改正で見直しが図られたため、最新の情報に倣って解説していきます。
完全子法人株式等
100%保有する子会社からの配当金は、全額が益金不算入の対象です。また、負債利子も控除を行いません。
完全支配関係とは、配当期間を通じて100%の株式を保有している状態のことです。企業支配を目的とする場合、親会社は子会社の経営に深く関与しています。その結果、配当は実質的な「内部利益移転」であるとみなされ、二重課税を排除する必要性が高いと判断されます。そのため、益金不算入の割合も大きくなっています。
以下の例を見てみましょう。
- 親会社A社が子会社B社の株式を100%保有。
- B社からA社に配当金2,000万円が支払われた。
- 益金不算入額 = 2,000万円 × 100% =2,000万円
このケースでは、受取配当金1,000万円のうち、全額にあたる1,000万円が益金不算入となります。
なお、完全子法人株式等とみなされるためには、前回の配当額等の支払日から次の支払日までを通して、100%の株式を保有していなければなりません。短期的な保有では適用されない点にも注意が必要です。
関連法人株式等
持株比率が3分の1を超える場合、配当金から負債利子を控除した額が益金不算入の対象です。この場合、支配目的の株式保有であるとみなされます。関連法人株式等に係る配当金から控除する負債利子は、次に述べるいずれか小さい金額を選択する必要があります。
- 関連法人株式等の配当等の額×4%
- 支払利子総額×10%
以下の例を見てみましょう。
- C社がD社の株式を40%保有。D社からC社に配当金600万円が支払われた。
- C社の配当期間に対応する支払利子総額は1億円。
- ① 配当金600万円 × 4% =24万円
- ② 支払利子総額1億円 × 10% = 1,000万円
- ①と②の小さい金額は24万円→ これが控除する負債利子
- 益金不算入額 = 配当金600万円 - 控除負債利子24万円 =576万円
この場合、受取配当金600万円のうち576万円が益金不算入となります。
なお、関連法人株式等とみなされるためには、完全子法人株式等の場合と同様に、前回の配当額等の支払日から次の支払日までを通して、持株比率が3分の1を超えている必要があります。
非支配目的株式等
非支配目的株式とは、投資を目的として保有される株式のことです。非支配目的株式に対する益金不算入割合は20%となっています。
投資目的の場合、支配目的の場合に比べて経営への関与が少ないため、二重課税を排除する必要性が低いと考えられ、益金不算入の割合も小さく設定されています。
- E社がF社の株式を投資目的で4%保有。
- F社からE社に配当金600万円が支払われた。
- 益金不算入額 = 600万円 × 20% =120万円
この場合、受取配当金600万円のうち、120万円が益金不算入となります。
その他株式等
その他株式等とは、上記のいずれにも該当しない株式等のことです。その他株式等に対する益金不算入割合は50%となっています。負債利子の控除はありません。
- G社がH社の株式を20%保有。
- H社からG社に配当金600万円が支払われた。
- 益金不算入額 = 600万円 × 50% =300万円
この結果、受取配当金600万円のうち、300万円が益金不算入となります。
外国子会社からの配当も益金不算入となる
海外子会社からの配当金も、外国子会社から受け取る配当金に対する二重課税を排除するため、益金不算入の対象となります。
この制度は、グローバルな事業展開を行う企業グループの税負担を軽減し、国際競争力を高めることを目的として、平成21年度税制改正により導入されました。
対象・条件
対象となるのは、内国法人グループ全体で持株比率が25%以上あり、かつ6ヶ月以上継続して保有している外国法人から受け取る配当金です。租税条約締約国では、株式保有割合が条約により軽減された割合(例:10%)以上であれば、益金不算入の適用が可能です。
配当金のうち5%相当額は経費に充てられるものとみなされ、益金に算入されますが、残りの95%は益金不算入となります。
なお、株式保有割合や保有期間の要件を満たさない場合、または租税条約の条件に該当しない場合には、本制度は適用されません。
具体例
以下の前提条件のもとに考えてみましょう。
- 日本の法人であるA社は、海外にある子会社B社の株式を30%保有しています。
- A社は、その株式を継続して1年以上保有しています(6ヶ月以上の保有要件を満たしています)。
- 子会社B社からA社に対して、2,000万円の配当金が支払われました。
- このケースは、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の対象外と仮定します。
この場合、受取配当金のうち95%が益金不算入、5%が益金に算入されます。
- 益金不算入額 = 受取配当金 2,000万円 × 95% =1,900万円
- 益金算入額(課税対象となる金額) = 受取配当金 2,000万円 × 5% =100万円
この結果、A社が受け取った配当金2,000万円のうち1,900万円は益金不算入として法人税の課税対象から除外されます。残りの100万円が益金に算入され、法人税の課税対象です。つまり、A社は2,000万円の配当を受け取っても、日本の法人税は100万円に対してのみ課税され、外国での課税との二重課税が(95%部分)排除されることになります。
益金不算入の対象外となる子会社からの配当金
子会社からの配当金であっても、一定の条件を満たさない場合には益金不算入制度の対象外となり、日本国内で課税対象となることがあります。以下のようなものが該当します。
- 外国子会社の現地法令で損金と扱われる配当金
- みなし配当
- 短期保有株式による配当
それぞれ見ていきましょう。
外国子会社の現地法令で損金と扱われる配当金
外国子会社では、配当金がその国の法令により損金として算入されている場合、その配当金は益金不算入制度の対象外となり、日本では益金として扱われます。損金算入された配当金は、日本国内では全額が益金に算入され、二重非課税を防ぐ仕組みが適用されます。具体例として、オーストラリアやブラジルの一部の配当金が該当するケースがあります。
以下の前提条件のもとに考えてみましょう。
- 日本の法人であるA社は、特定の外国にある子会社B社の株式を保有しています。
- 子会社B社からA社に対して、300万円の配当金が支払われました。
- この配当金は、子会社B社の所在する外国の法令では「損金」として扱われ、B社の法人税計算上、課税所得から控除されました。(オーストラリアやブラジルなど)
この場合、全額が益金算入の対象です。
- 益金算入額(課税対象となる金額) = 受取配当金 300万円
- 益金不算入額 = 0円
A社が受け取った配当金300万円は外国子会社側で損金として扱われ、日本の法人税計算上、益金不算入とはならず、その全額である300万円が益金に算入され課税対象となります。
つまり、支払元である外国子会社側で税務上のメリット(損金算入)を得ている場合には、日本では益金として課税すれば、国際的な二重非課税状態が生じるのを防げる仕組みです。
みなし配当
法人税法で規定される「みなし配当」は、益金不算入制度の対象外となる場合があります。みなし配当とは、非適格合併や自己株式の取得などによって発生するもので、余剰金の配当や分配ではないものの、実態として余剰金の配当とみなされる所得や利益のことです。損益不算入制度でも通常の配当と同様の扱いを受けます。
ただし、形式上は配当であっても、実質的には出資の払戻しなどに該当する場合があり、その場合には通常の配当とは区別され、益金不算入制度の適用対象外となることがあります。
以下の前提条件のもとに考えてみましょう。
- 日本の法人である親会社A社は、子会社B社の株式を保有しています。
- 子会社B社は、親会社A社を含む株主から自己株式を取得しました。
- この自己株式の取得により、親会社A社はB社から現金を受け取りましたが、税務上、この受け取った対価の一部または全部が「みなし配当」として600万円発生したと認定されました。
- しかし、この自己株式の取得が、税法上の特定の要件(例:特定の組織再編に関連し「実質的には出資の払戻しなどに該当する」と判断されるケース)に該当したため、この「みなし配当」は通常の受取配当金に係る益金不算入制度の適用対象外と判定されました。
この場合、特定の理由により通常の受取配当金に係る益金不算入制度の対象外となります。
- 益金算入額(課税対象となる金額) = みなし配当 600万円
- 益金不算入額 = 0円
結果、親会社A社が受け取ったと認定されたみなし配当600万円は、その性質から益金不算入となりません。日本の法人税計算上、その全額である600万円が益金に算入され、課税対象となります。
短期保有株式による配当
配当基準日直前1ヶ月以内に取得し、基準日後2ヶ月以内に譲渡された株式は、益金不算入制度の対象外となります。ごく短期間だけ株式を保有し、配当のみを得てすぐに売却する取引は、益金不算入を悪用する節税スキームとみなされるためです。こうした短期的な利益を目的とした取引を防ぐため、短期保有株式に対しては益金不算入が認められていません。
以下の前提条件のもとに考えてみましょう。
- 日本の法人であるC社は、ある上場企業E社の株式に関心を持ちました。
- E社の配当基準日は3月31日です。
- C社は、E社の株式を3月15日に取得しました(基準日である3月31日の直前1ヶ月以内)。
- C社は、3月31日の基準日をまたいで株式を保有していたため、E社から200万円の配当金を受け取りました。
- C社は、配当基準日後の5月10日に、保有していたE社の株式を譲渡しました(基準日の後2ヶ月以内)。
この場合、短期間(基準日直前1ヶ月以内に取得し、基準日後2ヶ月以内に譲渡)のみ保有した株式からの配当であるため、受取配当金に係る益金不算入制度の対象外です。
- 益金算入額(課税対象となる金額) = 受取配当金 200万円
- 益金不算入額 = 0円
結果、C社が受け取った配当金200万円は、その株式が短期保有株式とみなされるため日本の法人税計算上、益金不算入とはならず、その全額である200万円が益金に算入され、課税対象となります。
まとめ
子会社からの配当金は、一定の要件を満たすことで益金に算入されず、二重課税を防ぐ仕組みになっています。国内外それぞれの適用条件や除外規定を理解し、正しく税務処理を行うことが、企業の税負担軽減に直結します。
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よくある質問
- 益金不算入制度とは何ですか?
- 法人間の配当取引において、同一利益への二重課税を防ぐため、配当金の一部または全部を益金から除外する制度です。
- どのような条件で益金不算入が適用されますか?
- 完全子法人や関連法人など、株式保有割合や保有期間に応じて不算入割合が決まります。
- 外国子会社からの配当も益金不算入になりますか?
- 一定の持株比率・保有期間を満たす場合、配当金の95%が益金不算入となります。
- 益金不算入の対象外になる配当金には何がありますか?
- 損金算入された外国配当、みなし配当、短期保有株式による配当などは対象外となります。
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