外国子会社合算税制(CFC税制)とは? 仕組みやM&Aにおける注意点などを解説

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外国子会社合算税制について

海外に子会社を設立する企業が増える中、注目されるのが「外国子会社合算税制」です。この制度を理解せずに海外進出やクロスボーダーM&Aを進めると、予期せぬ課税リスクを招く恐れがあります。
そこで本記事では、外国子会社合算制度の基本から判定基準、M&Aにおける注意点まで、わかりやすく解説します。経営者の方はぜひ参考にしてください。

このページのポイント

~外国子会社合算税制(CFC税制)とは?~

外国子会社合算税制(CFC税制)は、日本企業が税負担の軽い国・地域に設立した子会社を通じた所得移転を防ぐ制度です。判定には関係会社要件や租税負担割合、経済活動基準など複数の条件が用いられ、M&A実務でも重要な検討項目となります。

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外国子会社合算税制(CFC税制)とは

外国子会社合算税制(CFC税制)は、いわゆるタックスヘイブン対策税制とも呼ばれ、日本の企業が海外の税率の低い地域に子会社を設立し、実質的な事業活動を伴わずに所得を移転させることによって税負担を軽減・回避する行為を防止するための制度です。制度の趣旨は、実態の無い子会社を通じた不適切な節税を排除し、日本国内での適正な課税を確保することにあります。
具体的には、海外子会社に事業の実体が無いと判断された場合、その子会社が得た所得は日本の親会社の所得として合算され、日本で課税される仕組みです。また、たとえ一定の事業活動が行われていたとしても、配当や利子、有価証券の譲渡益など、いわゆる受動的所得については、場合によっては合算課税の対象になることがあります。
この外国子会社合算税制は、国際的にはOECDのBEPSプロジェクトとも連動しています。制度を正しく理解することはグローバル展開を図る企業にとって重要な課題です。

目的

外国子会社合算税制(CFC税制)の目的は、海外の税率が低い国や地域を利用した不適切な節税を防ぎ、日本の課税権をきちんと守ることにあります。
この制度が導入される以前は、例えば、法人税がほとんど課されない国に子会社をつくり、そこに利益を移すことで、日本での課税を逃れようとする行為が問題視されてきました。こうした状況に歯止めをかけるために設けられたのが、このCFC税制です。
CFC税制の背景には、OECDが提唱するBEPS(税源浸食と利益移転)対策の考え方があります。各国が協力して、不公平な税の回避を防ぐためのルールを整備しようとする国際的な流れのなかで、日本もその一環として制度を整えたのです。そのため、日本でも一定の税負担があるかどうかや、事業の実態があるかどうかといった基準をもとに判断が行われます。
単に自国の税収を守るだけでなく、健全な海外展開を支えるルールとしても、この制度は重要な役割を担っています。

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外国子会社合算税制の対象となりうる国・地域

外国子会社合算税制の対象となりやすい国や地域には、いわゆる「タックスヘイブン」と呼ばれる場所が含まれます。下表は、代表的なタックスヘイブンをエリアごとにまとめたものです。

エリア 国・地域
ヨーロッパ
  • アイルランド
  • ルクセンブルク
  • オランダ
  • スイス
  • ベルギー
  • マルタ
アジア
  • 香港特別行政区
  • シンガポール
  • レバノン
カリブ海・中南米地域
  • バミューダ
  • 英領バージン諸島(BVI)
  • ケイマン諸島
  • バルベイドス
  • カリブ諸国
  • プエルトリコ
  • アルバ
  • パナマチャネル諸島
オセアニア・太平洋
  • クック諸島

これらの地域に共通して挙げられる特徴は、国土が狭く、製造業や大規模産業の展開が難しいことです。そのため、外資を呼び込む手段として法人税率を極端に低く抑え、企業誘致を進めてきました。
こうして作られた税を優遇する仕組みは、海外企業にとって税負担を軽減する魅力的な環境となりました。その結果、多くの企業から、租税回避の手段として利用されるようになったのです。
ただし現在では、タックスヘイブンに設立された外国子会社が実態の無いペーパーカンパニーである場合、CFC税制の対象となる可能性が非常に高くなっています。したがって、節税目的の安易な会社設立には注意しなければなりません。

外国子会社合算税制の仕組み

外国子会社合算税制の仕組みについて、財務省の「外国子会社合算税制の概要」を参考に解説します。

外国子会社合算税制の仕組み

外国子会社合算税制は、日本企業が海外の子会社を通じて税負担を回避する行為を防ぐために設けられています。例えば、日本企業がA国の企業に対して無形資産の使用を許諾し、そこから使用料20を直接受け取った場合、その収入は日本国内で課税されることになります。これは、使用料を受け取る企業が日本に所在しているためです。

外国子会社合算税制の仕組み

ところが、もし同じ日本企業がB国に子会社を設立し、そのB国子会社がA国企業と契約して使用料を受け取る形を取った場合、今度はA国からの使用料20がB国の子会社に支払われることになるため、日本での課税対象とはなりません。
こうしたスキームを利用して、日本での納税を逃れることが無いようにするのが、本制度の目的です。このように、実体の乏しい子会社を経由した収益移転が行われた場合、その所得を日本の親会社の所得に合算し、国内で課税するという仕組みが採用されています

外国子会社合算税制の対象となる基準

外国子会社合算税制では、すべての海外子会社が対象となるわけではありません。対象となるかどうかは、子会社の関係性や税率、事業の実態など複数の基準によって判断されます。
ここでは、その具体的な判定基準について詳しく解説していきます。

外国子会社合算税制の対象となる基準

外国関係会社であるか

外国子会社合算税制の対象となるかどうかを判断するためには、まず海外の法人が「外国関係会社」に該当するかを確認しなければなりません。外国関係会社とは、日本の法人などが、その外国法人の株式を直接(もしくは間接に)50%を超えて保有している企業のことです。
ただし、形式上の持株比率が50%以下であっても、実質的に支配していると認められる場合には、外国関係会社とみなされることがあるため注意しなければなりません。また、実質的に支配されているかどうかの判断は、取締役の構成や意思決定への関与、資金面での依存関係など、さまざまな実態を踏まえて行われます。
なお、外国関係会社に該当すると認められた場合は、その法人が課税対象となるかを判断するため、次に租税負担割合や経済活動の実態などについて検討することになります。

経済活動基準を満たすか

経済活動基準とは、外国関係会社が実体のある事業を行っているかを判定するための4つの基準のことです。判定する際には、以下の要件すべてを満たしているかどうかが審査されます

事業基準
主たる事業が株式保有、無形資産の提供、船舶や航空機のリースでないこと
実体基準
人員や設備を有し、主たる事業に必要な事務所等が本店所在地国に存在すること
管理支配基準
本店所在地国において、自ら事業の管理や意思決定を行っていること
所在地国基準または非関連者基準
本店所在地国で主として事業を行っている、もしくは主な取引相手が関連者以外であること

これらの基準は、実態の無いペーパーカンパニーを利用した租税回避を防止するために設けられたものです。タックスヘイブン対策の一環として、重要な役割を果たしています。

いずれにも該当しない

外国関係会社が経済活動基準のすべてを満たさない場合、その法人は「特定外国関係会社」に該当します。具体的に該当するのは、以下の3つです。

特定外国関係会社 概要
ペーパーカンパニー 実際の事業をしていない形だけの会社
キャッシュボックス お金を持っているだけで活動の無い会社
ブラックリスト国所在のもの 税率の低い国にある要注意の会社

これらは、主に事業活動の実体が無く、節税を目的として設立されたと見なされる法人であるため、日本の親会社の所得と合算して課税される対象となります。ただし、その法人の租税負担割合が27%以上である場合は、合算課税の対象から除外されます。
なお、この割合は2023年度の税制改正により、従来の30%から27%に引き下げられました。

いずれか1つでも満たさない場合

経済活動基準の4つの要件のうち、1つでも満たさない場合は、その法人が課税対象となるかどうかを「租税負担割合」に応じて判断します。

租税負担比率 会社単位の合算課税
20%未満の場合 対象
20%以上の場合 対象外

上図のように、その法人の税負担割合が20%未満であれば、課税逃れの可能性が高いとされるため、会社単位での合算課税の対象となります。一方で、20%以上であれば、一定の税負担をしていると認められ、課税の対象から除外されます。
つまり、経済活動基準の不備があっても、現地での実質的な税負担が一定水準に達していれば、租税回避とはみなされないということです。このように、形式だけでなく実質的な納税状況も、重要な判断材料となっています。

すべてを満たす場合

外国関係会社が、所在地国基準、事業基準、管理支配基準、非関連者基準のすべてを満たす場合、その法人はペーパーカンパニーではないと判断され、外国子会社合算税制の適用対象から除外されます。これにより、現地で実質的な事業を行っていると認められれば、合算課税の対象とはならず、租税回避と見なされることもありません。
ただし、これらの基準を表面的に満たすだけでは不十分です。実際に自立した管理体制が存在し、収益活動が本店所在地で継続的に行われていなければなりません。特に管理支配基準においては、意思決定の権限や本社機能の所在などが精査され、親会社から実質的に独立していることなどが問われます。また、所在地国内における第三者との取引実績の有無も、重要な判断材料とされています。
なお、こうした基準をすべて満たす会社であっても、「配当・利子・ロイヤリティ」といった受動的所得については、一定の条件により合算課税の対象となることがあります。これらは自らの活動によらず得られる所得であるため、租税回避の余地が残ると見なされる場合があるためです。
したがって、制度の適用除外を受けるには、所得の内容や構成比率にも留意しておかなければなりません。

M&Aにおける外国子会社合算税制の注意点

クロスボーダーM&Aを行うにあたり、対象となる外国子会社がタックスヘイブンとされる国や地域に所在している場合は、外国子会社合算税制が適用されるリスクが高くなります。特に、経済活動基準を満たさず、特定外国関係会社の要件に該当する場合には、日本の親会社がその子会社の所得を自社の所得と合算して課税されることになります。
したがって、買収先が将来的に黒字化する見込みである場合、想定外の税負担が発生する恐れがあるため、事前の十分な精査は欠かせません。対象法人の所在地国における法人税率や税制の概要を十分に把握し、租税負担割合が27%以上かどうかを調査することが極めて重要です。
また、必要に応じて、グループ内の再編や資金構成の見直しを行い、負担割合を調整するスキーム構築も視野に入れたほうが良いでしょう。さらに、当該国との租税条約の有無によっては、軽減措置が適用される場合もあります。
こうした点を踏まえ、M&A初期段階での税務デューデリジェンスを徹底することが、リスク回避に向けた重要なポイントとなります。

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まとめ

外国子会社合算税制は、クロスボーダーM&Aや海外進出を進めるうえで避けて通れない重要な制度です。適切に対応するには、制度の全体像を把握したうえで、専門的な視点から検討することが欠かせません。

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よくある質問

  • 外国子会社合算税制とは何ですか?
  • 海外子会社を通じた不適切な節税を防ぐため、日本の親会社に子会社の所得を合算して課税する制度です。
  • CFC税制の対象となる国や地域にはどこがありますか?
  • ケイマン諸島、BVI、シンガポール、香港など法人税率が低く、事業実態が薄いと判断される地域が対象となりやすいです。
  • 経済活動基準とは何ですか?
  • 所在地国で実態ある事業を行っているかを判断するための4要件で、全てを満たさない場合は課税対象となる可能性があります。
  • 合算課税の対象となる具体的なケースは?
  • 実体のないペーパーカンパニーやキャッシュボックスなどで、かつ租税負担割合が27%未満の外国関係会社です。
  • M&AにおいてCFC税制上の注意点は何ですか?
  • 対象となる海外子会社の税率や経済活動の有無を確認し、想定外の税負担を避けるため事前の税務デューデリジェンスを徹底する必要があります。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社執行役員 コーポレートアドバイザリー部長公認会計士梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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