M&Aにおけるタームシートとは 役割や作成のポイントを解説

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M&Aにおけるタームシートについて

M&Aの初期段階に作成されるタームシートは、交渉や取引を円滑に進めるうえで大きな役割を果たす文書です。

本記事では、M&Aにおけるタームシートの概要を紹介したうえで、活用のタイミングや具体的な役割、記載内容や作成時のポイントなどについて解説します。

このページのポイント

~M&Aにおけるタームシートとは~

タームシートは、M&A初期段階で交渉条件を明文化する実務文書です。正式契約に先立ち、買収金額・スケジュール・独占交渉権などの主要項目を整理し、交渉の透明性と効率性を高める役割を果たします。記載内容や法的拘束力の扱いには注意が必要です。

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~その他 M&Aについて~

M&Aにおけるタームシートとは

M&Aにおけるタームシートとは、交渉初期段階において、取引条件の概要や基本的な合意内容を簡潔にまとめた文書のことです。正式な契約書ではないものの、株式の譲渡価格や支払い方法、取引スキーム、スケジュールなど、今後の交渉において軸となる重要事項が記載されます。

タームシートを作成することで、取引全体のプロセスや方向性を整理し、当事者間の認識のずれを未然に防ぐことが可能です。加えて、当事者間の信頼関係の構築にも寄与し、その後の円滑な交渉につながります。
また、タームシートは一般的に、文書全体としては法的拘束力を持たず、内容の修正や調整が柔軟に行えるよう設計されます。この柔軟性こそが、初期合意の段階でタームシートが広く活用される理由の一つです。ただし、秘密保持条項や独占交渉権などの一部の条項には、法的拘束力をもたせることが推奨されます。

このように、タームシートはM&A実務において、極めて重要な役割を担っています。

タームシートと契約書の違い

タームシート 契約書
目的 取引の基本条件の合意形成・整理 取引内容を法的に拘束する正式な契約
法的拘束力 なし あり
内容の詳細さ 概要レベル
主要条件のみ記載
詳細かつ具体的
権利義務や手続き、違約時の対応まで明記
使用タイミング 初期段階(基本合意)で使用 最終合意後に使用
修正のしやすさ 比較的柔軟に修正可能 修正には交渉と変更契約または覚書の締結が必要なことが多い

M&Aにおいてタームシートを活用するタイミング

タームシートはM&A交渉において、買い手と売り手が主要な条件について概ね合意した段階で作成される文書です。多くの場合、トップ面談や意向表明書(LOI)の提出後に取り交わされ、買収価格やスキーム、スケジュールなど実務的な項目を整理する目的で活用されます。
LOIが買収の意思を表明するにとどまるのに対し、タームシートではより踏み込んだ条件が具体的に記載されるため、交渉の実務フェーズへと進む前提資料となります。

タームシートの草案は買い手側が作成し、売り手とすり合わせを行いながら内容を確定させるのが一般的です。この段階で条件を明文化することで、以降のやり取りで認識の食い違いが起こるリスクを抑えられるでしょう。
また、タームシートに基づいて基本合意書が締結され、さらに最終契約書へとつながる構成がとられるため、M&A全体の交渉プロセスにおける橋渡し的な役割も果たします。その後のデューデリジェンスPMI(統合プロセス)の前提においても資料として機能します。

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M&Aにおけるタームシートの役割

M&Aにおけるタームシートの主な役割は以下のとおりです。

それぞれ見ていきましょう。

交渉条件の可視化による認識の統一

タームシートの第一の役割は、交渉過程で整理された条件を明文化し、買い手と売り手双方の認識を一致させることです。譲渡価格や支払い方法、実行までのスケジュールといった主要な条件について、合意に至った事項と未確定な項目を分けて明記することで、後の誤解や見解の相違によるトラブルを未然に防ぐ効果が期待されます。

さらに、書面化された内容をもとに情報共有が進むため、伝達ミスや意思疎通の齟齬が生じにくくなり、交渉の透明性を高めることが可能です。また、仮に交渉が途中で中断された場合でも、タームシートが合意形成の履歴を示す資料として活用され、後の対応に役立つ場面もあります。

このように、タームシートは交渉全体の信頼性を確保し、実務上のリスクを抑えるための基盤となる文書といえるでしょう。

組織内での報告書類としての活用

タームシートは、社内での稟議や意思決定を行う際の資料としても活用されます。M&Aは法務、財務、人事など複数の部門が関与するため、交渉条件が整理されたタームシートを共有すれば、関係者が短時間で内容を把握できるでしょう。

特に、経営陣や管理部門に対しては、交渉の方向性や主要なリスク、期待される効果などを簡潔に伝える手段として有効です。
また、文書化された情報をもとに意見交換が行われることで、社内での認識のズレを防ぎやすくなります。加えて、承認プロセスが迅速化されることで、交渉のタイミングを逃すことなく、スムーズに取引へと進める体制づくりにも寄与しています。
このように、タームシートは対外的な交渉文書であると同時に、社内調整のための実務ツールとしても重要な役割を担っています。

M&Aプロセスのスピーディな進行

タームシートは、M&A交渉を効率よく進めるための実務的なツールとして重要な役割を果たします。初期段階で基本条件を整理しておくことで、後になって認識の食い違いが生じるリスクを抑え、交渉の停滞を防ぐ効果が期待できます。
また、この文書をもとに契約書の作成やデューデリジェンス、さらにはPMI(統合プロセス)の初期設計を進めやすくなる点も見逃せません。タームシートで方向性を固めておけば、最終契約までの流れもスムーズになり、交渉期間を短縮できるでしょう。
このように、M&Aプロセス全体の見通しを明確にし、迅速な意思決定を促す役割も、タームシートの大きな強みです。

M&Aにおけるタームシートの記載事項

タームシートには、M&A交渉における主要な合意事項が記載されます。その主な記載事項は、以下のとおりです。

  • 売り手と買い手の情報(会社名、代表者名など)
  • M&Aの対象となる事業・資産の詳細
  • 取引スキーム
  • 買収金額および支払い方法
  • デューデリジェンスに関する事項(実施時期、範囲、協力義務)
  • 取引のスケジュール(基本合意書の締結日、最終契約書の締結日、クロージング日)
  • 独占交渉権の有無および期間
  • 秘密保持義務の範囲および期間
  • M&A後の経営方針や従業員の処遇、役員の退任・再任などの方針
  • 競業避止義務
  • 表明保証
  • 誓約事項

これらの事項を過不足なく記載したうえで、最後にタームシートの有効期間や法的拘束力の有無などについて言及するのが一般的です。
なお、全体としては拘束力を持たない前提で作成されますが、秘密保持や独占交渉義務、準拠法・管轄裁判所など一部の条項については、例外的に法的効力が生じる点に留意しなければなりません。

M&Aにおけるタームシート作成のポイント

タームシートは交渉を円滑に進めるための重要な文書ですが、記載内容によっては認識のズレや不要なリスクを招くおそれもあります。ここでは、M&A実務で信頼されるタームシートを作成するために、押さえておくべき基本的なポイントを解説します。

交渉項目を網羅的に記載する

タームシートを活用するためには、交渉に関連する重要項目を網羅的に整理し、文書に明確に落とし込むことが重要です。たとえ現時点で合意にいたっていない内容であっても、検討中の事項や争点を含めて記載しておくことで、交渉の全体像を双方で把握しやすくなります。
さらに、各項目を「合意済み」「未合意」に区分しておけば、認識の食い違いを防ぐうえでも効果的です。未合意の内容については、課題や判断保留の理由などを簡潔に添えておくと、後続の打ち合わせがスムーズに進行しやすくなります。
ただし、記載の不備があれば、誤解や伝達ミスによって手戻りが発生する可能性も否定できません。「書かれていない=確認されていない」と見なされるリスクを避けるためにも、作成時から抜け漏れの無い構成を意識することが重要です。

法務部門のチェックを受ける

タームシートには、秘密保持義務や独占交渉権など、一部に法的拘束力が生じる条項が含まれることがあります。これらの項目について拘束力の有無が曖昧なまま合意が進んでしまうと、後の段階で認識の違いからトラブルに発展するおそれがあるため、十分な注意が必要です。
したがって、タームシートの作成時には、法務部門や外部の弁護士といった法的専門家のチェックを受けることが不可欠です。特に上場企業の場合、有価証券報告書や適時開示との整合性も問われるため、こうしたリーガルチェックは欠かせません。
また、交渉の初期段階において法的観点から文書の妥当性を精査しておけば、その後の基本合意書や最終契約書の作成をスムーズに進めるための土台となります。このように、リスクの芽を早期に摘むという意味でも、法務部門のチェックは非常に重要といえるでしょう。

進捗を可視化しやすいフォーマットを採用する

タームシートは、交渉条件を整理する文書であると同時に、進捗を可視化する管理ツールとしても活用できます。
例えばExcelなどの表形式を用い、縦軸に交渉項目、横軸に合意状況や対応ステータスを記載すれば、関係者間の情報共有がよりスムーズに行えます。また、視覚的に整理されたフォーマットであれば、どこまで話が進んでいるのか、次に何を検討すべきかが一目でわかるため、会議や打ち合わせの効率も向上するでしょう。
加えて、チーム内での役割分担や作業の進行管理にもつなげやすいことから、抜け漏れの防止にも効果を発揮します。

こうした可視化しやすい構成は、単に交渉過程を記録するだけでなく、基本合意書の草案やデューデリジェンス、さらにPMI(統合プロセス)の初期設計にも展開可能です。そのため、フォーマット設計の段階から、タームシートを単なる交渉記録ではなく、全体戦略を見通すための「実務的な意思決定ツール」として位置づけると良いでしょう。

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まとめ

タームシートは、M&A交渉における重要事項を整理し、取引の方向性と信頼関係を築く役割を持った文書です。記載すべき項目の網羅、法務チェックの徹底、活用目的に応じた設計など、初期段階での工夫が後の交渉を大きく左右します。

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よくある質問

  • M&Aにおけるタームシートとは何ですか?
  • タームシートとは、M&A交渉初期段階で取引条件を整理・合意する文書で、法的拘束力は原則なく、柔軟な交渉が可能になります。
  • タームシートと契約書の違いは何ですか?
  • タームシートは基本条件の整理と共有が目的で、法的拘束力がなく修正が容易です。一方、契約書は正式な合意文書で、法的拘束力があります。
  • タームシートを作成するタイミングはいつですか?
  • 通常は意向表明書(LOI)提出後、交渉条件がある程度整理された段階で作成され、基本合意書や契約書への橋渡しとして活用されます。
  • タームシートに法的拘束力はありますか?
  • 全体としては法的拘束力を持ちませんが、秘密保持条項や独占交渉権など一部には拘束力を持たせるのが実務的です。
  • タームシートの作成時に注意すべきポイントは?
  • 交渉項目の網羅、法務部門のチェック、進捗管理しやすいフォーマットの採用が重要です。記載漏れはトラブルの原因になります。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社執行役員 コーポレートアドバイザリー部長公認会計士梶 博義
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 執行役員 コーポレートアドバイザリー部長
公認会計士梶 博義

大手監査法人、事業承継コンサルティング会社を経て、2015年に当社へ入社。
これまで、監査、IPO支援、財務DD、親族承継・役職員承継コンサル等を経験し、当社入社後はM&Aアドバイザーとして活躍。一貫して中小企業の支援に従事し、M&Aのみならず、事業承継全般を得意とする。

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