土木 業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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昨今の土木業界は、インフラ整備や自然災害への対応が求められています。公共事業の受注増加や、慢性的な人手不足の問題に対処するため、多くの企業がM&Aを活用しているのが現状です。

本記事では、土木業界の市場動向やM&A事例、実施するメリット、成功するためのポイントなどについて詳しく解説します。土木業界でのM&Aを検討している経営者様や、今後の経営戦略に役立てたい方は、ぜひ参考にしてください。

M&Aの前に押さえておきたい土木業界の情報

土木業界の基本的な情報を理解することは、M&Aを成功させるために重要です。まずは、定義や特色、代表的な企業について見ていきましょう。

土木業界の定義

土木業界とは、インフラの整備や自然災害の防止・復旧などのために、公共の建造物を建築・工事する業界のことです。

ビル等の建物を築くのは「建築業界」で、建物以外の建造物を対象とするのが「土木業界」です。土木業界は具体的に、道路・橋・トンネル・ダム・空港建設・河川・土地区画整理・水道の8つが該当します。

代表的な企業

土木業界で代表的な企業は、以下のとおりです。

  • ・五洋建設株式会社
  • ・株式会社サーラコーポレーション
  • ・東亜建設工業株式会社
  • ・佐藤工業株式会社

土木業界の特色

土木業界の仕事は、「現場調査」「設計」「工事着工」の3段階に分けられます。

現場調査では、建設予定地の状況を確認し、記録を残します。設計の仕事は、道路や橋、トンネルなどの設計に携わる、概略設計と詳細設計の2段階です。最後に設計士と話し合い、詳細設計を決定後、実際の工事に着手します。

発注者は、国や自治体などの公共事業が主になるケースが一般的です。施工対象が大きく、天候に左右されやすい一面を持つため、現場調査や施工技術、安全管理能力などの高さが求められます。

土木業界の動向・市場規模

土木業界の動向や市場規模を把握することで、M&Aの背景を理解できます。

国土交通省の調査によると、土木・建築業界における2022年(令和4年)の国内売上高は約10兆9,048億円で、前年比1.4%減です。年によって、多少の増加傾向が見られる時期はあるものの、1994年(平成6年)以降、全体としてなだらかな減少が続いています。

事業別国内売上高の推移

引用:令和4年 建設業活動実態調査の結果|国土交通省

また、土木業界の属する建設業界では、令和3年度末の業者数はピーク時(平成11年度末)から約21%減、令和4年平均の就業者数はピーク時(平成9年平均)から約30%減と、市場が縮小傾向にあることが伺えます。

建設業界では高齢化も深刻化しており、なり手の不足や次世代への技術承継が大きな問題です。

建設業就業者の高齢化の進行

引用:建設業を巡る現状と課題|国土交通省

土木業界のM&A事例

土木業界での、具体的なM&Aの成功事例を紹介します。

コニシとコニシ工営

コニシ株式会社は、子会社で建築・土木工事設計施工請負管理のコニシ工営株式会社を、株式交換により完全子会社化しました。

グループ内の経営資源の有効活用と、事業の意思決定の迅速化を狙った事例です。

コンセックと丸金建設

株式会社コンセックは、株式会社丸金建設の株式100%を取得し、子会社化することを決議しました。

地域密着型の事業を展開してきた丸金建設を取り込むことで、一層の地域貢献を図るほか、グループ全体の技術力向上を期待して本件を実施しています。

第一三興グループと座波商会グループ

土木工事・道路舗装工事などを担う第一三興グループは、総合建設・港湾建設などの座波商会グループに事業承継を行いました。

第一三興グループは、ノウハウや実績の承継、従業員や取引先の生活を第一に考え、今回の事業承継を決断しました。座波商会グループは、第一三興グループの事業実績をもとに、土木・建機レンタル事業への参入を図ると共に、シナジー効果によるさらなる企業価値の創出を期待しています。

OCHIホールディングスと芳賀屋建設

OCHIホールディングス株式会社は、芳賀屋建設株式会社の自己株式を除く発行済株式を取得し、連結子会社とすることを決議しました。

福岡県内を中心に建材・住宅設備機器の卸売業を展開するOCHIホールディングスは、芳賀屋建設の持つ関東圏での事業基盤を取り込み、事業エリアの拡大と共にグループ全体のシナジー効果を図っています。

MCPキャピタルと丸友開発

MCPキャピタル株式会社が業務受託するMCP6投資事業有限責任組合は、出資する特別目的会社であるMYDホールディングス株式会社を通じて、丸友開発株式会社の株式を取得しました。

丸友開発は、静岡県西部エリアを中心に、解体工事業や土木工事業を展開しています。MCP6投資事業有限責任組合は、丸友開発をグループ傘下に迎え入れ、相互の企業連携やこれまで築いてきた事業基盤の活用により、グループ全体の成長を目指しました。

土木業界でM&Aを活用するメリット

土木業界でM&Aを実施することには、次のようなメリットがあります。

人材確保につながる

土木業界では人手不足が深刻です。売り手企業も買い手企業も、同様の問題を抱えています。従業員不足が要因となり、事業拡大や工期短縮が困難な企業も多く、業界内競争力が低下しているのが現状です。

M&Aを通じて企業提携を行えば、売り手企業の従業員を雇用でき、人材不足を解消できます。特に、同業種の企業と提携することで、熟練したスキルや専門知識を持つ人員の確保をはじめ、即戦力として活用できるため、新たに教育するコストと時間の節約も可能です。

官民どちらの工事にも対応できるようになる

土木業界では、公共事業と民間工事の両方が行われていますが、多くの会社では、どちらか一方に特化しています。M&Aを実施し、両者の特性を持つ企業同士が融合すれば、官民どちらの案件にも対応が可能です。

例えば、公共事業中心の会社が民間工事中心の会社を買収することで、民間工事にも応じられます。公共事業と民間工事の両方に対応できれば、事業の拡大が期待できるでしょう。

土木業界におけるM&A成功のポイント

土木業界で、M&Aを成功させるためのポイントを紹介します。

現状把握を入念に行う

土木業界は、M&Aによるシナジー効果が生まれにくいため、譲受企業は目的を明確にしなければなりません。また、業界の特性として中小企業が多いことから、譲渡企業が潜在的リスクを抱えている可能性があります。

M&A後に粉飾決算や簿外債務が発覚すると、罰則や損害賠償が生じるため、事前の確認が重要です。

建設業許可の引き継ぎ方法を確認する

M&Aのスキームによって、建設業許可の引き継ぎ作業は異なります。株式譲渡では許認可をそのまま引き継ぎますが、事業譲渡では許認可の引き継ぎに時間がかかり、空白期間が生じる恐れがあります。

業務をスムーズに進行させるためには、スキームに応じた引き継ぎ方法を確認・調整・実施することが不可欠です。

土木業界における今後のM&Aの課題と展望

土木業界の今後のM&Aには、多くの課題があります。土木業界が属する建設業界の主な課題は、労働力不足と技術承継です。60歳以上の技能者が全体の25.7%を占め、10年後にはその多くが引退する見込みであり、次世代への技術継承が懸念されています。

さらに、日本の人口減少により労働力の確保が一層難しくなり、人材不足が深刻化しているのが現状です。堅調な土木工事業界ですが、後継者や人員不足がM&Aの主要な動機となり、事業拡大や売却を希望する経営者が増加すると考えられています。一方、買収側は人材確保だけでなく、技術力や特殊工事能力などの付加価値が必要になるかもしれません。

また、隣接する業種や海外企業の買収が活発化しており、業務範囲の拡大や営業面でのメリットを追求する動きが見られます。案件の大規模化に伴い、ファンドによる買収が増加している面もあり、今後もM&Aの件数は増加するでしょう。

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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社企業情報部 課長高橋 祐基
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 企業情報部 課長
高橋 祐基

生命保険会社を経て、独立系ブティックでアドバイザリー業務に従事。
当社参画後は、建設業界の大型M&Aや上場企業からのカーブアウト等、数々の成約実績を有する。


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