携帯販売代理店業界 市場規模や買収・売却事例について解説

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業界の定義

携帯販売代理店とは、メーカーが製造した携帯電話端末を通信キャリアが整えたネットワークインフラや料金体系に則ってお客様に販売する店舗を指す。 ドコモショップやauショップ、ソフトバンクショップなどをイメージするかもしれないが、これらの店舗は通信キャリアが直接運営することはほぼなく、実際運営しているのは「株式会社ティーガイア」や「コネクシオ株式会社」などの携帯販売業を事業としている企業が運営していることがほとんどである。これらの携帯販売代理店は、必ず通信キャリアや他の携帯販売代理店と代理店契約を行っている。

業界の特色

携帯販売

上記でも述べた通り、携帯販売代理店を運営するには通信キャリアや他の携帯販売代理店との代理店契約が必要である。通信キャリアとの契約の距離によって呼び方が異なり、通信キャリアと直接代理店契約を交わした携帯販売代理店を1次代理店、1次代理店と代理店契約した携帯販売代理店を2次代理店、同様に2次代理店と契約を交わした携帯販売代理店を3次代理店それ以下は4次代理店、5次代理店となる。

携帯販売代理店の主な収益は、販売手数料、継続手数料、業務手数料、各種支援金などがあげられるが、1次代理店と5次代理店では条件面が大きく異なり、通信キャリアとの距離が遠いほどインセンティブが低くなるなど、より厳しい条件での運営になる。

携帯販売代理店の運営においては、どこと契約するかが非常に重要になっており、よりよい条件で店舗を展開することが競争を勝ち抜く鍵となる。 また1次代理店や2次代理店を運営する場合は、代理店の運営だけでなく2次、または3次代理店を探し契約をしていくことで、より強固な運営体制を築ける。その際は、契約した下位代理店が稼げる携帯販売代理店になるために、条件面やフォローアップの体制を整えることが重要である。

市場の規模

「業界動向サーチ」によると、2017-18年の携帯販売代理店業界主要企業の12社の売上高の合計金額は1兆0,553億円。

企業別で比較すると、売上高1位の「株式会社ティーガイア」が5,020億円、同2位の「コネクシオ株式会社」が2,648億円、同3位の「株式会社光通信」が945億円となっている。 従業員数1位は「コネクシオ株式会社」が5,070人となっており、同2位は「株式会社ティーガイア」の3,393人、同3位は「株式会社 ベルパーク」の1,272人となっている。

一方でスマートフォンの契約件数に焦点をあてると、2010年3月の国内のスマートフォン契約数は約250万件だったが、2013年12月末には5,328万件と急速な成長を見せた。その後も契約数は増え続け、2017年3月末時点での契約件数は8,119万件となっている。日本の総人口が約1億2,644万人のため、契約件数が8,000万件を超えると市場の伸びも停滞し、今後は大きな伸びは期待できないと言えるだろう。

停滞しつつある携帯販売代理店業界内にて、代理店間のM&Aや資本参加による業界再編が目立ってきている。

課題と展望

携帯販売代理店業界は、携帯電話の売上が伸び悩んでおり、成長率の停滞が課題としてあげられている。
現在の日本国内の携帯電話普及率は非常に高いため、今後契約件数が大きく伸びることは期待できない。 また、各携帯販売代理店が負担させられる違約金や、端末の割賦残債も解決しなければいけない課題としてあげられる。これらは飽和した市場において、顧客獲得競争が激化し、過度なキャッシュバックキャンペーンなどが各携帯販売代理店によって展開されることにより、さらなる負担につながっている。

いかに新規契約を獲得するか、MNPでユーザーを乗り換えさせるかという携帯販売代理店のビジネスモデルが厳しい局面を迎えている。

そんな中で、通信キャリア主導のもと新たなビジネスモデルを展開している動きもみられる。

例えば、KDDIはキャリアの直営、あるいはキャリアの子会社が運営する旗艦店で、待ち時間に店頭でウォーターサーバーの契約をできるようにするなどの取り組みを行っている。 このような通信キャリアによる新たな取り組みを各携帯販売代理店にフィードバックし、それを実行することで、業界においてビジネスモデルの多角化が図られている。

今後は通信キャリアと携帯販売代理店が協力し合い、より収益性の高いビジネスモデルが生まれることが期待される。


携帯販売代理店のM&A動向

携帯販売代理店は、スマートフォンの高機能化やサービスの多様化による顧客対応の向上が求められており、業界内で、規模の拡大による店舗網強化と経営効率化を目指したM&Aが行われている。

―主な事例―

・2016年3月
兼松テレコム・インベストメント株式会社がる株式会社ダイヤモンドテレコムを吸収合併した。このM&Aにより、全国的な優良店舗網の構築、人材・ノウハウの共有によるサービスの高度化、両社の経営効率化を推進することが期待される。


・2016年10月
株式会社ノジマと株式会社ハスコムモバイルが資本業務提携を締結した。グループで全国780店舗以上(2016年10月時点)で通信事業を展開する株式会社ノジマと、北海道を基盤としてドコモショップ及びドコモ専売店を20店舗以上(2016年10月時点)を運営する株式会社ハスコムモバイルのM&Aは、両社のノウハウの共有、北海道地域における店舗網強化を実現し、両社の企業価値の向上が図られた。


・2019年8月、株式会社ティーガイアと株式会社イードが資本業務提携を締結した。モバイルビジネスを基幹事業を主力事業とする株式会社ティーガイアと、専門領域における豊富なネットワークやデジタルマーケティング力を持つ株式会社イードのM&Aは、両社の既存事業の拡大と新規事業の機会創出が期待され、両社の企業価値の向上につながると考えられた。


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監修者プロフィール
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社広報室 室長齊藤 宗徳
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 広報室 室長
株式会社レコフ リサーチ部 課長
齊藤 宗徳

立教大学経済学部卒業後、2007年国内大手調査会社へ入社し、国内法人約1,500社の企業査定を行うとともに国内・海外データベースソリューション営業を経て、Web戦略室、広報部にて責任者として実績を重ねる。2019年大手M&A仲介会社へ入社し、広報責任者として広報業務に従事。2021年当社入社後は、広報責任者としてグループ広報業務全体を管掌。

一般社団法人金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」M&Aアドバイザー担当
MACPグループ「地域共創プロジェクト」責任者


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