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業界の定義
パチンコホールは、パチンコ台・スロット台を購入・設置し、利用者に遊戯をさせることによって投資を回収するビジネスモデル。パチンコ店は、風営法に基づき都道府県ごとに営業場所・営業時間などが風営法施行条例により細かく規制されている。遊技機に対しても規制が厳しく、射幸性の高いパチスロ機が設置できなくなったことにより、市場規模は2006年の33兆円から2008年には29兆円まで減少した。
パチンコ業界で過去に日常的に行われていた、射幸心をそそる広告宣伝・集客イベント・テレビCM・チラシのポスティングも規制された。「グランドオープン」「最強」「ナンバーワン」「特選台」という言語の使用禁止も含まれている。
遊戯者がパチンコホールから遊戯玉を借り受ける際の価格と、遊戯者が勝ち玉を換金する際の価格が同じなのを等価交換という。しかし東京遊戯業協同組合では、2015年から1玉4円で貸し出されたのを、1玉3.75円以下でしか交換できないとする規制を導入した。
以上の例でわかるように、パチンコ業界は厳しい規制で活動を制限されている業界であるのが大きな特色となっている。ただ、景品を現金に交換できるという規制の抜け道も混在する特殊性の高い業界でもある。
業界の特色

一般社団法人パチンコ・トラスティ・ボードによると2016年の市場規模は21兆6260億円であり、営業店舗数は10,986店となっている。
トップ2社の規模が突出しており、株式会社マルハンが1兆6788億円、2位の株式会社ダイナムジャパンホールディングスが7404億円を同年に売り上げている。なおダイナムは香港パチンコ取引所に上場している。
パチンコ業界は、1990年代に成熟期を迎え30兆円の市場規模に達していたが、その後の度重なる規制の強化と余暇市場の多様化が要因で2000年あたりから市場は縮小傾向にある。
さらに若者のパチンコ離れとともに遊戯人口の高齢化が進んでおり、将来は高齢ユーザーの引退を迎える。
2007年以降は、1円パチンコ・5円スロットといった低貸玉の普及により、市場規模を維持できていた。2010年頃から、高射幸性の台が増加して一部ヘビーユーザーにより市場規模は維持されていたものの、今後も継続してさらに厳しい規制強化が見込まれており、遊戯人口の減少による市場規模の縮小が進行すると予測されている。
2016年に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(統合型リゾート推進法)が成立し、実際にIRが開業すると、パチンコ業界にとっては脅威になる。
課題と展望
2011年のパチンコ業界の広告宣伝に対する規制強化により、他店との差別化が困難になった。その結果、資金力のある大手チェーンに有利な市場環境になり、中小パチンコホールの経営は悪化した。ある程度規模があるチェーンが存続しているため、店舗数が減少しているのに対して、1店舗あたりの店舗面積は大型化している。
今後の規制強化によりパチスロ店の増加は頭打ちになる。パチンコ店については4円パチンコの減少および1円パチンコの増加傾向は継続することになる。
パチンコをギャンブルではなく大衆娯楽と考えるユーザー層が増えたことで、ゲームセンターやカラオケ店などのアミューズメント施設が競合業態となりつつある。大手チェーンは、他の娯楽施設をM&Aしながら複合施設へ転換する動きが活発になっている。
パチンコ業界のM&A動向
競争環境の激化により中小ホールが大手の傘下に入るM&Aが活発になっている。大手はM&Aを軸に未出店地域への出店を進めており、売上げ拡大をさらに強化している。規制により換金の上限が異なる地域のホール。閉鎖的な地域で新規出店に時間がかかる地域での既存チェーンのM&A などパチンコ業界特有の理由によるM&Aも見受けられる。
新規出店の際に、赤玉施策(粗利益率を一定期間低下させ利用者に還元する)を続ける必要があり、この施策は資金力のある大手でないと取り組めないマーケティング戦略である。
大手は今後、ゴルフ場やホテルをM&A。複合商業施設の展開を見据えている。隣地にレストランを営業することで集客力を高めるタイプのフォーマットも多くなる。また、ホール事業のみを事業譲渡して不動産はそのまま所有。賃貸収入に転換する中小にとってのベーシックなM&Aも増加傾向にある。
2015年、全国に399店舗を展開するダイナムジャパンホールディングスは、39店舗を運営する夢コーポレーションを株式交換により完全子会社とした。
2016年、アンダーツリーグループ傘下のレッドウッドは、神友商事運営のパチンコ・スロットホール6店舗を吸収合併によりM&A 。
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