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Web制作業界におけるM&Aは、優秀な人材を迅速に確保できることが大きなメリットです。また、有形資産だけでなく、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産も取得可能であり、多くの企業がM&Aを通じて事業拡大や新たな価値創造を目指しています。
本記事では、M&Aを成功させるポイントや具体的な事例を紹介します。今後の課題と展望についても解説していますので、最後までご覧いただければ、M&Aの重要性と戦略を理解できるでしょう。
M&Aの前に押さえておきたいWeb制作業界の情報
M&Aを成功に導くためには、対象となる業界への深い理解が必要です。まずは、Web制作業界の基本的な定義や代表的な企業、特色について把握しましょう。
Web制作業界の定義
Web制作業界とは、「ホームページの制作」や「Webサイトの運営」に関わる業務を行う産業のことです。デザインやプログラム、コーディングなどの外部的な領域だけでなく、企画やディレクション、Webマーケティング、コンテンツの執筆など、さまざまな分野が含まれます。
2023年度の政府統計によると、インターネット附随サービス業の従業者数は15万2,974人です。フリーランスや他産業でWeb制作関連の業務を行う人々を含めると、さらに多くの従業者が存在することが予想されます。
代表的な企業
Web制作業界における代表的な企業は、以下のとおりです。
- ・株式会社LIG
- ・株式会社カヤック
- ・株式会社キノトロープ
- ・チームラボ株式会社
Web制作業界の特色
Web制作業界は、今後も大きな発展が期待されています。eコマース分野での需要が高まり、企業のDX化やサービス提供にもWebが必要です。
スマートフォンの普及によって、Webサービスの利用が身近になり、将来的にもさらなる成長が見込まれる業界であるといえます。
Web制作業界のM&A動向・市場規模
Web制作業界が属するインターネット附随サービス業において、2023年度の企業売上高は約4兆2,763億円で、前年度比121.9%です。また、従業者数も2022年度の11万9,722人から2023年度には15万2,974人へと増加し、前年度比127.7%と規模が拡大していることがわかります。
2013年度から2023年度まで、売上高は継続的に増加傾向にあり、Web業界が持続的に成長している証しです。そのため、今後もWeb制作ニーズの高まりが続くことが期待されています。このような状況は、M&Aの機会を増やす可能性を含みます。

Web制作業界のM&A事例
Web制作業界では、多くの企業がM&Aを通じて、事業拡大や新たな価値創造を目指しています。以下に、具体的な事例を紹介します。
デジタルアイデンティティとぱむ
デジタルマーケティング事業を手がける株式会社デジタルアイデンティティは、株式会社ぱむを子会社化しました。
ぱむは、金融業界を中心にデジタルマーケティング事業を展開しており、Webサイト・動画コンテンツ等の制作を行っていました。
デジタルアイデンティティは、顧客に対応する広範かつ高品質のデジタルマーケティングを実現するため、ぱむへの支援を行うとともに、グループの企業価値向上を目指しています。
ニーズウェルとビー・オー・スタジオ
独立系のシステムインテグレータである株式会社ニーズウェルは、デジタルマーケティング、Web制作等を行っている株式会社ビー・オー・スタジオを子会社化しました。
Web制作工程の一気通貫での提供と、官公庁および民間企業へのDX支援の増強が目的です。
マーベラスとグルーブシンク
株式会社マーベラスは、eスポーツ運営やWeb制作事業を展開する株式会社グルーブシンクを買収しました。
マーベラスは、オンラインゲームやアミューズメント機器の企画・開発・運営等を手がける企業です。今後、拡大が期待されるeスポーツ分野への事業展開を視野に入れて、子会社化を実施しました。
トビラシステムズとアイデアプラス
トビラシステムズ株式会社は、ホームページ制作運営支援事業「HP4U」を株式会社アイデアプラスに譲渡しました。
2004年創業のトビラシステムズは、テクノロジーで社会課題の解決を目指す企業であり、犯罪撲滅のためのサービス等で実績を挙げています。事業譲渡の目的は、経営資源を主力事業へ集中させ、中長期的な企業価値の向上を図ることです。
Kaizen Platformとディーゼロ
株式会社Kaizen Platformは、株式会社ディーゼロの発行済み株式の一部を取得し、子会社化しました。
Kaizen Platformは、九州最大級のWeb専門制作会社です。Webサイトの改善を支援する、UXソリューションの提供価値向上のほか、新たな市場機会の創出等を意図しています。
Web制作業界でM&Aを活用するメリット
Web制作業界でM&Aを活用すると、多くのメリットがあります。なかでも重要なのは、優秀な人材の確保と無形資産の獲得です。
優秀な人材を確保できる
Web制作業界におけるM&Aでは、優秀な人材を迅速に確保できることが大きなメリットです。Web制作会社を買収することで、即戦力となる実務経験豊富な人材を獲得できます。
Web制作業界の従業員規模は増加傾向にあります。市場全体も拡大しており、技術力の保持が重要です。M&Aを実施して経験者を確保することで、人材育成コストを削減できるとともに、事業領域の拡大にも役立ちます。
無形資産の獲得で事業拡大につながる
事業拡大のチャンスを得られることもM&Aのメリットです。買収により、企業はWeb制作市場での規模とシェアを拡大できます。
Web制作業界のM&Aでは、有形資産だけでなく、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産も取得可能です。「リソース」や「コンテンツ」などの無形資産を活用することで、早期の事業拡大が見込めます。
Web制作業界におけるM&A成功のポイント
Web制作業界でのM&Aを成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、相手企業が有する経営資源をあらかじめ把握しておくことが大切です。M&Aの目的と、相手企業の資源が適合するかを評価します。
次に、相手企業の技術力を確認することが必要です。特にプロダクション、ディレクション、デザイン、プログラミング分野の技術力は、入念にチェックしましょう。これらの分野での高い技術力は、Web制作業界での競争力を保つために欠かせません。
Web制作業界は、ITなどのテクノロジー業界と親和性が高く、影響を受けやすい点を考慮しておくことが重要です。AIやIoT技術の進化は、Web制作業界にも大きな影響を与えています。
デジタル技術が進化していくなかで、自社のWeb制作事業の価値を高めるためには、各分野に特化した技術力の確保が大切です。例えば、AIやDXでは替えがきかないプロダクション、ディレクション、デザイン、プログラミングなどが該当します。
最後に、M&Aの効果を最大化するためにも、しっかりとリサーチを行ったうえで、取引に値する企業であるかを見極めなければなりません。これらのポイントを押さえることで、Web制作業界でのM&Aが成功に近づきます。
Web制作業界における今後のM&Aの課題と展望
Web制作業界が直面している新規案件の減少問題は、Webサイトの飽和状態と技術の進展が要因です。日本の企業におけるホームページ開設率は年々上昇しており、2020年の段階では、約9割の企業が自社のホームページを開設しているといわれています 。
近年では、初心者でも簡単にサイトを構築できるツールが運用されており、Web制作会社に依頼せず、費用を抑えながら自分自身で制作を行う層も増加していくと予測されます。したがって、小規模な制作会社は淘汰される可能性が高くなるでしょう。
激しい市場競争のなかで生き残るためには、Web制作会社だからこそ可能な、各分野のスペシャリストによる成果物や、クライアントのニーズにマッチした有益な提案の提供が必要です。
M&Aによるノウハウや経営資源の統合、およびシナジー効果の発揮は、Web制作会社の事業存続のためにも有効な手段となります。
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